第584話 2階の攻防 ③ 覚醒の刻 シリーズ 第2章
だぬちゃんに向かったアヤのナイフを,
ナイフで受け止めてはじき返したのは・・・。
「誰ですか!?」
だぬちゃんは見覚えのない人物に
驚いていました。
「確かアンタは・・・。」
片岡「間に合ったみたいでよかったよ。」

「菊の幹部である百瀬サンの部下だったよな。」
片岡「よく覚えてるね。その通りだよ。」
彼は右手にナイフを持ち,
相手の出方をうかがっていました。
「どうしてここに!?」
まさらちゃんが聞くと,
片岡「レオンさんのおかげだよ。
彼が事前に菊のメンバーにこうなることを想定して
準備させていたらしい。」
「さすがだな。」
イツキ君は深く感心していました。
「じゃあ他の菊の幹部の人たちも!?」
だぬちゃんが期待を寄せて質問します。
片岡「百瀬さんはすでに御自分の仕事を
するための準備をしている。」
どうやら他の菊のメンバーもこの建物内部か
その周辺まで来ているようでした。
片岡「ただし,建物内とその周辺では,
彼女は能力を生かせないようです。」
彼女の狙撃の腕はマグネルの前では
無力化されてしまうようでした。
片岡「君たちはどこか姿を隠せる場所へ逃げるんだ。」
イツキ君は少し考えてから,
「わかった。」
そう言って二人の手を引き,
その場を離れようとしました。
「あの人をひとりにしていいんですか?」
「ホントに逃げちゃうの!?」
彼は黙ったまま二人を連れて
廊下を走り出しました。
「先に逃げた精鋭部隊の連中を捕まえる。」
彼の目には断固たる決意が見られました。
「なるほど。」
血の跡をたどっていくと,
それは1階へ続いていました。
「ところで片岡さんは
どうやって建物の中にはいれたんだろう?」
「確かに。入り口は防ぎましたし,
レオンさんと誰かが戦っている様子でしたよ。」
どうやら小窓から1階の状況を
確認していたようです。
「見えた!」
イツキ君が負傷者を抱えて歩く
精鋭部隊の隊長を見つけました。
「待ちなっ!」
振り向いた瞬間,
とび膝蹴りを叩き込みます。
大男は「ぐほっ!」と血を吐いて倒れました。
「だぬ,まさらちゃん!
こいつらを拘束するものはないか!?」
「それだったらキャンプで使う用のロープを持っているよ。」
まさらちゃんはリュックからロープを取り出しました。
牛尾「待ってくれ!部下は腹部に銃弾を受けている!
このままでは死んでしまう!」
「俺たちにどうしろと言うんだ?」
イツキ君は血を流している部下の
手足を縛ろうとしました。
牛尾「俺だけを拘束して菊に突き出せばいい。
こいつは一刻も早く病院へ連れて行ってほしい。」
この男はなかなかの
部下想いの人物でした。
イツキ君の反応は・・・。
第585話 ジャズの助っ人 覚醒の刻 シリーズ 第2章
部下の命を救うために命乞いをする
JFの精鋭部隊でしたが・・・。
「だめだ。この場でお前たち二人を拘束する。
2階で倒れている連中はおそらくもう息はないだろうが・・・。」
彼らは自分が放った銃弾があらぬ方向へ飛び,
跳ね返りを受けて被弾したのです。
「それに俺達にはそいつを治す手立ても何も持っていないからな。」
牛尾「ぐっ・・・。」
青山「それなら俺が何とかしよう。」
そこへ現れたのはレオンさんと同じ,
菊の幹部である青山氏でした。
「あっ青山さん!貴方まで来てくれたんですかっ!?」
だぬちゃんは青山さんの
ジャズファンでした。
青山「こんな廃墟でジャズを奏でる・・・って
わけにはさすがにいかないんでね。」
彼は冷静に状況を分析していました。
目線を負傷した敵の部下に向けました。
青山「荒治療になるが・・・。」
牛尾「おいっ何をする気だっ!」
その手にロープをかけたのは
イツキ君でした。
「とりあえずお前の身柄は拘束させてもらう。
下手な気を起こすなよ?」
牛尾はおとなしく従いました。
青山氏は持っていたかなり大きなリュックから
なんと治療セットを取り出しました。
そして彼は手際よく洗浄,消毒,止血をしていきました。
「どういうことですか・・・?
警察官ってそんなことまでできるんですか・・・?」
青山「ふぅ・・・。」
青山「俺は医師免許を持っている。
医者であり警察官なんだ。
そしてジャズミュージシャン。」
「どういうことだ?
さっぱりわからないぞ。」
青山さんは携帯用の医療道具で
あっという間に命を救いました。
「そういえば前に羽音々って人が負傷した病院にいた時に,
知り合いに挨拶をしていくって言っていたな。」
青山「よく覚えているね。そうだよ。
各務原病院の北坂外科部長は俺の同期だ。」
牛尾はごつい顔に似合わず,敵である
青山氏に深く感謝しているようでした。
青山「幸い銃弾は貫通しているし内臓の損傷もなさそうだ。
近くにヘリを停めてあるからそこから警察病院へ運ぼう。」
青山は一度ここから出ることを伝えました。
その時――。
「(なんだっ!?)」
殺気が走ります。
☆ 次回の更新は3月28日(土)を予定しています。