第265話 陣取りヴィート対決 前編



少年昆虫団が緑地公園のグラウンドでサッカーを

していると,どこかで見た連中がやってきました。



「あ,スナ君たちがやってきたよ!」



まさらちゃんがスナぴょん団に手を振りました。



スナ「このクソ暑いのにサッカーとは立派だねぇ〜!」



「なんだよ,嫌みを言いに来たのかよ・・・。」

「なんか,久しぶりに彼らを見た気がしますよ・・・。」



みんなは一旦サッカーを中断しました。



すると,スナぴょん団のすぐ後ろに

見慣れない連中がいることに気づきました。



???「おい,そこをどけ!ここは俺たちが使う!」



年はリク君たちよりも一回り上の小学生が5人いました。



スナ「なんだ,お前たちは!?今,

オレたちが少年昆虫団と話してんだよ!」



サラ「スナ君。この人たちは3年生の人たちですよ!」



サラ君がそう言っても,



スナ「だからなんだ!?何か用かよ!?」



と,スナ君は聞く耳を持ちません。



上級生の5人の一人,有明という少年が切り出しました。





<中野木小学校3年生 有明君>



有明「じゃあ,このグラウンドをどちらが

使うかヴィート対決で決めようじゃないか!?」



スナ「いいだろう!」



「いやいや,展開が急すぎでしょう!

いきなり来て何を言い出すんですか!?」




ここで,リク君が,



「いや,ボクたちは別に移動してもいいんだけど・・・。」



と,言いましたがすでに対決モードになっていました。



「まぁ〜た,面倒くさいことになってきた・・・。」



イツキ君はやっぱりあきれ気味でした。



スナ「よし,今回はスナぴょん団と

少年昆虫団で仕方がないから手を組もう。」



「いいね!協力するって素敵!」



まさらちゃんは深く考えていませんでした。



有明「それなら3対3の"先2勝決着"でどうだ?

もちろんそっちは合同チームでかまわんよ。」



なにやら余裕の表情でした。



スナ「それでいいぞ!」



「いやいや,そもそも横から出てきて

何を勝手に決めちゃってるの!?」




リク君の抗議もむなしく,ヴィート対決が

行われることになりました。



「じゃあ,あたしやりたい〜!」



どうやら少年昆虫団からまさらちゃんが参戦するようです。



スナ「じゃあ,こちらからは俺とジャイが出るとしよう。」



ジャイ「任せろ,ジャジャイ!」



ジャイ君はトシ君並の巨体で威嚇しました。



「ジャイが出るのか・・・。オイラと

キャラが被ると嫌だな・・・。」




トシ君が訳のわからない心配をしていました。



いよいよ緑地公園のグラウンドの争いを

めぐったヴィート対決が始まります。








第266話 陣取りヴィート対決 後編



少年昆虫団とスナぴょん団は上級生の有明君達と緑地公園の

使用権をめぐってヴィート対決をすることにしました。



そして協議の結果,このような対戦に決まりました。



先鋒ジャイVS 吉野



中堅まさらVS藤前



大将スナVS有明



先に2勝したチームが勝利となり,緑地公園の

グラウンドを使う権利を得ることができます。



さっそく先鋒戦が始まりました。



ジャイ「ジャジャジャジャジャジャ〜イ!!!!」



ジャイ君の「進撃のジャイ」が発動しました。



吉野「ほんならこっちは,これでいかしてもらうで!!」



吉野君のヴィートが発動します。



吉野「スキヤ,スキヤ,スキヤネン!!」





−牛歩戦術(スキヤマツヤヨシノヤ)−



このヴィートは自分の周辺の空間に流れる

時間を一時的に遅くするようです。



この特殊ヴィートによりジャイ君の

攻撃をしのぎ切ったようです。



吉野「この反撃でとどめや!」



−特盛!敦盛!清盛!(ヘイケモノガタリ)−





大量の矢と熱々の牛肉がジャイ君に

襲い掛かり,ダウンしてしまいました。



ジャイ「ジャジャ〜イ・・・。

まいったジャイ・・・。」



まずは上級生チームの1勝です。

合同チームは後がありません。



中堅 まさらVS 藤前



「まずは,守りをかためる!」



−世界樹(ユグドラシル)−



まさらちゃんのヴィートが発動しました。



藤前「それなら攻めさせてもらうよ!」



−愉快な動物王国(ムツゴロウサン)−





それは,ねばねばした魚がまとわりつくヴィートでした。



「いや〜,気持ちが悪い〜!?」



−神々の黄昏(ラグナロク)−



思わず発動した強力なヴィートが

藤前君を不意打ちしました。



さらに,特殊効果のヴィート,



−慈愛の戦乙女(ハートオブヴァルキリー)−



を発動しました。



この連撃に藤前君はたまらず,ダウンしました。



藤前「ぐふ・・・。」



勝者 まさら



大将戦 スナVS有明



スナ「よ〜し,わくわくしてきたぜ!」



・・・・5分後・・・・



勝者 スナ



「お〜,がんばっていたな。すごい,すごい。」



リク君は棒読みで適当に拍手をしながら褒めました。



スナ「あれ?なんか,おかしくない?」



有明「くそ・・・。負けてしまった・・・。」



有明君は悔しがっていました。



スナ「あれ?何か話が飛んでない?」



「いや,そんなことないですよ。

ちゃんと戦っていましたよ。」


「うんうん。オイラだって今回も

出番少ないんだから文句言うなよ!」




どうやら少年昆虫団とスナぴょん団の

合同チームの勝利となったようです。



有明「しかたない。ここは自由に使え。」



そう言って,彼らは悔しそうにその場を立ち去りました。

すると,後ろから初老の男性が声をかけてきました。



老人「ボウヤ達や,今からここはワシたちがゲートボールで

使うから向こうの遊具で遊んできてくれるかな。」



スナ「はぁぁぁぁ!?聞いてないよ〜!?」



「こんな,クソ暑い中で

ゲートボールをやるなんて元気すぎでしょ!?」


「アホらしい・・・。」



こうしてヴィート対決には勝ちましたが,グラウンドは

使えないまま,その場を立ち去っていくことになりました。








第267話 だぬちゃん再びジャズコンサートへ



今日はだぬちゃんとトシ君の二人で

ジャズが聞けるバーに来ていました。



ここは,菊の幹部である青山氏が開催しているジャズバーでした。



「どうしても,トシ君が聞きたいというから連れてきましたが,

大人なお店ですから礼儀をわきまえてくださいよ!」




二人はバーのカウンターではなく,奥のテーブル席に座っていました。

斜め前に設置された舞台でこの後,ジャズが演奏されることになっています。



「ああ,わかっているよ。一度,本格的なジャズを聴いて

みたかったんだよね。オイラって反戦主義だから牧歌的な歌が好きなんだよね〜。」


「だから,それはジャズじゃなくて,フォークソングですよ・・・!」



しばらく食事を楽しんでいると,会場から拍手が起きました。

舞台に目をやると青山氏が率いる“ブルーマウンテン”のメンバーが立っていました。



最初の演奏が始まりました。



「ああ,この曲好きなんですよねー。有名なアニメ,

『アラ〜キ〜4世のメインテーマ』をジャズにアレンジした曲ですよ。」
(元ネタはこちら



2番目の曲はジャズ界では有名な

「トングトングトング」(元ネタはこちら)でした。







さらに3曲目は「ロンド」(元ネタはこちら)でした。



4曲目は「マイフェイバリットダブルス」(元ネタはこちら)でした。



「どれも最高ですね,トシ君にこの良さがわかりますかね〜!?」

「あたりまえだろ!?とても反戦的な曲でいいに決まっている!」



どうやらあまりわかっていないようです。



最後の曲は「ステレオダブリ」をアレンジした

「ダブリメドレー」(元ネタはこちら)でした。



二人は食事と音楽を楽しんだ後,

舞台裏の楽屋にいる青山さんに挨拶へ行きました。



青山「ああ,君は確かだぬちゃん,後ろの大きい子はトシ君だったかな。

本来なら子供が来るような時間と店じゃないんだが,君たちには関係無いか。

とくにだぬはまた来てくれたのか。大野木署ではゆっくりしゃべれなかったからな。

こうして俺のファンと話ができるのはうれしいよ。」



彼は口に咥えていたタバコを灰皿にギュッと押し付け,火を消してから,

淡々とクールに話す姿をだぬちゃんは尊敬のまなざしで見ていました。



「やっぱり,大人の男っていう感じがしてかっこいいですよね〜。」



後ろにいたトシ君が,



「でも,彼が闇組織JFのスパイかもしれないんだよね?

あんまり馴れ馴れしちゃって大丈夫なの?」


「何を言っているんですか。

彼がスパイのわけないじゃないですか!?

怪しいところなんて何一つないでしょ!」




だぬちゃんは,振り返って小さい声でトシ君に言いました。



その時,青山氏の携帯電話に着信が入りました。



彼は,ちょっと失礼と言って楽屋の奥へ入っていきました。

その会話の内容が扉の向こうから少しだけ漏れてきました。



青山「ああ・・・大丈夫だ・・・それで頼む・・・,

・・・グレイで・・・よろしくな・・・。」



「今,グレイって言わなかった!?

グレイって確か,JFの人間だったよな・・・。」




トシ君もその名前は聞き逃さなかったようです。



「そんな・・・。まさか・・・。」



電話を終えて青山氏が戻ってきました。



青山「やぁ,悪いね。そろそろ本部に戻って別の仕事をする必要がでてきた。

まだ,黄金原達が狙われた件も解決していないからな。」



青山氏はだぬちゃんたちの自宅近くまで送ってくれました。



その間,だぬちゃんの脳裏には先ほどの会話が

気になってずっともやもやしたままでした。



果たして彼は本当に闇組織JFのスパイ,

"闇の騎士(ダークナイト)"なのでしょうか・・・。








第268話 レオンさんの休日



庄外川の河原で修業に励む少年の姿がありました。



その少年の名前はイツキ。



レオンさんの仕事の合間に格闘技の

稽古をつけてもらっていたのです。







「はぁはぁ・・・。」

「よし,少し休憩にしよう。

体に負担をかけすぎるのは良くない。」




レオンさんはペットボトルを取り出し飲み干しました。



「せっかくの休日なのに俺のために

稽古をつけてくれてありがとう。」


「ウキキキ・・・。気にすることはないよ。」



二人は河原に生えている大きな

木の木陰で休憩をとることにしました。



「俺さ,レオンさんに修業してもらって

かなり強くなっている実感があるんだ。」


「うん。もともとイツキ君には格闘技の才能がある。

それにさらに磨きがかかっている感じがするよ。

オイラもやりがいがあってとても楽しいよ。」




イツキ君はレオンさんにそう言ってもらい,とてもうれしくなりました。



30分ほど休憩して,修業を再開することにしました。

時間はもうすぐお昼近くになっていました。



「気温が高くなってきたから,

今日の修業はこれで終わりにしよう。」


「はい。」



実戦形式で組み手を30分ほど行い,午前中の修業は終了しました。



その後,お昼ごはんを食べに行くことにしました。

訪れたお店は「和食の里美」でした。



「ここの和食はなかなか種類も豊富でおいしいんだよね。

食べ放題コースもあるしね。どうする?」


「いや,いつもお金出してもらっているから,

今日は自分で払うよ。この和食ランチでいい。」




イツキ君は遠慮していました。



「ウキキキ。トシ君だったら迷わず,食べ放題コースの

しかもプレミアムを注文していただろうね。遠慮しなくていいよ。」




結局,食べ放題コースは注文せず,レオンさんは

エビ天丼セット,イツキ君はロースかつ丼定食にしました。



お腹いっぱい食べて二人は大満足のようです。



「今日の夜の昆虫採集までは時間があるからどこかへ遊びに行こうか。」

「え?でもレオンさんは久々の休日なんだろ?

家に帰ってゆっくりしたほうがいいよ。

どうせ夜になったらリクの奴にこき使われるんだからさ・・・。」




当然のように毎晩昆虫採集は行われるので,

今のうちにゆっくり休んでおいたほうが得策なのです。



その時,店内からどなり声が聞こえました。

二人はそちらに視線をやりました。



すると,ガラの悪そうな二人組が店で働くバイトの女の子にからんでいました。



チンピラ1「オイオイオイオイオイオイ!ここの店はどうなっているんだよ!?

天丼を頼んだのになんだこのエビのサイズは!?

おれはもっとビッグなエビを期待していたんだぞ!?」



バイト「すみません。当店ではそのサイズでのみ提供しておりまして・・・。」



女の子は平謝りしていました。



チンピラ2「言い訳はいいんだよ!おい,責任者を

出しな!こんなもんに金なんて払えねぇからな!」



店長と名乗る男が奥から出て行きましたが事態は収まる気配はありません。



チンピラ1「俺はまだ納得いかねぇな!なんか

誠意を見せてもらわないと。わかる?誠意!」



チンピラが店長の胸ぐらをつかもうとした時,

レオンさんの手がそれを制止しました。



チンピラ1「なんだ,てめぇ!?」



「見苦しいことこの上ない。こんだけ散々食っておいて文句を言うとは何事だよ。

おとなしくお金を置いて店を去れ。そうすれば,オイラの顔に免じて許してやる。」




チンピラ二人組はさらに頭に血が上ってきたようで,怒り狂っています。



「おい,おっさんたち。レオンさんがこう言って

くれている間に店から出たほうがいいよ。

それに,これ以上騒ぐなら俺も黙っていない。」




チンピラ2「なんだ,このガキは!?ガキがでしゃばってんじゃねぇよ!?」



チンピラは怒りにまかせてイツキ君の頭を貼り倒そうとしました。



しかし,イツキ君はその手を素早くかわして,相手の脛(すね)に蹴りを1発入れ,

前かがみになったところを拘束パンチを連続で鳩尾(みぞおち)にいれました。



イツキ君に絡んできたチンピラはその場に倒れこんでしまいました。



「(よし,俺は確かに強くなっている!)」



チンピラ1「おいおい,ナニ,ガキにやられてんだよ!」



「これ以上,騒ぐなら本当に容赦しない。」



レオンさんの睨みにビビったのか,チンピラは倒れた

もう一人を抱えて店からすごすごと逃げて行きました。



当然お金は支払っていきました。



イツキ君とレオンさんは店員にお礼を言われ,お店を後にしました。



「じゃあ,夕方までどこかに遊びに行ってから夜の昆虫採集に備えよう!」

「ああ,そうだな。夏休みはまだまだ長いしな。」



二人は車でどこかへ遊びに行きました。

これがレオンさんの休日のある1日の出来事でした。