リクの少年昆虫記-過去のお話-

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目次


第513話~第516話

2024/5/12

第513話 庄外川の大戦⑤

エピソード0シリーズ 第2章
庄外橋で先鋒隊の壊滅を受け,第二陣として待機していた

爆走・ポニーガールズが前に出ていくことになりました。



メンバーは約60人で影山優香(17)がリーダーでした。



彼女は自らチーム立ち上げ,喧嘩を繰り返しメンバーと縄張りを

広げていったストリートファイターでもありました。



そしてマザーにその実力を認められ,傘下に入ったようです。



影山「ここは私たちが食い止めるしかない!

みんな死ぬ気で戦え!!」



彼女の発声にチームは鼓舞され,

士気が高まっていくのがわかりました。



しかし,相手は鬼塚率いるマッド・ジュピターと

那須野のヤ・サイセーレディースです。



味方が一人また一人と倒れ,

気づけば人数は半分になっていました。



影山も男女関係なく何人か戦闘不能にして,

戦況を挽回しようと奮闘していました。



しかし,数の差は埋められることなく,

だんだんと押されていきます。



影山「まだまだ・・・。」



すでに敵のリーダーたちは後方に下がり,

戦況を見守るほどの余裕ができていました。



この状況をすぐ後ろで見ていた二人がいました。



リク君のイヤコムに連絡が入ります。



リア「そろそろ君たちの活躍が見たいんだが・・・?」



イヤコムを使って,

そうしゃべりかけると・・・。



「あれ?情報共有は市城の

メンバーを通じてじゃなかった?」



彼が含みを持たせた言い方をすると,



リア「これはただの世間話だよ。」



どうやら彼は二人が逃げないか,関する役目もあり,

二人に直接つながるイヤコムも持っていたようです。



「わかってるって!」



二人は爆走・ポニーガールズのメンバーを

かき分け,前に出ていきました。



影山「お前たちは・・・。

下がっていろ・・・。

お前たちに何ができる・・・。」



リク君とイツキ君の前の前には那須野清子率いる

ヤ・サイセーレディースが橋を占拠していました。







「何って・・・?

あいつらに勝てるけど・・・?」



平然と言って見せました。



敵のチームはこの橋の現状維持を任されているようで,

橋より手前には積極的に進軍してくることはありませんでした。



「じゃまなナスだ・・・。」



那須野「おいおい,今なんて言った?ナス顔だと??」



彼女が一番気にしていることを

言ってしまったようです。



「いや,そこまでは言っていないぞ・・・。」



リク君は天照と月読を取り出し,

戦闘準備万端のようです。



「いくっよぉぉぉ!!!」



大きな声を出し,

二本の捕虫網を前に突き出します。



大地二刀流 ―神速の打突・連弾-



ドドドドドドド・・・・・!!



高速で動くその打突によって

かなりの人数が致命傷を食らいました。



中には勢い余って橋から

落ちていく不良もいました。



那須野「なっなんだぁ!?」



彼女には何が起こっているのか理解不能でした。



影山「何が起きている・・・。

私たちがこれだけ苦戦していたのに・・・。

あんなガキが一人で・・・!?」



「こうしよう!

オレが雑魚の相手をするから,

イツキ君が頭を倒してくれ!」



ニカッと笑いながらそう提案しました。



「俺は誰の指図も受けない。」



そう言った後,リク君を見て,



「だが,悪くない案だ。」



と言いなおしました。



「でしょ!」



リク君は再び敵の群れに突っ込んでいきました。



第514話 庄外川の大戦⑥

エピソード0シリーズ 第2章
リク君はヤ・サイセーレディースにまったく

戸惑うことなく向かっていきます。





「さすがにこの人数差じゃ,

あまり手加減できないからね!」



大空二刀流 

-追撃の星(シューティング・スター)-



上空10mから流星がまるで

嵐のように降り注ぐ様は圧巻でした。



リク君が地上に降りる頃には30人からいた

敵のチームが壊滅していました。



どうやら横に陣取っていたマッド・ジュピターにも

被害を与えているようでした。



鬼塚「現状報告!いったい何が起きている!」



敵のリーダーが叫びます。



大量の砂ぼこりで前が

見えなくなっているようです。



「なんだこのガキは!」



完全に地上はパニック状態でした。



「いてぇよぉ・・・。」

「ぐふっ・・・。」



あちらこちらで

悲鳴や叫び声が聞こえます。



「まだまだ行くよ!!」



大地二刀流

―天之常立(あめのとこたち)-





両手を広げ,雨乞いのような

ポーズをとった瞬間・・・。



やはり高速でパニック状態の敵へ突っ込んでいき,

天照と月読を振りかざしていきます。



敵の飛び散る血がまるで雨のように降り注ぎました。



ヤ・サイセーレディース:全滅

マッド・ジュピター:20人近くやられて潰走



「降伏したほうがいいな。

俺も女を殴るのは趣味じゃない。」



那須野「くそっ・・・。

そんなバカな・・・。」



戦力を失った敵のリーダー那須野は

黒いカナリアのメンバーに

よっておとなしく拘束されました。



リア「期待以上だよ。」



参謀であるリアが二人に

近づいてきました。



「持ち場を離れていいのか?

まだ敵チームのリーダーがいただろ?」



リア「ああ,マッド・ジュピターの鬼塚のことかな。」



彼が指さす方向には誰かが倒れていました。



カナ「お兄!こっちは終わったよぉ!」



鬼塚の体の上で無邪気に

飛び跳ねていたのはリアでした。



「そっちも主力のメンバーは

相当な実力者ぞろいってわけか。」



リク君が納得しました。



しかし,ゆっくりと会話を交わす暇もなく,

次から次へと敵がやってきました。



ファザーの先鋒隊が壊滅したことで,

四神の"青龍"や"朱雀"が本腰を

入れて侵攻してきました。





影山「リアさん,すみません・・・。

自分がふがいないばかりに・・・。」



肩を落とす彼女に,



リア「いやよくやってくれた。

まだ戦いはこれからだ。いけるか?」



影山「はい。」



彼女は30人ほど残っていたメンバーを

かき集め,体勢を立て直しました。



カナ「向こうから青龍の辰野が

来てるよー!殺っていい!?」



橋ではリク君とイツキ君,

そして黒いカナリアのカナに

よって状況が改善されていきました。



一方で川の中腹では・・・。



第515話 庄外川の大戦⑦

エピソード0シリーズ 第2章
リク君たちが本格的に橋の上でファザーの

不良グループと戦いに入った時・・・。



川の中腹での戦況はというと・・・。



ファザー側は"ゴルゴダの丘"や"籠球愚連隊",

"庭球暴走隊"の一部が川の向こう岸から

こちらへと向かってきていました。



ファザーの先鋒隊である"極限の蜃気楼",

"極限の好敵手","ウッド・サターン"は

マザーの光速の粒子によって

潰走または半壊させられていました。



ただし激戦が続いていたため,

マザーの戦力は"赤い戦線","白い稲妻",

"光速の粒子"がかなり消耗していました。



そこで主力部隊の日和率いる"紫式部連合"や

涼香率いる"清涼納言連合"が参戦準備をしていました。





"シュワルツェネッガー"の田宮はまだ前線にいましたが,

組織としてはほぼ壊滅状態でした。



日和や涼香の両リーダーは渡河せず,戦況を見守り,

状況によっては一部の部隊を

橋の援軍に回すつもりでしました。



先鋒隊として活躍していた"三猿"の

メンバーはまだ健在でした。



しかし,部下のほとんどは戦闘不能にさせられ,

戦況とはしては厳しい状態でした。



しかし,三猿のリーダーたちの実力は本物でした。



<三猿 リーダーの一人:ミザール・ハグハグ>



ミザール「討ち取った・・・ぞおぉ!!」



ミザールが大声で叫びました。



"赤い戦線"のリーダーである瀬良秀太が

ミザールとのタイマンに負け,川底へと沈んでいきました。



すぐに部下が救出したため,

一命は取り止めましたが,

これ以上の戦闘は無理でした。



リーダーを失ってもなお,

"赤い戦線"は怯むことはありませんでした。



しかし,"ゴルゴダの丘"の幹部や実力者が"三猿"に合流し,

戦力に加わったため,彼らは健闘むなしく壊滅しました。



すぐに"白い稲妻"が援軍に駆けつけたのですが,

これを打ち負かす力はありませんでした。



ほどなくして,リーダーである山本完介の

敗北が全部隊に知れ渡ることとなります。



高須「俺たちが来たからには安心だぜ!三猿のみなさん!」



この上から目線の男が"ゴルゴダの丘"の

リーダーである高須播磨(18)でした。



黄金井「あんたの声は何も聞こえナーイ!」



三猿の一人である黄金井雑夫がそう言いました。



高須「なんだとっ!?」

石清水「ふごふごっ・・・!」



同じく三猿のリーダーである石清水是清が

川の少し先を指さしました。



高須「あれは,マザーの主力の

清涼納言連合じゃねぇか!」



彼は部下の群衆をかき分け,

最前線に出ていきました。



彼の大きな体躯は,見掛け倒しではありませんでした。



ストリートではほぼ負けなしであり,

さらに相手が許しを乞うても暴力をやめることは

ない残虐性は敵味方問わず恐れられていました。



そしてついに"清涼納言連合"と

"ゴルゴダの丘"がぶつかりました。



そのすぐ横では"光速の粒子"が

"籠球愚連隊"と戦闘状態にありました。



それをフォローするために

"紫式部連合"も参戦し始めました。



これで堤防に残っているのは情報伝達の"市城"と

マザー率いる本陣部隊だけとなっていました。



敵の"籠球愚連隊"は組織ナンバー3である

岡嶋清(18)がヘッドとなり,

総勢150人ほどの大規模な愚連隊でした。



傘下のチームには先ほど敗れた

"巨悪な聖闘士(デビル・セイント)"や

"マッド・ジュピター"がいました。



ちなみにマッド・ジュピターは同じく先ほど敗れた

ウッド・サターンを傘下に取り入れていました。



このようにそれぞれのチームが傘下などを

抱えながら巨大な悪の組織となっていきました。



それを束ねるのが圧倒的なカリスマ性と

戦闘能力を持つ人物たちでした。



それが今の三大悪童です。



第516話 庄外川の大戦⑧

エピソード0シリーズ 第2章
ここまでの戦況をもう一度確認してみましょう。



敵の主力である"ゴルゴダ"の参戦で,"赤い戦線"は壊滅。







"三猿"も負けずとマザーの"白い稲妻"をつぶします。







さすがに組織としての勢力は

ほとんどありませんでしたが,

彼らは個々の能力が並外れており,

まだまだ戦力としては健在でした。



そしてゴルゴダと清香率いる

"清涼納言"がぶつかります。



"籠球愚連隊"の岡嶋は怒涛の勢いで

"高速の粒子"に攻撃を仕掛けます。







疲労しきった光速の河内達に

それを押し返す力は残っていませんでした。



ついに河内率いる"光速の粒子"が壊滅しました。



これで川の中ではそれぞれ主力とされる

後詰めチームがぶつかり合う展開となっていました。



ちなみに三猿は一度前線から後方へ戻されました。







すでに戦端が開かれてから1時間以上が経過していたため,

疲労回復のため下げたのでしょうか。



橋での戦況については・・・。



すでに"黒いカナリア"が中心となって"朱雀"や"青龍"の

リーダーである鳥川肝之助(18)と



<四神 朱雀 リーダー:鳥川肝之助>



十影龍五郎(18)を倒していました。



<四神 青龍 リーダー:十影龍五郎>



彼らは逃げ出すことなく最後まで戦い抜きましたが,

参謀でもあるリアと戦闘狂少女の

カナはすさまじく強かったようです。



リク君とイツキ君の二人はここまで

特に幹部やリーダーを倒すことはなく,

無難に橋の向こう側まで来ることができました。



リア「ここからが大事だ。」



彼が慎重に進めようとしました。



影山「いよいよ敵の本陣に

奇襲をかけるんですね。」



美しいポニーテールをなびかせながら,

リーダーの影山がそう言いました。



第二陣を務めた"爆走・ポニーガールズ"はメンバーこそ

10人ほどに減っていましたがまだ健在でした。



カナ「つっこんでいって

全員ぶっ殺せばいいじゃん!」

リア「そうはいかない・・・。」



カナの行動を制止すると,

草陰に隠れて敵の様子を

確認することにしました。



おそらく橋のファザー部隊がすべて壊滅した

ことは本陣に伝わっているはずなので,

すぐに敵の新手がやってくることを警戒していました。



「イツキ君,オレいいこと考えたんだけど。」

「奇遇だな。俺もだ。」



二人は後方で何やらひそひそと

話し合った後,姿を消しました。



ここで場面が切り替わり,

ファザー陣営では・・・。



彼らは堤防の上に直属の部隊を置き,

戦況を見渡せる場所で待機していました。



ファザー「順調!順調!だろ手塚?」



隣で立っていた手塚に話を振ります。



ファザー本人はどこからか調達したキャンプで使う

大型のリラックスチェアーに座ってくつろいでいました。



庭球暴走隊はすでに堤防下で川に入る準備をしていましたが,

リーダーの手塚は参謀も兼ねるため,本陣から指示を出していました。



手塚「しかし,わが傘下もかなりの痛手をこうむりました。」

ファザー「そうなの?」



手塚に対して,気のない返事をしました。



手塚「はい。"ゴルゴダ"こそ健在ですが,

"極限の好敵手"や"辰野",

さらに下位組織である

"極限の蜃気楼"も失いました。」



この手塚という人物には

多くの傘下チームがいたようです。



手塚「残っている傘下は田岡の

"新・田岡組"くらいです。

こちらを橋の迎撃にあてます。」

ファザー「いいんじゃない!それで!」



彼はぐびぐびと手に持っていた

焼酎瓶を飲み干しました。



彼は未成年なので,中身はきっと

サイダーなのでしょう・・・。



多分・・・。



手塚「ありがとうございます。

田岡たちはすでに橋に向かっています。

それから"白虎"の虎次郎と

連絡が取れない状態が続いています。」



ファザー「ふぅん・・・。」



彼はまた気のない返事をした後,



ファザー「それよりもよ・・・。」



と,話題を変えました。



手塚「なんでしょう?」



少しの沈黙が流れた後,

彼が口に出した内容は・・・。



ファザー「マザーの奴はなんでまたこんな

大戦(おおいくさ)を仕掛けてきたんだ?」



それに対して参謀の手塚は一言,



手塚「さあ・・・?」



これは一体どういうこと

なのでしょうか・・・。





第517話~第520話

2024/6/21

第517話 庄外川の大戦⑨

エピソード0シリーズ 第2章
堤防の上にいたファザー率いる

本陣に動揺が走りました。



なんと,先ほどまで橋にいたはずのリク君とイツキ君が

ファザーのすぐ目の前にいたからです。



手塚「なっ!なんだ貴様は!」



<庭球暴走隊 リーダー:手塚紫苑 及びファザー参謀>



「名乗る必要はないだろう。」



イツキ君が近づいてきます。



リク君がよってくるザコたちを

次々になぎ倒していったからです。



ファザー「お前はイツキだな。

こっちの世界じゃあ有名人だわな。」

手塚「イツキ!あの,イツキ!?」



そしてすぐ手が届くところまで

ファザーに近づくことができました。



これが先ほど二人が

考えていたことだったようです。



相手のスキをついて

本陣へ乗り込んだのです。



手塚「おおおおぉ!」



回し蹴りを放って牽制します。

しかし,イツキ君はそれを素早くかわします。



「イツキ君,どいてぇ!」



上を見ると,リク君が飛んでいました。



―大空二刀流 天空の十字線(スカイクルス)-



交差された斬撃が彼とその周囲を襲います。



手塚は一撃目こそかわしたものの,

二撃目をよけきれず額に斬撃がかすります。



手塚「くそっ!!」



額が血だらけになり,

すぐに持っていた

タオルで止血をしました。



ファザー「お前は何だー?

手塚相手にここまでやるとは!」



手塚「俺にやらせてください!

このままじゃ気がすまない!」



起き上がると,再び前に出てきました。



しかしイツキ君の強烈な

フックが顎に入ってしまいました。



「無理をするな。

あいつの攻撃をかすったとはいえ,

食らえばただじゃすまない。」



イツキ君はすでにリク君の尋常ではない

強さを認めているようでした。



「俺が何しにここへ来たかわかるか?」



イツキ君はファザーへ視線を向けます。



ファザー「あの女にそそのかされて

俺の首を取りに来たか。」



「聞きたいことがあってな。」



ファザーは直属の部下に少し

下がるように手で合図を送りました。



これ以上この二人と部下を戦わせても

無駄に消耗するだけであると判断したようです。



ファザー「自分勝手はいけないなぁ!

これだけ好き勝手暴れたんだ。」



彼が雄たけびを上げるとその衝撃で

周囲にいた彼の味方の一部が

耳を抑えながら転げまわりました。



ファザー「ほう。なかなかやるな。」



彼は身長190cm,体重は軽く120kgを

越えていましたが,信じられないほどの

跳躍力で飛びかかってきました。



イツキ君は素早く避け,

体勢を立て直しますが,

今度は彼のラリアットが

首元めがけて飛んできました。



「なっ!?」



間一髪でしゃがみ込んで避けましたが,

そこをすかさず強烈な蹴りに見舞われました。



イツキ君は口から血反吐を吐きながら,

宙に投げ出されました。



「イツキ君!?」

「心配するな・・・。

急所はかわした・・・。」




右手で口から垂れている血をぬぐって立ち上がると,

今度は彼がファザーめがけて突っ込んでいきました。



二人の対決の行方は・・・。



第518話 庄外川の大戦⑩

エピソード0シリーズ 第2章
庄外(そうげ)川の堤防で三大悪童の

ファザーとイツキ君が闘っています。



戦闘の影響で周囲には土煙が立ち込め,

二人の様子がよく見えなくなっていました。



唯一,すぐ後ろにいるリク君と,

敵の幹部である手塚という男だけが

戦いの様子を間近で見ることができました。



二人の熾烈な攻防は続きます。



手塚「まさか信じられない・・・。

あのファザーと渡り合える人間が

他の悪童以外にいるなんて・・・。」



一瞬の隙をついた攻撃で,イツキ君は

再び投げ飛ばされてしまいました。



やはり重量の不利は大きいようです。



「今度はオレがやる!」



リク君がイツキ君の前に出ました。



「おい,まて・・・。

俺はまだ負けちゃいないぞ!」


「わかってるって!」



リク君は捕虫網を2本とも背中にしまいました。



「さっき言ったじゃん,

オレは拳も強いって!それを証明するよ!」


「無茶だ!」



そういうが早いか,リク君が

ファザーの間合い近くで構えます。



ファザー「今度はお前か!

俺を楽しませてくれるんだろうな!?」



「約束する!」



次の瞬間,リク君の出した右の拳と

ファザーの拳がぶつかりました。



ドオォォォンッ!!

大きな衝撃音が耳に響き渡ります。



ファザー「やるなぁ!お前も俺たちの

チームに入れてやりたいぐらいだ。」





「悪いけどオレはもう

チームを立ち上げているんだよ!」



二人は闘いながら会話を交わします。



リク君はファザーの攻撃を

巧みによけ,攻撃の隙を伺います。



何発かはファザーの急所に

当てるのですが,効果は薄いようです。



ファザー「ほう!気になるな!

どんなチーム名なんだぁ?」



リク君が自信満々に答えます。



「少年昆虫団だ!」



ファザーは一瞬呆気にとられました。



ファザー「昆虫・・・?

虫か・・・!?

そりゃ傑作だ!!」



彼は攻撃の手をゆるめません。



そしてとうとうリク君はファザーの

ファーストアタックを食らいます。



「ぐふっ・・・!?」



さすがのリク君にも堪える威力だったようで,

その場でうずくまってしまいました。



イツキ君が傍に駆け寄ります。



「おい,何をやっているんだ!

さっさとそのアミを使えよ!」


「同じ小学生で武器を持っていない。

さらに一対一だ。

だからこれは使えない。

そういう約束なんだ。」



リク君はめげることなく,

立ち上がって構えをとります。



「約束・・・?」



二人の闘いが5分程続いたでしょうか・・・。



イツキ君はいい加減自分も

ファザーと闘いたくなってきました。



彼は城島に鍛えられてから今まで自分よりも

強い相手と闘ったことがありませんでした。



ファザーという強敵と闘えることは

自分の成長にもつながると思ったようです。



「リク代われ!

もう一度俺がやる!」



手塚「さっきから聞いていれば

ふざけたことばかり・・・!」



参謀である手塚が牙をむいて

こちらにけしかけてきました。



しかし,実力は完全にイツキ君が上でした。



手塚「くっ・・・。」



ぐおぉぉぉぉ・・・。



何やら地鳴りのような

音が聞こえました・・・。



「なんだ!?」

「!?」



その音の正体とは・・・。



第519話 庄外川の大戦⑪

エピソード0シリーズ 第2章
庄外川橋を超高速で動く物体と後ろから

ついていく人の群れが確認できます。



先頭を走っているのは三大悪童のマザーです。



必死についていくのは直属部隊の親衛隊と

リク君達から遅れてついてきた,黒いカナリアと

爆走ポニーガールズのメンバーでした。



マザー「ぶ・っこ・ろ・すぅぅぅ!!」







なんとマザーがファザーの

構える本陣に突撃してきました。



先ほどの唸り声は

彼女の怒号だったようです。

新田岡組はあっという間に

壊滅させられたようでした。



「なんでお前がここに来るんだよ!」

「やっぱりマザーって面白いなぁ・・・!」



二人はそれぞれ思ったことを口にしました。



マザー「後ろで構えてちまちま

結果を待つなんて性には合わねぇ!」



どうやら部下たちに窘(たしな)められて,

ずっと出陣を我慢していたようですが,

なかなか戦況が思わしくなく,

しびれを切らして出てきてしまったようです。



川の中ではそれぞれの配下たちが

いまだ戦闘状態にあります。



マザーはリク君をはねのけ,

ファザーの頬に思いっきり殴りかかりました。



バッチコオォッォォィィィ!!!



その衝撃音はあまりに大きく,

鼓膜が破れるほどでした。



彼は不意を突かれたからか,

地面に倒れこみました。



ファザー「いってえなぁ・・・。」



しかし,彼は何事もなかったかの

ようにすぐに立ち上がりました。



リア「リク,イツキ・・・。

悪いがマザーはもう誰にも止められない。」

マザー「時雨はどこにいるんだよぉ!!!

早く返しやがれ~!!!」



ボッコーン!

ズドーンッ!!

グシャァ!!!



ファザーの部下に八つ当たりをするので,

彼の部下たちが次々と血を吐いて倒れていきます。



ファザー「はぁ・・・!?

何のことだぁ!?」



「おいまて!俺が聞きたいことが先だ!」



イツキ君はこのタイミングで口を開きました。



「ファザー!マサルを殺したのはお前か?」



ファザー「おまえらはさっきから何を

わけのわからんことを言っているんだぁ!!」



彼の怒りも頂点に達しているようです。



カナ「ファザーを殺していい?」



リア「カナ,待つんだ!いくら

お前でもあいつは無理だ!」



マザーの参謀でもあるリアはファザーと

マザーのやり取りに違和感を覚えました。



それはリク君も同様だったみたいで,



「ねぇ,リアさん・・・。」



と,声をかけました。



マザー「だから!お前の部下がうちの大事な

時雨をだまして誘拐したんだろうがぁ!!」



怒れるマザーを抑えることは

ファザーの親衛隊にもできませんでした。



ファザーが直接マザーの腕をつかみ力で

制止しようとしますが簡単ではありません。



ファザー「こっちこそ聞きたいなぁ!

なんで総力をかけてうちをつぶしに来る!?

今までお互いにうまく

不可侵でやってきたのによぉ!」



二人の取っ組み合いは続きます。



マザー「だから何度も言ってるんだろうがよぉ!!

貴様が姉の時雨を誘拐したからだ!」



手塚「何のことだ・・・?

我々は一切そんなことはしていないぞ。

そもそも貴方に姉がいることすら初めて知った。」



リク君はこのやりとりを聞いて,



「これが違和感の正体だ・・・。」



とつぶやきました。



マザー「どこにいるんだ!時雨おねぇ!

それとおねぇをそそのかした

時尾っていうのはどこだぁ!?」



ファザー「そういえば,

あいつはどこにいるんだ?」



その時でした。



イヤコムに受信を知らせる

通知音が鳴りました。



マザー「歌仙か!今忙しいんだよ!」

ファザー「ああ?白虎?それがどうした?」



二人のイヤコムに配下から

緊急の連絡が入りました。



一瞬だけその場が静まり返りました。



そして二人そろって

口を開いてこう叫びました。



「悪童のシーザーが全部隊を

引き連れて奇襲を

かけてきた,だとっ!!!」



―第二章 完-



第520話 悪童の激突 前編

エピソード0シリーズ 最終章
三大悪童であるマザーとファザーは

庄外川にて激突しました。



お互いが疲弊(ひへい)してきた

このタイミングにて,

ある知らせが届きました。



歌仙「マザー大変です!

シーザーが攻めてきました!

それもおそらく全軍突撃です!!」



川の上流と下流から二つの勢力を

挟み込むようにして陣取っていました。



真っ暗な堤防と川の中で怒号だけが飛び交っていました。





さらに今のこの場にあるファザーの本陣の

背後からもかなりの勢力が近づいてきます。



そこにはどうやら三大悪童のシーザーもいるようです。



彼の轟名は"皇帝"と

呼ばれていました。



ファザー「なかなか面白いことをしてくれるなぁ!」



マザー「あの先輩には一度,

お仕置きしてやろうと

思っていたところさ。」



二人はこの状況をむしろ

楽しんでいるようでした。



手塚「くそっ!いったい何が

起きているんだ!?」



リア「わからないが,

非常事態ということだけはわかる。」



それぞれの参謀はお互いに

この状況を危惧していました。



「違和感の正体はこれだったんだ。」



リク君は何かに気づいたようです。



「つまり,こいつらは

はめられたってことか。」



その発言に全員が静まりました。



しかし,その時間は一瞬で,

すぐにマザーが奇声を上げました。



キィィィィ!!!!



それによって両陣営の一部は

その場に倒れこみました。



手塚「ファザー。白虎の虎田が

寝返ったようです。」



リア「その虎田ってやつがこんなものを

送り付けてきたんだ。」



その場で例の写真を公開すると,

ファザー陣営は目を疑っていました。



ファザー「俺は常々,部下たちに好きなことを

やって生きろと教えている。」



リク君とイツキ君は

黙って聞いています。



ファザー「だが,こんなことを

しているという報告は受けてない。」



一見すると冷静さを保っているようでしたが,

内心はかなり怒りがこみあげているようです。



ファザー「時尾ならこの件について

何か知っているってことか・・・。」



手塚「あいつは今日の招集に顔を出していません。

何度か連絡したのですが全くつながらないんです。」



肝心の人物がここにはいないようでした。



カナ「結局さぁ~,誰をやっちゃえばいいのさ!?」 愛用のアーミーナイフを

ファザーの前に突き出します。



リア「やめておけ。

お前ではこの男にかなわない。」



カナ「え~!そんなことないのにぃ!!」



普段はあれほどおとなしかった彼女ですが,

どうやら血を見るとスイッチが入り,

狂気となるようです。



ここでやり取りをしている間にも

次々と情報が入ってきました。



とりあえず,この場にいる人間が

同時に情報を把握できるように,

イヤコムの設定を変更しました。



マザー「お前んとこの部下がシーザーに寝返ったんだな?

ならば責任の一端はお前にもある!」



彼女は渾身の力を込めて右の拳を振りぬきました。



ファザーはそれを十字受けの構えで防ぎます。



「おいおい,そんなこと

やっている場合じゃないでしょ・・・!」



リク君の声に耳を貸すわけもなく,

三大悪童のトップ二人の激突が始まりました。



第521話~第524話

2024/7/13

第521話 悪童の激突 後編

エピソード0シリーズ 最終章
三大悪童同士の戦いは

周囲に多大な影響を与えます。



マザーが怒りを抑えきれなくなって,

ファザーに殴りかかりました。



彼はそれをかろうじて交わした後,

カウンターに放った後ろ回し蹴りは

マザーの頬を掠めます。



しかし,その風圧はすさまじく,

後ろにいた彼女の手下の何人かは

巻き添えを食らって

バタバタと倒れていきました。



一方でマザーが繰り出す目にも映らぬ拳の連打は,

近くにいたファザーの貧弱な部下たちをその衝撃波だけで

吹き飛ばしていきました。



二人の戦いによって部下の一部はパニックに陥り,

阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄と化していました。



ドッゴンー!!

ボッカァーン!!



ヴァキヴァキヴァキ!!

ボキペギャァ!!



鈍い音が二人の間から

絶え間なく聞こえてきます。



その間にも周囲の親衛隊や直属の部下たちは

巻き添えを食らって倒れていきます。



気づけばその人数は半分ほどになっていました。



マザー「はぁはぁ・・・。」

ファザー「うぐっ・・・。」



お互い口から血を流し,

体は打身によるあざや

切り傷によって損傷していきました。



リア「(こうなっては誰も

マザーを止められない・・・。)」



手塚「(これは完全に想定外だ・・・。」



悪童たちは持てる力を

全てぶつけて戦っていました。



一瞬だけ,お互いが

間合いの外にでました。



相手の出方を見ているようでした。



マザー「落とし前をつけろやぁ!!」

ファザー「勝手なことを抜かすんじゃねぇよ!」







再び間合いを詰め,

二人がそれぞれの顔面を

めがけて拳を放った時・・・。



どっごおおおん!!



まるでビルが倒壊したかのような大きな音と

ともに周囲に土煙が立ち込めました。



「いい加減にしろよ・・・

てめぇら・・・!」



なんとイツキ君が間に入り,

二人の拳を自分の腕で止めていたのです。



「イツキ君・・・!」

「三大悪童っていうのは

そろいもそろってバカなのか?」



彼の挑発のような言葉に,



マザー「なんだとぉ!?」



と言ってにらみを利かせます。



「川を見てみろ。」



真夜中なので視界は明るくなく,

はっきりとは見えません。



しかし,その視線の先には,

マザー陣営とファザー陣営が

シーザー陣営に取り囲まれ,

苦戦している様子がたしかにありました。



「ここでお前たちが無駄に争えば争うほど,

自分のチームの連中は無駄死にするだけだぞ。」



ファザー「ぬぅぅ・・・。」



二人はまだ拳を下げません。



「それに俺はあのシーザーに用事ができた。

お前たちがここで気が済むまで

暴れるなら好きにしろ。」



彼は二人の拳から手を放しました。



「俺は向かってくるシーザーに

聞きたいことを問いただす。」



「イツキ君の言うとおりだ。

すぐに態勢を整えないと

あいつの思うつぼだよ。」



マザー陣営の参謀であるリアが,



リア「今すぐに,ここに残っている

部隊を全て川へ向かわせ,

日和さんや清香さんの

援護に向かうべきです!」







と進言しました。



この状況はもう一人の三大悪童である

シーザーの思惑通りなのでしょうか・・・?



第522話 態勢の立て直し

エピソード0シリーズ 最終章
ファザー陣営の参謀である

手塚が口を開きます。



手塚「俺の顔に傷をつけた,

お前たち二人は絶対に許さない!」







リク君とイツキ君を指さし,

その怒りをぶつけます。



「・・・。」



手塚「だが・・・。

この状況ではお前たちの

言うことが理にかなっている。」



彼はファザーに近づき,



手塚「我々も残るチームを全て川へ向かわせ,

ゴルゴダ達の援護をしましょう。」



と進言しました。



彼は少し考えてから,



ファザー「そうだな。

お前の庭球遊撃隊も

まだ健在だな。

すぐに指示を出せ。」



と,命令を下しました。



手塚「わかりました!

三猿の三人も健在なので再度,

川へ向かわせます。」



「三猿・・・?

色々といるんだな・・・。」



満身創痍状態の爆走ポニーリーダーである影山が,



影山「しかし,ここに迫ってきているシーザーと

その取り巻きはどうするんですか?」



と,心配していました。



マザー「アタシとこいつがここに残って相手をするさ。

それからリアの部隊もここに残れ。」



こいつとはファザーを指していました。



ファザー「勝手だなぁ~!まぁいいさ。

こうなった以上,あの野郎には

直接おしおきをしてやらねば!」



マザー「それから,

イツキとリクの二人もここに残れ。」



彼女の命令口調にも気にすることなく,



「当然だ。

ここに残らなければ

シーザーに聞きたいことも聞けない。」



と,答えました。



ファザーも自分の親衛隊の一部を残しました。



手塚はすでに,

自分のチームを動かすために

この場から消えていました。



そうこうしている間に,

堤防の向こうから大きなうねりとともに,

多数のシーザー部隊が攻め込んできました。



マザー「きやがったなぁ!」



「ああ,黒幕登場だ。」



こちらの陣営とわずか

100mの距離で敵陣営は

動きを止めました。



そして,その人の群れを割るようにして,

中から一人の男が出てきました。



男といっても年齢は

わずか12歳の小学6年生です。



しかし,その風貌は

全く少年には見えませんでした。



身長こそ,他の悪童よりは小さめですが,

それでも180センチはありました。



真っ黒な長髪をなびかせています。



筋肉粒々というタイプではないので,

体重も二人には敵わないでしょう。



しかし,その目から放たれる殺気と,

体にまとわりつく野望に満ちたオーラは

決してファザーとマザーにも引けを取りませんでした。



何やら部下と会話したあとで叫び始めました。

シーザー「ごきげんよう!

お二人さん!

さっそくだが死んでくれ!!」



彼が右手を高く上げ,

その手を振り下ろすと,

後ろに控えていた彼の配下たちが

一斉に飛び出してきました。



いよいよ庄外川の戦いも

大詰めを迎えてきました。



第523話 黒幕登場

エピソード0シリーズ 最終章
堤防の東西に対峙する

勢力がありました。



西側にはマザーとファザーの陣営,

さらにリク君とイツキ君の二人。



東側にはシーザーの直属のチームと

思われるメンバーがそろっていました。



この中には直属のチーム100人と参謀である

“武留歌”が率いる“チーム・ウイリアムズ”

総勢200人がいました。



さらに楠十傑と呼ばれる幹部チームの一部

主力メンバーとその配下が

50人ほど合流していました。



シーザー「いよいよ俺の時代が来た!

ここまでの作戦は

全て俺の思い通りになっている!」



陣営の先頭に立って大声で笑うこの人物こそ,

三大悪童の一人“シーザー”と呼ばれる男でした。



轟名は"皇帝"と呼ばれていました。



彼のすぐ横には,チームの参謀である

武留歌真琉玖(ぶるうた まるく)がいました。



シーザー「三大悪童と呼ばれるようになってから

早1年!長いような短いような1年であった。」



武留歌「はっ!ついに皇帝の苦労が

報われる日が来るとは。

今日はなんと良き日でしょうか。」



この武留歌という人物は忠実で優秀な部下として

シーザーからの評判が高いのですが,

自分よりも格下の相手には容赦ない態度と

言動をとる癖のある人物でもありました。



年齢は17歳でしたが,

見た目はもう少し老けて見えました。





<チーム・ウイリアムズ リーダー:武留歌真琉玖 及びシーザー参謀>

天然パーマのかかった髪の毛を少し触りながら,



武留歌「思えば,全ての始まりは頭目のバカな手下を

手懐けたところから作戦は始まっていました。」



シーザー「そうだ。白虎の奴らをこちらにつけ,

裏切らせるタイミングを見計らっていたところ・・・。」



彼が言おうとした内容を武留歌が補足します。



武留歌「私が"あの現場(487話参照)"を見かけ,

使えると判断し,皇帝のお耳に入れた次第です。」



シーザー「全てはこの策略家である

この俺の思い通りよ!」



彼は自分自身が優秀な頭脳の持ち主で

あるという自信に満ち溢れていました。



シーザー「あいつらの方が全体の勢力としては上だからな。

やつらをぶつけて,疲れ切ったところを狙う。

これぞ戦略の定石よ。」



武留歌「そして,頭目と聖母を屈服させ,

敗北宣言の言質を取る。

さらにあの勢力をそのまま

我が陣営に入れてしまうというわけですね。」



どうやらこれが彼らの作戦の全貌のようです。



あらかじめ,何らかの方法で

ファザー配下の白虎隊を

味方につけていました。



そして勢力拡大のタイミングを

見計らっていたところに運よく,

ファザーの時尾とマザーの姉である

“時雨”が密会している現場を

押さえることができました。



そうすることで二人をぶつける

作戦を立てるに至ったわけです。



シーザー「ちゃんとあいつらは

押さえてあるんだろうな?」



武留歌「時雨と時尾ですね。

ご安心を。わがアジトの地下に

閉じ込めてあります。

見張りもつけていますし,

逃げ出すことは不可能でしょう。」



マザーとファザーが懸念していた

二人はシーザーの手に落ち,

つかまっていたようです。



シーザー「ここを渡れば,あいつらは破滅。

渡らなければ俺の立場が危うくなる。」



彼は少し周囲が落ち着くのを

見計らってから,

右手を大きく振り上げ,



シーザー「さぁ,賽は投げられたぞ!

俺に続け!!」



全軍を鼓舞します。



そして,



シーザー「ごきげんよう!お二人さん!

さっそくだが死んでくれ!!」



と,叫びながら腕を下におろしました。



これが開戦の合図だったようです。



後ろに控えていた総勢350人以上の

メンバーが一斉にマザー・ファザー陣営に

殴り込みにかかりました。



いよいよ両陣営が

激突する時が来たようです。



第524話 それぞれの戦況確認

エピソード0シリーズ 最終章
庄外川の東西をシーザー陣営に囲まれて,

マザー・ファザー陣営は苦戦を強いられていました。



川上である東側には楠十傑の一部と,

“ユーリウス隊”70人,“ミニ爆隊”30人,

“伴天連神教徒”40人がいました。



一方で川下である西側には,

“神の丘”60人,“爆走珍走連合”120人,

“ヒスパニア”80人が陣取っていました。



防戦するメンバーはかなり消耗しており,

“庭球爆走隊”も援護に駆け付けてはいますが,

かなり苦戦していました。



それでもマザー陣営の“紫式部連合”は

200人以上の勢力が残っており,

敵の勢力を抑えようと必死に抵抗していました。



戦線に復帰した三猿は楠十傑の

下位メンバーのヘッドに狙いを定めて,

ゲリラ攻撃を開始していました。



清香率いる清涼納言連合は,

1.5倍以上の人数を相手に奮闘していました。



この中にシュワルの“田宮”も

合流して戦闘を継続していました。



―場面は再び堤防にて―



すでに両陣営が入り乱れて

戦闘が始まっていました。



戦闘狂女子であるカナは自前の

アーミーナイフで次々と

敵の主力を切り刻んでいきました。



カナ「血を見るのだーいちゅき!

あはは!シャワーみたいに吹き出しなうっ!!!」



あたり一面が血だまりになっており,

周囲には切り付けられた敵チームの

メンバーが苦しみもがいていました。



「あいつ,完全に殺人罪じゃねぇか・・・。」



リア「いや,カナはぎりぎりで

敵の致命傷を避けているはずだ。」



兄であるリアが隣でそう言いました。



「そうは見えないぞ・・・。」



リア「あいつはナイフを持つと

殺人衝動が抑えられなくなる。

だが,ギリギリで踏みとどまっている。」



彼の発言が正しかったようで,

派手に血が飛び散ってはいましたが,

頸動脈や大動脈は傷つけていないようです。



「なんて器用な女子なんだ・・・。」



リア「あそこまで抑え込むのは苦労したんだ。

以前はもっと狂暴だった・・・。」



二人は彼らの行動を受け入れることは

決してありませんでしたが,

非難することもしませんでした。



社会からのはみ出し者が集まって戦いを始めれば,

何が起きても不思議ではないからです。



のちに判明することですが,

この大戦(おおいくさ)では

死者も確認されています。



カナが半殺したメンバーの中には楠十傑の第4傑である

“飯田”と第5傑である“金宮”が含まれていました。



彼らも楠十傑という組織の中ではなかなかの手練れでしたが,

カナの持つ殺人術の前には無意味だったようです。



飯田「救急車・・・。

呼んで・・・

くれ・・・。」



金宮「痛ぇえ!痛いよぉ!!」



リアはこちらの救護班に声をかけ,

ほっておくと死にそうな連中だけは

ワゴン車に乗せました。



敵であろうとも瀕死の連中には

情けをかけたのでした。



そして三大悪童御用達の

秘密厳守の闇病院へと運ばせました。



一方,戦闘はまだまだ

あちこちで続いています。



敵はアイアンや金属バット,

ダガーやメリケンなどで

武装した連中もかなりいました。



ファザーの首を取ろうと,

恐れながらも彼らは向かっていきました。



彼らも裏通りやそっちの世界では

それなりに名の通った連中たちでした。



しかし,ファザーには全く無意味でした。



手にどんな武器を持っていようとも,

素手ですべてを薙ぎ払い,

相手を拳と張り手,

蹴りで潰していきました。



ファザー「こんな連中じゃ

俺の首をとれるわけないだろう!!」



怒り狂ってさらに暴れまわります。



それをわずか10mほどしか離れていない場所

で笑みを浮かべて見ている人物がいました。



シーザー「いいぞ。もっと暴れろ!

そして疲れろ!疲弊しきった

ところを俺が自ら倒してやる!」



<三大悪童の一人 シーザー 轟名は"皇帝">



ファザーは部下の一人に2リットルの

炭酸飲料水を持ってこさせました。



手に取るとそれを一気に飲み干し,

さらにお代わりを2本もらい,

合計6リットルの炭酸水を腹の中に入れました。



マザー「あの野郎。また下品なことをやるつもりだな。

ここにはレディもいるっていうのに。」



「なんだ!?

何をする気だ!?」



リク君は周囲の雑魚敵を蹴散らしながら,

ファザーの動きを追っていました。



「嫌な予感しかしない・・・。」



ファザーは大きく息を

吸い込んでから少し溜めました。



体を勢い良く振って口を大きく開けました。



ゲェェェェッッップゥゥゥ!!!!!



それは鼓膜が破れるほどの

強烈な音とにおいがするゲップでした。



第525話~話528話

2024/7/27

第525話 俺のわがまま

エピソード0シリーズ 最終章
ファザーが放った強烈なゲップは

周囲に甚大な影響を与えました。



そのゲップにはどうやら気化した

強烈な胃酸も混ざっていたようで,

吸い込んでしまうと肺が焼けるような

痛みを味わい苦しむことになるのです。



ファザーの傘下メンバーは事前に持っていた

携帯用のガスマスクを装着し,

この事態に備えていました。



しかしシーザー陣営だけでなく,

マザー陣営のメンバーにも巻き添えを

食らった者たちがいました。



マザー「おい!なんてことをするんだ!

風の向きを考えてやれ!」



ファザー「うるせぇな!

俺は俺の好きにやるんだ。」



リク君とイツキ君は少し離れていたので

特に被害を受けることはありませんでした。



マザーはお返しとばかりに胃酸を吐き出して,

残ったシーザー陣営の連中にまき散らしていきました。



当然のごとく,直撃を食らった者は

戦闘不能になっていきました。



マザー「レディたるものそうそう

胃酸を吐くもんじゃないねぇ。」



「いや・・・

最初から吐くなよ・・・。」



相手もかなり人数が減りましたが,

まだまだこちらよりも多勢でした。



マザーとファザーのイヤコムに

再び連絡が入りました。



先ほど情報を共有できるように設定したので,

リク君たちの耳にも声が入ってきました。



情報担当である市城隊の歌仙からでした。



歌仙「マザー!至急応援をお願いします!

我々は圧倒的に苦戦を強いられています!」



ファザー陣営の手塚からも連絡が入ります。



手塚「我々も三猿と一緒に援軍に

向かったのですが,現状はかなり厳しいです。」



ここでどちらかの悪童が動けば,

川の戦況は多少良くなる可能性もありますが,

残った悪童は確実にシーザー陣営に

やられてしまうことでしょう。



なぜならかなり体力を

消耗してしまっているからです。



それほど先ほどまでの悪童同士の

戦いは熾烈を極めるものだったのです。



マザー「くそっ・・・。」



イツキ君は少し考えてから,



「リク,お前に頼みがある。」





と言って,リク君に近づきました。



「なんだい?」



と聞くと,



「川に戻ってやつらの部下たちを

助けてやってほしい。

ここでこいつらが全滅したら全てが水の泡だ。」



と頼みました。



「無茶を言っている

ことはわかっている。

だが・・・。」



そこまで言いかけた時,



「わかった!

オレが川に向かうから

イツキ君はここを頼む。」



と返しました。



「いいのか?俺のわがままだぞ?」



「何を水くさいことを言ってるんだよ。」



リク君がもう一言。



「オレたちもう仲間でしょ?」



その言葉に少し間を置いてから,



「ああ,そうだな。」



とイツキ君。



「絶対にこの状況を打開して,

シーザーから真相を聞き出すんだ!

それが君の役目だろ?」

「そうだ。

それがマサルへ

借りを返すことになる。」



二人はお互いの拳を軽く当て,

それぞれの場所へかけていきました。



リク君が到着するまで両陣営は

持ちこたえることができるのでしょうか。



第526話 リクと三猿

エピソード0シリーズ 最終章
この図は庄外川の戦況図です。



見ての通り,川の両側から

挟み撃ちにされた状態が続いています。



川の中では苦戦中とはいえ,

ファザー陣営の三猿が奮闘していました。



ミザール「何も見えない。

でも貴様の気配は見えている!」



ザバァァン!!



今まさに,楠十傑の第10傑の“林”を

仕留めたところでした。



黄金井「周囲は静寂!何も聞こえない。

でも貴様の悲鳴は聞こえている!」



グギャァァァァ!!



彼がまさに楠十傑の第8傑である“串脇”を

川底に沈めたところでした。



ミザール「おい,俺のセリフをパクるなよ!」



どうやら気に入らなかったようで,

彼が駆け寄ってきました。



黄金井「何も聞こえナーイ!」



<三猿 リーダーの一人:石清水是清(いわしみず これきよ)>



ミザール「聞こえているじゃねぇか。」



もう一人の“三猿”である岩清水が

楠十傑の第9傑と戦っていました。



岩清水「うぐうぐ・・・。」



<三猿 リーダーの一人:黄金井雑夫(きかない ざつお)>



第9傑は“三輪”という人物でした。



先日,“武留歌”と共にあの現場を

目撃したメンバーの一人でした。



岩清水「(あ,何も言わなくていいよ!

貴方の負けは決まっているから!)」



飯田「何を言ってるかわかんねぇよ!

俺をなめるなよぉ!!!」



威勢がいいのは最初だけで,

あとは一方的にぼこぼこに

されるだけでした。



それを見ていた彼の部下は

慌てて逃げ出していきました。



ファザー陣営の先陣として参戦した“三猿”は,

各個人が相当癖のある人物たちですが,

かなりの実力を持っていました。



黄金井「もっと強いやつでてこいやっ!」



そこにリク君がやってきました。



「苦戦と聞いていたけど,

そうでもないみたいだね。」



黄金井「なんじゃぁ!お前は!?」



ミザール「待て!おそらくマザー陣営の人間だろう。

今は相手にする時間はない。」



彼が冷静になって,黄金井を止めました。



黄金井「そんなつまらないことを言うなよ!」



川に下半身が使っている状態にもかかわらず,

一足飛びでリク君に向かっていきました。



岩清水「(相変わらず人の話を

聞かない猿・・・いや人,だ・・・。)」



リク君は彼の飛び膝蹴りを

“天照”と“月読”で受け止めます。



「・・・。」



カッ!!



リク君の放ったすさまじい殺気は,

彼の攻撃を躊躇(ちゅうちょ)させます。



黄金井「(なんだ・・・こいつ・・・。)」



お互いにらみ合いが続きます。



黄金井「やめた,やめた!」



本能的にリク君の持つ

潜在的な力を読み取ったようです。



彼は残りの二人と合流し,

再び,楠十傑狩りを始めました。



“三猿”と“ゴルゴダの丘”の精鋭メンバーによって,

シーザーの楠十傑の5~10傑は壊滅しました。



それでも劣勢は依然として続きます・・・。



第527話 ユーリウスの露馬

エピソード0シリーズ 最終章
シーザーの主力チームである,

“ユーリウス暴走隊”をまとめているのは

“露馬 凱(ろうま がい)”という男でした。



彼は三大悪童シーザーのナンバー3と

される実力を持っていました。



年齢は18歳で2m近い身長と

強面の顔で頭はスキンヘッドでした。



サングラスの奥に潜む目力は

相当なものがありました。





<ユーリウス暴走隊 リーダー:露馬 凱>



街を歩けば誰もが恐れ,

避けていくことは想像に

難くありません。



半径2m以内に近づいたという理由だけで,

半殺しにされた大学生がいたという噂もあります。



また,一晩で何人のリーマンを

狩れるか部下と競い合ったといいます。



さらに闇サイトを運営し,

無差別に女性を誘拐し,

金品を強奪させた経歴もあるとされます。



まさに鬼畜のような所業をにこやかな笑顔で,

実行できる人物として仲間内からも畏怖されています。



彼のチームがまさにマザーの“清涼納言”を

全面攻撃しているところでした。



清香「はぁはぁ・・・。」



彼女はすでに満身創痍でした。



露馬「悪いな。俺は女だろうと

手加減はしないんだ。」



何度か殴り合った後,

先に倒れたのは清香でした。



すぐに立ち上がりましたが,

明らかにダメージが残っていました。



田宮「清香さん!こいつは俺が相手をします。

こいつにはろくな噂がありません。」



露馬「ほう!例えば?」



彼はまるで人ごとのように聞いてきました。



田宮「女子大学生にグルのチンピラを仕掛けて,

助けるふりをして車に乗せてそのまま誘拐したり,

気に入らないやつは片端からドラム缶につめて,

焼き殺した後でコンクリを流し込んで海に

捨てたりしていると聞いているぞ!」



露馬「おいおい!そんな噂を

誰が流しているんだぉ!」



ドムッ!!



露馬「だが全て事実だ。」



彼はそう言ってニッコリと

不気味な笑みを浮かべました。



一方で田宮は強烈なパンチを

みぞおちにくらってしまいました。



ガードしたつもりでしたが

その上から容赦なく,

たたきつけてきたようです。



田宮「がはっ!?」



あまりの痛さに,

その場で転げまわります。



幸いこの辺りは水深が浅く,

多少靴がつかる程度の場所でした。



露馬「ここまで生き残ってきたみたいだが,

俺と出会ったのが運の尽きだなぁ!」



この男は田宮のさらに

上の実力を持っていたようです。



清香「きょぇぇぇ!」



彼女がいつの間にか,

露馬の後ろに回り込み,

後頭部めがけて,

右上段蹴りを放ちました。



しかし,難なく交わされ,

カウンターの蹴りを顎に

もろに食らってしまいました。



露馬「これがナンバー3?

たいしたことないねぇ。」



清香はチームの出撃以降は

最前線で戦い続けていました。



すでにシーザー側の"ミニ爆"と

"伴天連"というチームを

つぶしたばかりでした。



その疲労がかなり蓄積されていたため,

彼を追い返す力がすでに

残っていなかったようです。



強力な攻撃を受けて,

立っていられずしりもちを

ついてしまいました。



露馬「じゃあとどめを刺してやる。

俺の人体皮はぎコレクションに

加えてあげようかな。」



田宮「たしか,敵対する連中で

気に入った奴の顔の皮を

剥いでコレクションにするという噂を

聞いたことあったが・・・。」



彼はかろうじて意識を

取り戻したようです。



露馬「それも事実だ。」



清香もなんとか

立ち上がりました。



彼はそれを見逃さず,

清香の顔に思いっきり

強烈な蹴りを入れました。



バキャャァァ!!!



露馬「!?」



なんと,見たことのないような

金属の棒が,彼の足を制止していました。



清香「・・・。」



彼女は再び倒れこんでしまいました。



そして薄れゆく意識の中,

薄目でその棒を持つ

人物を見つめました。



清香「余計な・・・

真似を・・・。」



露馬「なんだぁ!?」



彼は邪魔が入ってしまい,

かなり不機嫌になっていました。



「オレはリク!

お前たちを全員ぶっ飛ばしに来た!」



彼の快進撃が始まろうとしていました。



第528話 満天の星

エピソード0シリーズ 最終章
露馬は部下が持っていた鉄くぎが無数に

刺さった木製バットを奪い取ると,

有無を言わさずこちらへ

とびかかってきました。



「行儀が悪いな。」



ちなみに清香と田宮は部下たちの手に

よって川の中州に移動させられました。



同時刻の右側の戦闘は,

マザー&ファザー連合の

“籠球愚連隊”と“紫式部連合”が

押し返していました。



さらにここに“ゴルゴダの丘”と

“三猿”が合流するようです。





そうなればシーザー陣営も苦戦必至でした。



つまりこの川の中で残る脅威はリク君が

対峙する露馬率いる“ユーリウス爆走隊”だけになりました。



露馬「なんでこんなところにガキが

いるのか知らねぇが,

俺は手加減できない男だ。」



「気が合うな。

オレもお前みたいなクズに

手加減はできないんだ。」



彼が持っている木製バットに

目いっぱい力を込めて叩き込みました。



浅いとはいえ,水しぶきが飛び散ります。



露馬「ちょこまかと逃げ足は早いな。」



「時間がないみたいなんだ。」



リク君が構えます。



露馬「?」



次の瞬間・・・。



彼の巨大な体躯が無造作な格好で

空中に舞い上がりました。



露馬「ぐはっ!?」



たったの一太刀でした。



彼の部下たちは一瞬何が起きたのか

理解できませんでした。



―大地一刀流奥義―

―愛・地球博(ラヴ&ピース)―



「だから言ったでしょ。

手加減できないって。」



近くの中州で手当てを受けながら

その様子を見ていた清香は,



清香「あいつはいったい何者なんだ・・・。」



当然,彼の部下は黙っていません。



餌に群がる魚の大群のようにして,

リク君のもとへ集まってきます。



しかし,そこに彼の姿はありません。



―大空二刀流―

―追撃の星(シューティングスター) 満天―



ガガガガガガ・・・・



ドドドドドド・・・・



バババババ・・・・



ザザザガガガザザバババ・・・・



いつもの数倍長く,上空に滞在し,

これでもかというくらいの

追撃を浴びせ続けます。



当然その攻撃範囲にいた者は

1秒と立っていられず,

バタバタと倒れていきます。



中には悲鳴を上げて血を吐く者,

臓器の一部を損傷して苦しむ者,

手足などの骨折によって肢体が

不自由になって転げまわる者,

阿鼻叫喚の地獄絵図でした。



時間にすればそれほど

長い時間ではありませんでした。



しかし,すでにユーリウスの

メンバーは壊滅していました。



最初の攻撃で標的を免れた

連中はパニックになり,

その場から逃げ出しました。



同じく中州で仲間から手当てを受けていた

シュワルツェネッガーのリーダーである田宮は,



田宮「俺は夢でも見ているのか・・・。」



と現実を受け入れられない様子でした。



「なんであんな露馬とかいうクソみたいな

連中が野放しになってんだよ。」



リク君は敵の追撃がてら中州へ足を運び,

田宮に疑問に思っていたことを聞きました。



田宮「それは皇帝(シーザー)の父親が

国会議員だからだろうな・・・。

露馬はそのおこぼれを

うまく頂戴していたんだろう。」



「はぁ?悪童の親が国会議員だと?

ふざけてるだろう。」



リク君は思わず声を上げました。



田宮「お前は本当に何も知らないんだな。

皇帝だけじゃない。」



彼は満身創痍の状態で話を続けます。



田宮「うちのマザーだって,

親は検察庁の幹部らしい。

“頭目”の親も確か裁判官のかなり

偉い地位だって聞いたことがある。」



どうやら三大悪童がこれだけ

無茶なことをしても野放しなのは,

親による絶大な権力が

暴走した結果だったようです。



この事実を知ったリク君は呆れて

ものが言えませんでした。







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