第560話 そのアミの名は 覚醒の刻 シリーズ 第1章
リク君は新しく手にした捕虫網をかかげると,
軽く振り回してみました。
「よし!間違いなく,新モデルだ!」
「振り回しただけでわかるんだ。」
レオンさんは周辺の機器に興味が
あるようで,辺りを見回していました。
「ちなみにソレの名前はあるんですか?」
「ああ,こいつの名前は・・・。」
少し溜めた後,
「須佐之男(スサノオ)だっ!」
と,宣言しました。
「なるほど,アマテラスの弟か。」
リク君は“月読”に着けていた,
網を“須佐之男”の金属部分に
取り付けました。
「あとは,“天照”をバージョンアップしたいんだけど・・・。」
リク君は周囲をキョロキョロして,
何かを探し始めました。
「もしかして,お目当てはこれかい?」
レオンさんは右手に持っていた,
細い金属の棒をリク君に手渡しました。
「そうそう,これこれ!」
リク君は持っていた天照の先に,
先ほど受け取った金属をくっつけました。
すると,その棒は天照の先にピタリと
吸い付くようにはまり,1本の棒になりました。

「これで天照も最新モデルになった!」
「それでいいんですか?
どういうことですか?」
だぬちゃんが質問しました。
「彼が一番最初に作ったのが“月読”なんだけど,
初期型だから機能も一部未完成の状態だった。
次に製作されたのが“天照”で,こちらは今みたいにバージョンアップすれば,
最新モデルと同じような性能にすることができるモデルなんだ。」
「なるほど。よくわかんないや。」
まさらちゃんが首をかしげました。
「本当はバージョンアップした状態で
譲ってもらう予定だったんだけど,
開発に時間がかかっていたみたいで,
その間に自分は救助されちゃったから。」
「そういえば,どうやって救助されたんだい?」
レオンさんが聞きました。
「うーん,それについては
またおいおいと・・・。」
リク君は少し言葉を濁しました。
「じゃあ,あと実践で使ってみたら,
新しい必殺技が見られるってことですね!」
「いや,こいつは燃料が
切れているから,燃料を入れてあげないと。」
どうやら燃料がないと動かない仕様だったようです。
「たしかに,下から火を
噴いているのを見た記憶がありますね。」
「もしかしてガソリンが燃料なのかい?
かなり揮発性が高いけど・・・。」
リク君は否定しました。
「いや,ガソリンみたいなんだけど
ちょっと特殊な燃料を使っているんだ・・・。」
「え?じゃあ,そんな危ない燃料入れた状態で,
バコバコ敵をたたきまくってんですか?」
だぬちゃんがまっとうな指摘をしました。
「自分ごと爆発するリスクあるじゃないですかっ!?」
「安全性重視の棒なんでだいじょうーぶ!!」
まさらちゃんの顔が青ざめています。
「ぎゃぁぁ!怖すぎるっ!」
リク君は部屋の中で燃料を探し始めました。
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