リクの少年昆虫記-最新話-

昆虫記TOPへ

TOPページへ


 最新話 

第523話 黒幕登場

エピソード0シリーズ 最終章
堤防の東西に対峙する

勢力がありました。



西側にはマザーとファザーの陣営,

さらにリク君とイツキ君の二人。



東側にはシーザーの直属のチームと

思われるメンバーがそろっていました。



この中には直属のチーム100人と参謀である

“武留歌”が率いる“チーム・ウイリアムズ”

総勢200人がいました。



さらに楠十傑と呼ばれる幹部チームの一部

主力メンバーとその配下が

50人ほど合流していました。



シーザー「いよいよ俺の時代が来た!

ここまでの作戦は

全て俺の思い通りになっている!」



陣営の先頭に立って大声で笑うこの人物こそ,

三大悪童の一人“シーザー”と呼ばれる男でした。



轟名は"皇帝"と呼ばれていました。



彼のすぐ横には,チームの参謀である

武留歌真琉玖(ぶるうた まるく)がいました。



シーザー「三大悪童と呼ばれるようになってから

早1年!長いような短いような1年であった。」



武留歌「はっ!ついに皇帝の苦労が

報われる日が来るとは。

今日はなんと良き日でしょうか。」



この武留歌という人物は忠実で優秀な部下として

シーザーからの評判が高いのですが,

自分よりも格下の相手には容赦ない態度と

言動をとる癖のある人物でもありました。



年齢は17歳でしたが,

見た目はもう少し老けて見えました。





<チーム・ウイリアムズ リーダー:武留歌真琉玖 及びシーザー参謀>

天然パーマのかかった髪の毛を少し触りながら,



武留歌「思えば,全ての始まりは頭目のバカな手下を

手懐けたところから作戦は始まっていました。」



シーザー「そうだ。白虎の奴らをこちらにつけ,

裏切らせるタイミングを見計らっていたところ・・・。」



彼が言おうとした内容を武留歌が補足します。



武留歌「私が"あの現場(487話参照)"を見かけ,

使えると判断し,皇帝のお耳に入れた次第です。」



シーザー「全てはこの策略家である

この俺の思い通りよ!」



彼は自分自身が優秀な頭脳の持ち主で

あるという自信に満ち溢れていました。



シーザー「あいつらの方が全体の勢力としては上だからな。

やつらをぶつけて,疲れ切ったところを狙う。

これぞ戦略の定石よ。」



武留歌「そして,頭目と聖母を屈服させ,

敗北宣言の言質を取る。

さらにあの勢力をそのまま

我が陣営に入れてしまうというわけですね。」



どうやらこれが彼らの作戦の全貌のようです。



あらかじめ,何らかの方法で

ファザー配下の白虎隊を

味方につけていました。



そして勢力拡大のタイミングを

見計らっていたところに運よく,

ファザーの時尾とマザーの姉である

“時雨”が密会している現場を

押さえることができました。



そうすることで二人をぶつける

作戦を立てるに至ったわけです。



シーザー「ちゃんとあいつらは

押さえてあるんだろうな?」



武留歌「時雨と時尾ですね。

ご安心を。わがアジトの地下に

閉じ込めてあります。

見張りもつけていますし,

逃げ出すことは不可能でしょう。」



マザーとファザーが懸念していた

二人はシーザーの手に落ち,

つかまっていたようです。



シーザー「ここを渡れば,あいつらは破滅。

渡らなければ俺の立場が危うくなる。」



彼は少し周囲が落ち着くのを

見計らってから,

右手を大きく振り上げ,



シーザー「さぁ,賽は投げられたぞ!

俺に続け!!」



全軍を鼓舞します。



そして,



シーザー「ごきげんよう!お二人さん!

さっそくだが死んでくれ!!」



と,叫びながら腕を下におろしました。



これが開戦の合図だったようです。



後ろに控えていた総勢350人以上の

メンバーが一斉にマザー・ファザー陣営に

殴り込みにかかりました。



いよいよ両陣営が

激突する時が来たようです。



第524話 それぞれの戦況確認

エピソード0シリーズ 最終章
庄外川の東西をシーザー陣営に囲まれて,

マザー・ファザー陣営は苦戦を強いられていました。



川上である東側には楠十傑の一部と,

“ユーリウス隊”70人,“ミニ爆隊”30人,

“伴天連神教徒”40人がいました。



一方で川下である西側には,

“神の丘”60人,“爆走珍走連合”120人,

“ヒスパニア”80人が陣取っていました。



防戦するメンバーはかなり消耗しており,

“庭球爆走隊”も援護に駆け付けてはいますが,

かなり苦戦していました。



それでもマザー陣営の“紫式部連合”は

200人以上の勢力が残っており,

敵の勢力を抑えようと必死に抵抗していました。



戦線に復帰した三猿は楠十傑の

下位メンバーのヘッドに狙いを定めて,

ゲリラ攻撃を開始していました。



清香率いる清涼納言連合は,

1.5倍以上の人数を相手に奮闘していました。



この中にシュワルの“田宮”も

合流して戦闘を継続していました。



―場面は再び堤防にて―



すでに両陣営が入り乱れて

戦闘が始まっていました。



戦闘狂女子であるカナは自前の

アーミーナイフで次々と

敵の主力を切り刻んでいきました。



カナ「血を見るのだーいちゅき!

あはは!シャワーみたいに吹き出しなうっ!!!」



あたり一面が血だまりになっており,

周囲には切り付けられた敵チームの

メンバーが苦しみもがいていました。



「あいつ,完全に殺人罪じゃねぇか・・・。」



リア「いや,カナはぎりぎりで

敵の致命傷を避けているはずだ。」



兄であるリアが隣でそう言いました。



「そうは見えないぞ・・・。」



リア「あいつはナイフを持つと

殺人衝動が抑えられなくなる。

だが,ギリギリで踏みとどまっている。」



彼の発言が正しかったようで,

派手に血が飛び散ってはいましたが,

頸動脈や大動脈は傷つけていないようです。



「なんて器用な女子なんだ・・・。」



リア「あそこまで抑え込むのは苦労したんだ。

以前はもっと狂暴だった・・・。」



二人は彼らの行動を受け入れることは

決してありませんでしたが,

非難することもしませんでした。



社会からのはみ出し者が集まって戦いを始めれば,

何が起きても不思議ではないからです。



のちに判明することですが,

この大戦(おおいくさ)では

死者も確認されています。



カナが半殺したメンバーの中には楠十傑の第4傑である

“飯田”と第5傑である“金宮”が含まれていました。



彼らも楠十傑という組織の中ではなかなかの手練れでしたが,

カナの持つ殺人術の前には無意味だったようです。



飯田「救急車・・・。

呼んで・・・

くれ・・・。」



金宮「痛ぇえ!痛いよぉ!!」



リアはこちらの救護班に声をかけ,

ほっておくと死にそうな連中だけは

ワゴン車に乗せました。



敵であろうとも瀕死の連中には

情けをかけたのでした。



そして三大悪童御用達の

秘密厳守の闇病院へと運ばせました。



一方,戦闘はまだまだ

あちこちで続いています。



敵はアイアンや金属バット,

ダガーやメリケンなどで

武装した連中もかなりいました。



ファザーの首を取ろうと,

恐れながらも彼らは向かっていきました。



彼らも裏通りやそっちの世界では

それなりに名の通った連中たちでした。



しかし,ファザーには全く無意味でした。



手にどんな武器を持っていようとも,

素手ですべてを薙ぎ払い,

相手を拳と張り手,

蹴りで潰していきました。



ファザー「こんな連中じゃ

俺の首をとれるわけないだろう!!」



怒り狂ってさらに暴れまわります。



それをわずか10mほどしか離れていない場所

で笑みを浮かべて見ている人物がいました。



シーザー「いいぞ。もっと暴れろ!

そして疲れろ!疲弊しきった

ところを俺が自ら倒してやる!」



<三大悪童の一人 シーザー 轟名は"皇帝">



ファザーは部下の一人に2リットルの

炭酸飲料水を持ってこさせました。



手に取るとそれを一気に飲み干し,

さらにお代わりを2本もらい,

合計6リットルの炭酸水を腹の中に入れました。



マザー「あの野郎。また下品なことをやるつもりだな。

ここにはレディもいるっていうのに。」



「なんだ!?

何をする気だ!?」



リク君は周囲の雑魚敵を蹴散らしながら,

ファザーの動きを追っていました。



「嫌な予感しかしない・・・。」



ファザーは大きく息を

吸い込んでから少し溜めました。



体を勢い良く振って口を大きく開けました。



ゲェェェェッッップゥゥゥ!!!!!



それは鼓膜が破れるほどの

強烈な音とにおいがするゲップでした。



次回の更新は7月27日(土)を予定しています。







昆虫記TOPへ

TOPページへ