リクの少年昆虫記-過去のお話-
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目次
第33話 監視カメラ ノアシリーズ 第1章
第34話 盗まれた映像 ノアシリーズ 第1章
第35話 疑わしき人たち ノアシリーズ 第1章
第36話 すれ違い ノアシリーズ 第1章
第37話 少年昆虫団対決再び!<ヴィート対決編>
第38話 少年昆虫団対決再び!<ヴィート解説編>
第39話 少年昆虫団対決再び!<トシのヴィート編>
第40話 少年昆虫団対決再び!<イツキのヴィート編>
第41話 少年昆虫団対決再び!<勝敗決死編>
第42話 ホタルを見に行く
第43話 蛹になる
第44話 捕虫網を買いに行く
第45話 稲川淳姫の怪談
第46話 危険がいっぱい!カブクワ採集
第47話 灯火採集をしよう
第48話 ミヤマなクワガタ発見!
第33話~第36話
2014/4/12
第33話 監視カメラ
ノアシリーズ~第1章~
少年昆虫団は図書館のカウンターへ行き,乃木館長を訪ねました。
乃木館長は彼らに呼ばれたので,仕事していた手を止めました。
そして,イツキ君は怪しい人が尋ねてこなかったか聞きました。
乃木館長「う~ん,怪しい人か~。」
「大事なことだ,しっかり思い出してくれ。」
乃木「実は,その本を君たちが預かった翌日,
その本のことを尋ねてきた人物がいたよ。」
「何っ!?」
乃木「『この図書館には不似合いな英書がないか。』って質問されたんだ。」
「館長はそれで何て答えたの!?」
乃木「『英書ならたくさんありますが,
不似合いな本は無いかと思います。』と答えたよ。」
「そっか~。なら安心だね!」
乃木「この暑いのに帽子やマスクをしてたから
どんな人だったのか,よくわからないんだ。怪しい人だったよ。」
「他には何か聞いてこなかった?」
乃木「『表紙にリッキーが描かれている本だ』と言われて,
イツキ君に貸した本だと思ったんだ。」
「まさか,俺たちに貸したことをしゃべったのか!?」
乃木「いや,どうも本の持ち主ではなさそうだったからね。
『カブトムシの本なら図鑑コーナーにあります』と言って適当にごまかしておいたよ。」
「ナイス館長!」
「…!?」
「リク君,どう思う?
漆黒の追跡者とは関係ないのかな?」
「う~ん。」
ふと,イツキ君は天井を見ました。
「あそこに防犯カメラがあるよな。
あの映像って見ることできるか?
館長と怪しい人が話していた様子も記録されているはずだよな。」
乃木「え,いや,それは映っているだろうけど,う~ん…。」
「頼む。大事なことなんだよ。」
乃木「仕方ないな,特別だよ~。」
*実際の図書館館長及び書士がこのような行為をすることはありません!念のため。
乃木館長に案内され,映像室でカメラに
写っている内容を確認することになりました。
乃木「え~っと。確かこの日の記録だな。」
そこには怪しい人が写っていましたが,
どんな人物までかはわかりませんでした。
「思ったより,わかりづらいなぁ…。」
「残念ですね。」
乃木「あれ?この防犯カメラの管理をしているパソコン…。
様子ががおかしいな…。」
「どうしたの?」
乃木「いや,なんか異様に回線速度が重くて…。
本当はもっとスムーズなんだけどなぁ。」
「まさか!」
乃木「え?」
突然,リク君は監視カメラを管理している
パソコンの操作を始めました。
乃木「リク君!?勝手に触っちゃ駄目だよ。」
「館長はおとなしく見てろ。」
乃木「ええ!?」
「イツキ君,口が悪いよ…。」
「どうしたのぉぉぉぉ。」
「やはり…。間違いない。」
乃木「一体,何がどうしたっていうんだい?」
果たしてリク君が気づいたこととは…!?
第34話 盗まれた映像
ノアシリーズ~第1章~
「間違いない。
このパソコンは遠隔操作された形跡がある。」
「そんなことができるのぉぉ?」
「ああ,そして…。」
「“あの映像”が何者かにハッキングされているんだな…。」
「そういうこと。」
乃木「ちょっと,一体どういうこと!?
僕にもわかるように説明してくれよ。」
「イツキ君が“ノアの書”を
館長から受け取り,持ち帰る映像だよ…!」
「えええ~!まじですか!?」
「まずいな…。」
「ああ。」
乃木「でも,なんで…!?
僕はちゃんと誤魔化せたと思ったんだけどな…。」
「怪しい人と話した時の館長の言葉を もう一度言ってくれる?」
乃木「えっと,だから『表紙にリッキーが描かれている本だ』と言われて,
『カブトの本なら図鑑コーナーにある』と言って適当にごまかしておいたんだよ。」
「リク君,今のが何かまずいの?」
「『リッキー』って言われたら普通それが 何なのか聞くでしょ?」
「そっか~!リッキーって確か
“ヘラクレス・リッキー”のことだよね。
最大のカブトってこの前,言ってたもんね。」
「でも館長は迷わず
リッキー=ヘラクレスカブトって頭に浮かんだ。
つい最近,リッキーの絵か本物を見たんだと思われたんだよ。」
乃木「なっなんてことだ…。それでそいつがこのコンピュータを
遠隔操作して映像を抜きとったのか!」
「そういうことだね。」
乃木「でも何でそんなことを?
一体何が起こっているのか説明してくれよ。」
「今はまだ何も言えないよ。
真実が見えてこないからね。」
心配そうな顔をする乃木館長と別れ,図書館の外に出ました。
外に出るとすっかり日が暮れていました。
「リク君,何で館長に相談しなかったの?」
「そうですよ,大人の人に相談した方がよかったじゃないですか。」
「少し引っかかることがあってね。」
「そうだな。」
「え?どういうこと?」
第35話 疑わしき人たち
ノアシリーズ~第1章~
リク君とイツキ君は何か気になることがあるようです。
それは一体どんなことなのでしょうか。
「え?どういうこと?」
「監視カメラの映像が盗まれた。
それは,つまりボク達のことが
“漆黒の追跡者”にバレたかもしれないってことだよ…。」
「怖いよぉぉぉぉ。」
「ってことはあいつらがこの街に来てるんですか!?」
「多分ね。」
「でも,今の所,襲ってくる様子はない。」
「まだ,私たちがどこに住んでいるかまでは
つかめてないのかな?」
「そうかもしれない。もしくは…。」
「もしくは…?」
「すでに近くにいて,僕たちの様子を伺っているのかもしれない。」
「ああ…。」
「怪しい人っていったら…。」
「さっき会った大学院生!!」
「そうだね,でもひょっとしたらボク達の
知り合いに変装しているって可能性もあるよ。」
「それはいくらなんでも無理なんじゃ…?」
「いや,奴らならやりそうだ。」
「今日,会った人たちの中にも怪しい人はいたしね…。」
「え?誰!?」
「カブクワキングの店長と中野木図書館の館長ですか?」
「うん。」
「話についていけないぃぃぃぃ。」
リク君はトシ君を無視して話し続けました。
「店長は最近,急に優しくなったみたいで怪しいな。」
「館長も俺たちに協力的すぎるのが気になりますね。
人はやましいことがあると必要以上に
丁重に対応しようとするっていいますし。」
この3人の中に漆黒の追跡者の新メンバーである
影(シャドー)がいるのでしょうか。
リク君達は正体を暴き,真実へ近づくことができるのでしょうか。
「ねぇねぇ。栗林先生に相談してみない?」
「え?何を?」
「人を見る目よ!先生っていろんな生徒を見てきているから
そういうのって詳しいんじゃないかな!」
「なるほど。そうしてみようか。」
彼らは中野木小学校へ行くことにしました。
第36話 すれ違い
ノアシリーズ~第1章~
夕暮れになっていますが,学校へ行き,職員室を尋ねました。
安井先生「え…!?栗林先生ならほんの少し前に帰っちゃったよ。」
「ええ~!先生帰っちゃったんですか!?
まだ7時くらいじゃないですか。」
「ま,仕方ないな。先生の勤務時間も終わっているし。」
「仕方がない…。先生に相談するのは,また今度にしよう。」
「仕方ないけどそうしよっか。」
「今日は色々あって疲れましたね…。」
日も暮れてきたので今日はこれまでにして,みんなは解散しました。
その直後です。
栗林「いや~。忘れ物しちゃいました。」
栗林先生が職員室に戻ってきました。
安井「あ,栗林クン。さっきリク君たちが尋ねてきたよ。」
栗林「ええ,さっき門の所で会いました。
もう時間も遅いと思ったので早く家に帰るように言っておきました。」
安井「何か用事があったみたいだけど?」
栗林「宿題のことじゃないですか~。」
安井「なるほど。ありうるな。」
栗林「ところで何食べているんですか?」
安井「ん?ドラヤキだよ。食べる?」
栗林「いえ,結構です…。」
安井「そういえば稲姫先生とはうまくいってるの?」
栗林「え,はぁ…。」
忘れ物を取りに来ただけなのに
安井先生の雑談話に捕まってしまったようです。
こちらはイツキ君の部屋です。
夜遅くまで,ノアの書の解読を進めています。
「う~ん,これはどういう意味だ…。」
がんばっていますがなかなか思うようにはいかないようです。
「そもそも研究書がこんなに読みにくかったら
意味がないような…。」
彼の夏休みは“ノアの書”の解読に費やすつもりでした。
「少しずつわかってきた。これは…。」
イツキ君は小声でこう呟きました…。
「
ヒトが神になるための研究
…。」
全てが解明するのはまだまだ少し先の話になりそうです。
ノアシリーズ ~第1章完~
第37話~第40話
2014/5/10
第37話 少年昆虫団対決再び!
<ヴィート対決編>
いつものように大牧山でカブクワ採集をしていると,
偶然にも彼らに出会ってしまいました。
スナ「こんな所で会うなんて奇遇だな。
おいリク!少年昆虫団の名前を名乗れなくなった気分はどうだ!?」
現れたのはスナ君たちでした。
「名乗ってなかったっけ?」
「いや,あの対決以降もしょっちゅう名乗ってましたよ。」
スナ「おい,ダメだろ!」
「うるさいなぁ…。」
「めんどくさいやつだ。」
「じゃあ,もう一度,対決しようよ。
それでこちらが勝ったら再び少年昆虫団を名乗らせてもらう。
負けた方は勝った方が決めたチーム名を
これから名乗ることにするってのはどう?」
お調子者のスナ君は簡単に口車にのってしまいました。
スナ「おもしろそうだな!いいだろう!」
「また,昆虫の名前あてクイズ?」
スナ「いや,今回は“ヴィート対決”で行こうじゃないか!!」
「…?」
「(彼はどんどん中二的になっていきますね…。)」
スナ「だからヴ・ィ・ー・ト!・対・決だよ!」
「なんだよ,それ。意味わかんないよ。」
スナ「何ぃぃ。まじか,お前たち,
そんなこともわからないまま昆虫採集やってたのかよ!」
「ホントにうるさいやつだ。」
スナ「サラ,彼らにもわかるように“ヴィート”とは何か,
説明してあげたまえ。」
サラ「了解。」
サラ君はスラスラと解説を始めました。
サラ「君たちも,大人には通じない,
子供にしか通じない技をもっているだろう?」
「あ,それ知ってるかも。」
「まさか,トシ君の“愚王の威厳”とかですかね。」
サラ「おそらくそれのことです。
それを一般的には"ヴィート"と呼んでいるのです。」
「ホントかな…。スナが勝手に
言ってるだけじゃないの…。」
サラ「どうしてこれが大人には通じないか,わかりますか?」
「え,どうして?」
サラ「ヴィートはいわば子供が考え出した妄想を
究極に具現化したものなんです。
だから所詮は妄想。大人には通じないんです。」
「簡単に言うと子供がよくやるごっこ遊びだな…。」
サラ「ま,そんなもんです。」
「いや,でもそれでどうやって対決するんだよ。」
スナ「いいから話を最後まで聞け。」
なんだかわけのわからないお話になってきました…。
こんなことで昆虫採集はできるのでしょうか。
第38話 少年昆虫団対決再び!
<ヴィート解説編>
サラ君がヴィートの説明をしています。
サラ「ヴィートにはそれぞれ特性があります。」
「特性?」
サラ「そう,大きく分けて3パターンです。」
「言ってることが難しいなぁぁ。」
「残念!頭の容量オーバーしちゃいましたね。」
サラ「主に“攻撃タイプ”,“守りタイプ”,“特殊タイプ”です。」
「むむ…。」
サラ「このパターンにはじゃんけんのように3すくみになっています。」
サラ「同じタイプの場合はより上位のヴィートが有利になるわけです。
さらに同じタイプでも属性があったりするわけですが,
それはまた別の機会にしましょうか。」
「なるほど,相手の弱点を突いてヴィートを
使いこなさないと勝てないわけか。」
サラ「どのタイプがどのタイプに強いかは実践で学んで下さい。
そこまでは教えられません!」
スナ「どうだ,わかったか?当然,何パターンもの
ヴィートは使えるんだよな」
「え?使えましたっけ?」
「使えないぃぃぃ。」
「使えないね…。
というかボクの技はそのヴィートとかっていうのじゃないし。」
スナ「とかなんとかいって,自信がないんだろう?
いいぞ,その技とやらを後で使ってみなよ!」
「あっそう…。」
スナ「とにかくヴィートのことはだいたいわかったな。」
「でも,誰と誰が対決するんですか?」
「あまり長いのは嫌だよ…。面倒くさいし。」
スナ「じゃあこうしよう。今回は代表3人を選出し,
ヴィート対決で勝敗を決める。」
「いいよ。じゃあこっちはトシとイツキ君とボクね。」
「え,そんな簡単に決めちゃっていいの。」
「いいの,いいの。トシはともかくイツキ君と
ボクで2勝すればいいだけだし。」
スナ「なめやがって。では,こちらはジャイとサラと俺の3人が代表だ。」
周りはすっかり暗くなっていました。
この大牧山でヴィート対決がはじまろうとしていました。
第39話 少年昆虫団対決再び!
<トシのヴィート編>
まずはトシ君VSジャイ君のようです。
「トシ君,そんなやつ“愚王の威厳”で
一発でかたづけちゃってください。」
「うおぉぉ~。やってやるよぉぉぉ~!」
トシ君は愚王の威厳を発動しました。
みるみるトシ君は巨大化していきました。
スナ「ふん。たいしたことないな。」
ジャイ「ジャジャジャジャ。」
「あいつ,なんか余裕だぞ。」
「むむむ…。」
ジャイ君は体中に力を込めて叫びました。
ジャイ「ジャジャジャジャイ!!」
「で・・でかい!なんじゃ~こりゃ~!!」
その大きさは大気圏を突破していました。
「でもこれって確か…。」
「以前,ここで見た巨人…。」
「進撃のジャイ…!?」
スナ「彼はたまにこの大牧山でヴィートの具現化特訓をしているんだ。」
「この前見た,巨人はジャイ君だったのですね。」
みんなが驚いているわずかな間に,
トシ君は空を突き破るほど巨大化したジャイ君につぶされ,
勝負は決してしまいました。
「ふしゅぅぅ。」
「ホントに彼は役に立ちませんね。」
「面目ないぃぃぃ。」
スナ「まずはこちらの勝利だな。」
「まぁ,ここまでは予定通り…。
イツキ君,頼むよ!」
「まかせろ。“氷結人間”以上のヴィートを見せてやるよ。」
「え,イツキ君すごいんだね!」
「さっきの話を聞いていて,ヴィートの仕組みはほぼ理解した。」
「なんかノリノリになってきましたね。」
後がなくなったリク君たち。
はたしてイツキ君に勝算はあるのでしょうか。
第40話 少年昆虫団対決再び!
<イツキのヴィート編>
イツキ君対サラ君の対決がすでに始まっていました。
サラ「こちらから行かせてもらうよ!」
「どこからでもどうぞ。」
サラ「冷涼社会人(クールビズ)」
サラ君はクールビズモードに入りました。
「(あれは攻めの型に見えて実は特殊型だな…。)」
見た目でどんな型なのかを推測できないことがほとんどです。
相手の型を推理し,より有利なヴィートを
使うことが勝利に近づくことになるようです。
イツキ君は相手の力を正確に分析することに長けていました。
すかさず,自分のヴィートを放ちます。
「俺に寒さで勝負を挑むとはいい度胸だ。」
「がんばって!」
「しっかり温めておけよ。」
「はい?」
「え!?」
「極軸移動(ポールシフト)!!」
「いやいやいや!!
MMRのえせ科学,そのままじゃないですか!?」
「地球が凍った!スノーボール!?」
「寒いよ~!」
「地球の地軸を一瞬で移動させ,
全地球を瞬間的に氷河時代にしたんだ!」」
リク君が解説する間もなく,サラ君は氷漬けになってしまいました。
「勝負ありだな。」
「これ,突っ込みどころ満載なんですけど,いいんですか…?」
「いいんだよ,しょせん妄想だから。」
「もうむちゃくちゃだね!」
スナ「ぐぬぬぬ…。まさかサラが負けるとは…。」
いよいよ大将の決戦で勝敗が決まります。
第41話~第44話
2014/6/21
第41話 少年昆虫団対決再び!
<勝敗決死編>
二人がにらみ合っています。リク君対スナ君の対決が始まります。
スナ「見て驚け!この俺のヴィートを!」
スナ君が力を込めはじめました。
リク君はスナ君が隙を見せたその一瞬で間合いに侵入し,
技を放ちました。
「最後の生誕祭・前々日(ラスト・オブ・クリスマス・イヴイヴ)!!」
スナ「ぎにゃあぁぁぁぁぁぁ」
「いやいやいやいや…。」
スナ「いてぇ~…いてぇ~!!」
「あたりまえだよ。これは妄想じゃない。実戦で使える技だからね!」
スナ「ずっずるいぞ…!」
「何を使ってもいいっていったのは,そっちだろ。約束は約束だ。」
「そうね。」
「じゃあ約束通り,“少年昆虫団”の名前は返してもらうね。」
スナ「くっそ~…。」
「スナたちにはそうだな~。よし,“スナぴょん団”ってのはどう?」
「可愛い~!」
「…。」
スナ「え,いやだ…。かっこ悪い。」
「決定~!君たちは今日から“スナぴょん団”ね。」
スナ「おい,人の話を聞け!」
「約束だろ。負けた方は従うって。」
スナ「ぐぬぬぬぬ…。」
少年昆虫団対決も無事終わり,“スナぴょん団”も誕生し,
みんなはそのあとのカブクワ採集を楽しんだようです。
第42話 ホタルを見に行く
夏休みが始まる約1か月前の出来事―
リク君,だぬちゃん,まさらちゃんの3人は
小山川の上流にホタルを見に来ていました。
「確か,この辺りだったかな~。」
「結構,山奥ですね…。しかもジメジメします。」
「これくらいジメジメしていた方がホタルも出やすいんだよ。」
「ホタル見るの初めてだから楽しみ!」
「でも,なんでホタルを見に行く必要があるんですか…。」
「だってまだカブクワは蛹だから採集できないでしょ!?
だからそれまでの時期は違う昆虫を見たり,
採集したりして楽しむんだ。」
「小山川なんかにいるんですか~。」
「うん,いるはずだよ。小山川の上流は水がきれいなんだ。」
「そうなんですか。」
明るい満月の元、ホタルを探し続きます。
しばらくすると淡い光が見えてきました。
「あ,あれだ。あれがホタルだよ。」
「おお~、ホントにいるんですね!」
「すごい!きれいだね~。」
「21世紀も始まって20年以上たつのに,
未だに絶滅せずにいるんですね。」
「一時期、水が汚れて絶滅しそうになったけど,
その後の人たちの努力でホタルの光がもどってきたんだね。」
淡いホタルの光をたっぷりと堪能したリク君達でした。
第43話 蛹になる
ホタルを見に行った次の日のお話です。
だぬちゃんはリク君のお家に遊びに来ていました。
「やあ,だぬちゃん,昨日は楽しかったね。」
「確かにホタルはきれいでしたけど,疲れました。」
「そっか。」
「それでだぬに見せたいものってなんですか?」
「これ,これ!」
「えっと…。これは,カブトムシの蛹ですか。」
「そうそう!この前蛹になったんだ!」
「そうですか。」
「ちなみにこれは人工蛹室なんだよ。」
「なんですか,それ?」
「蛹の部屋が壊れてしまった時に,
トイレットペーパーの芯などを使って
蛹の部屋を作ってあげるんだよ。」
「なるほど~。」
「早く羽化しないかな~。」
リク君はカブトムシの羽化を心待ちにしているようです。
あと3週間ほどで羽化しそうです。
「そういえば,夏休みに新作RPG,
『レジェンドオブ中世』の続編が出るらしいですよ。」
「ああ,あのクソゲーね。興味ないね~。」
「そうですか~。」
どうやらリク君はあまりゲームには興味がないようです。
しかし,一体どんなゲームなのでしょうか。
「早く夏休みにならないかな~。
夏休みになったら毎日虫採りに行こうね!」
「う~ん,なんか嫌な予感がしますよ…。」
この1ヶ月後,だぬちゃんの嫌な予感は的中することになるのでした。
彼らと遭遇することによって…。
第44話 捕虫網を買いに行く
夏休みに入る前,リク君は捕虫網を買うために
一人でカブクワ“キング”に来ていました。
「こんにちは,店長!」
店長「やぁ,よく来たね。」
「捕虫網を買いに来たんだ。」
店長「いつものじゃないのかい?」
「それとは別に欲しいんだ。」
店長「じゃあ,これなんかどうだい?」
伊藤店長は小学生向けの捕虫網を取り出してリク君に見せました。
「こんな,子供向けの嫌だよ…。」
店長「そっそれもそうだね…。」
「捕虫網といっても色々な種類があるからね。」
店長「うむ。」
「とりあえず,これなんかがいいな。」
そう言って,軽合金四折式グラスロッド引抜式4本継50cmナイロン網付
全長400cm(縮形120cm)を手にしました。
店長「さすが,目の付けどころが違うね。そいつはなかなか使い勝手がいいぜ。」
「じゃあ,いつものやつとこれにするよ!」
店長「はいよ!」
こうしてリク君は新しい捕虫網を手にしました。
第45話~第48話
2014/7/20
第45話 稲川淳姫の怪談
これは夏休みに入る前,終業式前日のお話です。
リク君たちは学年集会の最中で先生たちのお話を聞いていました。
まずは,一番若い,栗林先生が勉強についてのお話をしました。
A組の先生は産休に入りお休みなので代わりの先生がお話をしました。
続いて安井先生が夏休み中の生活の仕方などについて熱く語りました。
あまりにも熱く語るので体育館は余計に暑くなり,
話も予定時間を超えてしまい,みんな辛そうでした。
「(勘弁してくださいよ~。話が長いですよ~。)」
スナ「(相変わらず話が長いですよ…。早く虫取りに行きたいのに…。)」
そして,最後に学年主任の稲川先生
(年齢45・独身男性)のお話が始まりました。
稲川 淳姫(じゅんき) 年齢45・独身男性
稲川「はぁぁい。では今から先生のお話を始めます。」
「…。」
稲川「夏休みに向けて一つ,怪談話をしようと思います…。」
「いや~。怖い~!」
「なんでだよ…。」
稲川「みんなは百物語を知っているかな?
怖い話を1つするたびにろうそくを1本消していくんだ。」
「…。」
稲川「そして,最後に100本目のろうそくを消したら霊界の扉が開き,
多くの妖怪や幽霊が現れるんだよ。」
「…。」
稲川「今回は先生が100話の怪談噺をしてあげようね。
うひひひひひひひ。」
「…。」
稲川「うお~うお~。」
しばらく稲川先生の怪談噺が続きます。
稲川「そしたら,後ろに誰もいないんですよぉ。
でも声が聞こえるんですよね。『助けて~,助けて~』って。」
「く~く~。」
「ひぃぃぃぃぃ。いや,幽霊はいない!」
チャイムがなってしまい大掃除の時間になりましたが,
稲川先生は構わず怪談噺を続けます。
稲川「『ぎゃあぁぁぁぁ。』…と叫び声があがります。」
そしてついに100話目の話が終わりました。
「ぐお~ぐお~。」
稲川「これで100話の物語が終わりました。
100本目のろうそくを消しましょう。」
「本当に幽霊が出たりしないよね…。」
稲川「しかし,みんなもダメですね~。これを消したら本当に幽霊が現れ,
君たちを霊界に連れ去ってしまうんですよ?」
みんな「え!?」
稲川「途中で止めるべきでしたね~。うひひひひひひ。」
「うそ…。」
稲川「では,消しましょう…。」
「リク君,寝てる場合じゃないよ!?幽霊出ちゃうよ。」
「ん?終わったの…?」
稲川「ちょうど今,終わるところですよ。そして幽霊が本当に出るのです。」
「なるほど。」
おもむろにリク君は立ち上がり,説明を始めました。
「今回の学年集会の話のテーマは
怪談なんかじゃないですよね?稲川先生。」
稲川「え?」
「真のテーマは"正しい情報を見極める能力"についてのお話さ。」
稲川「え?」
「つまり誤った情報に惑わされることなく,
適切な行動ができるようになって欲しいと先生はいっているんだ。」
稲川「え?まぁね・・・。」
彼は少したじろぎました。
稲川「(ただ,夏だから得意な怪談噺をしただけなんだが…。)」
「本当かな…。」
稲川「え~,みなさん,それでは夏休みをしっかり楽しんできてくださいね。
私も来週から北海道へ長期旅行に行ってきますので,
しばらく会えません。また2学期に会いましょう~!」
「なんだそれ…。」
この日の夜,リク君達にちょっとした出来事が起こるのですが
それはまた別の機会にお話しましょう。
ともかく,こうしてリク君たちの夏休みが始まるのでした。
第46話 危険がいっぱい!カブクワ採集
今日は岐阜県の猫山に来ています。
「ここってなんか怖いんだよね…。」
「結構,山が奥深いからね,気を付けて進もう。」
「ぎゃぁぁぁぁ!!!」
突然トシ君が叫びました。
「うるさいな,どうしたんだ。」
「虫が~虫~。」
「これはスズメバチですね。確かに危険ですね!」
「刺激しないようにしよう。この木の探索をあきらめて次に行こう。
命を懸けてカブクワ採集しても意味ないしね。」
「今のハチ,20センチはあったぞ。ヤバすぎる!」
「そんなにないですよ…。4センチくらいですよ…。」
「ぎゃぁぁぁぁぁ~!!!」
またまた,トシ君が叫びました。
「今度はなんだ!?」
「ゲジゲジゲジゲジ…。」
「ああ,これはトビズムカデだよ。
毒を持っているからかまれないように気を付けてね。」
「怖いよ~,今の1mはあったよ。」
「いや,ないよ…。」
少年昆虫団はカブクワを何匹も採集しながら奥に進んでいきます。
ここはなかなかよい採集スポットのようです。
「いや~,今日は結構とれるね。
小さいのは逃がしても籠の中に10匹はいるよ。」
リク君は大満足のようです。
「ぎゃぁぁぁぁぁ~!!!」
またまた,トシ君が叫びました。
「いい加減にしないとぶっ飛ばすぞ。」
「だってあれ,へび!アナコンダ!?10mはありますよ!」
「いや、ないよ。あれはヤマカガシだね。
20センチくらいだからまだ子供だね。
でも、この生物も毒をもっているから気を付けよう。」
「もうここ嫌だよ~!!!」
「たくさんカブクワが取れてサイコ~。」
まったく対照的な二人でした。
しかし,昆虫採集には危険な生き物がいっぱいいることも事実です。
気を付けて採集を行うようにしましょう。
「なんか今回の採集で新しいヴィートが使えるようになった気がする。」
「ほんとですか?どんなのです?今見せてください。」
「う~ん、実戦にならないとだめみたいぃぃ。」
いずれトシ君の新ヴィートが見られそうです。
第47話 灯火採集をしよう
今回は灯火採集についてのお話です。
灯火採集ってなんだろうと思った人は必見ですよ。
「ほんとに昆虫が集まってくるのかな~。」
「そのはずだよ。」
リク君達は昼間の間に灯火採集のしかけをつくっておいたのです。
「だぬはあまりよくわかってないんですけど…。」
「灯火採集っていうのは昆虫が光に集まる性質を
利用して採集をする方法なんだよ。」
「ほほう。」
「白い布を張ってそこに蛍光灯を照らすだけ。」
「たったそれだけでカブクワが採れるんだー。」
「まぁ,カブクワが必ず採れるとは限らないけど…。」
「どういうことぉぉ?」
「ついたぞ,布を張った所に。」
「どれどれ,楽しみー。」
「ぎゃ~!!ガや変な虫だらけー!!?」
「だから言ったでしょ。カブクワばかりじゃないって…。」
「ガが多いな…。」
「あ,でも布のふちの方に小さいクワガタがいますよ。」
「コクワのメスだね。まあ,収穫はあったからいいとしよう。」
灯火採集はどこでも簡単にできる仕掛けですが,
必ずカブクワが採れるとは限りません。
また,ガなどの虫も大量に集まってきます。
終わった後は,しっかりと片付けをしておきましょう。
第48話 ミヤマなクワガタ発見!
今回はリク君たちの住む名古屋から少し遠い,岐阜県のある町まで来ていました。
「下見も済ませたし,今日もたくさんカブクワガ取れそうだ!」
「名古屋より少し涼しいね。」
「ですね。」
少年昆虫団は少し深い森へ入っていきました。
「カブトムシが少ないな。」
「ここは山地で少し気温が低いからね。
カブトはどちらかというと気温の高い平地に多いから。」
「へぇ~。そうなんですか。」
「じゃあ,ここではカブクワ取れないんじゃないの?」
「大丈夫,たぶんこのあたりに…。」
そういって木のウロを覗き込みました。
「ほら,いたいた。ミヤマクワガタだ!」
「ミヤマクワガタ?」
「なかなか大きいな。」
「触るのはちょっと無理だなー。これは。」
「頭の形がかっこいいねー。」
「これ,あんまり名古屋では採れないですよね?
珍しいクワガタですか?」
「そんなこともないけど…。昼間でも採れるときはあるしね。」
「そうなんですか。」
「ただし,寿命はそんなに長くないからね。この夏だけ楽しませてもらおう!」
普段,地元で見ることのないクワガタを採集して大満足だったようです。
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