第1話 プロローグ 

菊の華シリーズ第2章




日本には,日本国を解体させ,自分たちの理想国家を創り,

日本を思いのままにしようとする闇の組織が存在しています。



その組織の名前は"ジャパノフォビア"。通称JFと呼ばれる組織です。

"御前"と呼ばれる人物が組織のトップとされますが詳細は不明。



このJFを壊滅させるために日本警察が作り上げた組織が

警視庁公安部のJF対策特別チーム,"菊水華",通称"菊"でした。



"菊"は,神主に変装していたリーダーの赤神氏,ジャズバンドブルーマウントのリーダー

である青山氏,ブティックの店員として名古屋にやってきた桃瀬氏,

サーカス団団長の黄金原氏,そして警視庁公安部の翠川レオン氏の5人を中心とする組織でした。







リク君たちの良き理解者であるレオンさんは実は警視庁公安部の人間であり,

公安の中から対JF壊滅部隊として設置されたのが菊の華と呼ばれる部署でした。



リク君たち少年昆虫団は彼らと協力して闇組織JFの壊滅を目指すことになりました。

少年昆虫団が中野木署を訪れていたその日の夜・・・。



名古屋中心部にある超高層ツインタワービル。

闇組織JF所有のビルでもありました。

ここの上層階にて組織の幹部が会議を行っていたのです。



会議に出ているメンバーは山犬の山本,藪蛇のアヤ,

森熊の源田,海猫の今村,そして川蝉の東條でした。



源田「すでに,菊の準幹部を一人殺害した。当面の目標はさらにもう一人の殺害だ。

あまり短期間でことを起こすと,目立つからだ。」



と源田が現状を説明しました。



円卓のテーブルを囲むように各ユニットリーダーが座っていました。



山本「今回の作戦は山犬がやる。」



山本が切り出しました。



今村「おやおや,抜け駆けはいけませんねぇ・・・。

今回の作戦は御前の勅命。失敗は許されません。

各ユニットの共同作戦であるとのことですよ。」



源田「今村さんの言うとおりだ。今回の菊幹部暗殺作戦は全てのユニットで実行する。

すでに俺の直属の部下である,"キラー"が動き出している。

それにアヤが仕込んだスパイからも色々と報告があがっている。」




源田はアヤの方を見ました。

それに気付いたアヤは少し面倒くさそうに説明を始めました。



アヤ「アタシの仕込んだ愛しい愛しい闇の騎士(ダークナイト)は

菊の幹部に溶け込みしっかりと情報を流してくれているわ。」



山本「ほう。どんな?」



にらみつける山本。



アヤ「すでに名古屋に集結しているみたい。当面は愛知県警本部を拠点にするって。」



山本「それだけか?」



アヤは少し間をおいてから,



アヤ「なんでも妙なことを伝えてきたわ。5人組の少年たちと知り合いになったって。

その中でも捕虫網を持った少年はなかなかクセがあるから気を

つけた方がいいそうよ。どういう意味かしらね・・・?」



山本は急に笑い出しました。



山本「ハハハハッ・・・。」



今村も何かを知っているかの表情で山本を見ていました。

隣に座っていた東條もなにやら笑っています。



源田「おい,山本。その少年っていうのは今日の午後の・・・。」

山本「ああ,そうだ。やっと尻尾を出してきたか。平成のファーヴル!これは面白くなりそうだ。」



今村はゆっくりと手を挙げて,



今村「今回の作戦は私と川蝉は辞退しますよ。」



と言いました。



源田「どういうことですか?」



源田は立ち上がって聞き返しました。



今村「いくら共同戦線といってもさすがに大人数で

動けば向こうに気付かれる可能性があります。

ここは暗殺能力を有している森熊と諜報活動の藪蛇と

それをまとめる山本クンがいれば十分でしょう。」



いよいよ,菊の幹部を暗殺する計画がまとまってきたようです。



山本「それで,始末する菊の幹部は・・・。」



アヤ「ええ,それは・・・。」



こうして名古屋の夜は更けていきました。








第2話  誰がスパイか・・・?

菊の華シリーズ第2章




リク君はイツキ君と二人で緑地公園にいました。

昆虫採集が終わり,他のメンバーは帰っていきました。



二人は夜の街灯に照らされながらベンチに座っていました。



「話っていうのはなんだ?」



イツキ君が聞きました。



「ああ,実はさ・・・。」



と少しためらうリク君。



イツキ君は持っていたジュースを一気に

飲み干し少し離れたゴミ箱に投げ入れました。



「もったいぶらずに話せよ。どうせ,今日のことだろ。」

「うん。レオンさんが菊の幹部の中に闇組織JFのスパイが

いるって言っていたよね。一体だれだと思う?」




リク君は本題に入りました。



「まぁ,レオンさんを除外して考えると残りは4人・・・。

誰も怪しいような怪しくないような・・・。決め手にかけるなぁ・・・。」


「そうなんだよね・・・。」



二人は言葉に詰まりました。



「もうひとつ気になることがある・・・。」



とリク君。



「奴らは菊の幹部の誰を暗殺しようとしているのか・・・だろ。」

「ああ,もしくは全員を一度に殺そうとしているのかも・・・。」



とても小学2年生の会話とは思えない内容でした。



「いきなり全員は無理だろう。奴らは死因を殺人ではなく

事故死にしようと企んでいるはずだ。一気に何人も死ねば

さすがに捜査本部も怪しむ。」


「だろうね・・・。」



二人は考え込みました。







「明日,レオンさんに相談して,他の幹部と

ゆっくり話ができないか聞いてみないか。」


「そうだね。考えても仕方がないし,それが一番いい。」



と,言ってリク君は立ちあがりました。



「ただ,最悪のことも想定しておいてよ。」

「どういうことだ?」



と,聞き返しました。



「そのスパイがレオンさんかもしれないってことだよ。」



イツキ君は激高して,



「そんなわけないだろう!」

「だから,言ったでしょ。最悪の想定だよ。あえて,僕たちに

スパイがいることをほのめかして捜査をかく乱する可能性だって

あるんだ。どんな状況になっても常に冷静に行動できるようにしておかないと。」




イツキ君は黙ったままでした。



「でも,僕もイツキ君と同じで,レオンさんのことを信じている。

もし,スパイがいるとしたら残りの4人の誰かだと信じている。」


「ああ,そうだ・・・。俺はもう裏切られるのはごめんだ・・・。」



ベンチに座り,うつむいたままそう言いました。

彼の心には未だに城嶋さんの裏切りがトゲとなって刺さっているようです。



そして,次の日,少年昆虫団はレオンさんのアパートを訪れました。



菊の幹部達から話を聞き,JFのスパイである

闇の騎士(ダークナイト)の正体を暴こうとするようです。








第3話 菊の幹部達@

菊の華シリーズ第2章




リク君とイツキ君の二人は,昨日の夜に打ち合わせた

内容をレオンさんの自宅に行き,伝えました。



レオンさんはちゃぶ台の前に座ったまま,

麦茶を飲みながら聞いていました。



「それがいいかもしれない。オイラも彼らとは

あまり話したことがなかったからね。」




「なんか,楽しみだね。私は桃瀬さんとお話ができるのが楽しみ!」



まさらちゃんはちょっと嬉しそうでした。



「遊びにくんじゃないよ!」

「そんなことトシ君に言われなくてもわかっていますよ!」



レオンさんは部屋着から外出用の服に着替えました。



「話を聞くのはいいんだが,普段はそれぞれの持ち場で

仕事をしているんだ。だから,署に行っても会えないよ。」


「じゃあ,一人一人話を聞きに行かないとだめか。」



レオンさんは,机の上に置いてあった車のキーを手に取りました。



「じゃあ,さっそく行こうか。」



レオンさんの車に乗り込んで出発しました。



「1日で回れるかな?まだ午前中だから大丈夫かな。」

「ここから一番遠い桃瀬さんの所から行こう。

次に黄金原君,青山さん。最後に赤神さんのところでいいかな。」




レオンさんがナビをセットしました。



車を1時間ほど走らせると,桃瀬さんが

働いているブティック店に到着しました。



「ついたぞ。でも,一体何を聞くんだい?

何かスパイを見つけ出す作戦でもあるの?」


「いや,それはないけど,ひょっとしたら

何か手掛かりがあるかもしれないでしょ。」




と言って,車を一番に降りました。



ブティック店に入っていくと,桃瀬さんは

2階で接客のお仕事をしていました。



桃瀬さんはこちらに気付いたようでレオンさんと目が合いました。

レオンさんが目で合図を送ると,仕事のきりがついたところでこちらに向かってきました。



桃瀬「どうしたの?直接ここに来るなんて。」







少し怪訝な顔をしていました。



「あの,お仕事中にすみません。」



桃瀬「気にしないで。まさらちゃんだったよね。

後で,一緒にお洋服を選んであげる。」



桃瀬さんはまさらちゃんの頭を

なでながらにこりと笑いかけました。



「あ,ありがとう!」

「実はね,ちょっと聞きたいことがあるんだけど,いいかな?」



リク君が無邪気に言いました。



桃瀬「じゃあ,休憩室に行きましょうか。」



桃瀬さんはみんなを休憩室に案内しました。



桃瀬「それで,私に話って?」



「桃瀬さんのことを色々と教えてほしいんです。

経歴とか,独自で調査したJFの情報とか・・・。」




桃瀬さんは快く承諾してくれました。



桃瀬「いいけど,それくらいならそこにいる翠川君に聞けば十分じゃないかな?

私が入手した情報は菊の中でちゃんと共有してあるから,新しいことは何もないよ?」



「この子は直接,桃瀬さんから聞きたい

みたいなんだ。協力してもらえると助かります。」




レオンさんは,低姿勢でお願いをしました。

桃瀬さんはどんなことを話してくれるのでしょうか。








第4話 菊の幹部達A

菊の華シリーズ第2章


少年昆虫団は菊の幹部の人たちから話を

聞くために,まずは桃瀬さんのお店を訪れました。



みんなは休憩室にある机を囲んで座っていました。

そこで話を聞くことができました。



桃瀬「私は東北・北海道地区担当なの。

所属は道警の警部の公安第一課。」



「やはり・・・。」



リク君のつぶやきにみんなが注目しました。



「どうしたの?」



と,まさらちゃん。



「公安一課というのは共産党関連事案を担当するんだ。

つまり,JFというのは・・・。」




リク君は真剣な表情です。



「まぁ,とりあえずその件はおいておこうよ。それに菊は

公安第一課所属の人間だけじゃないよ。青山さんは第3課だしね。」


「そうなんだ・・・。」



桃瀬さんは話を戻して続けました。



桃瀬「私の特技は射撃よ。特に遠距離の狙撃を得意としているの。

公安に入る前は北海道県警の特殊部隊にいた。」







「やはり,怖そうな予感は当たりました・・・。」



だぬちゃんがぼそっと言いました。



「桃瀬サンは北海道にいる時に何か組織の情報をつかんだりしたのか?」



桃瀬「ええ,でもそれについてはさっきも言ったけど菊の中で情報を

共有しているから翠川君が知っていることと同じことしか言えないわよ。」



桃瀬さんはレオンさんを見ました。



「うん,でも君の口から改めてこの子たちにはなして

あげてくれないか。捜査機密だということは重々に承知している。」




桃瀬「わかった。私が入手した情報はJFに超一流の狙撃手がいるってこと。」



そう言う桃瀬さんの表情は真剣そのものでした。



「怖ぇぇぇ・・・。それってお姉さんよりも実力は上ってこと?」



桃瀬「わからない・・・。でも互角か,それ以上だと思う。」



硬い表情のままそう言いました。



「でも,どうしてそんなことがわかったの?」



リク君は疑問に思ったことをそのままぶつけてみました。



桃瀬「3ヶ月くらい前に,JFと関わりがあると思われる人物を逮捕したの。

容疑は傷害。末端の人物だろうけど,何か情報を持っていると思って

取り調べをしたけど,何も吐かなかった。」



桃瀬さんは話を続けました。



桃瀬「容疑者は48時間以内に検察へ引き渡さないといけないの。

結局,その末端の人物はただの傷害事件の容疑者として送検されることになった。」



みんなは桃瀬さんの話を固唾をのんで聞いていました。

ただ,トシ君だけがついていけなくなり,眠くなっています。



「つまり,その時点では核心的な話は

聞けないまま,送検されることになったんだね。」




桃瀬「そう。そして,送検される時に警察署から検察所へ

移送することになるんだけど・・・。」



イツキ君が



「なるほど。その時に,その末端の

組織員が狙撃されて殺害されたわけか。」




と口にしました。



桃瀬「さすが,鋭いね。君とそこの帽子の少年と

話していると子供相手に話していることを忘れるね。」



それはキレ者二人に対する最高のほめ言葉でした。



桃瀬「その後の我々の捜査で,通常ではありえない距離に

あるビルの屋上から狙撃されことがわかったの。」



「つまり,邪魔者の人間を闇組織JFの

狙撃手が消したってこと・・・。」




まさらちゃんはその事実に震えていました。



桃瀬「私たちはそう考えている。だから組織には

腕利きの狙撃手がいると見ている。」



皆は桃瀬さんから直接話を聞き,お礼を言って別れました。

そして車に乗り込んで次の場所へ移動を開始しました。



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