第237話 エピローグ

菊の華シリーズ第2章




少年昆虫団は昨夜,闇組織JFの精鋭部隊から

黄金原氏と羽音々さんを救出しました。



彼らはレオンさんの家に集まっていました。



「昨日はお疲れさんだったね。」



そう言いながら,カップのバニラアイスを

人数分出してくれました。







トシ君がすかさず,食べ始めました。



「冷たくてうまぁい!」



みんなはアイスを食べながら昨日の

ことについて質問をしました。



「羽音々さんは大丈夫なのかな?」

「ああ,精神的に少しまいっている

みたいだけど,彼女も警察官だ。大丈夫だよ。」




レオンさんの言葉にまさらちゃんはほっとしたようです。



「二人は県警本部で厳重警備されているよ。

しばらくは用事がない限りは本部から外出する

ことはないと思うので組織も手が出せないだろう。」


「そっか。」



リク君もそれを聞いて安心したようです。



「あの鷺とかいう精鋭部隊はどうなったんですか?」



だぬちゃんは倉庫が燃えてしまったことが気がかりなようです。



「消火活動が終わった後に,焼け落ちた

倉庫を赤神さん達が調べたみたい。」


「それで?」



イツキ君が聞きました。



「中から5人の遺体が出てきた。

おそらく鷺のメンバーだろう。」




レオンさんは真剣な表情で言いました。



「ということは,逃げだした鷺の隊長も死んだのか?」

「確定はできないが,そういうことになるだろうね。」



リク君はアイスを食べる手を止めました。



「じゃあ,誰が倉庫に火を放ったんだろう・・・?

まさか,鷺の隊長が火をつけて逃げ遅れたってこと?」




リク君の疑問に,



「おそらく,もう一人倉庫にはいたんだろう。

鷺の部隊長は拳銃で殺害された痕跡が見つかっている。」




と,レオンさんが答えました。



「まさか!」



一同は驚きました。



「あの現場に誰がいたんでしょうか・・・。」



疑問は深まるばかりでした。



「まぁ,とりあえず,敵の連中が黄金原さんって

いう人を狙っているってわかっただけでもいいじゃない!」




トシ君が珍しくまっとうな考えを示しました。



「うん,トシ君の言うとおりだ。

敵の狙いがわかれば,こちらとしても護りやすい。」




レオンさんも同調しました。



ただ,リク君だけが浮かない顔をしていました。



「どうしたんだ?何か気になることでもあるのか?」

「え?いや,そんなことはないんだけど,

何か引っかかるような・・・。なんだろう・・・。」




リク君は何か気になることがあるようですが,

はっきりとはわからないようです。



「考えても仕方ないですよ。」



だぬちゃんは楽観的でした。



しかし,闇組織JFの菊幹部暗殺作戦はまだまだ続くことになりそうです。



菊の華シリーズ 〜第2章〜 完








第238話 カブクワがいない!?



少年昆虫団はいつもの緑地公園に

昆虫採集に来きていました。



時間は夜の9時ごろです。



レオンさんが来ていなかったので噴水前で待っていました。



しばらくすると,遅れてやってきました。



「ごめん,ごめん。どうしても研究が片付かなくって・・・。」



彼は遅れたことを申し訳なさそうに謝りました。



「気にしなくていいよ。さぁ,昆虫採集に行こう!」

「いつも言っているような気もしますが,

なんか,4か月ぶりくらいに虫とりをする気がしますよ。」




一同は奥の採集ポイントへ向かって行きました。



ここはクヌギが多く,それらの木から樹液が出ていました。

採集ポイントに到着し,樹液が出ているか確認しました。



「結構樹液が出ているよ〜!」







まさらちゃんが手を振りながら樹液が

出ている木を教えてくれました。



「じゃあ,カブクワがいたか。」



イツキ君が近づいてきました。



「あれ?カナブンはいるけど,

カブクワはいないね・・・。」




同じく他のポイントも探して

みましたが,カブクワはいません。



「なんか,もうどこかへ行っちゃったんじゃないの〜。」



トシ君は汗をだらだらかいて暑そうでした。



「そんなことはないと思うけどなぁ・・・。

時間もカブクワが活動する時間だし・・・。」




さらに周辺を探し続けましたが,

1匹もカブクワがいません。



「こんなこともあるんだね。」



レオンさんが言いました。



「もう諦めて帰ろうぜ。俺はこれからレオンさんに

格闘技の稽古をつけてもらう予定なんだ。」


「ああ,そうなんですか。それは大変ですね。」



だぬちゃんは他人事でした。



「う〜ん,おかしいなぁ・・・。

いつもなら絶対に採集できるのに・・・。」


「何か原因があるのかな?」



二人は原因を探ろうとしました。

すると,向こうからライトの明かりが見えました。



それも一つや二つではなく,複数ありました。

だんだんとそのライトが近づいてきます。



「あれって他にも採集している人じゃないの??」



トシ君はそのライトを指差して言いました。

どうやらその予想は当たりでした。



なんと,5組の親子がカブクワ採集に来ていました。



「原因はあれか・・・。」



レオンさんは携帯タブレットを開き,ネットにつなぎました。



「うん,そのようだね。ネットの

口コミで緑地公園のことが出ている。」


「なんて書いてあるの?」



まさらちゃんは画面を覗き込みました。



「えっと・・・。『緑地公園はカブクワの宝庫。

一度は採集に言ってみるといいよ。』などと書かれているね。」




レオンさんは書き込みを読みました。



「あ・・・。それを書いたのボクだ・・・。」

「はぁ〜!?」



みんなはリク君に視線をやりました。



「そういえば,昨日,そんなことを書いたような・・・。」



頭をかきながら照れ笑いをしていました。



「じゃあ,カブクワがいないのはリク君の

せいじゃない!?そう言うのを自業自得って言うんだよ」




まさらちゃんも呆れています。



「はぁい・・・。反省しています・・・。」



その後,リク君は書き込みを消し,しばらくすると再び

カブクワを採集することができるようになったみたいです。



カブクワが採集できても,あまりネットで自慢しない方が良いでしょう。








第239話 蝶は種類がいっぱい



少年昆虫団は暑い日差しが照りつける

四町公園に昆虫採集に来ていました。



レオンさんは基本的に昼間は大学に行って

いるので昆虫採集には参加できないようです。



「暑い〜・・・。オイラもう帰っていいかな・・・。」

「駄目だよ!?今日はみんなでチョウチョを採集するんでしょ!?」



リク君は張り切っていますが,他のメンバーは

暑さでくじけそうになっていました。



木陰で座り込んでいるイツキ君もすでにやる気がありません。



「こんなに暑いのに蝶なんて飛んでいるのかよ・・・。」



すると,イツキ君の前を1匹の蝶が横切りました。



リク君がすかさず,網を振り回します。

上手に横から蝶を網の中に入れました。



「やった!1匹目ゲット〜!」



捕まえたのは夏型のアゲハ蝶オスでした。







「蝶って種類が多すぎてよくわかんないや。」

「蝶は種類や性別によって模様や

大きさが違うことがあるからね。」




リク君は蝶に関する知識をみんなの前で披露しました。



さらに木陰に咲いていたブタナというタンポポの

ような黄色の花にクロアゲハが止まりました。



「あ,あんなところに黒いチョウチョがいますよ!」



と,だぬちゃん。



「しっ!あれはクロアゲハだね。よ〜し,捕まえるぞ!」



リク君はそっと忍び寄り,捕虫網を振りました。

うまく,捕まえることができました。



「おおっ〜!これはうれしい!」







普段はモンシロチョウやナミアゲハ,アオスジアゲハがよく見られますが,

クロアゲハはなかなか見られなかったのでリク君は大喜びです。



しかし,他のメンバーは暑くて昆虫採集をする気にはなりません。

気温は40℃まで上がってきました。



「なんか,ちょっと疲れてきたな・・・。」



汗だくになったリク君の目の前を黒い蝶が横切りました。



「リク君大丈夫―!?」



まさらちゃんは少し離れた場所から心配そうに声をかけました。



「大丈夫だよ!」



リク君は目の前を横切った蝶を追いかけました。



必死になって追いかけましたが,蝶は高いところへ飛んで行きました。



「くそっ・・・!?あの黒い羽根に白い模様は

ナガサキアゲハのメスだった!」








リク君は悔しそうに地団駄を踏みました。



その時です。



「あれ・・・?なんか体がだるい・・・。」



リク君はその場に倒れてしまいました。



「リク君!?」



みんなはリク君の元に駆け寄りました。



「まずいな,これは熱中症だ!すぐに対処しないと!」



イツキ君はまさらちゃんの持っていた救急バックを受け取りました。

リク君を木陰に運び,首元を保冷剤で冷やし,水分を十分に与えます。



お茶や水も良いですが,塩分を含んだミネラル水があればさらに良いでしょう。

体を十分に冷やし,休憩をしっかりと取ることで少しずつ良くなってきました。



「みんな,ありがとう。だいぶ良くなったよ。」



リク君は起き上がろうとしました。



「まだ,起きちゃだめだよ。もうしばらく休んでいて。」



リク君は再び体を横にしました。



「あ〜,びっくりした。リク君でも熱中症になるんだね。」

「まぁ,昆虫採集に夢中になりすぎだ。気をつけろよ。」



イツキ君にそう言われ,反省しました。



「気温40℃で昆虫採集を続ける

なんて異常行為ですよ!自重した方がいいですよ!」




珍しくだぬちゃんがリク君に注意しました。



「じゃあ,昼間は家で遊んで,また夜に昆虫採集に行こう!」

「えっ!?この後,また行くんですか。」



まだまだ続く夏休み。



リク君にとって昆虫採集は

毎日の生活から切り離せないようです。



皆さんも熱中症には十分に気をつけましょう!












第240話 稲川淳姫の怪談5



稲川「さて,今回はある廃屋に訪れた

若者達の恐怖体験をお話しましょう。」



特別教室の教卓の上に置かれたスクリーン

ごしに稲川先生がしゃべっています。



彼はまだ旅行中だったので出先から

カメラを通して話しかけています。



おどろおどろしい雰囲気の特別教室に

集められた中野木小学校2年生の児童たち。



今日は夏休みなのに学校に来て

怪談噺を聞くことになっていました。



そして背筋も凍る怪談噺が始まりました。

怪談噺が始まる前にイツキ君が一言つっこみました。



「これ,そのうちPTAやら教育委員会で問題視されるぞ・・・。」



ある山奥に一軒の廃屋がありました。

ホテル経営に失敗して,経営者が自殺をし,

その後,解体されないまま何十年も残ったままでした。







その廃墟に男女4人の若者が肝試しに来ていました。



A「本当に幽霊なんてでるんかな?」



懐中電灯を持ち,先頭を歩く男性Aは

後ろを振り返ってそう呟きました。



B「えー,やだー。怖いー。」



すぐ後ろを歩く,女性Bは大げさに怖がって見せました。



C「やっぱ,やめようよ,こんなこと。

絶対に何か出るよ・・・。」



すでに女性Cは入口を入ってすぐのところで帰りたがっていました。



D「Cは臆病だな。大丈夫だよ,何も出やしないって!」



4人は奥まで進むと階段を見つけました。

手すりは取れ,床にはごみが散乱していました。



階段を上ったところに,赤い花が廊下に飾られていました。

その花は誰が飾ったのかわかりませんが,

枯れることなく綺麗な赤い色をしていました。



そんな赤い花を横目に一行は2階の一番奥まで進んで行きました。



そこは大浴場でした。



すでにタイルははがれ,ボロボロの状態でした。

ふと,男性Aが振り向くと,人数が一人足りません。



A「あれ?Dは?」



いつの間にか,Dがいなくなっていました。



C「え,さっきまで私の後ろにいたよ!」

B「あいつ,アタシ達を脅かそうと思って

どこかにかくれているんじゃない?」



あたりを探してみましたが,どこにもいません。



C「ねぇ,もう帰ろうよ!」

A「そうだな,帰ろう。」



大浴場を後にし,いくつかの

部屋の前を通り過ぎました。



B「ねぇ,Cがいない!?」



突然,Bが声をあげました。



A「え?」



懐中電灯をもっていたAが周辺を照らしました。



A「おい,Cちゃん!?どこだー!?」



声が空しく響くだけで,反応はありません。



B「もう私,怖くてどうかなりそうだよ!早く出よっ!」



カシャーン!



あたりが真っ暗になりました。



B「え!?」



足元に転がった物体を拾い上げました。

それはついさっきまでAが持っていた懐中電灯でした。



B「A君?」



A君が見当たりません。



そして懐中電灯の電源を入れよう

としても明りがつきません。



Bは恐怖のあまり,無我夢中で

叫びながら1階への階段を探しました。



そして,暗闇の中,階段をみつけ,

急いでかけ下りました。



B「はぁはぁ・・・。」



月明かりが廃屋内を照らしました。

するとそこには赤い花が飾ってありました。



B「あれ,あの花って2階に飾ってあった・・・。」



ふと,下を見ると階段がありました。



B「確かに階段を下りて1階に来たはずなのに・・・。」



もういちど階段を下りました。

しかし廊下を見ると赤い花がかざってあり,

下を見ると階段が続いています・・・。



B「何よこれ!?どうなっているのー!?」



その後,何がどうやって出られた

のかは定かではありませんが,

女性Bは何とか逃げだせたそうです。



ただ,残りの3人は未だに見つかってはいないそうです。



また,その後,女性Bも何かに取りつかれた

ように様子がおかしくなり,ついには自殺

してしまったということです。



稲川「いったい,この廃墟はなんだったんでしょうね。

そして,行方不明になってしまった3人は

どこへ行ってしまったんでしょうか。」



教室の中は泣き叫ぶ児童で阿鼻叫喚でした。



「(・・・。この話って・・・。)」



リク君は話を聞きながら何か気になることがあったようでした。



稲川「それではまだまだ始まったばかり

の夏休み!十分に楽しんでくださいね!」



真夏の怪談噺・・・。



それは稲川先生の生きがいでした。

たまにはひんやりする夏もいいのかもしれません・・・。