リクの少年昆虫記-最新話-

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第554話 リク君の過去① 覚醒の刻 シリーズ 第1章

少年昆虫団を乗せた車は国道41号線を

まっすぐ北に走らせていました。







トシ君が新しいアミをどうするのか,と聞いてきます。



「実はそれについては

当てがあるんだよね。」



みんなは少し驚きました。



御前によって破壊されてしまった月読(ツクヨミ)の

代わりが存在するとは思わなかったようです。



そもそもあの特殊なアミが何なのか,

みんなが気になっていました。



「あのアミの代わりがあるっていうのか?」

「うん,たぶん・・・。」



少し自信のない返事でした。



「オイラも気になるな。

あのアミはいったいどうやって手に入れたんだい?」



レオンさんも興味があるようでした。



「かなり高度な技術によって作られた

モノだということはわかるが・・・。」



「あれは貰いものなんだ。」



リク君は普段から持ち歩いている

天照の柄の部分をぎゅっと握りしめました。



「少しだけ,昔話をするね。」



そう言って,リク君は天照と月読を

手に入れた経緯を語り始めました。



「僕が小学校1年生の時の夏休みに

父親と二人でキャンプに行ったんだ。」



「かいりちゃんたちは一緒じゃなかったの?」



まさらちゃんが聞くと,



「まだ二人とも小さかったからかな。

とにかく二人ででかけたんだ。」



と,答えました。



彼は話を続けます。



「でも,僕はそこで父親と

はぐれて遭難してしまったんだ・・・。」



みんなは初めて聞く事実に驚きを隠せませんでした。



「そんなことがあったなんて

初めて知りましたよ!」



「誰にも言っていなかったからね。」



レオンさんはハンドルを握りながら

黙って話を聞いていました。



「山で道に迷い,あちこちさまよっていた時に,

ある人に出会ったんだ。」



「山で迷ったら動き回るのは

よくないんじゃないの?」



トシ君は,そう言って後部座席で

お菓子をぼりぼりと食べていました。



「そのある人っていうのはどんな人だったんだ?」



真後ろに座っているイツキ君が声をかけてきました。



「年齢は50代半ばくらいのおじさんで,

無精ひげを生やしていて髪は

ぼさぼさな感じだったと思う。」



「その人の事をもっと詳しく教えてよ!」



リク君は頷きました。



「僕は山を歩き続けたら,ある施設にたどり着いたんだ。

そこにいたのがその人で,なんでもここで

秘密の研究を続けているって言ったんだ。」



みんなは話に聞き入っていました。



「でも他に所員もいなくて,

住んでいるのはその人だけ。

しかもその2階建ての研究室も

けっこうぼろぼろだったんだ。」



「すでに使われなくなった研究施設に

住み着いていたって可能性が高そうだな。」



リク君の話はまだまだ続くようです。



その間にもレオンさんが運転する車は

国道41号線を北へ北へと進んでいました。



☆ 次回の更新は5月3日(土)を予定しています。







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