リクの少年昆虫記-過去のお話-

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目次

第593話~第596話

2026/6/20

第593話 新しい力覚醒の刻 シリーズ 最終章

リク君が新しい力とあたらしい捕虫網を手に入れて,

大幅なパワーアップに成功しました。



その力で正面にいた指揮官の南雲と精鋭部隊に,

大きなダメージを与えることができました。



南雲「ふざけやがって・・・!」



彼は持ち前の体力で,

よろめきながらも立ち上がります。



「さすがにタフだな。」



レオンさんはリク君に近づき,



「すごいよ,君は。」



と褒めました。





「なんか菊の幹部の人たちも

来てくれたんだね。」




「ああ,こうなることを想定して

事前に準備してもらっていたんだ。」




レオンさんに策有りだったようです。



組織に潜入しているレオンさんの友人である

“小東”も関わっているようです。



「でも全然まだ気を抜けないんだ。」



彼の表情は真剣なままです。



「わかってる。

あいつらがいるからだよね。」




その先には東條とマヤが並んで立っていました。



すぐそばにいるのは青山氏と,

毒で動けなくなっている片岡氏です。



青山「くっ・・・。」



ここで治療をやめるわけにはいきません。



「東條って奴の相手はボクがする。」



リク君が前に出ます。



「だが・・・!?」

「レオンさんはアイツを頼む。」



南雲はレオンさんに向かって,

渾身の力を込めて殴りかかってきました。



レオンさんはそれを右の拳ではじき返します。



「わかった。すぐに片づけて

そっちの援軍に入る。」




南雲「なめられたもんだなぁっ!!」

レオンさんは軽々と南雲の攻撃をいなし続けます。



赤神「俺もこれ以上は引けないようだ。」



赤神氏がマヤという女をにらみつけます。



東條「その人,マヤのこと気に入ったみたいだし

お願いするよ。」




マヤ「・・・。」



彼女は何も答えませんでしたが,

しっかりと構えて赤神氏の攻撃に備えていました。



東條「では僕は昆虫少年と

再び遊ばせてもらいますよ。」




東條は刀の柄に手を当てて,

抜刀術の構えをしました。



「!」



東條「君のさっきの力はとても不思議だった。

なにせ離れた所の相手を吹き飛ばしたんだからね。」




ぐっと力を込めて構えます。

いつでも抜刀できるといわんばかりの空気でした。



東條「まずはその技の正体を

見極めさせてもらうよ。」




「できるかな?」



リク君も構えます。

そして手を大きく後ろにそらせ,

その態勢のまま・・・。



―大海 二刀流 不知火(しらぬい)―



その技の威力は・・・!?



第594話 形勢逆転!?覚醒の刻 シリーズ 最終章

リク君が大きく腕を後ろに伸ばしたまま,

天照とカグヅチを手にして構えます。



―大海 二刀流 不知火(しらぬい)―



前進しながら大きく前に網を交差させ,

振りかぶります。





ギュオォォッツ!!



すると大きな渦が猛烈な速さで,

東條とマヤに襲い掛かります。



東條「これはっ!」



二人はそれをかわします。



入り口付近に散らばっていたガレキは吹き飛ばされ,

周囲に散らばっていました。



東條「うぐっ!?」



彼の腹部に衝撃が走ります。



リク君が離れた位置から,

何かをしたようです。



東條「なるほどね・・・。」



右手で右下腹部を抑えながら,

そうつぶやきました。



マヤ「けがは・・・?」



東條「心配ないさ。」



リク君は攻撃の手をゆるめません。



「一気に攻める!

みんな離れているんだ!」




リク君が少年昆虫団や菊のメンバーに

声を掛けます。



青山さんは片岡を背負いながら,

レオンさんの近くまでやってきました。



赤神氏はマヤと対峙し,

すきを与えないように見張っています。



イツキ君たちは建物の中で,

体力をそれなりに消費していましたが,

トシ君だけは特に何もしていないので元気なままでした。



「オラオラ!

オイラが相手になるぞー!」




急に叫びだします。



「どうやら恐怖のあまり

頭がおかしくなってしまったみたいですね。」




すると建物内から声が聞こえてきました。



蒲生「ならば我々の相手をしてもらおうか。」



3階の割れた窓ガラスから

ロープが垂れてきました。



そこから手際よく5人の精鋭部隊が,

するすると降りてきます。



彼らは最初に入り口を爆破して潜入した,

精鋭部隊“鷲”でした。



「巻いたつもりだったけど,

これだけ外で騒げばいやでも気づくか。」




リク君が東條と対峙しながら言います。



蒲生「我々から逃げられると思うな。」



「別に逃げたつもりはないんだけどね。

ボクの新技を試すにはちょっとせますぎてね。」




精鋭部隊ナンバー2である鷲のリーダー,

蒲生はリク君を追っていたようでした。



南雲「そうだ。まだお前たちがいたな。

梟の連中はどうしてる!?」




蒲生「1階で身動きがとれなくなっていましたが,

とりあえず放置してあります。」




どうやら梟たちは戦力外の状態でした。



リク君が新しい力を身につけて参戦したことで,

形勢は完全に逆転しました。



南雲「このままではまずい・・・。」



鷲の参戦で状況は変わるのでしょうか・・・?



第595話 南雲の奥の手覚醒の刻 シリーズ 最終章

精鋭部隊“鷲”が持っていた

銃を構えます。



しかし,リク君がそれを予期してか,

すでに技を放っていました。



―大海 二刀流 不知火(しらぬい)―



先ほど東條やマヤの動きを封じた,

遠距離攻撃を再度放ちます。



蒲生「ぐっ!?」





<精鋭部隊 鷲 隊長:蒲生>



近くにいた南雲を含め,

精鋭部隊全員が銃火器を

手から離してしまいました。



リク君の放った技は,

とどまることを知りません。



地面を見ると,それらの武器は全て

使用不能な状態になるほど

ボロボロになっていました。



南雲「銃火器などなくても,

どうとでもなるわっ!」




彼は部隊を鼓舞します。



そして彼の目の前には,

レオンさんが立っていました。



「お前の身柄を拘束できれば,

こちらとしても相当有利な

状況を作れそうだ。」




ニヤッと笑い,思い切り右の拳を

彼の腹部めがけて放ちました。



南雲「ぐはっ・・・!」



南雲は,もろにそのパンチをくらい,

後ろによろけそうになります。



蒲生「南雲様っ!?」



赤神「お前たちの相手はこっちだ。」



菊のリーダーである赤神,

さらに横にはイツキ君と

トシ君が立っていました。



「いやいや!一人,

場違いな奴がいますって!」




だぬちゃんがつっこみます。



「オイラだって,

ただ見ておびえていた

わけじゃないのだ。」




「お菓子食べてただけじゃない!?」



まさらちゃんも,

たまらずつっこみます。



リク君がレオンさんの前に出ます。



「ここは任せてほしい。」



南雲「前回のようにはいかんぞ。

これが俺の奥の手だ。」




南雲は手に何かを持っていました。



それはマチェットと

呼ばれる武器でした。



南雲「前回はこれがなかったからな。」



「あ,そう。」



リク君は意に介しませんでした。



レオンさんは東條に

狙いを定めました。



「お前を自由に

させるわけにはいかないな。」




東條「あら,そうですか。」



彼も日本刀を構えたまま動きません。



リク君は南雲に向かって,

天照とスサノオを構えました。



―大地二刀流 神速の打突 連弾―



ドンドンッ!!



南雲は超高速で伸びる二本の捕虫網を,

マチェットでさばきます。



しかし次の瞬間・・・。



―大海二刀流 大海竜(シーサーペント)―



二つのトルネードの空気が,

南雲に突き刺さります。



南雲「なっ!!」



ブオオオォッ!!



衝撃的な勢いで南雲は吹き飛ばされ,

森の大木にたたきつけられました。



この勢いは止まらないようです。



第596話 リクの猛攻続く 覚醒の刻 シリーズ 最終章

南雲「うぐっ・・・。」



南雲は口から血が垂れています。



おそらく今の攻撃で,

内臓が損傷したのでしょう。



南雲「まだ・・・まだぁ・・・。」



さすがにタフさがウリの男は

頑丈でした。



しかしリク君は攻撃の手を

ゆるめません。



すでに南雲の目の前で体をひねり,

攻撃態勢にうつっていました。



―大地一刀流 闇の夜月(ムーンライトナイト)―



南雲「ぐおぉっ!」



彼の持っていたマチェットは衝撃で手から離れ,

回転しながら飛ばされ,

近くの木に突き刺さりました。



「この武器は・・・。」



リク君は何か気づいたようでした。



南雲「許さんぞっ・・・!」



―大海一刀流 奥義 聖書の海獣(リヴァイアサン)―





大きな風をまとったスサノオで,

強烈な一撃を浴びせました。



南雲「ぐふ・・・。」



彼がもたれかかっていた大木ごと,

吹き飛ばすような威力が直撃しました。



南雲は倒れこみ,

意識を完全に失いました。



蒲生「そんなばかな・・・!?」



赤神「よそ見している暇ないぞ?」



次の瞬間,蒲生は赤神氏による

強烈なアッパーカットを食らってしまいます。



蒲生「ぐへっ!?」



宙をのけぞり,受け身が全く取れない状態で

地面に崩れ落ちました。



周りにいた彼の部下が駆け寄ります。



そこにイツキ君やトシ君が,

チャンスとばかりに攻勢に出ます。



トシ君の重たい体重から放つ正拳突きは,

それなりの威力を発揮しました。



不意を食らった部下の一人は,

その攻撃を受けて倒れこんでしまいます。



イツキ君は回し蹴りで,

相手の延髄に直撃を入れます。



どうやらこちらも,

大勢は決したようです。



「あとはお前と,

そこの女性だけだな。」




東條「どうやらここまでのようですね。」



彼は空中で様子をうかがっていた

ドローンに何かの合図を送りました。



東條「南雲サンがやられちゃったみたいなので,

指揮は僕が執ります。」




一瞬その場に緊張が走ります。



東條「総員直ちに撤退。

例の準備を!」




マヤ「・・・。」



彼女は小型のリモコンのようなものを取り出し,

ボタンを押しました。



すると目の前の研究室が突如爆発し,

あちこちから火の手が上がりました。



「なっ何が起きたんですか!?」



マヤ「“鷹”にお前たちを抹殺する指令を出すのと同時に,

爆弾を仕掛けさせた。」




彼女は淡々と語ります。



その時でした。



入り口から数名の人影が

出てくるのが見えました。



それは・・・。



第597話~第600話

2026/7/25

第597話 追跡は・・・ 覚醒の刻 シリーズ 最終章

燃える研究施設の入り口から出てきたのは,

梟の山根と3人の部下でした。



あまりの勢いに,近くにいた青山氏や

だぬちゃん達はあっけにとられていました。



火の勢いがすごいので,

青山氏とだぬちゃんは協力して,

負傷している片岡氏を

安全な距離まで運びました。



山根「俺たちがまだ中にいるのに

ひどいですよっ!」




そう言ってマヤに訴えかけますが・・・。



マヤ「お前たちの存在を忘れていた。」



全く表情を変えることなく答えます。



マヤ「そもそもどこで何をしていた?」



山根「いや,それが奴らの

巧妙な罠にはまり・・・。」




闇組織JFは撤収を開始しました。



東條「すぐにこの場を離れるよ。

梟は南雲サンを回収して。」




山根は状況を理解し,

すぐに行動に移しました。



「このまま逃がすと思うか?」



レオンさんが東條の前に立ちふさがります。



東條「後ろは炎ですよ?

森に火が移れば,

この辺り一帯が悲惨なことになります。」






「くっ・・・。」



レオンさんが追跡を躊躇していると,

東條は背を向け,

森に向かっていきました。



その時です。



バッシュ!! バッシュ!!



どこからか狙撃音が聞こえてきました。



その銃弾は東條の頬をかすめます。



東條「おっと,危ない。」



狙撃されそうになったというのに,

まるで涼しい顔をしていました。



彼には銃弾が見えていたのでしょうか。



片岡「桃瀬さんだ・・・。」



彼の上司である桃瀬氏が,

どこかにずっと潜んでいて,

チャンスを狙っていたようです。



先に施設から出ていた牛尾が,



牛尾「こちらに逃走ルートを

確保してあります!」




と叫びました。



闇組織JFの連中は,

その声に吸い込まれるようにして,

森の中に消えていきました。



「追いかけるか・・・!?」

「いや,深追いはだめだ。

火がすごいことになっている。」




後ろを見ると,リク君の修行の場でもあった

研究施設が燃え上がっていました。



赤神「すでに消防には通報済だが・・・。」



青山「こんな山奥では,

消火に時間がかかるだろう。」



二人は燃え上がる建物を

見つめていました。



「災害救助隊による消火活動に

期待するしかないですね。」




彼らは急いで下山することにしました。



桃瀬「残念だけど,

一人も仕留められなかったわ。」



森の奥から彼女が出てきました。



赤神「やむを得ない。

とりあえず俺たちが乗ってきた

ヘリのある場所まで戻ろう。」



こうしてリク君たちは,

この場を離れることになりました。



第598話 エピローグ 覚醒の刻 シリーズ 最終章

リク君を含め,全員が岐阜県内の病院で

検査を受けました。



そこは羽音々が治療を受けた,

各務原記念病院でした。



羽音々は現在,愛知県警内の警察病院へ移送され,

治療を受けているようです。



北坂「またお前か・・・。」



<各務原記念病院 外科部長 北坂柊二>



青山「悪いな。治療を頼む。」



二人は医学部の同期で,

青山氏は医師免許を持っていたのでした。



そんな彼がなぜ警察官になったのか,

ここでは明らかになりませんでした。



北坂「うちのER(救急外来)は優秀だからな。心配ない。」



彼はオペには入らないようです。



北坂「いい加減,警察をやめて戻ってこないのか?」



青山「なかなかそうもいかないのさ。」



片岡氏はすでに手術室へ運ばれていました。



リク君たちは夜遅くだったので,

レオンさんの車でそれぞれ帰路につきました。



片岡氏の手術は無事に成功したことを,

翌日に聞かされました。



現場検証では,消防や岐阜県警と愛知県警の

合同によって行われました。



彼らの悪事につながる明確な証拠が

出てくるのかは,まだわからないようでした。



翌日の昼,少年昆虫団は

レオンさんが通う大学のキャンパスにいました。



「悪いね,ここまできてもらって。」

「大丈夫だよ!」



ちょうど食堂にて,

昼食の真っ最中でした。



「あの人の手術が成功して

良かったですね。」


「そうだね。青山さんの知り合いの方は

相当な名医だし,チームも優秀だからね。」




レオンさんも彼の事を

知っているようでした。



「それで,あいつらのことについて

何か手掛かりはつかめたの?」




リク君はハンバーガーを口にしながら

質問をします。



「いや,そのあたりの事は

赤神さんが中心となって調べてくれている

みたいなんだけどね。」




どうも歯切れが悪い様子でした。



「どうかしたのか?」

「・・・。」



レオンさんは一瞬だまってしまいましたが・・・。



「どうしたの?」



すでに3杯目のラーメンを食べ終わった

トシ君が聞きなおします。



「どうも上の連中から,今回の件が

なかったことにするよう,圧力をかけられたらしい。」




一同は衝撃の告白に手を止めました。



「どういうこと?」

「いや,これはまだ不確定な情報だし,

内部のことなので詳しくは言えないんだが・・・。」




レオンさんは再び

お茶を濁し始めました。



「それってつまり・・・。」

「どういうこと?」



あいかわらずのトシ君の発言に,

みんなは慣れたものでした。



「警察内部にこの件を

世に出したくない連中がいるのか・・・。」


「あるいは,あいつらの仲間が

警察内部に入り込んでいるのか,だな。」




イツキ君の予想は,

トシ君以外の全員が思いついたことでした。



「とにかく,君たちは

ゆっくり休んでもらっていい。」




レオンさんは続けます。



「リク君は新しい武器も手に入れ,

パワーアップもできた。」




リク君はうなずきます。



「でも,体調は万全ではないはずだ。

奴らがまたいつ襲い掛かってくるか

わからない。」


「確かにそうですね。」



だぬちゃんは食べ終わった

カレーあんかけパスタの容器を見つめながら,

そう言いました。



「それに・・・。」



レオンさんはリク君を見ながら,

何かを言いかけました。



その時,レオンさんのイヤコムに

連絡が入りました。



「どうやら,ゼミ仲間の久遠達から

呼ばれてしまったみたいだ。」




こうしてレオンさんと別れ,

少年昆虫団はいつもの昆虫採集に

向かうことになりました。



一方で闇組織JF内では,

今回の事を契機に様々なことが

動き出そうとしているのでした・・・。



第599話 稲川淳姫の怪談12

これはまだまさらちゃんがイツキ君たちと

怪奇団を結成する前の,

夏休みに入ったばかりのころのお話です。



稲川先生のHPにある怪談噺を聞いて

レポートを提出することが宿題になっていました。



少年昆虫団はまさらちゃんのお家で

見ることにしました。



「なんでこんなのが

しゅくだいなのよぉ・・・。」


「しかも1つだけじゃなくて

複数書かないといけないとか地獄だぞ・・・。」




みんなが文句を言っている間に,

トシ君はお菓子の袋を開けて食べ始めました。



「仕方ないから再生するね・・・。」



リク君はまさらちゃんの許可を得て

PCの操作をしました。



そしていつもの動画が始まりました。



昔,とある古いテーマパークに

五階建ての建物があった。



ところが,その建物のエレベーターには

妙なところがあった。



ボタンが一つ足りない。



一階,二階,三階,五階。



なぜか「四階」だけが存在しないのだ。





それでも昔から,こんな噂があった。



「四階のボタンが押せることがある。」



ある男が,エレベーターに乗り,

5階へ行こうとすると,ボタンが5つあった。



みると,三階と五階の間に

「四階」と書かれたボタンがあったのだ。



彼は恐る恐るそのボタンを押した。



エレベーターはゆっくりと上昇し,

四階で止まった。



扉の向こうには,古びた廊下が続いていた。



男は吸い込まれるようにして

扉の奥に消えていった。



また,そのテーマパーク内には人気の施設である

ミラー迷路というものがあった。



この場所も実は奇妙な噂があったのだ。



それは,中で人が急に消えるというものであった。



ある大学生のサークルが5人で一緒に中へ入ったのだが,

出口付近で一人いないことに気づいた。



みんなは慌てて探して回るが

どれだけ探しても見つからない。



スタッフにも伝えて協力をしてもらったが

まったく見つからないのだ。



とうとう日が暮れてしまった。



怖いのはここからである。



エレベータで4階へ行き,

いなくなった男とミラー迷路でいなくなった大学生が

後日発見された。



それは近くの港で

変わり果てた姿で浮かんでいたのだった・・・。



「いやぁぁぁ!」

「どういうことですかっ!?」



二人は悲鳴を上げました。



「オイラは怖くないぞ!」



ポテトを持つ手が震えていました。



「・・・。」



「落ちも意味が分からないし,

どういうことだよ・・・。」




リク君はあきれていましたが,

イツキ君は何か考えに耽っていました。



のちにカイリちゃんとこの怪談噺についても

考察していくことになるのですが・・・。



まだまだ彼らの夏休みは始まったばかりです。



第600話 ノコギリクワガタ大収穫

夏休みのある日の夜,少年昆虫団の5人は,

ノコギリクワガタを探すために近くの雑木林へ

やってきました。



「今日はノコギリクワガタをたくさん採るぞ。」

「この辺の木なら,いるかもしれないな。」



イツキ君が相づちを打ちました。



「前もこの辺で採れたんだよね。」

「じゃあ,早く見つけて帰りましょうよ。」



だぬちゃんはすでにやる気がなくなっています。



「オイラはおなかすいた・・・。」

「食べてばかりじゃないですか。」



するとスズメバチが,トシ君が食べていた

お菓子の袋に入り込みました。



「ぎゃぁぁぁ!!ハッチー先輩がっ!?」



トシ君はお菓子を辺りにぶちまけてしまいました。



「ああ,オイラのお菓子がー!!!」



そう言いながら,トシ君は虫かごではなく,

空になったお菓子の袋を抱えていました。



「やる気なくした・・・。」

「もとからないでしょ。」



二人のやりとりをよそに,

リク君はどんどん林の奥に進んでいきます。



「みんな見つけたら呼んでね!」

「うん。」



トシ君以外のみんなは,

木の幹を一本ずつ調べていきました。



しかし,なかなか見つかりません。



「いないねえ。」

「樹液は出てるんだけどな。」

「もう少し上も見てみよう。」



そのとき,イツキ君が声を出しました。



「いた。」



3人が駆け寄ると,木の幹に大きな

ノコギリクワガタがいました。



「本当だ!」

「オスだな。結構大きい,

いわゆる大あごタイプだ。」






リク君がそっと手を伸ばし,

ノコギリクワガタを捕まえました。



「なかなかのサイズだな。」

「やったね!」



慎重にカブクワ用ケースにしまいます。



「じゃあ,次を探そう。」

「え?まだ探すんですか?」



トシ君と同様に,やる気がないようです。



「まだまだ時間はあるからね!」

「時間は有効に使いましょうよー。」



5人が再び木を探していると,

今度はまさらちゃんが見つけました。



「いた!」



木の根元に,今度は少し小さな

ノコギリクワガタが歩いています。



「こっちも採れた!」

「今日は調子いいな。」



イツキ君が声を掛けました。



「この辺はまだいるはず。」



その言葉どおり,次の木にも

ノコギリクワガタがいました。



さらにその隣の木にも一匹。



少し離れた木にも一匹。



「ほら,またいた!」

「すごい!今日はたくさんいるね!」



次々とノコギリクワガタが見つかり,

虫かごの中はどんどんにぎやかになっていきました。



「見て。もうこんなにいるよ。」

「うげ……本当にいっぱい。」



その後もリク君は夢中になって採集しました。



気がつけば,虫かごの中には

十匹近いノコギリクワガタが入っています。



「まるでゴキ……。」

「それ以上は禁句です。」



トシ君はあまり虫かごを見ないようにしました。



「じゃあ,必要な分だけ残して

後は逃がそうか。」


「せっかく採ったのに,

やはりいつもみたいに逃がすんですね。」




だぬちゃんが少しあきれて言います。



「そりゃ,飼育できる分だけにしておかないと。

生態系への影響もあるしね。」


「何のために採るんですかね・・・。」



だぬちゃんはその意味がよくわからないみたいでした。



「採集自体が楽しいからに決まってるじゃん!」



こうして少年昆虫団はたくさんのノコギリクワガタを採集して,

満足そうに雑木林を後にしました。









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