第277話 新しいポイントを発見しよう



*ワクのわくわく冒険記は今秋〜冬に連載再開予定です。今週よりリクの少年昆虫記を掲載致します。





*このイラストは本編とは関係ありません



少年昆虫団はいつもの緑地公園に来ていました。



時間は夜の8時過ぎです。



レオンさんは仕事が忙しいようで来ていませんでした。



「なんか,今日はいつもにまして,やる気がでんなー・・・。」



イツキ君が公園前のトイレでぶつぶつと呟いていました。



「フーッ,すっきり」

「やぁ,お待たせ。さぁ行こうか。」



リク君とトシ君がトイレからでてきました。



「今日はどこのポイントへ行くの?

リク君が最初にカブクワを採集したあの樹?」




まさらちゃんが聞きました。



「いや,今日は新しいポイントを開拓しようと思う。」

「そうはいっても,この公園はすでに

開拓しきっているんじゃないですか?」




だぬちゃんがもっともなことを言いました。



この緑地公園はリク君がもっと小さいころから通っているので

どの樹にカブクワが集まるかはほぼ把握しているのです。



「じゃあ,あまり意味ないねー。帰ろー!

オイラはなんか色々と死にそうな目にあったりして疲れているんだよね。」


「何を意味不明なことを言っているんですか。

まるで別の世界でデスゲームでもやってきたようないいぶりですね。」




言い得て妙でしたがトシ君は何も言い返しませんでした。



とりあえず,公園内のハイキングコースを

道沿いに歩いてみることにしました。



数十メートルおきに設置してある街灯もチェックします。

カブクワは明るい光に集まる習性があるからです。



この習性を利用した灯下採集という採集方法もあります。



「なんか,蛾ばっかりだねー・・・。」

「そうだね。でもこのオオミズアオは結構人気のある蛾なんだよ。」



それは薄いグリーンがかかった羽をもつ大きな蛾でした。



「いやぁ・・・無理だなー・・・。

これは蛾だよ・・・。無理だ・・・。」




トシ君は蛾を触ることはとてもできないようでした。



「まぁ,確かに綺麗といえば綺麗ですけどねー・・・。」



さらに,奥まで歩き続けます。



時々,カブクワが好きなクヌギやコナラの木を

見つけますが,なかなかカブクワは見つかりません。



やはり樹液が出ていないと集まってこないようです。



「まぁ,このあたりはちょっと前にも見に来たもんな。

でも樹液は出てなかったし,いなくても仕方ないか。」




緑地公園内には大きな池があります。



その池までやってきました。



「池まで来たんですね。ここにはカブクワはいませんね。」

「でも,ホタルならいるかな?」



まさらちゃんはまたホタルが見たいようです。



「うーん・・・。ホタルはきれいな

水がないと存在できないからね。この汚い池では無理だ・・・。」




まさらちゃんはそれを聞いてちょっと残念そうにしていました。

結局,新しい採集ポイントは発見できませんでした。



そこで,リク君が“0(ゼロ)ポイント”と

呼んでいるクヌギの木に行くことにしました。



「お,いるいるー!メスが2匹にオスも3匹,

あ,上の方にももう1匹オスがいるよー!」




リク君のテンションがあがってきました。



「最初からここに来ればよかったな,ってハナシだな。」

「いやいや,色々なところを探しながら

歩きまわるのが昆虫採集の醍醐味の一つだよ!」




どこか一つはカブクワが集まる樹を見つけておくと

イザという時に役に立つというお話でした。








第278話 お店に貢献!?ランキングポスターを作ろう!<前編>



伊藤店長が経営するカブクワキングは

カブクワ専門の昆虫ショップです。



アルバイトの女子大生まりんちゃんとイケメンの

灰庭さんが店のお手伝いをしています。



少年昆虫団はこのカブクワキングへ遊びに来ていました。



店長「遊びに来るのはいいんだけどよ〜,なんか買っていってくれよ!」







「いや〜,ちょっと手持ちが少なくてさ・・・。」



リク君は申し訳なさそうに照れ笑いをしていました。



灰庭「やぁ,みんな。あれ,今日はあのレオンさんって人は一緒じゃないんだね。」







「うん,そうなの。

誘ったんだけど大学のゼミが忙しいみたいで・・・。」




まさらちゃんは灰庭さんとお話をする時は

常に嬉しそうにしています。



「(まぁ,ぶっちゃけ大学院は身分を隠す

ためだから研究はカモフラージュで組織への捜査で忙しいんだろうな。

“菊”の人たちも色々と大変そうだし・・・。)」




まりん「でも,せっかく来てくれたんだからゆっくりと見ていってね!」



まりんちゃんが店の奥からやってきました。



「いや〜,あんまりゆっくり

みたいもんじゃないなぁ・・・。」




まりん「トシ君は相変わらず虫が苦手なんだね。」



そう言ってフフッと笑う笑顔が素敵でした。



「よし,何もしないで帰るのも

申し訳ないんで,店の売り上げに貢献するよ!」




店長「お!?なんか買ってくれるのかい!?」



店長の表情が明るくなりました。



「だから,お金が無いっていってるじゃない!

僕が買うんじゃなくて他の人がカブクワについてもっと

興味を持ってもらえるようにランキング形式のポスターを作ってあげるよ!」




まりん「なるほど!それをお店に貼っておけばいいのね!」



その様子を灰庭さんは笑顔で見ていました。



「なんか,楽しそうですね。どんなランキングにするんですか?」

「今回は世界の美しいクワガタランキングにしてみよう!」



リク君はさっそくデジカメで店内のクワガタの写真を撮影し,現像しました。

その写真を元にあっという間にランキングポスターを作り上げてしまいました。



「できたー!じゃあ,発表するよー!」



リク君はとても満足げな顔をしていました。

イツキ君は半分呆れた顔でその様子を眺めていました。



「第5位!タランドゥスツヤオオクワガタ!

このツヤとカッコよさは素晴らしい!」








このタランドゥスツヤオオクワガタは

アフリカに住む最大のクワガタとされています。



体長は大きいもので90ミリ越えの個体も存在するそうです。

カブクワキングでも仕入れていますが,結構なお値段がします。



「えっと・・・。ちなみにどんな基準で選んでいるの?」



と,トシ君が聞きました。



「それはもちろん僕の独断と偏見によって

決めています!美しさだけではなくカッコよさも大事!」




続いて4位以下の発表です。



「4位はキンイロクワガタ!パプワキンイロクワガタと言って,

メスのほうが光沢が強く,色のバリエーションも多いのが特徴だよ!

さぁ,次はいよいよ3位以下の発表だ!」






「なんか,楽しくなってきたかも!」



まさらちゃんがちょっとウキウキしています。



果たして上位3種類はどんなクワガタが選ばれるんでしょうか。






第279話 お店に貢献!?ランキングポスターを作ろう!<後編>



リク君はカブクワキングのお店に貢献するために,クワガタムシの

ランキングポスターを作ってあげることにしました。



ここまで,5位はタランドゥスツヤオオクワガタ,

4位はパプワキンイロクワガタでした。



いよいよ,3位の発表です。



「3位はニジイロクワガタ!」





「えー,てっきりニジイロクワガタが

1位だと思っていたよー!」




まさらちゃんもだいぶクワガタの

ことに詳しくなっていました。



「ニジイロはどうしてもカッコよさがねー・・・。

まぁ,あくまで僕の個人的な視点なので・・・。」




そして2位は・・・。



「2位は,メタリフェルホソアカクワガタ!

とにかくでかくて美しい!」








「なんか有名なクワガタが

結構出てしまって,一位は想像がつきませんね・・・。」




栄えある1位は・・・。



「1位は・・・・!これだー!」



それは・・・。



「国産オオクワガター!」





「えー!?」



一同は大きな疑問を投げかけました。



「やっぱり,この漆黒のツヤ,大きさ,

スタイル,どれをとっても世界のクワガタに引けを

取らない最高に美しいクワガタと思うよ!」




店長「う〜む,言われてみれば・・・。そうかもしれん・・・。」



伊藤店長は少し考えこみながらも納得したみたいです。



灰庭「なるほど!さすがはリク君だ!」



灰庭さんが拍手をしながらリク君に近づいてきました。



「え?灰庭さん,どういうことですか?」



まさらちゃんはすかさず灰庭さんの

近くまでやってきて,そう聞きました。



灰庭「店の売り上げをあげるには,昨日大量に仕入れた国産オオクワが売れればいい。

だから君はあえてランキングポスターの1位に国産オオクワを使い,

店の売り上げに貢献しようとしてくれたんだろ。」



「なははは,嫌だな〜!そんなわけないでしょ!

本当に僕は国産オオクワが一番,美しいと思っているだけだよ!」




伊藤店長はそのさっそくそのポスターを店の前に掲示しました。



店長「まぁ,俺としては売れてくれればなんでもいいさ!

ありがとうな,リク君!じゃあ,ケントは奥で仕事を続けてくれ!」

店長に言われ,灰庭さんは奥に入っていきました。



「・・・。」



イツキ君がリク君の近くにやってきました。



「なぁ,あの灰庭さんが“闇組織JF”の

幹部である“グレイ”だと思うか?」


「わからない。でも,僕の考えをあっさりと見破いてきた。

昆虫に詳しいだけじゃなく,かなりのキレ者なのは確かだと思う。」




二人が真剣に悩んでいると,



「どうしたの?伊藤店長がお礼に

アイスをくれるみたいだから,奥の部屋で食べようよ!」




と,トシ君が話しかけてきたので,



「わかった,わかった。今,大事な話を

しているんだ。後で行くから先に食べてなよ。」




イツキ君はトシ君を適当にあしらうと,話を続けました。

トシ君はブツクサいいながら奥に入っていきました。



「もう少し,様子をみるしかないか・・・。

この後,レオンさんに会う予定もあるし,

レオンさんの考えも聞いてみるよ。」


「そうだね。」



ちなみに,このポスター掲示後,オオクワやランキング上位の

クワガタが爆売れし,店の売り上げに大きく貢献できたそうです。



第280話 新・昆虫クイズ対決!<前編>



少年昆虫団とスナぴょん団が中野木図書館の

フリースペースで対峙していました。



スナぴょん団とはリク君たちのライバルで,リーダーのスナ君,

沈着冷静なサラ君,紅一点のオジョーちゃん,トシ君以上にデカイ体のジャイ君,

おとぼけ役のタコ君の5人から成り立っています。







少なくとも彼らは少年昆虫団の

ことをライバルだと思っています。



なので,町のどこかで出会えば必ずと

言っていいほど,勝負を持ちかけます。



今回は,ヴィートという妄想対決ではなく,

昆虫に関するクイズで勝負をするようです。



フリースペースに置かれた机に

お互いが向き合って座っていました。



スナ「さて,今日も俺たちが勝たせてもらうぜ。」



「ああ,どうぞ,どうぞ・・・。」



いつものようにすでにやる気がありませんでした。



「そんなにむげに扱うとかわいそうですよ。」



だぬちゃんがそっとフォローしました。



以前,クイズ対決はやっているのであまり新鮮味もなく,

少年昆虫団は無理やり付き合わされた対決にうんざりとしてました。



サラ「では,ルールを説明させていただきます。以前はお互いにクイズを出し合っていましたが,

今回はこの昆虫クイズ完全大百科という本から出題することにしましょう。

出題者は目をつぶって本を開き,そのページに書かれた問題を読みます。」



「なるほど。それなら昆虫に詳しくない

俺でも難しい問題を出せるかもしれないな。」




サラ「そういうことです。さらにこの本には

難易度も書かれています。難易度によって

得られるポイントが変わります。」



サラ君の説明を要約すると,各チーム一人ずつ交互にクイズ本から問題を出す。

解答は30秒以内に答えなければ不正解となる。



また,解答権は一度だけで,いい直しもできない。

正解するとポイントが解答者チームに入る。



ポイントは難易度低が1点,難易度中が3点,難易度高が5点となる。

最後の5人目が終わった時点で累計のポイントが多いチームが勝ちとなる。



ただし,問題を出題する前に難易度を発表しなければならない。



そして,問題の難易度が気にいらなければ

一度だけ問題を変えることができる。



問題発表後の変更はできない。



対決は以下のようになりました。



まさらVS サラ

トシ VS オジョー

だぬ VS ジャイ

イツキ VS タコ

リクVS スナ



一回戦 まさら VS サラ



「よし,わたしから問題を出すよ!」



まさらちゃんは目をつぶって本の

ページをパラパラとめくり,指を止めました。



「えっと・・・。難易度は中だよ。変更する?」



サラ「いえ,結構。そのまま問題をお願いします。」



サラ君は問題の変更を行いませんでした。



「どんな問題が出るんだろ・・・。」

「問題,日本最大の甲虫の名前はなんでしょう。」



まさらちゃんが問題を読むや否や,



サラ「ヤンバルテナガコガネ!」







と,即答しました。



「正解・・・!」



スナぴょん団に3点が入りました。

続いて,サラ君が問題を出します。難易度は低です。



サラ「トンボの成虫は主に何を食べでしょうか。」



「えっと,たしかリク君に聞いたことがあるよ。

他の昆虫でしょ!蚊みたいな小さな虫!」




まさらちゃんも正解し,

1点を獲得しました。



次は2回戦です。