第577話 不穏な研究施設 覚醒の刻 シリーズ 第2章
夏の夕暮れ,山奥にひっそりと
忘れられた三階建ての研究施設に,
少年昆虫団の5人とレオンさんがいました。
建物の中は埃が積もり,
長年誰も使っていない空気が漂っていました。
この施設に来た理由は,
リク君が常に持っていた捕虫網“ツクヨミ”が
闇組織の御前に折られてしまい,
代わりが必要だったからです。
ここは以前リク君が強力な武器である棒を
もらった場所でもあったのです。
その棒の先にアミを取り付け,普段は捕虫網
として利用し,緊急時には戦闘用として使っていました。
夏とはいえ,さすがに辺りが暗くなってきました。
バーベキューのセットと食材を
持ってきていたので,施設の外で食べていました。
みんなは昨日の闇組織JFとの戦いで
敗北したことを振り返りながらも,
これまでの夏休みの思い出を語り合って,
楽しく談笑していました。
ただ,イツキ君が不穏なことを言っていました。
闇組織JFの追手がまたくるのではないか?と・・・。
周りを見渡していましたが,
その様子は見られませんでした。
しかし彼の見立て通り,
奴らは少し離れた場所から,
襲撃の計画を実行しようとしていました。

その気配をいち早く察知したのはこの三人でした。
「どうやら俺の予感は
的中したみたいだな。」
「みんなっ!すぐに建物の中にはいるんだ!」
レオンさんが呼びかけます。
「・・・。」
まさらちゃんやトシ君は何事?と
思いながらも指示に従います。
最後にレオンさんが入り口から
建物の中に入り,扉を閉めます。
リク君が別の部屋に置いてあった,
ロープを扉の取手に括り付けて縛りました。
だぬちゃんが入り口からほど近い
廊下側の割れた窓から外をのぞくと,
黒い戦闘服に銃を構えた集団が
施設を包囲していました。
彼らの指揮を執っていたのは,
ニット帽子をかぶった三十代の男でした。
彼は一番後ろから,冷たい声で
南雲「三部隊,梟,鷲,鶴は突入せよ!」
と,指示を出しました。
さらに,その中に一人,
異様な雰囲気を持つ青年がいました。
年は十代にしか見えませんが,
腰に下げた日本刀を抜くと,鋭い光を放ちました。
東條「さて,狩りの時間だ。」
南雲「東條さん,申し上げにくいのですが,
遊びではありませんので。」
他ユニットとはいえ,
東條は南雲より立場が上なので,
彼は遠慮がちに進言します。
彼はニコッと笑い,
東條「遊びだよ。とってもやりがいのある遊びさ。」
「まずいね・・・。」
「あれってもしかして闇組織JFの連中だよね!」
みんなはまだ入ってすぐの場所にいました。
「どうしてだぬ達がここに
いるってわかったんですか!?」
「もしかしてここは元々
あいつらの施設だったのか!?」
様々な推論が飛び交いますが,
今は悠長に議論している時間はありませんでした。
「しかし,災いっていうのは
いつも急に訪れるもんだな。」
「いや,ちょうどいい!」
この場にいたら,すぐにでも
全滅しそうだったので
場所を移動することにしました。
「みんな,入り口をふさごう!」
施設の入り口にはほかの部屋にあった,
棚や机などを無造作に置き,
時間稼ぎをすることにしました。
「でも,窓も割れまくっていますし,
すぐにでも侵入されそうですよ。」
彼らは急いで廊下を駆け抜け,
奥の道へと消えていきました。
☆ 次回の更新は1月6日(土)を予定しています。
☆ 次回の更新は年明けとなります。
今年もお世話になりました。