第582話 2階の攻防 ① 覚醒の刻 シリーズ 第2章
外ではレオンさんと東條が
一進一退の攻防を繰り広げていました。
東條にはまだまだ余力が見られるようでしたが,
レオンさんも押し切られることなく奮闘しています。
時は少しさかのぼって・・・。
右側から潜入した精鋭部隊“鶴”は
階段を上って2階へ到達していました。
2階はバリケードなどなく,
少しカーブした細い廊下が続いていました。
両側にはたくさんの部屋の扉が並んでいました。
しかしそのほとんどの扉はさび付いており,
中には鍵が掛かっていない部屋もあります。
鶴のリーダーである牛尾は,
牛尾「二人一組で各部屋を捜索。
対象を見つけたら速やかに殺害せよ。」

と指示を出しました。
精鋭部隊は4人で1チームなので,
2ペアに分かれて行動することになりました。
牛尾グループが3つ目の部屋を
捜索し始めた時です。
ババババッ・・・・!ガガガガガガッ・・・・!
突如銃撃音が廊下中に響き渡りました。
牛尾「これはっ!?」
そして銃撃が止んだ瞬間に,
「ぎゃぁぁぁぁ!」
という一足先の部屋を捜索していた
グループのメンバーの怒号に似た悲鳴が聞こえました。
牛尾ともう一人のメンバーは顔を見合わせ,
すぐにその声が聞こえた部屋へと走っていきました。
牛尾「何があった!?」
部屋に入るとそこには二人があおむけになり,
泡を吹いて倒れていました。
体のいたるところに傷がつき,出血もしています。
牛尾「これは・・・。」
「新しい客か?」
振り向くとそこには
背の高い一人の少年が立っていました。
牛尾「貴様はっ・・・!」
その少年が今回のターゲットなのは確実でした。
ババババッ・・・・!ガガガガガガッ・・・・!
牛尾は持っていた銃を彼にめがけて乱射しますが,
威勢の良い音だけが鳴り,弾は部屋の中で無作為に飛び回ります。
そのうちの一発が部下の腹部に命中しました。
「ごほっ・・・。」
「さっさと撤収しないと部下の命があぶないぞ?」
牛尾「そうはいかない。我々は無敵なのだっ!」
彼は銃を床に捨て,
腰に下げていたナイフを取り出して
イツキ君を刺しに行きます。
イツキ君は手にはめたメリケンサックでその攻撃を受け止め,
もう片方の拳で相手の指を思いきり殴りました。
ナイフは地面に落ち,
彼はそれを足で蹴って届かない位置まで飛ばしました。
「さぁ,武器がなくなったぞ?」
牛尾「あんなものにそもそも頼る必要はない。」
牛尾はイツキ君を羽交い絞めにして
窒息させようとしました。
牛尾「我々はすでに“各務原山の一件”で
任務失敗の烙印を押されている。」
しかしイツキ君の拳はすでに
牛尾の顎を確実にとらえていました。
「そんなわかりやすい動きを見逃すわけないだろ!」
どうやら彼もこの短期間で
かなりの実力を身に着けているようでした。
牛尾「これ以上の失敗は許されないのだっ!」
この勝負の行方は・・・。
第583話 2階の攻防 ② 覚醒の刻 シリーズ 第2章
研究施設の2階ではイツキ君と
精鋭部隊“牛尾”が戦っていました。
牛尾「アレを使って我々の銃器を無効化するだけでなく,
狭い部屋で無造作に打たせ跳弾を利用するとは。」
「お前たちがただ無能なだけだ。」
その言葉に牛尾は我を失い,
とびかかってきました。
イツキ君はそれをかわし
足払いで体勢を崩します。
牛尾「うおっ!?」
イツキ君は部屋の入り口付近,
牛尾は部屋の一番奥にいました。
スッ・・・。
イツキ君は何やら人の気配を感じました。
「(なんだ・・・?)」
次の瞬間,上から人が襲い掛かってきました。
彼は持ち前の瞬発力で
間一髪でそれをかわしました。
目の前に立っていた女は
独特の形をした刃物を持っていました。
身長は170センチと女性の中では大柄でしたが,
それを感じさせない身軽さを持っていました。
「新手か・・・!」
彼女は藪蛇の準幹部マヤでした。
手には特殊な形のナイフを持ち,まるでクノイチのような,
ポーズで構えてこちらを威嚇(いかく)してきます。
牛尾「マヤ様っ!助かりました!」
マヤ「・・・。」
彼女は部下に指示することもなく,
口を開くことはありませんでした。
精鋭部隊の隊長は何かを悟ったようで,
牛尾は腹部から血を流している部下を抱え,
部屋を出ていきました。
イツキ君には彼を追撃する余裕はありませんでした。
「(こいつは女だからって油断ならねぇ・・・。
強いぞ・・・。)」
イツキ君は構えますが,相手は刃物を持っています。
部屋の外で二人はにらみ合いました。
真っ向勝負では分が悪いことは
明らかでした。
彼はどうやったら
目の前にいる女を倒せるのか
必死で考えました。
マヤは相変わらず無表情で,
感情を読み取ることができません。
次にどんな行動に出るのかも
まったく分かりませんでした。
「イツキ君,大丈夫-!?」
長い廊下の向こうから
まさらちゃんとだぬちゃんが
走ってくるのが見えました。
「来るなっ!」
イツキ君が大声を出すと,
マヤ「!」
彼女は目にも止まらぬ速さで
イツキ君の横を抜けていきました。
「えっ!?」
マヤはだぬちゃんの頸動脈を
確実に切りに行きました。
「あわわわっ・・・。」
しかしナイフは,
だぬちゃんの首から
わずか3ミリほど離れたところで
止まっていました。
彼の目の前には
あの男が立っていたのです。
その人物とは・・・。
☆ 次回の更新は3月14日(土)を予定しています。