リクの少年昆虫記-過去のお話-

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第577話~第580話

2025/12/30

第577話 不穏な研究施設 覚醒の刻 シリーズ 第2章

夏の夕暮れ,山奥にひっそりと

忘れられた三階建ての研究施設に,

少年昆虫団の5人とレオンさんがいました。



建物の中は埃が積もり,

長年誰も使っていない空気が漂っていました。



この施設に来た理由は,

リク君が常に持っていた捕虫網“ツクヨミ”が

闇組織の御前に折られてしまい,

代わりが必要だったからです。



ここは以前リク君が強力な武器である棒を

もらった場所でもあったのです。



その棒の先にアミを取り付け,普段は捕虫網

として利用し,緊急時には戦闘用として使っていました。



夏とはいえ,さすがに辺りが暗くなってきました。



バーベキューのセットと食材を

持ってきていたので,施設の外で食べていました。



みんなは昨日の闇組織JFとの戦いで

敗北したことを振り返りながらも,

これまでの夏休みの思い出を語り合って,

楽しく談笑していました。



ただ,イツキ君が不穏なことを言っていました。



闇組織JFの追手がまたくるのではないか?と・・・。



周りを見渡していましたが,

その様子は見られませんでした。



しかし彼の見立て通り,

奴らは少し離れた場所から,

襲撃の計画を実行しようとしていました。





その気配をいち早く察知したのはこの三人でした。



「どうやら俺の予感は

的中したみたいだな。」


「みんなっ!すぐに建物の中にはいるんだ!」



レオンさんが呼びかけます。



「・・・。」



まさらちゃんやトシ君は何事?と

思いながらも指示に従います。



最後にレオンさんが入り口から

建物の中に入り,扉を閉めます。



リク君が別の部屋に置いてあった,

ロープを扉の取手に括り付けて縛りました。



だぬちゃんが入り口からほど近い

廊下側の割れた窓から外をのぞくと,

黒い戦闘服に銃を構えた集団が

施設を包囲していました。



彼らの指揮を執っていたのは,

ニット帽子をかぶった三十代の男でした。



彼は一番後ろから,冷たい声で



南雲「三部隊,梟,鷲,鶴は突入せよ!」



と,指示を出しました。



さらに,その中に一人,

異様な雰囲気を持つ青年がいました。



年は十代にしか見えませんが,

腰に下げた日本刀を抜くと,鋭い光を放ちました。



東條「さて,狩りの時間だ。」



南雲「東條さん,申し上げにくいのですが,

遊びではありませんので。」



他ユニットとはいえ,

東條は南雲より立場が上なので,

彼は遠慮がちに進言します。



彼はニコッと笑い,



東條「遊びだよ。とってもやりがいのある遊びさ。」



「まずいね・・・。」

「あれってもしかして闇組織JFの連中だよね!」



みんなはまだ入ってすぐの場所にいました。



「どうしてだぬ達がここに

いるってわかったんですか!?」


「もしかしてここは元々

あいつらの施設だったのか!?」




様々な推論が飛び交いますが,

今は悠長に議論している時間はありませんでした。



「しかし,災いっていうのは

いつも急に訪れるもんだな。」


「いや,ちょうどいい!」



この場にいたら,すぐにでも

全滅しそうだったので

場所を移動することにしました。



「みんな,入り口をふさごう!」



施設の入り口にはほかの部屋にあった,

棚や机などを無造作に置き,

時間稼ぎをすることにしました。



「でも,窓も割れまくっていますし,

すぐにでも侵入されそうですよ。」




彼らは急いで廊下を駆け抜け,

奥の道へと消えていきました。



第578話 研究施設にて作戦会議 覚醒の刻 シリーズ 第2章

先ほどまでバーベキューを楽しんでいた少年昆虫団でしたが,

またしても闇組織JFの追手がやってきて,

施設を取り囲まれてしまいました。



中に立てこもったものの,

突破されるのは時間の問題でした。



果たしてこの窮地をどのようにして

切り抜けるのでしょうか。



施設の中では,

こんな会話が繰り広げられていました。



「新しくなったコイツの性能と

オレの新技で返り討ちにしてやるよっ!」


「いや,いくら君が強いといっても

それでは全員を守り切れるとは限らない。」




レオンさんは組織として

対抗すべきだと提案しました。



「まず,前戦で敵の進軍を遅らせる

役目が必要だ。その間に他のメンバーで

侵入に備えた対策を行う。」




「いいですね!

だぬたちもがんばりますよっ!」




いつになくやる気のだぬちゃんでした。



「じゃあ,オイラが

最前線かな?」




トシ君は力こぶを作って

自分をアピールしました。



「なんでそうなるんだよ?」



イツキ君が少し小ばかにした感じで

その意見を取り下げようとします。



「いや,トシ君の体の大きさは

こちらにとってはメリットだ。

自分とトシ君で受け持つことにしよう。」




レオンさんの提案に

一番驚いていたのは,

トシ君自身でした。





「おそらく正面入り口と,

東西の窓から敵は侵入してくるだろう。」




レオンさんはみんなに

イヤコムの電源をオンにするよう

指示しました。



「リク君とだぬちゃんで

2階の入り口を守ってほしい。

まさらちゃんとイツキ君は3階で

やってほしいことがある。」




「もしかしてさっきのことか?

あれならすでに準備できているぞ。」




先ほど二人で何やら話をしていた

件の事でしょうか。



「じゃあ,あとは

電源を入れるだけだね。」


「なんかよくわからないけど,

わたしでできることなら

がんばるよ!」




まさらちゃんも

怖がってはいられませんでした。



「敵の数は多いが,

全員で協力して

返り討ちにしてやろう!」




みんなの士気は

とても高いようでした。



「あ,レオンさん!」



リク君がレオンさんに

声をかけました。



「あのさ・・・。」



リク君がレオンさんに何やら耳打ちをし,

それを聞いたレオンさんは

ニコッと笑いながら,



「さすがだね。」



と返しました。



各自がそれぞれの役割を行うために

ちらばっていきました。



その直後の事です。

窓から何かが投げ入れられました。

どうやら発煙筒のようです。



あっという間に廊下が

煙で包まれました。



「レオンさん

これやばいんじゃないかな!?」


「大丈夫だよ!」



トシ君は心の中で,

“絶対に根拠ないでしょっ!”と

突っ込みました。



同時刻,

施設の外では・・・。



南雲「三部隊,梟,鷲,鶴は突入せよ!」



それぞれの隊長である

山根,蒲生,牛尾が指揮を執り,

作戦が実行されます。



今回の闇組織JFの戦力は



司令官:南雲

相談役&遊撃隊:東條

戦闘員:精鋭部隊

梟:山根 鷲:蒲生 鶴:牛尾

藪蛇準幹部:マヤ

川蝉準幹部:木戸



となっていました。



警察官1名と

たった5名の少年を抹殺するには,

十分すぎる戦力でした。



第579話 研究施設の攻防 覚醒の刻 シリーズ 第2章

南雲「決して油断はするな!」



南雲は通信機器で

前線の部隊に呼びかけます。



施設左側の窓の下に

張り付いているのは,

精鋭部隊の梟でした。



リーダーの山根が3人の部下に

ハンドサインで指示を出します。



指示を受け取った部下の,

“根倉(ねくら)”という

コードネームの人物が,

閃光弾を割れた窓ガラスの隙間から

投げ入れました。



まばゆい光と音が辺りに広がります。



窓は2mほどの高い場所にあったので,

はしごを使って手際よく窓から侵攻を始めました。



施設右側に配置された鶴も,

同等の手段で侵入を試みます。



中央玄関は時間稼ぎのために置かれた

家具や机のおかげで開くことができません。



配置されているのは,

精鋭部隊の中でも

ナンバー2とされている

“鷲”でした。



リーダーの蒲生は,

時限式の爆薬を

入り口にセットしました。



火薬量を調節し,

建物全体には影響が出ない

程度の量の爆弾でした。



鷲のメンバーは,いったん入り口から離れます。



蒲生「よし,点火。」



リーダーの合図で,

部下がスイッチを入れます。



次の瞬間,大きな轟音と共に

入り口の扉が破壊され,

その威力でバリケードも

吹きとんで行きました。





それを窓から侵入しながら

見ていた,梟のメンバーは,



列島「むちゃくちゃしやがる・・・。」



と,不快感をあらわにしていました。



この“列島(れっとう)”という

コードネームの部下も,

梟の一員です。



梟のメンバー全員が,

施設の中に侵入しました。



南雲「よし,順調だな。

速やかに対象を抹殺せよ。」




南雲が指示を送ります。



しかし,次の瞬間・・・。



彼らは一歩も進むことが

できませんでした。



山根「なんだ,これはっ!?」



床には大量の塗料が

ぶちまけられていました。



再寂「接着剤・・・!?」



再寂(さいじゃく)という

コードネームの部下が叫びます。



山根「こんなものに,ひるむ必要はない!進め!」



なんとかその液体がまかれた廊下を進もうとします。



中央入り口から遠い方角に

向かっていました。



全員が,接着剤のエリアを抜けたのですが,

体中が接着剤まみれとなっています。



山根「これは一体

なんなんだ・・・。」




列島「ぎゃぁぁぁ!」



突如,隣にいた列島が叫びだします。



下に目をやると,

おびただしい数のアレが

うごめいています。



山根「なんだこの・・・。」



どうやら接着剤は,液体状にした

構成されていたようです。



再寂「廃墟だから

こんなにいるのかっ!

ゴキ・・・ッ!」




体中をはい回るので,

それを振り払おうとして,

さらに接着剤がお互いの体という体,

さらには装備にまでまとわりつき,

全員が動けなくなってしまいました。



その様子を,少し離れた場所で

見ていた少年がいました。



「よし,作戦成功っ!」



どうやら,リク君の発案だったようです。



2階に上がって立てこもる前に,

窓から敵が侵入してくることを

想定して,準備をしていたようです。



そのような接着剤が保管されていたことを

知っているリク君だからこそ,できた作戦でした。



精鋭部隊“梟”:ゴキと接着剤にまみれて,

早々に戦線離脱



リク君は奥の階段を

駆け上がっていきました。



第580話 研究施設での再戦 覚醒の刻 シリーズ 第2章

リク君が精鋭部隊の梟を撃退したのと

ほぼ同時刻の1階右側では・・・。



同じように窓から

精鋭部隊の鶴が突破を試みました。



空き部屋を抜けて廊下に出ます。



どうやら右側には

少年昆虫団のメンバーは

誰もいないようでした。



彼らは易々と施設内に潜入すると,

そのまま端にある2階へ続く階段を

上っていきました。



一方で建物の入り口を爆破してこじ開けた

精鋭部隊“鷲”は,慎重にガレキをどかしていきます。



周囲を覆っていた

粉塵が消えると・・・。



そこにはレオンさんが

身構えていました。



蒲生「貴様はっ・・・!」



精鋭部隊は間髪入れずに発砲します。



しかし弾は明後日の方向へ

飛んでいきました。



蒲生「これはっ・・・!」



東條「やはりアレが使われていますか。」



彼らの後ろからゆっくりと

歩いてくる人影が見えました。



シックスユニット幹部の東條です。



左の腰には愛用の

日本刀を下げていました。



蒲生「東條様・・・!」



「さっそく主力のおでましか。」



レオンさんが身構えます。



東條「この建物のどこかに,銃撃を無効化する

装置が置かれていますね。」




東條は外から

建物を見渡しました。



「どうかな?」



レオンさんはとぼけて見せます。



東條「やっぱり大陸の

粗悪品の銃弾じゃだめなんですよ。」




彼は鷹が持っていた

マガジンを取り上げました。



東條「ちゃんと鉛玉を使わないと。」



そう言いながら,

銃弾を手際よく

交換していきます。



東條「僕は飛び道具を

使わないんで安心してください。」




そう言って銃を蒲生に返しました。



蒲生は受け取った銃で

再度レオンさんに向けて

発砲しました。



しかしやはり,銃自体が何かに

引っ張られているようで,

うまく照準が合いません。



蒲生「くっ・・・。」



東條「あなたたちは先に,

建物の奥へ進んでください。」




彼は日本刀を抜きました。



「行かせると思うか。」



東條「僕のことをなめてます?」



刀の切っ先は,まっすぐに5mほど

離れたレオンさんに向けられていました。



レオンさんは横目で,通り過ぎていく

精鋭部隊鷲を見送ることにしました。



それを見計らったかのように,

残った大きなガレキの隙間から

トシ君が出てきました。



「これはまずいんじゃ・・・。」



「大丈夫だよ。」



レオンさんは

トシ君に声を掛けますが,

彼は不安でいっぱいでした。



「今からこいつを

ここで倒して拘束する。

君はサポートを頼む。」




トシ君はガレキから顔だけ出して,

二人の戦いを見守ることにしました。



東條「久々の対戦だね。

この前は途中で終わっちゃったからね。」




「今度こそお前を捕まえる。」





研究施設入り口のすぐ外で,

二人の激突が始まろうとしていました。









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