第1話 黒の影 

ノアシリーズ 〜第1章〜




名古屋の国道を走る車がありました。



そう,あの漆黒の追跡者達です。





山本「クライアントから新しい依頼が来た。」

南雲「え。」

古賀「しかし,まだ,“漆黒の金剛石”だって

見つかっていないじゃないですか。」

南雲「それなのに,新しい依頼ですか・・・?」



山本「先日,クライアントの研究所から

“ある研究記録”が盗まれたらしい。」

南雲「へぇ,そんなことが。」

山本「盗んだ男はその研究所の所員。

その裏切り者の名前は“小早川”。」

南雲「馬鹿な男ですね。」



山本「小早川は現在も行方不明。」

古賀「つまり,この写真の男を探せってことですか?」

南雲「俺達は探偵じゃありませんよ?」

山本「依頼内容は研究記録の奪還と・・・。」

南雲「?」



<山犬リーダー 山本>



山本「小早川の抹殺だ。」

南雲「ひゅー。それはおっかないですね。」

古賀「でも,なんでまた・・・?」

山本「小早川が盗んだ研究記録は

研究員の間では“ノアズアーク”と呼ばれ,

厳重に保管されていたようだ。

それが世間に公表されると

クライアントとしては非常にまずいらしい。」



<山犬構成員 南雲>



南雲「その内容を知ってしまったから口封じするわけですか。」

古賀「見つかりますかね?その男。」



山本「見つかるさ。すでに目星はつけてある。」





どうやら,再び“黒の影”が動き始めたようです。






第2話 裏切りの小早川 

ノアシリーズ 〜第1章〜




蒸し暑い夜・・・。

―名古屋市野山公園―







小早川という名の中年の男性が追っ手から逃げています。

理由は所属する研究所から極意の研究資料を持だしたからです。



小早川「はぁ,はぁ・・・。もう追いついてきたか。」



必死で逃げますが,追っ手も数が多いようです。



小早川「この資料,“ノアズアーク”だけは何としても・・・。

何としても持ち帰らなければ・・・!」



追っ手A「そっちにはいたか!?」

追っ手B「いえ,いません・・・!」

追っ手C「くそっ,あの野郎どこへいきやがった!」

追っ手A「でも,一体,何の資料を持ちだしたんですか?」

追っ手C「知るかよ,とにかく所長の命令だ。

裏切りの小早川を捕まえて資料を取り戻せと。」

追っ手B「俺達のような下っ端所員には

知らなくていいこともあるんだろうよ・・・。」



小早川は息を殺し,公園の茂みに身を潜めています。

少しずつ,追っ手が近付いてきました。



小早川「(このままではまずい・・・。

捕まったら“ノアズアーク”も奪い返されてしまう・・・。)」



・・・。



・・・・・。



・・・・・・・。



その時,小早川の目に大きな建物が映りました。

それは,見た目は古いですが立派な図書館でした。



リク君達がたまに訪れる中野木図書館です。



小早川「(よし・・・。)」



追っ手の目をかいくぐり,中野木図書館へ向かいました。

研究所から持ち出した資料“ノアズアーク”を,この図書館に隠し,

後日改めて,取り出そうとしたようです。



それは,もし捕まっても,

彼らの手に資料を渡さないための苦渋の決断でした。



この二日後,少年昆虫団のイツキ君が

“ノアズアーク”を手にし,“ノアの書”と

名付け,資料の解析を試みることになるのです。



ところでリク君達は,

出校日があった日の夜に

“大牧山”で昆虫採集をしていました。



「よーし,今日も沢山,昆虫採集するよー!」



「もうやめましょうよ〜。」

「あれ,イツキ君とトシ君が来てないみたいだけど?」

「あ,実はね・・・。」



今日も元気に昆虫採集。

でもメンバーが2人いないようですが・・・?






第3話 探偵はBARにいない 

ノアシリーズ 〜第1章〜




名古屋のとある繁華街に雰囲気の良いバーがあります。

名前は“リ・セ・シュ”。

“彼ら”にとってお気に入りのお店のようです。

そこに二人の男がバーカウンターでお酒を飲んでいました。







南雲「古賀さんは来てないんですね。」

山本「あいつは“後始末”をしている。」

南雲「あー,なるほど・・・。」



そういうと彼は愛用のタバコ,“シュガーライト”に火を付けた。



今村「隣,いいですか?」



現れたのは“海猫”のリーダー,今村でした。









山本「珍しいな。お前さんがこんな場所にくるなんて。」

今村「たまには来ますよ。」

南雲「そうなんですか・・・。」

今村「マスター,バーボンをロックでお願いします。」

南雲「牟田さんと山下さんは大丈夫なんですか?」

今村「足をライフルで撃ち抜かれてますからねぇ。

しばらく,お仕事は無理そうですねぇ。」

南雲「そうでしたか・・・。」



*詳しくは第10〜16話参照



今村「このままでは私も任務を遂行出来ないので,

“御前”にお願いして組織から代わりの部下を

二人ほど手配してもらいました。」



山本「“御前”が・・・?」



今村「ええ。優秀なのを配属してくださいました。」



山本「ほう。どんなやつらだ?」



今村「一人は“大西”という男でキレ者です。」



南雲「もう一人は?」



今村「もう一人は組織では“影(シャドー)”と呼ばれていた人物です。

本名は私も知りません。組織でも謎の多い人物だそうです。」

南雲「そんな奴がいたんですね。」



今村「昔,演劇をやっていたそうで,変装なんかは得意だそうです。

二人ともここにはいないので,今度紹介しましょう。」

山本「で,そのキツネのような探偵を使って何をしようとしている。」

南雲「探偵はBARにいない・・・か。」



バーボンのロックに手をつけることなく,

今村は再び話し始めました。



今村「各務原山で我々の行動を監視していた少年たちがいましたね。」





山本「平成のファーヴルか。今度見つけたら,俺達が“消す”。」

今村「何も知らない無実の子供を消すというのは物騒ですねぇ。」

山本「奴らが何かを掴んだ可能性もある。

疑わしきは消すのが俺のやり方だ。それがたとえガキでもな。」

今村「それを調べるために“影(シャドー)”に動いてもらっています。」

南雲「どうやって調べるんですか?」

今村「詳しくは言えませんが,

彼らの周辺に住む住人を装うか,親しい人に変装するか・・・。

おっと,しゃべりすぎましたね。」



彼はそう言うとその場を去って行きました。



南雲「あれ?今村さん,お酒に手をつけてないですね。」

山本「俺が自白剤を入れたことに気づいていたらしい。

まったく喰えねぇヤロウだ。」

南雲「さすがは“仏の今村”ってことですか・・・。」



そして夜も更けていきました。






第4話 引っ越してきた隣人 

ノアシリーズ 〜第1章〜




みんなでカブクワショップの“キング”に来ていました。







 「何で俺まで・・・。今日は忙しいって言ったのに。」

 「まぁまぁ。そう言わないで。」

 「まったく・・・。」

 「それで,“ノアの書”について

どこまでわかったの?」




イツキ君は一呼吸おいてから話し始めました。



 「本の終わりのページに“USBメモリ”が

添えつけられていたんだ。」


 「USBって一昔前に良く使われていた媒体だよね?

お父さんやお母さんが仕事で

良く使っていたって聞いたことがあるよ。

で,その中身は!?」


 「パスワードがかかって見られない。」

 「パスワードかぁ。」



「リク君,店長さん達来ましたよ。」

「ここはいつ来てもこわいなぁぁぁ。」



まりん「みんな,いらっしゃい。」



「まりんさん,こんにちはー。」



まりん「こんにちは。」

店長「おう,どうした,みんなそろって。」



 「伊藤店長。ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」



店長「なんだい?」



 「最近,このお店でヘラクレスを買ったお客さんっていないかな?」



店長「え?なんでそんなことを聞くんだい?」



 「あ,えっと,ちょっと・・・宿題だよ!」



店長「宿題?」



 「うん,外国産のカブトムシをどういう人が

買っていくのかっていう市場調査だよ!」




店長「なるほどね〜。」

まりん「さすがリク君だね。」





店長「でも,残念ながらいないなぁ〜。

ヘラクレスは最近入荷したばかりだからまだ売れてないんだ。」



 「そっか〜。残念・・・。」





店長「話は変わるけどよ,

この前言っていた,裏のアパートなんだけどな。」



「誰も住んでいない気味の悪いアパートだよね。」



店長「おうよ。そこに誰か住み始めたみたいなんだよ。」



 「え!?」



まりん「怪しい人っぽいから近付いたらだめだよ!」



「そうですね,そうします。」



店長「じゃ,俺はちょっと仕事があるから,またな〜。」



伊藤店長はそういって奥に行ってしまいました。



 「ねぇ,まりんちゃん。

店長の様子,最近,変わった事とかなかった?」




まりん「そうねぇ〜。強いて言えば・・・。」



 「うん。」



まりん「前に比べて優しくなったかなぁ〜。なんて。

最近は仕事でミスしてもあまり怒られなくなったの。」



 「それだけ?」



まりん「うん。多分・・・。」



 「そっか,ありがとう。」



そして少年昆虫団はキングを出ました。



 「よし,裏のアパートに行ってみよう。」

「いや,何が“よし”なんですか?

今,まりんさんから“アパートに近づくな”って

言われたばかりじゃないですか。」


 「そのアパート,何か気になることがあるのか?」

 「いや,なんとなくだけど・・・。

ひょっとしたら“漆黒の追跡者のアジト”なんじゃないかなって思って。」


「いやいや,飛躍させすぎでしょ!?」



話し合った結果,こっそりとそのアパートを見に行くことになりました。







「幽霊が出そうだなぁぁぁ。ヤバイよ,ここ〜。」

 「誰もいないみたいだね・・・。出かけているのかな。」

「ねぇ,もう帰ろうよ〜。なんか怖くなってきたよ。」



すると,少年昆虫団の後ろに人影が現れました。





果たしてその人影の正体とは?



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