第273話 バトルヤバイヤロ3限目 5

ワクのわくわく冒険記シリーズ



*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。




田村氏以外の全員が実験棟の入り口まで降りてきました。



途中でいくつかカギがかかって開いていない部屋や

100人は収容できる講堂なども確認しましたが,

丹念に調べている暇はありませんでした。



唯一発見できたのは,実験室の奥に置かれていた宝箱でした。



トシ君が恐る恐る中を開けてみると,双眼鏡が入っていました。





その双眼鏡で実験棟の入り口から遠く離れた

校舎前の牢屋をのぞいてみると,確かに田村氏が収容されていました。



「本当にワープしたんだ・・・。」



白馬「信じられないな・・・。でもこれが現実で

そういうゲームってことなんだな・・・。」



みんなは,この世界はどこか現実世界とは

何かが違うようだと感じていました。



「あ・・・。」



ワク君が思わず声を上げたので,

みんなはワク君に注目しました。



アヤネ「どうしたんだい?」



ワク君は双眼鏡を覗きながら,



「田村さんが・・・。牢屋の中で・・・

頭を吹き飛ばされて・・・処刑された・・・。」




と言いました。



真木「なんだって!?」



すると,どこからかスピーカ越しの声が聞こえてきました。



放送「開始から10分がたったよ!処刑されたのは二人!

残りは30人だよ!みんな,がんばれ!先生は応援しているぞ!

でも,鬼がさらに3人増えるから気をつけるんだぞ!」



「くそ・・・。」



ワク君は持っていた双眼鏡を降ろしました。

ヒモがついていたので首にかけておくことにしました。



山岡「田村さん以外にも捕まった人が

いたんだねぇ・・・。なんてこったい・・・。」



実験棟の目の前は高い木や草木が茂っており,

校舎からは直接,鬼にみられることはなさそうでした。



青山「もとはといえば,こんなところに

逃げてきたから田村は死んだんじゃないのか!?」



青山氏がワク君を睨みつけました。



「俺のせいだっていいたいのか?

そいつは的外れな見解だぞ。」




ワク君はひるむことなく言い返しました。



リサ「そうねぇ,アタシもそう思う。

ここに来たのは間違いじゃないでしょ〜。」



リサちゃんがワク君の肩を持ちました。



青山「ふんっ。やってられるか!こんなガキどもが

仕切るようなグループにいたら命がいくつあっても足りねぇ!」



山岡「まぁまぁ・・・。青山さん,落ち着いて・・・。」



山岡さんがなだめます。



アヤネ「じゃあ,こういうのはどう?

ここで二手に別れて逃げるっていうのは!」



青山「そうだな。それがいい。

俺は俺の隠れたい場所へ行く。」



青山氏がそう切り出しました。



アヤネ「あ,じゃあ,アタシは青山君についていくね!

だってボクシングやってたんでしょ!?

それなら鬼だって返り討ちにしてくれるじゃん!」



青山「おう,任せろ!少なくとも

そんなガキどもよりかは役に立つぜ!」



ワク君は何も反論しませんでした。



白馬「ちょっと待って,僕もついていくよ。アヤネさんが心配だ。」



結局,主婦の山岡さんも青山氏についていくとになりました。



「ワク君,いいの?あんな,勝手なことをさせて・・・。」

「まぁ,仕方ないだろう。」



その時です。茂みがごそごそと動きました。

果たしてそれは・・・。








第274話 バトルヤバイヤロ3限目 6

ワクのわくわく冒険記シリーズ



*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。




実験棟の目の前にある,茂みがごそごそと動きました。



次の瞬間,その茂みから鬼が2匹も

飛び出してきたのです。



頭には2本の角が生えていました。



白馬「おっ鬼だ!?鬼が来たぞ!!」

アヤネ「きゃぁぁ・・・!!」



アヤネは思わず白馬氏に抱きつきました。



白馬「アヤネちゃん!?大丈夫だよ,

君は僕が守って見せる!」



アヤネは抱きつきながらニヤッと笑いました。

その様子をワク君は見逃しませんでした。



「とにかく,逃げよう!」



1匹の鬼はワク君たちを追いかけてきました。

もう1匹は青山氏のグループをターゲットにしたようです。



ワク君たちを追いかけてきた鬼は

みるみるうちにその距離を縮めます。



とっさに,真木さんが体を前に出し,

ワク君たちを守ろうとしました。



真木「君たちだけでもなんとか逃げるんだ!僕のことはいいから!!」



鬼は真木さんの背中を3回たたきました。

そして,鬼と真木さんはその場から一瞬で姿を消しました。



「そんな・・・。真木さん・・・。」



優香「ああ,なんてこと・・・。」



優香さんも悲しみに暮れています。



「くそっ!!真木さんに

身代わりになってもらうなんて・・・。」




しかし,ワク君達には悔やんでいる時間はありません。



「誰か,今の時間がわかる人っている!?」



優香「あ,わかります。今は・・・

ゲーム開始から12分経過しています。」





<優香>

「あと,8分か・・・。急いで鬼を倒して牢屋のカギを

探し出そう。その前に,行くときに見かけた,器具庫によらせてほしい。」




リサちゃんが,



リサ「そんなところによってどうするのー?」



と聞きました。



「あ,そっか。サッカーボールだね。」

「ああ,それさえあれば,某名探偵並みに

強い威力のシュートを鬼にお見舞い出来る!」




ワク君たちは周辺に気を配りながら,実験棟から200m

離れたところにある平屋の建物までやってきました。



その一角に,器具庫とプレートに

書かれたスペースがありました。



中からサッカーボールを見つけると,

持ち運び用のネットに入れて方に背負いました。



「これで,よし。」



喜びもつかの間,ワク君たちは近くに

いた鬼に見つかってしまいました。



宮川「ワク君,鬼が・・・鬼が・・きます!!」



宮川氏は完全におびえていました。



「ちょうどいい。こいつでもくらいな!!」



ワク君が思いっきり,ボールを蹴ると見たことも

ないような速さで回転しながら飛んでいきました。



ドゴォォォ!!!



ボールは鬼のみぞおちに決まりました。

鬼は泡を吹いて倒れました。



すると不思議なことに,鬼の体は消えていきました。

地面には牢屋のものと思われる古臭い感じの

真ちゅうでできたカギが落ちていました。



「ホントに鍵が出てきた!」



リサ「へぇ〜。本当にサッカーボールで鬼を倒しちゃった。

頭がいいだけじゃなく,腕もたつんだね〜。

ますます好きになっちゃったよ。」



ワク君はリサちゃんの冗談なのか

本気なのかわからないその発言に少し戸惑っていました。



宮川「助かった・・・。本当に,

死ぬかと思ったよ・・・。」



宮川氏は腰を抜かして震えていました。








第275話 バトルヤバイヤロ3限目 7

ワクのわくわく冒険記シリーズ



*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。




ワク君たちのグループとは別行動をとることにした,

青山氏たちのグループも鬼に追われていました。



何mか走った後,青山氏が立ち止まりました。



青山「にげてばかりいても仕方ない!

こっちから鬼を倒してやる!」



運動場の片隅に避難していた,女子高生のアヤネとIT社長の白馬,

主婦の山岡さんはその様子をかたずをのんで見守っていました。



アヤネ「青山君,がんばって〜!鬼をやっつけて!」



青山氏は間合いに気をつけながら,

ファイティングポーズをとりました。



青山「さぁ,どこからでもかかってきな!」



退治する鬼は角が2本ありました。



全身真っ黒なタイツをはいているような肌で,

顔には目もなく,のっぺらぼうなようなもので,

当然,表情もなく,とても生き物とは思えない存在でした。



鬼は少しずつ近づいてきます。



どうやら,捕獲モードから対戦モードへ切り替えたようです。



青山「俺の殺人パンチで死ねやぁぁぁぁ!!!」



青山氏が強力な右ストレートを

鬼の顔面にぶつけました。



しかし,鬼はびくともせず,青山氏の動きをまねて,

右ストレートをくり出しました。



ボムッ!!!



鬼のパンチはその威力は尋常ではなく,

直撃した彼の顔面は破壊され,

脳や目玉があたりに飛び散りました。



アヤネ「いやぁぁぁぁ!!!!」



アヤネ氏が思わず声をあげました。



鬼はその場から消えました。



どうやら対戦が終わると勝っても負けても

その場から消える仕組みのようでした。



アヤネ「ちょっと・・・!?

なんで簡単に死んじゃってんのよ!?

青山君にせっかくついてきたのに

やられてんじゃないわよ!

どこが,元ボクサーなのよ!くそったれ!」



頭部を破壊された死体の前で

アヤネちゃんはわめき散らしています。



以前のアヤネちゃんとは思えないような

セリフに白馬氏は少し戸惑っていました。



しかし,目の前で人が残酷な死に方をしてしまい,

動揺しているんだと思うようにしました。



白馬「アヤネちゃん。大丈夫だよ,

必ず僕が君を守るよ。だから,安心して。」



白馬氏は優しい声でアヤネちゃんに寄り添いました。



山岡「おーおー。若いっていうのは

いいねぇ。青春だねぇ・・・。」



場面は再びワク君のグループ・・・。



ワク君は鬼を倒した直後,

後ろから別の気配を感じました。



振り向くと,自分たちと同じ逃亡者のグループでした。



「あんた達も鬼におわれていたのか?」



ワク君が聞きました。



グループは男が2人,女が2人の4人で構成されており,

それぞれ,雄太,黒山,メイ,サエと名乗りました。



黒山は20代前半,雄太はまだ中学生くらいの少年でした。

メイとサエは幼馴染で小学4年生でした。



黒山「ええ,先ほどまで鬼に追われていました。

しかし,鬼をやっつけることができるなんてすごいね!

俺たちもさっきまで鬼に追われていて仲間が一人捕まってしまったんだよ。」



「そうなんだ。オイラたちと同じだね。

だから今からその仲間を助けに行くんだよ。」




トシ君が状況を説明しました。



雄太「それなら,俺たちも一緒に連れて行って

もらえませんか?俺たちも仲間を助けたいんです。」



宮川「そうですね,それがいい。そちらのリーダーは,

えっと・・・黒山君でよかったのかな?」



黒山氏は首を横に振り,



黒山「彼が,このグループのリーダーだ。」



と言って,雄太の肩に手をやりました。





<雄太>

雄太「あ,えっと,一応そういうことに

なっていますけど,全然何もできていないんで・・・。」

メイ「何,言ってんのよ!雄太お兄ちゃんが

いなかったら,今頃,私たちは全滅していたよ!」



メイという可愛らしい女の子が言いました。



サエ「そうだよ!このグループの

リーダーはゆう兄しかいないよ!」



もう一人の女の子も同様に雄太君の

ことをほめちぎりました。



黒山「年長の自分が情けないっていうのも

あるんですが,雄太君には本当に助かっています。」



黒山氏は苦笑いしながらそう言いました。



このメンバーたちと仲間が捕まっている牢屋を目指すことになりました。








第276話 バトルヤバイヤロ3限目 8

ワクのわくわく冒険記シリーズ



*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。




つい先ほど,仲間を同じように捕らえられてしまった

雄太,黒山,メイ,サエの4人グループと合流しました。



彼らとともに牢屋を目指します。



次の処刑まで,残された時間はあと5分ほどです。



ワク君たちはなるべく運動場の隅を通りながら,

少しずつ校舎前に設置された牢屋へ近づいていました。



牢屋の大きさは,教室1つ分ほどの広さで,

天井には例の殺人ビームが目を光らせていました。



牢屋から100mほどまで近づいたところで,

花壇の裏に隠れ,様子を伺うことにしました。



鬼はカギのかかった入り口に一体,

その周辺を警備している鬼が2体いました。



リサ「全部で鬼は3体かー・・・。ワク君,

どうやって真木さんを助けるつもり?」



ワク君は目をつぶって何かを考えています。



黒山「みんなでわざと捕まりに行って,鬼が一時的に

姿を消した隙に鍵を開けるっていうのはどう?」



<黒山>

優香「なるほど。それは名案かもしれませんわね。」



その時,別のグループが牢屋に近づいていくのが見えました。

どうやら黒山氏と同じアイデアを実行しようとしているようです。



3人が牢屋に近づき,鬼が彼らを発見しました。



サエ「これってチャンスなんじゃない?

あの人たちに便乗してアタシたちも行きましょ!」



しかし,雄太がもう少し様子を

見ようといい,ワク君もそれに同意しました。



鬼はさきほどの3人にものすごい速度近づくと,

有無を言わさず,彼らの頭をかみ砕きました。



鬼には口がないと思われていましたが,

実は強力な牙を持った大きな口を隠していたのです。



3人はあっという間に絶命し,鍵を持っていた

残りの一人はその場から死に物狂いで去っていきました。



「牢屋に近づくものは容赦なく殺しに来るのか・・・。」



リサ「あぶなー・・・。もし今の作戦を実行していたら,

死んでたのはアタシたちだったねー・・・。」



リサちゃんは胸をなでおろしました。



残酷なシーンを見ても

特に気にしていない様子でした。



小学生のサエとメイはさすがにショックを受けて

いるらしく,震えながら雄太に身を寄せていました。



「優香さん,次の処刑までの

残り時間はわかりますか?」




優香「はい,わかります。あと3分と20秒です。」



優香さんが時計を見ながら答えました。



「トシ,お前ならあの鬼を食い止めることくらいできるよな?」

「ええ!?ああ・・・。おお・・・,やってやんよ!?」



少し動揺しながらもやれるといいました。



「手前の鬼を1体だけでいいから止めてくれ。

もう1体はボールで俺がやっつける。

手元に戻ったボールでさらに奥の扉の前の鬼をやる。

救出した後に,足止めした鬼をやっつけてやる。」




宮川「いくらなんでもそれは無茶では・・・。」



宮川氏が怪訝な顔をしました。



「こいつはな,頭は空っぽだが,

体力と運だけはある。こいつに任せておけば大丈夫だ。」




ワク君はトシ君のことを少しずつ

認めるようになってきました。



雄太「まってくれ,俺も足止めに参加

させてほしい。少しでも役に立ちたいんだ。」



「でも大丈夫なの?何が起きても責任はとれないよ?」



ワク君は少し心配をしましたが,止めても無駄だと

感じたのか,それ以上何も言いませんでした。



残り時間は1分を切っていました。



「行くぞー!」



3人は隠れていた花壇の裏から

勢いよく飛び出して敷きました。



鬼はその声を聞き逃しませんでした。



手前の2体がものすごい速さで

ワク君たちに向かってきました。



果たして救出作戦は成功するのでしょうか。