第301話 真夏のサンタクロース5



前回のお話はこちらから



湖から這い上がってきた青年はあの三田クリスでした。



しかし,彼の顔にはすでに生気はなく

この世の者ではありませんでした。



彼は大きく叫びました。



クリス「ぐおおおおおっ!!」



湖の近くにはキャンプファイヤーを行った跡がありました。



そこには薪を作るために使った鉈(なた)が

置きっぱなしになっていました。





彼はそれを拾うと一歩ずつゆっくりと彼らが

眠っているキャンプ場へ向かっていきました。



そして恐れていたことが現実となります。



まずは一番手前に立っていたコテージの入り口を

鉈で壊し,中で寝ていた男女4人を殺害しました。



一人の男性は異変に気付いて逃げようとしましたが,

あえなく首をちょん切られてしまいました。



次に,奥のコテージで寝ていた男女

6人を同じように殺害していきます。



抵抗を試みた男性も手首を切り落とされ,

わめいていたところを刺され死亡。



必死に命乞いをする女性を切り刻んで惨殺。



こうしてクリスと同じサークルだった

連中は全て皆殺しにされてしまいました。



翌日,近くを散歩している人が異変に気付き,

キャンプ場を覗くとあまりの凄惨な

状況に倒れこんでしまいました。



すぐに警察が駆け付け行方不明になった

三田クリスに緊急配備を敷き,捜索を

続けましたがついに見つけることはできませんでした。



この愛知県東部キャンプ場連続殺人事件から30年・・・。



この恐怖の連続殺人が再び幕開けとなる・・・。



舞台は,中野木町。



先ほどの事件を調べてきたのはだぬちゃんでした。



「やはり,ランニング中に殺された男性は

その三田クリスっていうやつが犯人ですよ!」


「しかしなぁ,もう30年も前のことなんだろ。

当時20歳だとしてももう50歳。

そんな猟奇殺人をやるだけの気力があるのかね。」




昨日,殺害された現場近くの公園で

イツキ君とだぬちゃんが会話をしていました。



先ほど,彼らは真夏のサンタと思われる人物に襲われたばかりでした。(第216話参照)

そこで,その正体をあれこれと推理することにしていました。



残りの3人は近くのコンビニで飲み物を買いに行っていました。



「いやいや,彼はもうとっくの昔に死んでいるんですよ。

肉体だけがこの世に残り,いじめられた恨みを

晴らすために無差別殺人を繰り返しているんですよ!」


「だぬ〜,お前はなんかB級ホラー映画の見すぎだよ。

そんなことは現実にはあり得ない話だ。」




飲み物を買いに行っていた3人が戻ってきました。



時刻はすでに夕方の6時過ぎ。



まだまだ明るい季節ですが,現場周辺は

木々が多く,夕日を遮り暗く感じました。



「まだ昨日殺された人の話をしてたの?

確かまだ犯人は捕まっていないらしいね。」


「怖い・・・。」



まさらちゃんは少し震えていました。



「たしかだぬちゃんの推理ではすでに死んだ

はずの人が事件を起こしているんだっけ。」


「その通りですよ。犯人はその三田クリス。

巷では真夏のサンタクロースと呼ばれています。

なぜそう呼ばれているかは不明ですが・・・。」




だぬちゃんがドヤ顔でトシ君をみました。



「そんな奴が本当にいるなら一度,お目に

かかりたいもんだぜ。来たらぶっ飛ばしてやるけどな。」




イツキ君がシャドーボクシングをして見せました。



「イツキ君,それ死亡フラグが

起つセリフですよ!やばいですって!」




彼らの近くにある公園の茂みがガサッと動きました。

忍び寄る影・・・。その正体は・・・。



*このお話は2020年のクリスマスに続きます。








第302話 バトルヤバイヤロ3限目 9

ワクのわくわく冒険記シリーズ



*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。




牢屋につかまってしまった真木さんを

助けるためにワク君とトシ君,

新しくグループに合流した中学生の雄太の

3人が牢屋に向かって走り出しました。



それに気づいた牢屋を守る2体の鬼が

ものすごい速さで突っ込んできました。



トシ君は腰を下ろし重心を下げました。

そして,相撲取りのような構えを取りました。



「どっからでもこぉい!!」



1体の鬼がトシ君にぶつかりました。

しかし,トシ君はひるむことなく鬼を押し返します。



「うぉぉぉぉぉ!!!」



雄太「俺も手伝います!!」



雄太もトシ君の体を支え,鬼の力に対抗します。

残ったもう1匹の鬼がワク君に近づいてきました。



「悪いが,時間がないんだ。消えてくれ!」



ワク君はサッカーボールを地面に

置くと黄金の左足でシュートしました。



その軌道は弧を描きながら鬼の顔面に直撃しました。



ボッコォオン!!!



鬼はその場に倒れこみました。



鬼「グゥギギ・・・・・。」



「よし,あとは牢屋の前の1体だけだ。」



ワク君はサッカーボールを回収すると

牢屋めがけて走り出しました。



そして,ボールを空中に

高く放ち,自らも飛び上がりました。



「これでもくらえ!!」



見事なオーバーヘッドシュートが鬼にさく裂しました。



先ほどの鬼と同じくその場に倒れこみました。



真木「ワク君・・・。なんでこんな

危険なことをするんだ・・・!?」



「真木さんを助けるために決まっているでしょ。

今カギをあけるから・・・。」




ガチャン・・・。



先ほど拾ったカギを牢屋の鍵穴に

入れると,檻は簡単に開きました。



中から真木さんと雄太君のグループの仲間が出てきました。

出てきたのは雄太君と同じ中学生の女の子でした。



雄太「アンリ!!」



「ぐぬぬぬ!!ワク君,早く

こっちの鬼もなんとかして〜!!」




ワク君はさらにもう1発,サッカーボールを蹴り放ちました。



ドッコ〜ン!!



ワク君のシュート精度は優秀で

確実に鬼の急所に当ててきました。



アンリ「雄太!!」





<アンリ>



アンリと名乗る雄太と同年齢の

少女は雄太に抱きつきました。



サエ「アンリおねえちゃん!

よかった,無事だった!!」



サエとメエも嬉しそうにしています。



「あの,雄太っていう人,すごいな・・・。

何か別次元の力を感じたぞ・・・。」




黒山「よかった,君が捕まった時は

どうなるかと思ったが,無事で何より。」



その時,放送が入りました。



放送「みなさん〜,お知らせがあります〜。

なんと,牢屋から脱獄に成功した生徒が2名います!

おめでとうございます!ご褒美として鬼の数を

脱獄した人数分だけ増やしてあげま〜す!!」



全員の表情が固まりました。



「なんだそれ!?そんなルール聞いてないぞ!!」



放送「とにかく,今から1分後に鬼が2体増えます!

さらに通常ルールとして時間経過でも鬼が増えるので注意してね!」



せっかく真木さんを助けることが

できてもさらなる試練が待っているようでした。








第303話 バトルヤバイヤロ3限目 10

ワクのわくわく冒険記シリーズ

ワク君が先ほど倒した鬼は意識を

取り戻したらしく起き上がってきました。



その様子を確認した瞬間,

みんなは急いで牢屋から離れました。



「なんで,あいつら死んでないの!?」

「多分,鬼の中でもかなり強い部類なんだろう。

牢屋を守る鬼だから当然といえば当然か。」




走りながら会話を続けました。



雄太「ひょっとして鬼の頭に生えている

角の数に関係しているのかも・・・。」

サエ「ゆう兄,どういうこと?」



サエちゃんは足が遅いため,

雄太君におんぶされて逃走しています。



ちなみにメイちゃんは黒山氏が背負っていました。



メイ「はぁ・・・。あたしもあっちがよかったなぁ・・・。」

黒山「人に背負わせておいて

そりゃないでしょ・・・。メイちゃん・・・。」



黒山氏はちょっとへこんでいました。



雄太「真木さんやアンリを襲った鬼には2本の角が生えていた。

そしてワク君のボールでやっつけることができた。

でも牢屋の前にいた鬼には角が3本生えていた。

こちらは倒してもすぐに起き上がってきたんだ。」



「なるほど,同じ強さで蹴ったボールを食らっても

角の数が多い鬼は生き残っているわけか・・・。」




話をつづけながら逃亡をしているうちに,

牢屋からかなり離れた巨大な

アスレチックワールド付近までやってきていました。



宮川「はぁはぁ・・・。ここまでくればさすがに

牢屋の鬼も襲ってこないと思いますが・・・。」



普段は知りなれていないのか息が上がっていました。



すると,向こうから人影が近づいてきました。

運動場の砂が風によって巻き上げられ,よく見えませんでした。



「だれか来る・・・。それも複数いるみたい・・・。」



全員が警戒していると,砂煙の中から

現れたのは見覚えのある人物でした。



「あんたは,確か・・・梶田・・・。」



梶田「これは,これはワク君じゃないか。それに親友のトシ君も。

あとは,最初の教室で僕と同じだった人も

いれば知らない人も一緒にいるみたいだね。」





<梶田>



梶田のグループは全部で4人いました。

途中で何人か捕まってしまったようです。



「この人って確か・・・。」

「ああ,同級生を見殺しにしたサイテー野郎なんだ。」



梶田の後ろに立っていた人物が

ワク君に手を出そうとしました。



梶田「まぁ,待ちたまえ。」



梶田氏はワク君に近づいてきました。



梶田「ところで,君たちはこれからどこへ向かうんだい?」



「そんなこと,俺たちの勝手だろう。」



ワク君は梶田氏を睨みつけました。



梶田「おやおや,どうやら相当恨まれているらしい。

それはともかく,君も興味がないかな?」



「あ?何をだよ。」



後ろで優香さんがそのやりとりを

心配そうに見つめていました。



梶田「この世界の謎について,だよ。

僕はそれを解き明かそうと思っている。」



「この世界の・・・謎・・・だと・・・?」



ワク君はその言葉に反応しました。

果たして梶田氏の言っている意味の真意とは・・・。








第304話 バトルヤバイヤロ3限目 11

ワクのわくわく冒険記シリーズ

さかのぼることゲーム開始直後の出来事・・・。



場面はOLで元レディースの風花は

ワク君たちと合流できず一人でいました。



行く当てもなかったので,とりあえず

ビオトープがある場所へ向かってみることにしました。



するとすぐ目の前にあの郷田が歩いていました。



郷田は後ろに風花が歩いてついてきていることに

気づきましたが特に声をかけることはしませんでした。



風花「あんたもビオトープへ向かうつもりか。」



風花がそう切り出すと,



郷田「ああ。」





<郷田>

と,そっけない返事をしました。



風花「はっきり言ってアタシは

あんたのことが気に入らない。」



郷田は聞く耳を持たず,そのまま歩き続けました。



風花「できたら,ちがう場所へ逃げてくれないか?

行く先が同じなんて反吐がでるよ。」



郷田「俺は俺の行きたいところへ行く。

貴様はあのワクってガキと一緒に逃げればいいだろう。」



ようやく郷田が立ち止まり,振り返ってそういいました。



風花「そうしたいところだったんだけど,はぐれちまったんだよ。」



郷田は再び歩き始めました。



すると突然,風花は何者かに後ろから

口と手を押さえつけられました。



風花「なっ!?」



後ろには二人の若者がいました。



若者1「おい,そこのお前。」



若者の一人が郷田に向かって声をかけました。

郷田が振り向くと,



若者2「この女はあんたの彼女か?

悪いが借りていくぜ。」

風花「何をふざけたことを言ってやがる!」



と,声に出そうとしましたが,

口を押さえられてうまくしゃべれません。



そこで風花は,



風花「おりゃあ!!」



相手の手を取ると見事な一本背負いを決めました。



若者1「ぐわっ・・・!?」



油断した若者はその場に倒れこみました。



若者2「女にやられているんじゃねぇよ!?

これからこいつを使って鬼の身代わりに使うつもりだったのによ。」



それを聞いて風花はさらに激怒しました。



風花「元レディース総長のアタシをなめるなよ!」



風花が回し蹴りを放つと

若者はかろうじてそれをかわしました。



若者2「ふざけやがって!もう勘弁ならねぇ!」



その若者がポケットから折り畳み式の

ナイフを取り出してちらつかせました。



風花「卑怯な男,このクソ野郎!」



その言葉に若者が抑えきれない感情を

ぶつけ,ナイフを彼女に突き立てようとしました。



それを横で見ていた郷田が

若者の腕をつかんで押さえました。



若者2「イテテテ・・・!?」



郷田はつかんだ腕にさらに力をこめます。



若者が反対側の手で郷田に殴りかかろうと

しましたが,返り討ちにあいました。



若者2「ぐふ・・・。」

風花「・・・。助けてくれたのか・・・。ありがとう。」



さすがの風花も自分が刺されそうになり,

少しだけ動揺していました。



郷田「俺はこのままビオトープへいく。

この空間を徹底的に調べ,このふざけた世界の謎を解く。」



風花はやっとの思いで立ち上がりました。



風花「待ってよ。アタシも行くよ。

アンタに借りを作ったままじゃかっこ悪いからね。」

郷田「・・・。」



こうして二人は開始まで残りわずかな

時間でビオトープへ向かいました。