第229話 狙われた幹部

菊の華シリーズ第2章




バベルの一室にいた山本とアヤ。

アヤの元に闇の騎士から着信がありました。



山本も携帯電話を取り出し,

どこかに連絡を取り始めました。



いよいよ,闇組織ジャファが菊の

幹部暗殺に向けて動き出すのでしょうか。



再び場面は少年昆虫団が食事をしているチェーン店にて・・・。







「まぁ,考えてもわからないし,

少しずつ情報を集めていくしかないね。」


「まぁ,そうですね。」



誰が闇の騎士なのか意見を出し合った

ようですが,結論はでませんでした。



そしてあっという間に時間は過ぎていきました。



「なんか,結構時間が経っちゃったね。もうすぐ20時だよ!」



「まだ,20時か。大丈夫だろ。」



普通なら小学生が出歩く時間ではありませんが,

普段から昆虫採集をしている彼らにとっては

あまり遅い時間だという認識はないようです。



その時,レオンさんの携帯電話に着信が入りました。

その画面を覗き込むと画面には番号のみ表示されていました。



「この番号は赤神さんからだ。」



リク君もその番号に見覚えがありました。

さっき,赤神さんの直通番号を教えてもらったからです。



レオンさんはその場で電話に出ました。



「レオンさんってなんでアドレス登録していないのかな?」

「おそらく,万が一敵に携帯電話を

奪われても情報を漏えいさせないためでしょ。

公安の人間は番号で相手を覚えていることが

多いみたいだよ。それに通話後,履歴もすぐに消しちゃうって。」




リク君の説明にトシ君は納得しました。



「なんだって!?」



その時,レオンさんが急に大きな声をあげました。



みんなは周囲の視線を感じました。



レオンさんは気を取り直して小声で会話を続けています。

そしてしばらくして通話を終え,履歴を消しました。



「いったい何があったんだ?」



と,イツキ君が聞きました。



「黄金原さんが襲われたらしい。今,

警察病院にいるという連絡が入ったんだ。」


「え,それで黄金原さんは無事なの!?」



今度はリク君が聞きます。



「ああ,本人は無事らしい。

ただ,黄金原さんと部下が負傷したとのことだ。

詳細は分からないけど,部下が黄金原さんをかばったみたい。」




レオンさんは赤神さんから聞いたことを話しました。



「じゃあ,その部下の人が死んじゃったの・・・?」



と,言って不安そうな表情をしています。



「いや,狙撃されたらしいんだが,急所は外したみたいで

命には別条はないみたい。今から警察病院に行くんだけど・・・。」




「一緒に行くぜ。」



すかさずそう言いました。



「そう言うと思ったよ。すぐにここを出よう。」



レオンさんは会計を済ませるとすぐに車を出して警察病院へ向かいました。

警察病院に到着し,中に入るとロビーに菊の幹部が集まっていました。



赤神氏はレオンさん達を見つけると声をかけました。



赤神「急な電話ですまなかったな。」



「いえ,それで黄金原さんと部下の方は無事なんですよね!?」



その質問に,その場にいた黄金原さんが答えました。



黄金原「大丈夫だ。俺は腕のかすり傷だけだ。

部下の羽音々(はおとね)も大したことないみたいだ。」



黄金原さんは自分が襲撃された場面を説明し始めました。








第230話 部下の羽音々

菊の華シリーズ第2章




黄金原さんは病院のロビーで自分が

襲撃された時のことを説明ようとしました。



その時,診察室から小柄で若い女性が出てきました。

腕には包帯を巻いています。



「あ,女の人が出てきた。誰だろう?」



黄金原「もう診察は終わったのか,羽音々(はおとね)。」



どうやら黄金原氏の部下は女性だったようです。



羽音々「大丈夫です!銃弾が腕をかすめただけで大事には至りませんでした!」



元気はつらつな表情で黄金原氏にそう言いました。

その後,こちらに向かって深々と頭を下げました。



黄金原「よかった。君がいなかったら俺は死んでいた・・・。」



黄金原氏はねぎらいの言葉をかけました。



赤神「翠川と少年昆虫団も来たので,

もう一度襲撃された時のことを説明してくれるか?」



「何度も悪いね。」



レオンさんは黄金原氏に謝りました。



彼は手を振って,「気にするな」という仕草をし,



黄金原氏は「わかりました。」



と言って,説明を始めました。



場面は黄金原氏がサーカス団での仕事を終えて

部下の羽音々に車で迎えに来てもらった所でした。



黄金原「悪いね,迎えに来てもらって。」

羽音々「いえ,そんな。むしろ頼ってもらって光栄です!」





<福岡県警公安係 羽音々 緋文(はおとね ひふみ)>



警察官とは思えないほどの童顔とかわいらしい仕草は

そばにいた団員をくぎ付けにするには十分でした。



団員は見送りを終え,再び劇場の中へ入って行きました。



黄金原氏は羽音々が運転する車に乗り,

県警本部に戻ることにしました。



県警本部に到着し,二人は車から降りました。



その時,羽音々は向かいのビルの屋上がチカッっと光るのが見えました。

次の瞬間,赤い照準レーザーが黄金原氏の頭に映ったのです。



羽音々はとっさの判断で黄金原氏を抱きかかえ,

体勢を変えることでレーザーの標準からずらそうとしました。



風を切るような音ともに羽音々は腕に痛みを感じました。



黄金原「なっ,なんだ!?」



黄金原氏もその場に倒れこみました。



羽音々「狙撃です!黄金原さんはすぐに

建物の中に入ってください!」



二人はなんとか県警本部の中に身を隠しました。



そして,入口にいた警らの者にすぐに応援を呼ばせました。



二人は厳重な警備の中,この警察病院へ

運ばれて診察を受けたというわけです。



「なるほど,だいたいの話はわかった。」



イツキ君は腕を組みながらそう言いました。



「今回の襲撃はやはり闇組織JFの仕業なんですよね!?」



「そうとしか考えられないだろうな。

どうやら奴らの狙いは黄金原だったというわけか。」




レオンさんが黄金原氏に視線をやりました。



黄金原「そうみたいだな・・・。でも,羽音々が

無事で本当に良かったよ。それが何よりだよ。」



羽音々「そう言っていただけるなんて,本当に嬉しいです。

あたしも黄金原さんが無事で良かったです。

もし貴方に何かあったら,どうしようかと思いました・・・。」



そのやり取りを見ていたまさらちゃんが何か感づいたようです。



「はは〜ん。」



急にニヤニヤし始めました。



「まさらちゃん,どうしたの?」



と,リク君が聞きました。



「あら,あの二人を見ていてわからないの?」

「何が?」



リク君はいまいちまさらちゃんが

言いたいことがわからないようです。



「リク君ってこういうことは鈍いよね!たぶん,羽音々さんは

黄金原さんのことが好きなのよ!あれは相当,慕う想いが強いと思うな!」




まさらちゃんは自信たっぷりにリク君に解説をしました。



「そうかな??」



「そうじゃなければ,いくら上司だからって

自分の身を挺してまで守ろうとしたりしないよ!」




まさらちゃんの指摘通り,リク君には

こういうことはあまりわからないようです。



「間違いないわ!私の勘がそう言っている!」



果たして二人の関係は・・・。








第231話 二人の護衛

菊の華シリーズ第2章




まさらちゃんは黄金原さんと部下の

羽音々さんが恋仲にあると予想しました。



「本当にそうかなぁ・・・。そうは見えないけど・・・。」



リク君は恋愛については疎いようです。



「ねぇねぇ,お姉さん。お姉さんってひょっとして

黄金原さんのことが好き・・・だったりして?」




まさらちゃんは音々さんの耳元でストレートにささやきました。



羽音々「なっ何を言っているの!?」



その慌てぶりからまさらちゃんの予想が確信に変わりました。



「やっぱりね!お二人は付き合っているんですか?」

「おいおい,プライベートに食い込みすぎだ・・・。」



黄金原氏は菊の幹部と何やら話を続けていたので,

今の会話は彼の耳には入っていないようです。



羽音々「べっ別に,あたしが勝手に慕っているだけで・・・,

その付き合っているとかはないよ。

まだ・・・。彼とは仕事上の上司と部下,それだけ!」



明るく振舞いましたが,少し寂しそうです。



「なるほど〜。羽音々さんは彼のことが好きだけど,彼はそれに

気づいていないんだね。あの人,うちの男たちと一緒で鈍感そうだし。」




少年昆虫団の男たちは一斉にブーイングしました。



「何をー!」



赤神「よし,今日はこれで解散しよう。」



桃瀬「了解しました。でも,黄金原さんと

羽音々さんは病院で入院ですか?」



桃瀬さんが聞きました。



黄金原「いや,傷はたいしたことないし,任務にも支障が出るから県警に戻る。」

青山「大丈夫なのか?また襲撃される可能性もあるぞ。」



青山氏が心配しました。



羽音々「あたしは黄金原さんと一緒ならどこでも大丈夫です。」



「じゃあ,オイラが県警本部まで護衛につくよ。

君たちの運転する車を後ろから追いかける。」




レオンさんが提案しました。



赤神「そうだな。それがいい。俺はちょっと病院で 手続きが残っているから先に帰っていてくれ。」



赤神さんの指示により,菊のメンバーは,本日は解散となりました。





先に病院を出たのは,黄金原氏と羽音々さんの車でした。

そのすぐ後ろにレオンさんとリク君たちが乗った車が後を走りました。



病院を出て,15分くらい経ったころです。



レオンさんは視界遠方にあるビルの屋上が

チカッと光る現象に気づきました。



その異変に気付いた次の瞬間−・・・。



キキィ!!



ハンドルを取られ車が大きくスリップしました。



乗車していた少年昆虫団は何が起こったのか分からず,

車体の内側に頭や体をぶつけました。



「なっ・・・なんですか急に!?」

「いったぁい・・・。」



まさらちゃんは頭を軽くぶつけたようでした。



みんなは何が起こったのかわからない様子で動揺していました。



「どうしたんだよ。レオンさん,

運転テクはかなりの腕前じゃなかったのかよ!?」


「すまない。どうやら,パンクした・・・。

いやパンクさせられた・・・。」




異変に気付いた黄金原氏たちの車は

100mほど離れた距離で停止しました。



次の瞬間,後ろから黒いワゴン車がレオンさんの車を

ものすごい速さで追い抜き,黄金原氏の車の横で停止しました。



「あ,あの車は“古代自動車”の“ローハート”ですね!

昨日,だぬたちを襲ってきた車ですよ!」




リク君が車外に出ようとしましたが,レオンさんが制止しました。



「今,外に出ることは許可できない。」



いつにもまして真剣な表情でそう言いました。

一体何が起ころうとしているのでしょうか。








第232話 徹底した襲撃

菊の華シリーズ第2章




レオンさんと少年昆虫団が乗る車が突然パンクしました。

いったい何が起こったのでしょうか。



リク君が車外に出ようとするとレオンさんが制止しました。



「この車はタイヤを狙撃された・・・!

今,外に出たら格好の的になってしまう。」




リク君はドアノブから手を離しました。



「闇組織ジャファの狙撃手の仕業だね。」



そう言って,みんなに身をかがめるように指示しました。



「でも,後ろから追い抜いてきた車が黄金原サンの

車の横につけた。なんとかしないとヤバイぞ。」




イツキ君が危機感を募らせました。



「しかし,今は君たちの命が大事だ。」



敵の狙撃手はこちらの行動を封じる

ためにさらに撃ち込んできました。



カン!



カン!



車内に甲高い音が響きます。

銃弾が車のボディに当たっているようです。



リク君たちの身動きが取れない状況でした。



すでに黄金原氏の車は,闇組織JFの車に

進路を防がれてしまいました。



車から数名の特殊部隊が出てきました。

昨日,リク君たちを襲撃した部隊と同じような構成部隊でした。



みんなは身をかがめながらも様子をうかがっていました。

すると,車内から黄金原氏と羽音々さんが手を挙げて出てきました。



銃口を突き付けられてどうしようもないように見えました。

そのまま,身柄を拘束され組織の車に詰め込まれました。



そして,車をものすごい勢いで発車させました。



「どうしよう!?羽音々さん達が連れ去られちゃったよ!?」



まさらちゃんは不安そうにしています。



「もう少しだけ様子を見よう。」



レオンさんはそう言って,5分ほど

車内に待機するよう指示しました。



その間,レオンさんは赤神氏に連絡を取り,今起きた

出来事の報告と今後の動きについて確認をとりました。



5分後,最初にレオンさんが慎重に車外に出ました。

周囲に敵がいないことを確認し,みんなを車外に出しました。



すぐに,黄金原氏が乗っていた車に乗り換えました。



「この車で,黄金原さん達を連れ去った連中を追いかけよう。」

「でもどうやって?もうどこに言ったかわからないですよ?」



と,だぬちゃん。



「大丈夫。菊の幹部はお互いの居場所が

常にわかるようにGPSを装着している。」




レオンさんは専用の受信装置を取り出しました。

見た目は普通のタブレットでした。



「まだ,そんなに遠くには行っていない。

赤神さん達の応援を待つよりも追いかけたほうが早い。」




レオンさんはシートベルトをする

ように指示して車を急発進させました。



リク君はレオン差から受信装置を預かり,運転して

いるレオンさんにGPSの位置を提供し続けました。



「名古屋高速に乗る。」







緊急車両用のサイレンを鳴らして,

高速道路を駆け抜けていきました。



「だいぶ距離を縮めてきたよ!」

「いったいどこへ向かうんだ・・・!?」



高速を降りて10分ほど車を走らせると,

名古屋港の金城埠頭まで来ていました。



黄金原氏が持っているGPSの

位置を確認すると,すでに停止していました。



「このあたりのはずだけど・・・。」

「あ,あれじゃないですか!?」



だぬちゃんが古い漁港の使われていない倉庫の

前に先ほどの車が停止しているのを見つけました。



「うん,あれだね。」



レオンさんは車を停止させました。