日本には行ってはいけない村がある。
その村の名前は-猫鳴村-
その村は「入ったら出てこられない」,「死者への入り口」などと
口コミで噂され,どこにあるのかもわかっていない。
ただ,この日本のどこかに確かに存在する村だと伝えられている。
数多くのオカルトマニアや心霊研究者などがその存在を探したが,
誰一人としてその村をつきとめた者はいなかった。
ある大学のオカルト研究会のメンバーが
この村の存在を突き止めようと準備を進めてきた。
メンバーは全部で15人。
男性が10人で女性が5人であった。
メンバー一行は古い文献を隅々まで熱心に調べていた。
有力候補だった説が猫鳴トンネルをくぐるとその先に,
「日本国憲法,このさきつうじず」という立て札があり,
さらに進むとそこに猫鳴村があるというのだ。
さっそく,猫鳴トンネルを探してみるとすぐに見つかった。
某県某市に旧猫鳴トンネルという
今は使われていないトンネルが見つかった。
メンバー一行は深夜0時を過ぎた頃,
このトンネルの中へ入っていった。
入口付近に1匹の黒猫が彼らのすぐ前を横切っていった。
その猫は道の端まで来ると彼らがトンネルに入っていく
様子をじっと眺めながら「ニャァ・・・。」と小さく鳴いた。
そしてしばらくすると,彼らは何事もなかったようにトンネルから戻ってきた。
トンネルの反対側の端はブロックが積み上げられ,
先に進むことはできなくなっていたが,隙間からは反対側の景色が見えた。
国道も通っており,そこには都市伝説の
村は存在していないように見えた。
彼らは,ほどなくしてその場を離れた。
結局,猫鳴村を見つけることはできなかったのだ。
彼らがトンネルの一番奥で見たブロックの
一番左端に小さく赤い文字が書かれていた。
「禍」という文字が・・・。
ほどなくして彼らの通う大学で
原因不明の病がはやり出した。
トンネルに入ったメンバー一行は
次々と謎の死を遂げていった。
原因不明の病死だ。
大学での死者はさらに増え続け,彼らと関わった友人や教授,
ゼミ仲間,他の部活動の人間なども次々に死んでいった。
結局この大学では原因不明の死亡者が122人も出た。
大学は当面の間,休校となり,警察や大学病院も
原因を突き止めようとしたが分からずじまいだった。
巷では猫鳴村の呪いとして恐れられた。
そして噂が噂を呼び,退学者や翌年の
入学者が激減し,この大学は閉校となった。
閉校後の校舎内に一人の男性が立っていた。
彼は,オカルト研究会メンバーの唯一の生き残りであった。
彼だけが生き残ったので,当初は警察も
彼のことを疑ったが,何も証拠は出てこなかった。
「猫鳴村の呪い・・・か・・・。クククク・・・。」
彼は突然,闇夜の中で笑いだした。
「こんなことになるなんてなぁ・・・。」
何やら独り言をつぶやいています。
この原因不明の真相を語り出しました。
彼は事前に一人で猫鳴トンネルへ行き,
そのブロックを乗り越えて奥へ進んでいました。
そこには,本当に猫鳴村が存在していたのです。
彼は何らかの方法でかつてその村を
壊滅させた殺人ウイルスを手に入れました。
彼はオカルト研究会の中でいじめを受けていました。
そこで,猫鳴トンネルから帰ってきた直後に,
このウイルスを使って復讐を実行しました。
「しかし,奴らが死ねばそれで良かったのに
あんなにたくさん死ぬとはなぁ・・・。」
その時です・・・。
「グッ・・・。なんだ・・・。苦しい・・・。」
彼は血を吐いてその場に倒れこみました。
「なぜ・・・こんな・・・はずじゃ・・・なかった・・・」
彼もまた謎の死を遂げました。
これこそ猫鳴村の呪いなのか・・・。
死者は123人となった。
のちに原因が未知のウイルスだと正式に結論づけられた。
このウイルスを人々は123(ヒフミン)ウイルスと呼んだ。
このウイルスはしばらく影を潜めることになるが
・・・70年後の現代,それは突然訪れた・・・。
稲川「今回のお話はここまで。