昔,昔,那古屋に清州新衛門という男が大きな屋敷に住んでいました。
ある日,この清州が大事にしていたお皿を
おさよという女中が割ってしまいました。
清州「なんということをしてくれたんだ!
我が家の家宝を割ってくれるとは・・・!」
おさよ「申し訳ありません。」
おさよは土下座をして謝りますが,清州の怒りはおさまりません。
まるでその場で切り捨てる勢いでしたが,屋敷の側近たちに止められました。
その夜,おさよが庭の木で首を吊っている姿で発見されました。

それからでした。毎晩のように清州の枕元におさよの幽霊が現れたのです。
そして1ヶ月後,清州新衛門は原因不明の病で死んでしまいました。
その後,屋敷は廃れ,清州が首をつった木だけが残りました。
時代は流れ,昭和21年。あの戦争は終わり,
復興に向けて国中が頑張っていた時代です。
激しい空襲でもあの木は燃えずに立っていました。
焼け野原になった街を再興するための都市計画が進められました。
そして,あの木が邪魔だという結論になり,切ることが決まりました。
すると,どうでしょう。
その木を切ろうとした業者や役人が次々と謎の死を遂げました。
ついにその木はおさよの呪いの木として切られることはありませんでした。
さらに月日が流れ,現代。
その木は未だに切られることなく,道路の真ん中に立っています。
この木の呪いに興味を持った霊能力者がいました。
深夜遅く,その霊能力者がその木の前に立って霊視を行いました。
霊能力者「むむむ・・・。これは・・・。」
すると,首を吊ったおさよの姿が見えました。
霊能力者「確かに,女中が首を吊っている。
やはり,これは彼女の呪いか・・・。」
と,思った次の瞬間・・・。
手首が見えました。彼女を吊りあげる手首が・・・。
霊能力者「どういうことだ,これは・・・。
彼女は自殺じゃないのか・・・。」
次の瞬間,その霊能力者の体が宙に浮きました。
恐ろしいほどの力で首がしまっていきます。
霊能力者「ぐおおお・・・。くっ苦しい・・・。」
次の日,霊能力者がその木の下で死んでいました。
首には縄で首を吊ったような痕が残っていました。
一体,霊能力者が見た手首はなんだったのでしょうか・・・。
そしてその手首が霊能力者を殺したのでしょうか・・・。
謎が深まるばかりの呪われた木が名古屋には
確かに存在するのです。これからもずっと・・・。
話が終わると,子どもたちはみんな泣いていました。