リクの少年昆虫記-過去のお話-

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目次


第193話~第196話

2017/7/24

第193話 オオクワガタがいた!?後編
少年昆虫団は緑地公園でオオクワを見つけました。

そして,付近にいた親子に近づいて行きました。



「こんばんは,少年昆虫団のリクと言います。」



リク君は手短に挨拶をすませ,本題に入りました。



「あなたは今,飼育していた昆虫を逃がしましたね?

そこに落ちている木くずはこの辺りのものじゃありません。」




父親は驚いて母親と目を合わせました。



男性「実はね,家で飼育していたんだが,世話が結構大変でね。

子供がしっかりと世話をしないんだ。我々も毎日,虫にかまっている

ほど暇じゃないからね。このままだと死んでしまう。

かわいそうでしょ?だから逃がしてあげたんだよ。」



父親はそう説明しました。



「このオオクワもあなたたちが逃がしたんですか?」



リク君はオオクワを見せました。



母親「先日も何匹か逃がしたかも・・・。

どんな種類までかはよく見ていないからわからない。」



今度は母親が説明しました。



子供は昆虫を逃がされてしまったから,悲しい顔をしていたようです。



「えっと,じゃあ,ここでオオクワが採集できるっていう情報は・・・。」

「この人たちや別のだれかが放虫した

オオクワを捕まえただけだな・・・。野生種じゃないってことだ。」




虫を逃がすことを放虫と言います。



父親「でも,せまい虫カゴで飼われるより,自然で生きる方が

虫も幸せだと思うよ。さぁ,行こうかな。」



リク君はその場を去ろうとする親子を引きとめました。



レオンさんは様子をうかがっています。



「待って下さい。」



父親「まだ何か?」



父親は不機嫌になっていました。



「先ほどのあなたの言葉はただの人間のエゴですよ。

昆虫を飼育する以上は責任を持って下さい。」


「このオオクワは本来この場所には生息していない種なんです。」



レオンさんはリク君をフォローしました。



父親「別に虫をどこに逃がそうと勝手じゃないか?」



「ばかやろう!」



リク君が啖呵を切りました。



「生息しない種を逃がすということは,この地域の生態系を

壊すことなんだよ。“遺伝子汚染”といって近縁の個体と交雑してしまうことで

在来個体群の遺伝子プールの状態の“不可逆的消失”を引き起こすかもしれないんだ。」




リク君は真剣な表情で淡々と説明しました。







だぬちゃんは小学二年生の少年が“遺伝子汚染”とか

“不可逆的喪失”とか言って大人をやりこめている姿に

ツッコミを入れたかったのですが,

シリアスなシーンだと判断して我慢しました。



「子供に飼育させる自信がないなら,最初から飼育しないことだよ。

『かわいそう』なんて言葉は親の都合で,身勝手だってことを自覚してほしい。」




リク君は年上と思われるその男の子に声をかけました。



「これからはしっかり飼育するって約束できるかい?

できないなら,このオオクワは殺すしかないんだ。極論だけどね。

生態系を守るってことはそういう一面も含んでいるんだよ。」




リク君に言われ,その少年は涙を拭いて一生懸命飼育することを約束しました。



だぬちゃんはリク君が年上の男の子に“生態系を守る

うんぬん”と難しいことを上から目線で言っていることに

ツッコミを入れたかったのですが,いいシーンだったので我慢しました。



結局,リク君が捕まえたオオクワはこの親子に返し,その親子は帰って行きました。



「最初から,ネットでのオオクワの採集報告は放虫だって気づいていたのか?」

「確信があったわけじゃないけど,なんとなくね。

だってボクはここに1歳のころから採集に来ているんだよ。

オオクワが生息していないなんてことは誰よりも知っているつもりさ。」




だぬちゃんは1歳のときにどうやって採集に来たんだと,ツッコミたかったのですが,

メデタシメデタシで終わりそうな雰囲気だったので我慢しました。



皆さんも,昆虫は責任を持って飼育しましょう。



そして一度飼育した昆虫,特に別の地域で採集した昆虫や購入した

昆虫(外国産含む)は絶対に逃がさないようにしましょう。



第194話 セミたちの今
今日の昆虫採集は六町公園に来ていました。

時間はまだ,朝の10時です。



どうやらカブトムシ採集ではないようです。



「今日はセミ捕りをしよう!」



リク君がセミ捕りを提案しました。



「セミですか~・・・。」



だぬちゃんはあまり乗り気ではありませんでした。



「セミっていまいちどんな種類があるか,わからないですね~。」

「セミは苦手だなぁ・・・。ミーン,ミーンってなく奴だろ?」



トシ君はセミが苦手でした。



「それはミンミンゼミだね。そのセミはよく,

ドラマとかでも夏を表現するときに使われるけど,

この名古屋にはほとんど生息していないね。」




「そういえば,この辺りで鳴いているのは,

シャーシャーか,ジージーが多いな。」




少年昆虫団は六町公園の樹木が密集している場所まで来ました。



あたりは,シャーシャー,ジージーと

セミがものすごい音量で鳴いていました。



リク君は愛用の補虫網である"天照"を握りしめました。

そして木に止まっているセミをいとも簡単に捕まえました。



「わぁ~,すごい!これはなんてセミなのかな?」





「これはクマゼミだね。シャーシャーと大きな音で鳴くセミだね。」



リク君はクマゼミのオスを捕まえました。



「このセミは昔の名古屋にはあまりいなかったんだって。

それが最近ではアブラゼミよりも目立っている。」




リク君は次にアブラゼミを捕まえました。



「これが,そのアブラゼミだね。」





「こいつは有名だから俺でもわかるな。」



さらに高いところにもセミがいましたが,リク君の補虫網は10mは伸びるので

だいたいのセミは捕まえることができました。



「しかし,暑いですねぇ・・・。セミもこんなに

暑いのに鳴いてばかりで大変ですね。」


「まぁ,メスを惹きつけるためにはひたすら鳴くしかないからね。」



その後も,セミを何匹も捕まえ,虫カゴはいっぱいになりました。



「さて,そろそろ逃がしてあげるかな。」

「あれ逃がすの?家で飼わないの?」



トシ君が聞きました。



「セミは樹液を吸うから飼育は難しいんだ。そうだろ?」

「そうだね。あと,さすがに家の中で鳴かれるとうるさいかな・・・。」



リク君はそう言って,捕まえたセミを全部逃がしてあげました。

昆虫は子供たちの遊び相手になってくれる大切な存在です。



感謝の気持ちをもって接してあげましょう。



第195話 稲川淳姫の怪談4
中野木小学校では定期的に学年集会が行われていました。

そこでは毎回稲川先生という学年主任が怪談噺をすることになっていました。



稲川「それでは始めましょうか。」



稲川先生は静かな口調で怪談噺を始めました。



昔,昔,那古屋に清州新衛門という男が大きな屋敷に住んでいました。



ある日,この清州が大事にしていたお皿を

おさよという女中が割ってしまいました。



清州「なんということをしてくれたんだ!

我が家の家宝を割ってくれるとは・・・!」



おさよ「申し訳ありません。」



おさよは土下座をして謝りますが,清州の怒りはおさまりません。

まるでその場で切り捨てる勢いでしたが,屋敷の側近たちに止められました。



その夜,おさよが庭の木で首を吊っている姿で発見されました。





それからでした。毎晩のように清州の枕元におさよの幽霊が現れたのです。



そして1ヶ月後,清州新衛門は原因不明の病で死んでしまいました。

その後,屋敷は廃れ,清州が首をつった木だけが残りました。



時代は流れ,昭和21年。あの戦争は終わり,

復興に向けて国中が頑張っていた時代です。



激しい空襲でもあの木は燃えずに立っていました。

焼け野原になった街を再興するための都市計画が進められました。



そして,あの木が邪魔だという結論になり,切ることが決まりました。



すると,どうでしょう。



その木を切ろうとした業者や役人が次々と謎の死を遂げました。



ついにその木はおさよの呪いの木として切られることはありませんでした。



さらに月日が流れ,現代。



その木は未だに切られることなく,道路の真ん中に立っています。



この木の呪いに興味を持った霊能力者がいました。

深夜遅く,その霊能力者がその木の前に立って霊視を行いました。



霊能力者「むむむ・・・。これは・・・。」



すると,首を吊ったおさよの姿が見えました。



霊能力者「確かに,女中が首を吊っている。

やはり,これは彼女の呪いか・・・。」



と,思った次の瞬間・・・。



手首が見えました。彼女を吊りあげる手首が・・・。



霊能力者「どういうことだ,これは・・・。

彼女は自殺じゃないのか・・・。」



次の瞬間,その霊能力者の体が宙に浮きました。

恐ろしいほどの力で首がしまっていきます。



霊能力者「ぐおおお・・・。くっ苦しい・・・。」



次の日,霊能力者がその木の下で死んでいました。

首には縄で首を吊ったような痕が残っていました。



一体,霊能力者が見た手首はなんだったのでしょうか・・・。

そしてその手首が霊能力者を殺したのでしょうか・・・。



謎が深まるばかりの呪われた木が名古屋には

確かに存在するのです。これからもずっと・・・。



話が終わると,子どもたちはみんな泣いていました。



「いやぁぁ・・・。今回も怖いよぉ・・・。」



特に女子たちは泣き叫んでいました。



「・・・。」

「オチがよくわからないし・・・。手首がなんなんだよ・・・。」



学年集会の稲川先生のお話はこれで終わりました。



第196話 いつもの昆虫クイズ対決!前編
中野木小学校の体育館に急ごしらえで

作られたクイズセットが設置されています。



どうやら今日は少年昆虫団とスナぴょん団のクイズ対決があるようです。



スナ「前置きはいい。さっそくルール説明に入るぞ!」







「なんか,また急展開な・・・。」



みんなは呆れていましたが,スナぴょん団の

戯れに付き合ってあげるようです。



審判は栗林先生が務めるようです。



栗林「はぁ・・・。忙しいんだけどなぁ・・・。」



「昆虫クイズか・・・。いやだなぁ・・・。」



スナ「ルールはお互いに一人1問ずつ,クイズを出し合っていく。

解答者は勝ち抜け。正解したら,次の問題からは解答権がないってことだ。」



ルールは以下のようになりました。



・それぞれのチーム5人が一人1問ずつ交互に問題を出す。問題は昆虫に関することのみ

・誰が答えてもよいが,相談は無し。同じ問題で2回間違えると相手に10点入る   

・正解した人は次の問題からは答えることができない。正解すると10点入る     

・問題に不備がある場合は一度だけ,問題を出し直すことができる。         

同じ人が不備のある問題を2回だしたら,その人の出題権はなくなり,相手に10点はいる

・すべての問題を出し終わったときに点数の高いチームの勝利            



「こういうくだらんことを思いつくことに関しては感心するよ・・・。」



スナ「それでは,さっそく勝負だ!」



「はいはい・・・。」



スナチームの第一出題者はジャイ君です。



ジャイ「ジャジャジャジャジャイ!

ホタルの体内にある発光物質の名前を答えなジャイ!」







「え・・・?何それ・・・?そんなのわかんないよ・・・。」



いきなりの難問に少年昆虫団チームは頭を抱えています。



体育館の舞台上に設置されたクイズセットはそれぞれが横一列に並び,

隣の人と相談できないように仕切りがつけられています。



「はい!答えはルシフェリン。」



ジャイ「むむ・・・。正解ジャイ・・・!」



なんとリク君が正解しました。しかし,これでリク君は

これ以降の問題に答えるこたはできません。



「おお,さすがリク君ですね。でもこれで,

あとはだぬたちだけで答えないといけなくなりましたね・・・。」




スナ「ははは,いきなり,リクを使ってしまったのか!じゃ,次はそちらの番だぞ。」



少年昆虫団の第一出題者はまさらちゃんです。



「カブトムシとクワガタムシはどちらが強いでしょうか。」



オジョー「異議あり!問題があいまい過ぎて解答できません!」







スナぴょん団は問題に不備があると抗議しました。



栗林「え~と,不備を認めます。まさらちゃんは再度,出題し直してください。」



「え~と,じゃあ,カブトムシとノコギリクワガタはどちらが強いでしょうか。」



オジョー「異議あり!先ほどと同じです!それぞれの体長や戦う環境,

雌雄もはっきりしていない問題では答えようがありません!」



再び異議が出てしまいました。そして問題の不備が

再度認められたため,スナぴょん団に10点が入りました。



「がっくし・・・。」



次は第二出題者になります。

果たしてこの対決はどうなるのでしょうか。





第197話~第200話

2017/9/11

第197話 いつもの昆虫クイズ対決!後編
少年昆虫団とスナぴょんと昆虫クイズ対決が行なわれています。



第二出題者はサラリー君とトシ君でした。



サラリー君の問題は「昆虫の足はどこの部分から生えているか」という問題でした。





この問題は全員不正解で,すなぴょん団に点数が入りました。



ちなみに正解は胸部でした。



つづいてトシ君が問題を出します。



「日本に生息するクワガタは何種類でしょうか。

この前,リク君に聞いたから知っているんだ!」




オジョー「答えは39種類よ!」



オジョーは簡単に正解にたどり着きました。

ちなみに種類には諸説あり,37種類とする図鑑もあります。



さらにスナぴょん団に10点が入り,

少年昆虫団10点VSスナぴょん団30点となっています。



第三出題者はタコ君とイツキ君です。



タコ「シロアリは何目に属しているでしょうか。」







「(何目って何・・・?目(もく)って・・・?

アリだからアリ目なんじゃないの・・・?」」




まさらちゃんには難しいようです。

イツキ君がボタンを押しました。



「答えはゴキブリ目だ!」



タコ「ぬぬ・・・。ひっかからなかったね・・・。正解。」



イツキ君は見事に正解しました。

これで少年昆虫団で解答権があるのは

まさらちゃん,だぬちゃん,トシ君です。



「よく,わかりましたね。」



だぬちゃんが感心しました。



「俺は歴史建造物が好きだからな。昔の城とかを調べている時に,

シロアリの話が出てたりして,調べたことがあるんだよ。」




次はイツキ君が出題する番です。



「古代エジプトで神聖視され,太陽神ケプリと

同一視された昆虫の名前を答えろ。」




スナ「なんじゃそりゃ・・・。トンボとか・・・?」



結局,スナぴょん団は不正解を二人出してしまいました。



「正解は,ふんころがし(スカベラ)だ。」



イツキ君は歴史に詳しいので

こういう問題を出すことが得意でした。



これで得点は30点対30点で並びました。



第四出題者はオジョーとだぬちゃんです。



オジョーが出した問題は難しく,誰も答えることができませんでした。

問題は「卵→幼虫→蛹→成虫となる現象を何というか」でした。



答えは「完全変態」です。



一方だぬちゃんが出した問題はあっさりとジャイに答えられてしまいました。



問題は,「カブトムシの主な餌は何でしょう」でした。

答えは「樹液」です。スナぴょん団には簡単すぎたようです。



「むむむ,ちょっと油断しました。これで

30対50点になってしまいましたよ。」




スナ「ははは,これでおれたちの負けはなくなったなぁ!」



スナ君はすでに勝った気でいました。



第5出題者はスナ君とリクくんです。



「じゃあ,ボクから問題だしてもいいかい?」



スナ「いいぜ。どんな問題でもきなさい!」



スナ君は自信満々です。



「クマムシなどの動物が乾燥などの厳しい環境に対して,

活動を停止する無代謝状態のことを何というか答えなさい。」




オジョー「え・・・?何それ・・・?」



正解はクリプトビオシスでした。

さすがにリク君は難しい問題を出してきました。



スナぴょん団は不正解だったので,

得点は10点差になりました。



スナ「じゃあ,俺の問題だ。ミツバチの群れで,働きバチは

オスかメスのどちらでしょうか!」



「ん?」



イツキ君が首をかしげました。



「あれ?オスかメスのどちらかってこと?

じゃあ解答権は2回あるから,絶対に間違わないんじゃない?」




まさらちゃんが核心をつきました。



スナ「あ・・・。しまったぁぁぁぁ・・・。」



そしてあっさり正解されてしまいました。

ちなみに正解は「メス」です。



今回の勝負は引き分けに終わったようです。



「スナ君が間抜けで助かりましたね。」



これが彼らの夏休みの日常でした。



第198話 タチが悪い
今日はリク君とイツキ君の二人で極小田井にある

商店街で洋服を買いに来ていました。



リク君はイツキ君のお付き合いです。



「服なんてなんでもいいと思うんだけどねぇ・・・。」

「オシャレは大事だぞ。リクはもうちょっと

そのへんに気を使った方がいいな。」




イツキ君がよく行く店に入っていきました。



小一時間して店から出てきました。

手には紙袋持っていました。

お気に入りの服が買えたようです。



「そういえば,この地域ってあまり良いウワサ聞かない場所だよね。」



リク君が商店街を歩きながらイツキ君に話しかけました。



「まぁな。この辺りは三大悪童の“マザー”の縄張りらしいから。

結構カツアゲやらケンカやらあるらしい。」




イツキ君はそう答えました。



「ま,俺らには関係ねぇべ。」



彼は興味がなさそうに続けました。



まだ時間があったので,二人は極小田井商店街を

ぶらぶらと歩いていました。



突然,後ろから声をかけられました。



二人が振り返ると,そこにはリク君と同じくらいの

年齢の女の子が息を切らして立っていました。



「あれ?誰だろ?イツキ君の知り合い?」

「いや,こんな子知らんよ。」



女の子は息を切らしながら,しゃべり始めました。



女の子「あの,助けてください!

カツアゲされている子がいるんです!」



どうやら女の子は助けを求めて,二人に声をかけたようです。



「いや~,それは周辺の大人か警察に

頼ることだろ。俺たちにいっても仕方ないでしょ。」




イツキ君の言うことは正論でした。



女の子「で,でも,私人見知りで大人の人とかに声かけづらいし・・・。

相手も小学生くらいだから・・・。とにかく来てほしいの!」



その女の子の必死さに負けて,二人はついていくことにしました。



近くの公園までやってきました。

女の子が先頭で歩き,二人は後ろからついていきました。



その公園は昼なのにうす暗く,あまり人もいませんでした。



「こんなところにカツアゲされている人なんているんかな。

いや,こんな場所だからいるのか。」




リク君は自問自答して納得していました。



「しかし,もういないんじゃないか・・・?」



イツキ君は周囲を見渡しながら言いました。



ふと,前を見ると女の子が振り返ってこちらを見ていました。

その表情は最高の笑顔でした。



「ん?どうかしたの?」



イツキ君は何かに気付いたようです。



「あちゃ~・・・。こりゃ,タチが悪いぜ・・・。」

「ん?」



リク君は周囲を見渡してすぐに理解しました。



「ホントだ・・・。こりゃ,タチが悪い・・・。」



茂みの中に隠れていた不良たちがゾロゾロと5,6人も出てきました。



女の子「ゴメンね!カツアゲされる人って

いうのは・・・君たちのことなんだ!テヘ!」



女の子は悪びれることもなく,

舌を出して二人を小馬鹿にしました。



「どうすんの,これ・・・。」



リク君はイツキ君に尋ねました。







「お仕置き・・・だな。」

「・・・だね。」



二人は構えました。



第199話 圧倒的なお仕置き
町で声をかけられた女の子にはめられてしまい,

8人ほどの不良集団に囲まれてしまいました。







相手は見たところ全て小学生の上級生でした。

おそらく中野木小学校の生徒です。



リク君は1本しか持っていない捕虫網を手にとって構えています。

イツキ君もファイティングポーズをとっています。



女の子「ゴメンね~。ちょうど,カモに

なりそうなのが君たちしかいなくってさ!」



女の子はニコニコしながら謝るしぐさをしました。



「いえいえ,お気になさらずに。」



イツキ君が余裕を見せた態度をとったことが気に

入らなかったようで,不良たちが一斉に二人を威嚇しました。



不良1「何調子こいてんだよ!ほら,出すもんをさっさと出せや!」



髪を金髪に染めた見るからに頭の悪そうな不良が手を出した瞬間・・・。



ボキっ・・・。



不良1「あぎゃぁ・・・。」



イツキ君の廻し蹴りが腕に入り,その不良の腕を折りました。

圧倒的なお仕置きの時間の始まりでした。



「さぁ,どんどんこい。お仕置きの時間だ。」



イツキ君は腕を伸ばし,手のひらを手前に振り,挑発しました。



リク君も近寄ってきた相手を一蹴します。



「ただの薙ぎ払い・・・だよ。」



リク君は捕虫網を真横に薙ぎ払いました。

3人ほどまとめて吹き飛ばします。



不良たちは悲鳴とともにその場に倒れこみました。



「・・・。これでもかなり手加減しているんだよ・・・。」



リク君は半分あきれ顔でした。



イツキ君はリーダーらしき人物の胸ぐらをつかみ,

思いっきり顎に頭突きを食らわせました。



不良R「ぐは・・・。痛てぇよ・・・。」



不良リーダーは歯が折れ,鼻血が出て顔中血だらけです。



不良R「違うんだ・・・。全部,あの子の指示なんだよ・・・。あの子の・・・。」



そう言いながら,事の顛末をずっと見ていた女の子を指さしました。



女の子「あら,何のことかしら?」



女の子はとぼけた声でそう言いました。



「ごまかしても無駄だぞ。こいつらの顔を

見ていたらわかるぞ。全てアンタが仕組んだんだな。」








女の子「あんたたち,一体何者なのよ・・・。

おかげで,カツアゲ失敗じゃない!」



「どういうつもりだ。」



イツキ君は指をポキポキとならしながら近づいて行きました。



「まぁまぁ,もういいんじゃない?」



リク君がイツキ君の肩に手を置いて止めました。



「ふん・・・。甘いな。」



気付くとその女の子はどこにもいませんでした。



「あの子,何だったんだろ?」



リク君はあの女の子のことが気になるようです。



「さぁな。こいつらも見たところ,“マザー”の配下って

いうわけでもなさそうだ。もし,そうなら必ず名乗っているだろうからな。」




二人は気になることもありましたが,そのまま帰宅しました。



そして,次の日,中野木小学校の安井先生から電話がかかってきました。

どうやら学校へ呼び出しがかかったようです。



一体,どういうことなのでしょうか。
第200話 呼ばれた理由 前編
リク君とイツキ君の家に安井先生から電話がかかってきました。

どうやら学校に来るように言われたようです。



二人で行くつもりでしたが,暇を持て余していた少年昆虫団は

全員で中野木小学校へ朝一番の時間に行きました。



門をくぐり,校舎へ向かいました。

夏休み中なので他の生徒はほとんどいませんでした。



職員室へ到着すると扉を開けてリク君が安井先生を呼びました。

安井先生は職員室の奥で何か作業をしていたようで,

みんなは出入り口でしばらく待つことにしました。



「それにしてもなんで呼ばれたんですかね?安井先生って

一応学年の生活担当ですよね。二人は何か悪いことをしたんですか?」




だぬちゃんは安井先生が来るまでの間に二人に質問をしました。



「いや,知らんよ・・・。最近は,

俺はあまり目立つことは控えているぞ。」




イツキ君はだぬちゃんに言いました。



しばらくすると安井先生がやってきました。



安井「なんだ。みんないるのか。」



安井先生は手を腰に当てて,相変わらずのドヤ顔でした。



「それで,何の用ですか?」



リク君は少し不機嫌そうでした。



安井「実はな,俺が呼んだわけじゃないんだよ。

君たちに用があるのは生徒会の連中なんだ。」



「生徒会?」



生徒会とは生徒活動の一環で,学校生活を送る上で問題点や

課題などを改善・解決することを目的に組織されている。



ちなみに小学校では子供のことを児童と呼称するので,

正確には児童会であるが,本編では便宜上,生徒会と呼ぶことにします。



少年昆虫団は校舎の3階一番奥にある生徒会室まで行きました。



「しかし,わざわざ生徒からの呼び出しを取次ぐなんて安井もどうかしてるぜ。」

「安井先生でしょ!」



まさらちゃんが正しました。そして扉をノックしました。



中から「入れ」と,声が聞こえました。



扉をあけると,一番奥に教卓のような大きな机がありました。



そこには生徒会長が座っています。

生徒会長はポニーテールの女子です。







その生徒会長机の手前に二人の男子が立っています。

一人は腕組をしてこちらを睨みつけています。



この男子は生徒副会長のようです。

もう一人は,生徒会庶務でした。



中野木小学校では生徒会を3人で運営しているようです。



「えっと,なんか安井先生に呼ばれてきたんですけど・・・。」



生徒会長「久しぶりだな。リク,イツキ。」



「ども・・・。マドマギ・・・いや,まどかサン・・・。」



どうやら二人は生徒会執行部と知り合いだったようです。



「あれ?お二人は生徒会執行部の方たちと知り合いだったんですね?」



だぬちゃんが聞きました。



「ひょっとして・・・。」



まさらちゃんは思い当たる節がありましたが,

その話はまた別の機会になりそうです。



生徒会長「お前たちを呼んだのは,私じゃない。ハヤトだ。」



ハヤトとは生徒副会長のことでした。



彼は腕組みをして二人を睨みつけています。



リク君が小声で隣にいるイツキ君に話しかけました。



「僕たちあの人になんかしたっけ?」

「してねぇよ。」



イツキ君がいきりたって,生徒副会長

ハヤトの目の前まで来て睨みつけました。



「俺らになんか用すか?」

「なんかすでにケンカ腰なんですけど・・・。」



一体どんな理由で彼らは呼ばれたんでしょうか。



第201話~第204話

2017/10/16

第201話 呼ばれた理由 後編
リク君とイツキ君は生徒会執行部から呼び出しをくらい,

みんなで中野木小学校へ行くことにしました。



生徒会室に入ると,生徒会長のまどか,

副会長のハヤト,庶務のサイトがいました。



どうやら二人を呼んだのは副会長のハヤトのようです。



ハヤト「どうして俺が貴様たちを呼んだかわかるよな。」





<生徒副会長 ハヤト>



「いや,全然分かんないっす!」



リク君は少し考えてみましたが理由が全く

思い浮かばなかったので適当に返事をしました。



サイト「クスクスクス・・・。」







生徒会庶務のサイト君は事の

顛末を楽しそうに眺めていました。



すると,副会長の後ろに隠れていた人物が顔を出しました。



その人物には見覚えがありました。



「あ,お前は・・・!」



なんと副会長の後ろから現れた人物は

昨日,二人をはめた女の子でした。



「なんで君がここに・・・?」



リク君も少し驚いた顔で聞きました。



ハヤト「こいつは俺の妹,出海(いずみ)だ。」



少年昆虫団は全員が声を出して驚きました。

特にリク君とイツキ君は驚きだったようです。



昨日,自分たちをかつあげしてきた連中と一緒に

いた少女が,生徒会執行部副会長の妹だったのです。





<ハヤトの妹 出海(いずみ)>



いずみ「昨日はよくもあたしに恥をかかせてくれたわね!」



「まじかよ・・・。」



ハヤト「お前たちは昨日,俺の妹を怖い目にあわせ,

さらに妹の友人たちに暴行を加えたらしいな。」



「いやいや,俺たちはその子にはめられたんっすよ!

かつあげされそうになったのは俺たちなんだ。」




イツキ君は昨日起こったことを説明

しましたが,聞き入れられませんでした。



ハヤト「何をわけのわからないことを言っている!

俺の妹がそんなタチの悪い連中と付き合うわけ

がないだろう!いい加減なことをいうと許さんぞ!」



生徒副会長のハヤト君が二人に向かって,怒りを撒き散らしている間,

その後ろで,いずみちゃんは舌を出して,二人をバカにしていました。



「なんでこうなるの・・・。」

「駄目ですね・・・。あの副会長,完全に

妹ラブですよ・・・。ラノベ副会長ですよ・・・。」




だぬちゃんが小声で皮肉りました。



ハヤト「お前たち二人にはいずみへの謝罪と

罰として今日1日校庭の草むしりを命じる!」



「はぁあ!?ふざけんなよ!」



イツキ君はハヤト君の胸ぐらをつかみました。



ハヤト「俺とやる気か?」



ハヤト君はイツキ君の腕を強く握りしめました。



まどか「よせ,ハヤト。無益な争いは私が許さない。」



ハヤト君は生徒会長にいさめられ,すぐにイツキ君の腕を離しました。



まどか「少年昆虫団の二人。お前たちに言い分は色々とある

だろうが,ここはハヤトの顔を立ててやってはくれんか?」



生徒会長は二人に少し申し訳なさそうに言いました。



「わかりました。いいですよ。」

「おい,リク!」



リク君はいずみちゃんに頭を下げて謝りました。



出海「まぁ,今回だけは許してあげても・・いいわよ!」



「生徒会長,これは貸しにしておきますよ。」



そう言って,生徒会室から出て行きました。



まどか「・・・。」



結局,この日は夕方まで草むしりをすることになりました。



この生徒会執行部の人たちは,今後起きる

“ある大きな抗争”で重要な役割を果たすことに

なるのですが,それはまだ少し先のお話です。



第202話 ハリウッド・キング!?
リク君とだぬちゃんとイツキ君の三人で

カブクワショップのキングに行くことになりました。



まさらちゃんはリク君の妹カイリちゃんと

ショッピング,トシ君はワク君とどこかへ出かけていました。



ショップの前に到着すると,中から伊藤店長の声が聞こえました。

しかし,それとは別に聞きなれない声も聞こえてきました。



三人は中に入ってみることにしました。



店長「おお,リク君。いいところに来た。この外国人の

相手をしてくれないか・・・。もう俺は疲れた・・・。」



そこには,一人の男性が立っていました。





しかし,どう見ても外国人には見えませんでした。



「え・・・?外国人・・・?」



すると突然,その怪しい男が三人に向かって

銃を構えるふりをして警告しました。



???「おい,これ以上近寄るんじゃない!

少しでも近付いたらテメェらの頭をぶち抜くからな!」



三人は一瞬固まってしまいました。



「あの・・・。頭大丈夫ですか?というかオジさん誰ですか?」



その男は銃を構える姿勢を止めました。



ヒップ「一度しか言わんぞ,良く聞け。俺の名前は,ジョニーヒップ!」





「いやいや,どう見てもアンタ日本人だろ!?何だこいつは!?」



店長は呆れて,奥の方へ仕事をしに行きました。



店長「後は任せた・・・。あんな変な

客の相手なんかしていられん・・・。」



ヒップ「ああ,わかった,わかった。

わかったからそんなに怒鳴らないでくれ。」



両手を大げさに振り,オーバーリアクションで

勘弁してくれよというしぐさをしました。



「わかった・・・。この人,ハリウッド映画かぶれの人だよ・・・。」

「何そのめんどくさい人は・・・。」



だぬちゃんは呆れていました。



「えっと,ヒップさんは,この店で何を買いに来たんですか?」



ヒップ「もういっぺん言ってみろ!!」



急にどなり出しました。



「いや,だからどんな用でこの店に来たの!?」



ヒップ「俺に言っているのか?」



と言って,首を振りました。



「お前以外いないだろ!ああ,なんか腹立つなぁ・・・。」



ヒップ「何の用かって?いいか,真剣に聞いてくれ。これはマジな話だ。」



もう,誰も突っ込みませんでした。



ヒップ「良い話と悪い話がある。どっちから聞きたい?」



「どっちでもいいですよ!」



思わずだぬちゃんが再び突っ込んでしまいました。



ヒップ「俺はこいつに用があるのさ。」



手元にあった,ヘラクレスオオカブトが入ったケースを手に取りました。



「ああ,ヘラクレスを買いに来たんだね。」



ようやく話が少し進みました。



ヒップ「まぁな。良いものはみんな日本製だからね。」



「いやいや,それ外国産カブトだろ!?」



ヒップ氏は会計をすませようとしましたが,お金が足りませんでした。



「何しに来たの・・・。」



ヒップ「今何て言った!?違う!その前だ!」





結局,買い物はできず,デップさんは

入口に止めてあった車に乗ろうとしました。



すると車のフロントガラスには

駐車禁止のシールが貼られていました。



ヒップ「おぉい!これは俺の車だぞ!

こんなのありかよ!?クソったれ!」



「ああ,駐禁とられたんですね・・・。」



三人はここに来た目的も忘れ,ただすぐにでも

この場を去りたい気持ちでいっぱいでした。



ヒップ「いつか,また会おう!」

彼は車に乗り,立ちすくむ三人をしり目に

颯爽(さっそう)と去っていきました。



第203話 物語の邂逅 4周年特別企画 前編
今回は4周年特別企画としてこれまでの物語を振りかえってみます。

まずは,少年昆虫団と闇組織JFの組織図の紹介です。





リク

本編の主人公。二本の捕虫網,“天照”と“月読”を使いこなす。

大人顔負けの頭脳と戦闘能力を持つ。夏休みの目標は闇組織JF壊滅。






イツキ

過去に城嶋という人物に格闘技を教えてもらった。

その実力は小学生離れしており,巷ではかなりの有名人。

歴史的建造物や考古学に興味があり,昆虫採集には消極的。








まさら

少年昆虫団の紅一点。お買い物が好きで昆虫には

あまり興味はないが,唯一コクワを飼育している。






だぬ

つっこみ担当。時々鋭い視点で突っ込みを入れる。

口癖はだぬは思うよ!だが最近は言わなくなってきた。






トシ

最後に少年昆虫団に加入。虫嫌い。体が大きいので戦闘能力は

そこそこ高いが根は優しいので滅多に暴力をふるうことはない。

リク君の弟であるワク君とよくどこかへ出かけているようである。






レオン

中野木大学の学生だが実は,警察の人間。

父親が闇組織JFに殺され,組織壊滅のために奔走する。

普段はおどけていることが多い。




<闇組織JF>



御前

組織のトップだがいまだ素性は不明。



<シックスユニット>



ユニット名:山犬
山本南雲古賀


ユニット名:海猫 
*牟田と山下は負傷離脱
今村大西(グレイ)影(シャドー)


ユニット名:川蝉

東條

かなりの実力者らしいが詳細は不明



ユニット名:沼蛭

*現在リーダー不在



ユニット名:森熊



源田



ユニット名:藪蛇



アヤ



<ジャファ生命工学研究所>



石井所長(通称“軍医”)



黒と黒のクラッシュシリーズ



旭森林公園にて闇組織JFのメンバーと初対峙。





リク君は山犬のメンバーがカブトムシを殺害している様子を見つけ,糾弾。

この時は組織から相手にされず,その場を去っていく。



ブラックインパクトシリーズ



各務原山を舞台に少年昆虫団と闇組織JFが対決する。

実はこの各務原山では他にも別行動を

していた人物たちがいるのだが,それはまたいずれ本編にて。



山犬の山本がリク君を平成のファーヴルと名付ける。

さらに組織が漆黒の金剛石という何かを探していることを確信する。



古賀がリク君たちに襲いかかるがリク君の奥義で返り討ちにする。

その場を逃げることにするが,海猫のメンバーも追ってくることになる。



その時,謎の狙撃手が闇組織JFのメンバー牟田と山下を撃ち抜いた。



のちにその人物はマコト・セルジュという闇世界では有名な暗殺者だと知る。



彼の助けもあり,なんとか組織の手から逃げることに成功する。

同時に,川蝉の東條から山犬の山本に連絡が入る。



その連絡の内容とは・・・今後明らかになることでしょう。



どうやらこの各務原山では複雑にいり組んだストーリーが隠れていたようです。



第204話 物語の邂逅 4周年特別企画 後編

ノアシリーズ



序章

少年昆虫団は中野木図書館で謎の書物を発見する。



彼らはその書物をノアの書と名付ける。難しい内容

だったので,解読はイツキ君が行うことになった。



第1章

闇組織JFの一部門であるジャファ生命工学研究所の軍医こと石井所長の依頼により,

山犬が研究所から持ち去られたノアズアーク(ノアの書)の捜索に当たることとなった。

石井所長は山犬が捜索に当たることに反対であったが,紆余曲折あり,山犬が担当することになる。



それを察知した海猫の今村は独自に影にその所在を探らせる。目的は不明だが,

石井に恩を売ることも一つとされる。リク君は闇組織の影(シャドー)が身近な人間に

変装している可能性があると指摘する。



怪しいのはカブクワキングの伊藤店長,その店の裏に引っ越してきた

謎の大学生レオン,中野木図書館の乃木館長,そしてもう一人・・・。



第2章

リク君は名駅で偶然,組織の山犬のメンバーを発見し,後をつける。

彼らの会話の内容を盗聴していると,山本が現れた。



絶体絶命のところ,うまく隙を見つけ,その場を去ることに成功。

会話の内容から影という存在が自分たちのことを探っていることを確信する。

その後,長山スパーランドでイツキ君がノアの書の解読できた部分をみんなに説明する。



どうやら漆黒の金剛石とは“神の遺伝子”という特殊な

遺伝子をもったカブトムシであるらしい。

ただ,神の遺伝子というのがどんな遺伝子なのかはまだ分かっていない。





一方,レオンは長山スパーランドで少年昆虫団の後を

つけていた影(シャドー)を監視していたのでした。

レオンさんとリク君による影おびき出し作戦は成功し,

追い詰めますが,あと一歩のところで逃げられてしまいます。



ここでレオンさんから闇組織JFのことについて詳しく聞くことになるのです。

それは組織の最終目標が日本国解体にあるという衝撃の事実でした。

そこでリク君たちはJFの壊滅を夏休みの最大目標に掲げたのです。



最終章

影はノアの書をイツキ君から奪還するため,誘拐計画を立てる。

森熊の源田から組織の兵隊を数名借りて実行に移す。イツキ君は誘拐されるが,

実はこれは彼とリク君,レオンさんの作戦であった。影はイツキ君の身の安全と

引き換えにノアの書を要求してきた。そこで,今までちょっとずつ製作していた精巧に

できたノアの書を渡し,組織の目をそらすことに成功した。



しかし,ノアの書にはコピーガードのかかっていない部分もあり,

多くの謎も残っています。それは今後の物語で明らかになることでしょう。



菊の華シリーズ



序章

闇組織JFを壊滅させるための組織が動き出したようです。

通称“菊”と呼ばれていました。しかし,JFもこの菊と

呼ばれる組織にスパイを潜り込ませているようです。



いよいよJFとの全面対決が始まるのでしょうか。



第1章

警察内では闇組織JFを壊滅させるための組織が結成されていました。

それが公安部の通称“菊”とよばれる部署でした。菊のリーダーは二宮神社で

神主をしていた赤神という人物でした。





そしてあのレオンさんもこの組織に所属していることが判明します。

他には,ジャズバンドグループのリーダーである青山氏,



服屋の店員である桃瀬氏,



サーカス団の団長である黄金原氏が



幹部として名を連ねていました。



リク君は山本の車を発見し,山本と源田の会話を盗聴しますが,ばれてしまい,

組織の兵隊に追われることになります。しかし,レオンさんと協力して切り抜けました。

そして,レオンさんの正体が公安警察の人間であることを見事に暴き,菊のメンバーを

紹介してもらえることになったのです。



さらに影やそのライバルとされるグレイも動き出したようです。



今後,菊とJF,少年昆虫団はどのような展開を見せるのでしょうか。



第205話~第208話

2017/11/21

第205話 バトルヤバイヤロ1限目1 
ワクのわくわく冒険記シリーズ



*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。




・・・



・・・・



・・・・・



ワク君は激しい頭痛に襲われ意識を失っていました。

どれくらいの時間がたったでしょうか。



だんだんと意識がはっきりとしてきました。



「ああ・・うっ・・・。」



頭を押さえながら,顔上げました。







ワク君はどうやら椅子に座っていたようです。

学校で使っているあのイスです。



目の前には机がありました。

同じく学校で使っているいつもの机でした。







「いったい何がどうなっているんだ・・・。」



彼は周りを見渡しました。なんとワク君は学校の教室の中でした。

しかし,ワク君の通っている学校の教室ではありませんでした。



横を見ると,トシ君が机に頭を伏せて寝ていました。



「おい,起きろ!」



ワク君はトシ君を起こしました。



教室には何人もの人間がいました。

性別も年齢もバラバラのようです。



ある者はじっと椅子に座っています。

また,別のある者は窓からずっと外を眺めていました。



中にはお互いが知り合いなのか楽しそうに

会話をしている人たちもいました。



「う~ん。なんだい,ここは・・・。イテテ・・・。」



トシ君も目を覚ましたようです。



「知るかよ・・・。多分,ヴォイニッチワールド(165話~参照)の影響だろうな・・・。

元の世界に戻るつもりがまた変な世界に飛ばされたってところか・・・。」


「ええ・・・。マジかぁ・・・。」



二人は見知らぬ場所にいてもそこまで焦ってはいない様子でした。



「まぁ,そのうち帰れるだろ・・・。

出口を見つけることができれば・・・ね。」


「なるほど,確かに。」



二人がそんな会話をしていると後ろから声をかけられました。

二人の席は教室の一番前の列にありました。



???「ねぇねぇ,君たちは小学生だよね~?」



「そうですけどあなたは?」



声をかけてきたの,女子高生でした。

隣にはちょっと頭の悪そうな筋肉質の男子高生がいました。

会話を聞いているとどうやら彼氏のようです。



女子高生「じゃあ,この教室では君たちが最年少だね~。」



「あの,一体,ここはどこなんですか?」



男子高生「知るかよ!俺たちは公園でデートしていたんだ。

そしたら急な眠気に襲われて,気づいたらここにいた。ふざけやがって・・・。」



男子高生はイッテツ,女子高生はアヤネと名乗りました。





<アヤネ>



<イッテツ>



「じゃあ,他の人たちも同じような感じでここに集められたんですか?」



???「俺は仕事の帰りに居酒屋に寄ったんだ。」



黒板の前に立っていた中年の男性が声をかけてきました。

???「そしたら,いつの間にか酒がまわって

寝てしまったみたいでね。起きたらここにいた。」



「へぇ・・・。」



???「俺は万案商社の専務,安田だ。よろしく。」



<安田>



「どうも。ワクとこいつがトシです。」



急に見たこともない学校の教室にいた二人。

果たして元の世界に帰ることができるのでしょうか。



第206話 バトルヤバイヤロ1限目2 
ワクのわくわく冒険記シリーズ



*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。

また本作はグロテスクなシーンを含みます。ご注意ください。




ワク君とトシ君は見たこともない学校の教室にいました。



どうやらヴォイニッチワールドからうまく

元の世界に戻ることができなかったようです。



二人は元の世界に戻るための行動をとることにしました。



「とりあえず,教室の外に出てみよう。」



女子高生のアヤネはクスクスと笑っています。



トシ君が教室の前の扉を横に開けようとしました。



しかし,堅くて開きませんでした。



「あれ,おかしいなぁ・・・。開かないよ。」



ワク君も手伝いましたが扉はびくともしませんでした。



安田「俺も試してみたが,まったく開かない。

ちなみに後ろの扉も校庭側の窓も開かない。」



サラリーマンの安田が補足しました。



???「それどころか,窓は傷一つつかないんだ。」



窓にいた人物が話しかけてきました。



白馬「僕の名前は,白馬。さっき,窓に椅子を

ぶつけてみたんだけど,全く割れなかった。」



<白馬>



彼はやれやれというポーズをとりました。

彼はかなりのイケメンでした。



年齢は20代半ばでIT系の社長だと説明しました。



「つまり,この教室からは出られない・・・?」



イッテツ「そういうことだ・・・。今のところはな。」



男子高生のイッテツは教卓の上に座りました。



ワク君は窓から校庭を見下ろしましたが,

時間は夜で下が暗く良く見えませんでした。



しばらくすると教室の黒板の上に

設置されたスピーカから音が鳴りました。



キーンコーンカーンーコーン。



どうやらチャイムのようです。

つづいてアナウンスが入りました。



放送「教室にお集まりの生徒諸君。

授業を始めますので着席してくださいねー。」



???「おい,俺たちをこんなところに

集めてどういうつもりだ!責任者を出しやがれ!」



とてもガタイの良い男がスピーカに向かって声を張り上げました。



筋肉質な腕は重い荷物を持つ仕事に携わっているように思えました。



次の瞬間。





彼の頭は吹き飛んでいました。



ブッシュー・・・。



おびただしい量の血が出ています。



教室では悲鳴があちこちで上がっています。

突如起こった現実に思考が追いついてないのが現状でした。



教室天井付近に設置されたレーザー装置から

発射されたレーザーが頭を吹き飛ばしたようです。



レーザー装置は教室の四隅に設置されており,死角がありませんでした。



アヤネ「いやぁぁ・・・。何,なんなの!?

どうなってるんのよ!?」



教室はパニックです。



「落ち着いてください!」



ワク君はあわてることなく,周囲に冷静になるように促しました。



「ひぃ・・・。死体を見慣れているオイラ達でもこれはキツイなぁ・・・。」



トシ君もなかなか冷静でした。



彼らは様々なパラレルワールドなどで多くの死んでいった人間を

見てきた経験があるので,他の人たちよりは落ち着いた行動ができました。



放送「もう一度言うよ。まずは全員着席すること。

そして机の中に二つのボタンがあるので,それを手に取ること。」



再び放送が入りました。



まだ教室内はパニック状態でしたが,全員がさきほどの男性と

同じ運命をたどりたくなかったので,席に着きました。



放送「それでは1限目の授業開始だよ~!」



いったい何が始まるのでしょうか。







第207話 バトルヤバイヤロ1限目3 


ワクのわくわく冒険記シリーズ

*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。

また本作はグロテスクなシーンを含みます。ご注意ください。






謎の教室に集められたワク君たち・・・。

スピーカからは着席の指示が出ていました。



???「一体何がはじまるんだよぉ・・・。」



ワク君の右隣に座っていたのは気弱そうな青年でした。



その青年が弱音を吐いていました。



真木「あ,僕は真木といいます。

大学2年生です。君は怖くないのかい?」





<真木>



「それは・・・こわくないと言ったら嘘になりますけど・・・。」



さらに真木の後ろに座っていた少女も怯えていました。



???「こわい・・・。」



真木は後ろの少女に話しかけました。



真木「大丈夫かい?怖いのはみんな一緒だよ。君の名前は?」



あいる「あたしはあいる・・・。中学2年生です・・・。」





<あいる>



少女は震えながらうつむいています。



トシ君はこの少女のしぐさにひかれました。



「大丈夫だよ。オイラたちがいるから何も心配ないよ!」



トシ君の方がはるかに年下なのですが自信満々でした。



あいる「うん,ありがとう。君は強いんだね。」



あいるちゃんは顔をあげてトシ君を見つめました。



「まぁね!だから何があってもオイラを信じてくれれば

大丈夫だからね!勘だけは誰にも負けないよ!」




ワク君は横からトシ君を小突きました。



「おい・・・。惚れるなよ・・・!」

「なっ何を言っているんだよ。ワク君・・・!」



トシ君が核心を突かれ,珍しく焦っています。



「わかっていると思うが,俺たちはこの世界の住人じゃない。

余計な干渉は最小限にするべきだ。」




ワク君は相変わらずの徹底した現実主義(リアリスト)でした。



「はいはい。わかっていますよ。」



あいるちゃんはそんなやり取りを見てクスっと笑いました。

それは彼女が初めて見せた笑顔でした。



突然,一番後ろの席の男が叫びました。



???「オラ!授業でもなんでも早く始めろ!」



「何だあの人・・・!さっきの人みたいに殺されちゃうよ・・・。」



トシ君の後ろに座っていたIT社長の白馬が忠告してくれました。



白馬「彼は郷田っていう暴走族のリーダーみたいだよ。

君たちが意識を失っていた時も別の人と揉めていたんだ。

あまりかかわらないほうがいいよ。」



「なるほど・・・。」



放送「それでは1限目は○×問題の授業だよ。今から全部で5問の問題を出すよ。

全てクリアできた人はこの教室から出ることができる。

ただし,不正解の場合はその時点で・・・ドカン!」



どうやら今から○×問題が出されるようです。



放送「手元にある○と×のボタンがあるからそれで解答すること。

相談するのはかまわないけど制限時間があるから気をつけてね。」



教室に緊張が走りました。



「ワク君,なるべく協力しよう!」

「はいはい・・・。」



ワク君は軽くあしらいましたが,

一応トシ君の心配もしていました。



放送「それでは第1問。『日本で一番高い山は富士山である。』

さぁ,○か×のボタンを押すように。ちなみ1度押したら変更は

できないからよく考えてから押すように。」



安田「なんだ・・・。どんな難しい問題が

出ると思えば・・・。こんなのは○に決まっている。」



トシ君は悩んでいました。



「勘で○にしよかな。」

「答えは○だからな。間違えるなよ。」



ワク君は一応助言をしました。



教室には全部で25人いましたが,全員が○を押しました。



放送「正解は・・・○でした!全員正解です!

さすが,優秀な生徒諸君!先生は誇らしいよ!

それでは第2問いくよ!」



ワク君はトシ君にアドバイスをして1問目を切り抜けさせました。



放送「第二問。『日本の警察官と教員では人数が多いのは教員である。』

さっきと同じようにボタンを押そう。」



アヤネ「え,何それ・・・。わかんないよ,そんなの・・・。」

女子高生のアヤネは彼氏のイッテツに相談

しているようですが,結論は出ていないようです。



放送「さぁ,あと30秒以内にボタンを押してね!」



安田「俺は×にするぞ。さっき○だったから今度は×な気がする。」



ワク君は何か言おうとしましたが,その前に

サラリーマンの安田氏は×を押しました。



イッテツ「俺ものった!」



イッテツも×を押しました。



アヤネ「そんな簡単に決めちゃっていいの!?でももう時間が・・・。」



アヤネが×を押そうとしたとき,ワク君がその手を止めました。



「○を押して。大丈夫,オレを信じて。」



果たしてアヤネはどちらのスイッチを押したのでしょうか。



第208話 バトルヤバイヤロ1限目4 


ワクのわくわく冒険記シリーズ



*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。

また本作はグロテスクなシーンを含みます。ご注意ください。






謎の学校の教室では恐ろしい授業という名の殺戮が行われていました。



第1限目は○×問題で間違えれば死・・・。



第二問目はワク君のアドバイスを受けて,

女子高生のアヤネは○を押していました。



イッテツ「オイ,アヤネ・・・。それじゃどちらかが死んじゃう

じゃねーかよ!何,ガキの言うことなんか間に受けてんだよ!」



アヤネ「仕方ないじゃない!時間なくてあせっちゃって!」



放送「時間です。正解は・・・。」



トシ君は○ボタンを握りしめながら汗だくだくになっていました。



放送「正解は○です。教員100万人に対して警察官は29万人ほどです!」



次の瞬間,ものすごい音が教室に鳴り響きました。

何かが破裂するような鈍い音です。



安田「ぐほっ・・・!」



不正解だった者の頭が吹き飛ばされて辺り一面血の海になっています。



アヤネ「いやぁぁぁ!イッテツ!!死んじゃいやぁぁぁ・・・!」



アヤネは首から下しかないイッテツを

抱きしめながら泣き叫んでいます。



この問題でイッテツ,サラリーマンの安田を含め,7人が死亡しました。



残りは18人です。



暴走族の郷田,IT社長の白馬,中学生のあいる,

大学生の真木は生き残っていました。



???「君,やるねぇ~。今の問題,答えはわかっていたんでしょ?」



今度はトシ君の右後ろ,中学生のあいるの後ろに

座っていた人物が座ったまま,ワク君に話しかけてきました。



ワク君は後ろを振り向きました。



マスミ「私は,小川真澄。マスミお姉さんって

呼んでくれてかまわないよ。職業は新聞記者よ。」





<ますみ>



「新聞記者・・・。色々と博識みたいですね。」





放送「続いて,第3問いくよ!この画像を見てね!」



すると黒板に映像が映し出されました。



今は大きなプロジェクターなどなくても,

黒板の上部に設置した小型プロジェクター

から映像を映し出すことが可能なのです。



黒板には一般の人があまり見たことのないようなグラフが映し出されました。



アヤネ「何これ・・・?何のグラフ?」





真木「これは,ただのグラフではなく,正確にはローソクチャートって呼ぶらしいわ。

株価の動きを示したグラフだね。」



そこにはある銘柄のローソクチャートが映し出されていました。



放送「さて,第三問はこのチャートからだよ。

『この株価は次の日,上がるでしょうか,それとも下がるでしょうか。』

上がるなら○,下がると思うなら×を押してね。」



みんなは黒板に映し出された映像を真剣に見つめました。



あいる「こんなの,授業で習ったことないし,わかんないよ・・・。」



か細い声であいるちゃんがつぶやきました。



マスミ「あたしは専門が経済じゃないからなぁ・・・。政治部なんだよね・・・。」



マスミさんは頭をかきむしって悔しがりました。



「ワク君,これ・・・わかるの・・・?」



「う~ん・・・。親の知り合いに株をやっていた人がいて,

その人になんか聞いたことがある・・・。確か・・・。」




ワク君は何かを思い出そうとしていました。



アヤネ「え,ワク君,この問題もわかるの!?」



アヤネは驚いて声に出しました。



「答えは・・・。でも自信はないよ。

チャート分析は過去の結果から未来を予測するものであって,

100%ではないからね・・・。引っかけ問題だったら

・・・ドカン!・・・だよ。」




さぁ,気になる正解は・・・。







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