第333話 色々なセミを見つけよう<中編> 





  次は場所を移動して西緑地公園までやってきました。

ここではどんなセミが見つかるのでしょうか。



時間は午前10時になっていました。



「まだクマゼミも鳴いているけど,

そろそろ彼らの時間はおしまいかな。」




クマゼミの抜け殻も見つけました。

体が大きいのですぐにわかります。



「そうなんだ。じゃあこの可愛

らしい声で鳴いているセミは?」




チィィィィィィ・・・。



「これは確かニイニイゼミですよね。結構小さいんですよ。」



イツキ君が桜の木に近づいていきました。



「お,ここで鳴いている奴がそのニイニイゼミじゃないか。

羽の色が木に溶け込んでわかりにくいな。」


「どれどれ。」



リク君は慎重に近づいていきました。



そして手慣れた手つきで

ニイニイゼミを捕まえました。





近くの葉っぱにニイニイゼミの抜け殻も見つけました。





このセミの抜け殻ははぜか

泥まみれになっていることが多いのです。



トシ「よし,色々なセミを捕まえたから今日はもう解散かな!」



トシ君が締めに入ろうとしました。



リク「おいおい。まだまだこれからだよ!

次はちょっと遠いけど岐阜まで行ってみよう!」


トシ「いやいやいや。今から!?どうやって!?」



リク君が緑地公園に隣接する国道を指さしました。



そこには一台の車が止まっていました。

窓が開いて中から灰庭さんの姿が見えました。



助手席にはまりんさんも乗っていました。



灰庭「お待たせー。今日はキングが休みだから

どこへでも連れて行ってあげるよ。」



まりん「せっかくだからあたしも一緒に行くことにしたの。」



まりんさんがリク君たちの昆虫採集に

ついてくるのは珍しいことでした。



「あれ?まりんさん髪型変えたんですね。」



<髪型を変えたまりんちゃん>



まりんさんはそう言われ髪をかき上げる仕草をしてみせました。



「まりんさんが昆虫採集?ははぁん。さては灰庭さん目当てね。

彼ってイケメンさんだからねぇ・・・。気持ちはわかるけど!」




というわけで,先ほど捕まえたセミはいったん逃がし,

みんなは灰庭さんの車に乗り込み,

岐阜県の関市あたりまで行くことにしました。



到着すると,ミーンミーンミーンミーンミーンミーン・・・と

いう鳴き声がけたたましく聞こえてきました。



「この鳴き声がミンミンゼミだね。」



車を止めた場所は,地元の稲荷神社でした。杉が多く,

ミンミンゼミが鳴いていましたが,かなり高い場所にいます。





まりん「これじゃ捕まえるのは難しそうだね・・・。」



「天照を10mくらい伸ばせばいけそうだよな。」



イツキ君がリク君に小声でそう言いました。



「まぁね・・・。でも灰庭さんも見ているし,

あんまりヘタなことはできないよなぁ・・・。」




結局ミンミンゼミを捕まえることはできず,近くの道の駅へ移動し,

ソフトクリームやかき氷などのおやつを食べて休憩をしました。



まりんさんと灰庭さんは木陰の下に

あったベンチに並んで座っていました。



まりん「なんか,夏休みって感じでいいよねぇ!みんな本当に楽しそう。

これも全部,健人さんが連れてきてくれたおかげだよ。」



灰庭「いえいえ,そんなことないですよ。彼らはいつもあんな感じです。」



まさらちゃんとリク君,だぬちゃんは

二人の会話を木の裏から盗み聞きしていました。



イツキ君は道の駅に併設された

温泉へ行ってしまいました。



トシ君はお土産を見ていました。



「これは絶対に恋の予感よ!どうしよう・・・。

あたしの灰庭さんが取られちゃう!」


「いや,別にまさらちゃんのものではないでしょうし,

灰庭さんも子供には興味がないんじゃないですかねー・・・。」




まさらちゃんはだぬちゃんを

思いっきり睨みつけました。



「でも,まりんさんも・・・もし万が一,

灰庭さんがグレイで闇組織JFの一員だとしたら・・・。」


「まぁかなわぬ恋に終わりますよねー・・・。

何せ犯罪者集団なんですから・・・。」


身も蓋もないだぬちゃんの発言が

セミの鳴き声に溶け込んでいきました。








第334話 色々なセミを見つけよう<後編> 





  灰庭さんとまりんさんがベンチに座って

いい雰囲気で会話をしています。



「よし,あの二人が会話に夢中なうちに,

天照の機能を使ってミンミンゼミを捕まえてくるよ。」




言うのが早いか,その場から

あっという間に消えました。



まさらちゃんとだぬちゃんは引き続き,

二人の会話を聞いていました。



まりん「あの,健人さんの通う大学って

どんなところなんです?」



灰庭「無駄に広いですねー・・・。この前,お店に

来ていた小早川さんっていう人とは同じ大学だった

けど,大学で会った事もなかったですしね。」



一方のリク君は捕虫網を10mほど伸ばし

難なくミンミンゼミを捕まえてきました。



「よし,あとは・・・。」



リク君が戻ってくるとまだ

二人は木の裏にいました。



「人の色恋沙汰に首を

突っ込むのが好きだねぇ・・・。」




まりん「あの・・・こんな,子供たちを連れてきている場で

聞くのもおかしいってわかっているんですけど・・・。」



まりんさんは頬を赤らめました。



「きゃぁぁ!!もしかして告白しちゃうのー!?」



灰庭「え?」

まりん「あっあの・・・健人さんってす・・・。」



そこまで言いかけた時,



「うぎゃぁぁぁぁぁ!!」



トシ君が大声を出しながら近づいてきました。



「ハッチ〜!ハッチ先輩〜!ここまじでやべぇって!

どでかい蜂がいるよぉ!灰庭さん,助けてぇ!」




トシ君は灰庭さんに抱きつきました。



灰庭「トシ君,落ち着いて!大丈夫だから。

この時期のハチはこっちからちょっかいを

かけなければ滅多なことで刺してくることはないよ。」



灰庭さんがそう言うとトシ君は落ち着きを取り戻しました。



「くっそー,あのハゲ!いいところ

だったのに,何,雰囲気をぶち壊してんだよ!」




まさらちゃんがブチ切れていました。



「いつものまさらちゃんじゃないですね・・・。」



その後,もうしばらく道の駅で

時間を使い,時刻は夕方の5時になっていました。



カナカナカナカナカナ・・・。



「お,聞こえてきた!この

鳴き声が聴きたかったんだよ!」




灰庭「これはヒグラシだね。」





カナカナカナカナカナ・・・。



夕方の空に響き渡る何とも言えない切ない鳴き声は

聞く人すべてを侘しい気持ちにしてくれます。



「えっと,この後,近くの村で

猟奇的殺人事件が起きるんだよね。」


「いや,それ違うから・・・。」



ヒグラシは採集せずに

鳴き声を聞くだけにしました。



先ほど捕まえたミンミンゼミも逃がしてあげました。



そろそろ帰ろうと車に乗り込もうとした時,



「おい,俺を置いていくな!」



イツキ君が戻ってきました。



「あ,忘れていた・・・。」

「どこに行っていたの?」



まさらちゃんが聞くと,



「温泉だよ,そう言ったじゃないか。」

「まさかお昼からずっと入っていたんですか!」



だぬちゃんが驚きました。



「普通だろ。」

「いや異常ですよ・・・。」



こうして楽しいセミ採集は終わりました。



「もう少し秋に近づいたら

ツクツクボウシも捕りに行こう!」




まだまだ夏休みは終わらないようです。








第335話 天下一ヴィート武道会開幕! 





  中野木小学校の裏にある中野木広場に

50人ほどの小学生が集まっていました。



どうやらこの日は,誰が一番ヴィートが強いのかを

決める非公式の大会を行う日だったのです。



少年昆虫団からはイツキ君,だぬちゃん,

トシ君がエントリーしました。



一方のスナぴょん団はスナ君とサラ君がエントリーしました。



スナ「いや〜,この日を待っていたんだ!

ついに俺様が大活躍する日が来た!」



スナ君が腕を組み高らかに笑いました。



「あ〜,確かに二年ぶりくらいに顔を見た気がしますよ。」



スナ「いやいや,ついこの間,ヴィート対決したばかりだろ。」



スナ君達とはヴィート対決をした直後に

この大会が開かれたようです。



スナ「その時にお前たちの実力を・・・まぁ認めてやって

この大会のことを教えてやったんだ。感謝するんだな。」(第155話参照)





「ああ,そんなことも言ってましたねー・・・。」



もは彼がそんなことを言っていたとは,

みんなの頭の片隅にも残っていませんでした。



「みんな,がんばれよー!まさらちゃんと一緒に

応援するからねー!ついでにスナもまぁがんばれ!」




予選を勝ち,本戦に残ったのは

選ばれた精鋭のヴィート戦士8人です。



残りの小学生は応援に回っています。



負ければ即終了のトーナメント形式で天下一を決めます。



司会は金髪にサングラス,この世界では

右に出る者はいない人物,グラサン=ハンコックさんです。



<司会者 グラサン=ハンコック>



グラサン「さぁいよいよ天下一ヴィート武道会が開幕します!

果たして栄えある優勝を手に入れるのはどの人物かぁぁぁぁ!!」



会場はものすごい盛り上がりです。



ちなみにお昼は炎天下で暑いので

開幕時刻は夕方の6時となっています。



「トーナメントを見ると,一回戦から

トシとスナか・・・。俺がだぬと当たるのは決勝だな。」




<トーナメント表>



「オイラの実力をみせてやるよ!」



トシ君は自信満々です。



「だぬもがんばりますよ!

2回戦でサラ君と当たりますね。」


「みんながんばってね!」



今回,まさらちゃんはエントリーせず,

皆のことをしっかりと応援するつもりでした。



さっそく一回戦第一試合のトシVSスナが始まりました。



スナ「トシ,一回戦から俺様と当たるとは

運が悪いな!踏み台にさせてもらうぞ!!」



「なにをー!!」



−愚王の威厳−



トシ君のヴィートが発動しました。



みるみるうちにトシ君の体が大きくなっていきます。



彼の系統は「肉体」,愚王の威厳(ジョージ・キングリー)は

特殊タイプのヴィートです。



スナ君が同時に繰り出したヴィートは

攻撃タイプのヴィートでした。



スナ「勝負あったな!以前は見せられ

なかったこの技をお見せしてやるよ!!」



−火山灰(ボルカニックアッシュ)−



「うぎゃぁぁぁ・・・・。」



特殊タイプのヴィートは守りタイプに強く

攻撃タイプに弱い特徴を持っています。



彼の系統は「土」でした。



二人の系統間では特に優劣はありませんが,中には系統の

相性によって相手よりも優位に立つこともあるようです。



「一旦防御だ・・・。」



−鉄壁麦酒腹(ビヤダル)−







最高レベルの防御力でスナ君の

攻撃を耐えようとしました。



スナ「お見通しだ!!すでに俺様は

特殊ヴィートを放っている!!」



−幸福の土曜日(ハッピーサタデー)−



「そっそんなばかなぁ・・・。オイラの

数少ない活躍できる場面がぁぁぁ・・・。」




ここで勝負が決まりました。

倒れたまま10カウントされました。



グラサン「トシ君ダウーン!!この勝負はスナ君の勝ちです!!」



「まぁ,がんばったんじゃない・・・。それにしても

スナのやついつも以上に張り切ってるなぁ・・・。」




1回戦第二試合にはイツキ君が登場します。








第336話 天下一ヴィート武道会激突! 





  一回戦第二試合はイツキ君が対戦

相手のオバタ君を圧倒しました。



南極人間(ニンゲン)からの極軸移動(ポールシフト)

のコンボが見事に決まったようです。



一回戦第三試合はソン君VSサラ君です。



ソン君は見た目が猿のようでおもちゃの

しっぽらしきものをお尻から出していました。





<強いやつと戦うとワクワクする変な子供 ソン>



ソン「オラ早く戦いてぇ!ワクワクしてきたぞ!」



サラ「私も楽しみです。いきますよ!」



二人の対決が始まりました。



−名勝三星(メイショウサムソン)−





サラ君が特殊ヴィートを放ちました。



「そう言えばあいつも氷系統だったな。」

「そうだったね。前はイツキ君が勝ったんだよね。」



サラ君のヴィートに対して

ソン君が放ったヴィートは・・・。



−亀破目破(タートルビーム)−





ソン「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



猛烈なレーザービームのような

ものが掌から放たれました。



サラ「ぐあぁぁぁぁぁ。」



同じ攻タイプのヴィートのぶつかり合い

ではより威力の高い方が有利となります。



グラサン「勝負あり!勝者はソン君です!!」



一回戦第四試合はだぬちゃんが

対戦相手のタケシ君に競り勝ちました。



「あれ?だぬの活躍シーンはカット??」

「いやいや!すごくいい戦いだったよ。二回戦も

がんばって!さっきのソンって奴に勝ってよ!!」




リク君が励ましの言葉をかけました。

これで一回戦の試合が全て行われました。



「うーん,オイラの出番はもう終わってしまった。」



トシ君が応援席に戻り,リク君たちに合流しました。



「トシ君頑張ったよ!ちょっとスナ君の方が一枚

上手だったね。イツキ君にリベンジしてもらおうよ!」



「確か前に対戦した時は引き分けだったんだよね。」



リク君は応援席の子供たちに支給された紙コップに入ったコーラを

飲みながら,彼らが前回対戦していた時のことを思い出していました。



グラサン「それでは二回戦を始めていき

たいと思います!!両選手の登場です!」



ワーワーワー!!



会場はものすごい盛り上がりです。



二回戦第一試合はスナVSイツキです。



スナ「負けた時の言い訳は決めてきたかい?」

「ああ,優勝できなかった時に考えるとするよ。」



お互い睨みあって一歩も引きません。



グラサン「それでは試合開始でぇぇぇすっ!!!」



試合開始のゴングが会場に響き渡りました。



「いくぜっ!!」



−極軸移動(ポールシフト)−



このヴィートは地球の極軸を一瞬で移動して

周囲を瞬間冷凍地獄にして相手を凍らせます。



果たしてスナ君に効果があったのでしょうか。



熱い対戦はまだまだ続きます。