リクの少年昆虫記-過去のお話-

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目次


第481話~第484話

2023/8/26

第481話 稲川淳姫の怪談 10
もはや定番となった

怪談噺のデジタル配信。



稲姫先生はどんな内容を

更新したのでしょうか。



呪いのゲーム・・・。



それは少年たちの間でまこと

しやかにささやかれる噂のゲーム・・・。



そのゲームは普通のゲームソフトに

紛れ込んでいて外見では見分けがつかない。



一度そのゲームを始めてしまったら

クリアしないと呪い殺されてしまう。



そのゲームはクリアの過程で大きな

謎が隠されており,

その謎も解かなければいけない。



呪いのゲームは途中で

やめることもできない。



とある地域では小学生の間で

このような噂がささやかれていた。



小学5年生のA君はゲームが

大好きなどこにでもいる小学生だった。



特に好きなジャンルはRPGだった。



友人のB,C君とともに

いつもゲームの話ばかりしていた。



A「呪いのゲームって知っているか?

隣町の小学生がやったらしい。」

B「聞いたことがあるな。

それでその子はどうなったんだ?」



C「クリアできずに,

呪いで意識不明の状態らしい・・・。」



C君もその噂を聞いたことがあるようだった。



学校から帰宅後,

A君はいつものように

ゲームを起動した。



今はほぼすべてがダウンロードとなっているので

ソフトをいちいちハードに入れる必要はなかった。



しばらくは普通のゲームだったのだが,

突然画面が赤くなり不気味な黒い文字が映し出された。



書いてある内容はこの世の言葉では

ないようで,まったくわからなかった。





A「うわっ!なんだこれ!

まさかこれが呪いのゲーム!?」



彼はコントローラを投げ捨てようとしたが,

手が思うように動かない・・・。



家族も出かけているので

この部屋にいるのは彼一人・・・。



助けを呼ぶこともできない。



なぜか声もうまく出せないようだ。



A「クリアするしかないのか・・・。」



画面には主人公と思われる

キャラクターが表示された。



A「えっと,この・・・。」



画面にはおそらく地名を表していると

思われる文字がたくさん並び,

いくつかの道も表示されていた。



相変わらず基本の色は赤でその他は

灰色と黒しか使われていない

不気味なゲーム画面だった。



A「こんなのクリアできないよ・・・。

誰か助けてー・・・!」



彼の家族が帰宅するとリビングで

生気を失ったAを発見した。



残念ながら彼の意識は

今も失ったままだ・・・。



一説にはゲームばかりやっている子供に

呪いのゲームはやってくるという・・・。



みんなもゲームのやりすぎには

十分に注意しよう・・・。



今回の動画配信も

アクセス数はほぼありませんでした。



「うーん・・・。

ほんとによくこんな話を

おもいつくよなぁ・・・。

今度どうやってネタ集めを

しているのか聞いてみよ・・・。」



イツキ君が画面の前でブツブツと

つぶやいていたとさ・・・。



第482話 令和剣客ロマン譚
このお話の時代は平成・・・。

しかしタイトルは"令和"・・・。



1学期の体育の授業のお話です。

この日は学年対抗で

剣道大会が行われていました。



C組のスナ君やジャイ君なども

奮闘していました。



スナ「なんか,久々にお前たちに

あった気がするぜ!」



「何を言っているんだ。

毎日,顔を会わせているだろ・・・。」



リク君は剣道場の隅に座っている

人物に目を向けました。



「あれは?」

「あの子はイツキ君だよ。

同じクラスじゃない。」



後ろからまさらちゃんが

声をかけてきました。



「それは知っているんだけど,

あまりしゃべったことないよね。」

「うーん,そうだね。

結構無口なタイプかも。」



リク君は先生に呼ばれたので

試合を行いました。



A組の男子と対戦をして,

1秒で終わらせて戻ってきました。



「いやいや,早すぎでしょ!」

「(そう言われてもなぁ・・・。

これでも目いっぱい手加減しているんだよ。)」



そしていよいよ,自称注目株の

二人の対決が実現しました。



B組のだぬ VS A組のトシ



「ふふふ。楽しみだ。」



だぬちゃん改め,緋村 だぬ心は竹刀を握り,

不殺(ころさず)を誓った男でした。





それに対し,トシ改め 鵜堂 トシ刃衛は

人斬りを心から楽しむ狂った人物です。



「人斬りはどこまでいっても

人斬りだよ。ふふふっ。」

「殺してやるから

さっさとかかってこい!」



なんと不殺のはずの男が

色々あって逆上していました。



「雑だなー・・・。

はしょりすぎでしょ・・・。」



そして大きく振りかぶって

斬りかかります。



トシ刃衛はここでも慌てません。



「ヘイ!ノリノリ!イッポウ!」



意味不明な呪文を唱えるも効果はなく,

竹刀が頭に直撃しました。



「そんなもの剣気で

どうとでもなる。」



しかし,そこには倒したはずの

トシ刃衛はいませんでした。



いたのは幕末の動乱を生き抜いた

斎藤・・・藤田 トシ五郎でした。



「悪・即・斬・・・。

それが俺たちが唯一共有した

たたったった一つの正義だろう。」

「大事なとこ噛んでるし・・・。」



トシ五郎は突きの構えをしました。



「人を殺さずとも目に映る人々くらい守って見せるさ。」

「お前のすべてを否定してやる。」



強烈に見える突きが飛んできますが,

だぬ心はかわして後頭部に一撃を放ちます。



目の前には倒したと

思っていた男が

まだ立っていました。



それはトシ雄 真(マコト) でした。



「この世はしょせん弱肉強食!」





シャアァァという叫び声とともに,

だぬちゃんに突進していきました。



「もう拙者やお前のような,

人斬りの時代は終わっているんだ!」

「終わらねぇさ。

俺がこの無限竹刀を手にしている限りな!」



彼が強く言葉を発します。



「終わっているんだ。

拙者がこの逆刃竹刀を手にした時から。」



そしてだぬ心が奥義を放ちました。



「テンショーリューセン!!」



ドッゴーン。



猛烈な爆風(ただの道場のホコリ)を

まき散らし,相手を斬りつけます。



勝負はあったようです。



この後もくどい演技が

続きましたが省略されました。



そしてすでに周りには,

ほとんどだれもいませんでした。



どうやらチャイムが

鳴っているのにも気づかず,

ごっこ遊びをしていたようです。



「ふんっ・・・。」



残っていた児童もあきれて

帰っていきましたとさ。



~~~~~~~おまけ~~~~~



スナ「え?俺の出番ってこれだけ?

久々なのに・・・。」

「まぁまぁ!また主役回が来ますよ!だぬのように。」

「これは主役回なのか・・・。」



第483話 スナとネコ 前編
スナ君たちは少年昆虫団との

昆虫バトルに負け,

それ以来ずっとすな“スナぴょん団”を

名乗らされています。



当初は悔しさとむなしさを

強く感じていましたが,

最近では特に気にすることも

なくなってきたようです。



今回はそんな“スナぴょん団”のお話です。



彼らはいつものように西緑地公園へ

昆虫採集にやってきていました。



時刻は16時過ぎです。



ただし8月の上旬なので

この時間でもまだまだ暑さが

和らぐことはありませんでした。



そんな暑さにも負けず

昆虫採集を続けています。



ジャイ「ねぇ,こんなに蝉もトンボも

蝶も採ったんだし,

そろそろ帰ろうよ。」



採集した昆虫ごとに分けてある

虫かごをスナ君の前に見せました。



スナ「そうだな。今日はここまでにするか。」



スナ君も満足しているようです。



サラ「どうして今日はこんなに

張り切っているんですか?」



スナ「それはもちろん,今度行う昆虫団との

昆虫バトルに勝つためだよ!」



スナ君はよくぞ聞いてくれたと

言わんばかりに高笑いしています。



エリカ「そんなことだと思った・・・。」



エリカちゃんはみんなからいつも

オジョーと呼ばれていました。



後ろに立っていたタコ君の顔が

まるでゆでだこのように

赤くなっていました。



タコ「もうだめ・・・。

暑すぎる・・・。」



みんなは木陰の下に設置して

あったベンチに座りました。



近くの自販機でアイスを買って

みんなで食べていました。



すると一匹の子猫が近づいてきました。



スナ「ん?なんだこの猫は?」



どうやら衰弱しているらしく

か弱い声で一度だけ鳴きました。



スナ「しかたねぇな・・・。」



彼は持っていたバニラアイスを

小分けにして食べさせてやりました。



エリカ「あら優しい。

スナ君ってネコ好きなんだっけ?」

スナ「別に好きじゃねぇよ。

俺様が好きなのは昆虫だけだ。」



子猫は夢中で地面に

置かれたアイスを食べました。



食べ終わると子猫は立ち上がり,

歩き始めました。



しばらく歩いたところで立ち止まり,

こちらを振り返ります。



そしてもう一度,

小さな声で鳴きました。



サラ「なんでしょう?

何かを訴えているようですね。」

スナ「そうか?」



子猫はもう一度,

先ほどよりも大きな声で鳴きました。



エリカ「ついて来いって

言ってるんじゃない?」



みんなが子猫に近づくと

再び子猫は歩き始めました。



ジャイ「ホントだ・・・。

ついて来いって言っているみたい。」



しばらく子猫を先頭にして,

その後ろをスナぴょん団が

ついていくと広場に出ました。



そこには一匹の猫が複数の少年に

いじめられている姿がありました。



子猫はその猫に駆け寄っていきました。



どうやらいじめられている

猫は親猫なのでしょう。



スナ「おいおい!

お前たちはいったい何を

やっているんだ!」



スナ君がその場を

目のあたりにして激高しました。





すると,いじめていた少年の

一人がこちらへやってきました。



それは隣の戸井(とい)小学校に

所属する4年生でした。



いじめていた少年たちは

全部で4人いました。



この少年A~Dたちは

明らかに素行の悪そうな連中でした。



A「俺たちのやることに何か?」



残りの4人もこちらへ

向かってきました。



そのすきにオジョーが

親猫を抱きかかえて,

その場から遠ざけて保護しました。



B「お前らどこの小学校だ?

俺らが何年生かわかって

生意気な口をきいてるのか?」



かなりでかい少年Bが

マウントを取りに来ました。



しかし,でかさなら

ジャイ君も負けていません。



小2ですが相手の連中の誰もよりも

身長では負けていませんでした。



C「なんだ,このバカでけぇ奴は!」

スナ「俺様は別にネコが好きって

わけじゃねぇがよ,

目の前で動物をいじめて

いるのを見るのは虫唾が走る。」



そう言って,相手側の少年たちを

鋭い目で睨めつけました。



D「うるせぇな!ちょうどゲーセンで

負けてイライラしてたんだよ!」



どうやら彼らは嫌なことがあった

腹いせを目の前にたまたま

いた動物に向けていました。



サラ「ずばり私の分析では,

貴方達は最低な人種ですね。」

A「なんだとぉ!」



スナ君が間に入ってきました。



スナ「お前らの言い分もあるだろう。

だからこうしよう。」

B「ああっ!?」



スナ君が自信満々に

こう言いました。



スナ「ビィート対決で

決めようじゃないか!」



一瞬相手が戸惑いました。



C「何!?」

スナ「お前たちが勝ったら

この猫のを親子を好きにすればいい。

ただし俺様たちが勝ったら

この猫はもらっていく。」



どうやらこの西緑地公園で

他校のとのビィート対決が

始まるようです。



第484話 スナとネコ 後編
猫の親子をいじめている

悪ガキたちを見つけたスナ君。



彼らの言動に激高し,

ヴィーと対決を持ち掛けます。



果たして結果は

どうなるのでしょうか。



C「面白れぇじゃねぇか!

まずは俺が相手だ。」

ジャイ「ジャジャイ!!」



ジャイ君が名乗りを上げました。



C「一瞬で片付けてやるよ!

俺のヴィートを見よ!」



ジャイ君が構えます。



C「鉞担いだ金太郎(スモウボーインベア)!!」





ジャイ「ジャイっと!!」



―進撃の巨神兵(ナウシカジャイ)―



彼の放ったヴィートに相手は

ぺちゃんこになりました。



勝負はジャイ君の圧勝でした。



A「バカな・・・。」



彼らは信じられない様子で

結果を見ていました。



スナ「お前たちは思った以上に弱いな。」

D「なんだと!」



スナ君は半分あきれていました。



スナ「もう面倒くさいから

まとめてかかって来いよ。」



彼は相手を挑発しました。



B「調子に乗るなぁ!」



どうやら三人が一斉に

ヴィートを発動したようです。



A「打ち出の法師(イッスンボーインオワン)」

B「桃太郎印のきび団子(ハッピーボーインピーチ)」

D「助けた亀につれられて(ミスタウラシマンタートル)」



攻撃系,特殊系統による

ヴィートの波状攻撃です。



エリカ「なんか所々接続詞が

間違っているし・・・。」



スナ君は全てを受けきりました。



A「バカな・・・。」

スナ「バカはお前たちだ。」



彼が詠唱をすませ,

ヴィートを発動させました。



-火山灰(ボルカニックアッシュ)-



あっという間に

決着がつきました。



4人の少年は何か遠くで

吠えながらその場を

去っていきました。



サラ「楽勝でしたね。」



と言って,労いの言葉を掛けました。



スナ「まあな。」

エリカ「見たところ,

猫ちゃんたちは大きなけがは

してないみたい。」



抱っこしていた猫を

そっと下ろしてあげました。



スナ「世話の焼ける猫だぜ・・・。」



親猫がゆっくりと歩きだすと,

子猫も後ろをついていきました。



その様子をすなぴょん団は

しばらく見守っていました。



しかし,すぐに猫の親子が

戻ってきました。



ジャイ「ジャジャイ!?」

スナ「なんで戻ってきたんだ・・・?」



どうもその様子をしばらく観察していると

お腹がすいているらしいとわかりました。



エリカ「きっと野良猫なんだよ。

かわいそうだから何か買ってきて

食べさせてあげましょ。」

サラ「それはだめです。」



サラ君が忠告を入れました。



エリカ「なんでよ!?」

サラ「野良猫にエサを

あげるということは・・・。」



彼は野良猫が人間から餌をもらうことで,

栄養状態が良くなり,

子供をたくさん産むようになること,

予防接種がされていない猫が街中で

繁殖することで病原菌に人間が

感染するリスクなどを解説しました。



エリカ「じゃあスナ君が

飼育してあげればいいじゃない!」

スナ「はぁ!?なんでそうなるんだよ!」



急に話を振られたので少し慌てています。



エリカ「家にたくさん,昆虫を飼っているんでしょ。

猫が2匹増えたって同じでしょ。」

スナ「いやいやいや!全然違うだろ!

猫と昆虫じゃ飼育の大変さが違う!」



その時,子猫がスナ君の脚に

寄ってきて頬をすりつけました。



スナ「・・・。」

ジャイ「ジャイジャイ!」



ジャイ君が子猫の頭を軽くなでて

あげると気持ちよさそうな顔をしています。



スナ「はぁ・・・。

仕方なねぇな・・・。」



お家では両親に最初は

反対されましたが,

粘り強く交渉をして

認めてもらえたそうです。



こうしてスナ君は2匹の猫を

飼うことになりました。





第485話~第488話

2023/10/8

第485話 もう少し・・・
中野木大学のゼミ活動が終わり,

レオンさん,姫色さん,紫織さんは

大学から少し離れたビアガーデンで

飲むことにしました。





「お疲れさまでした。」



レオンさんが二人を労いました。



姫色「堅苦しい挨拶は抜きにして,飲もうぜ!」



彼女はジョッキにつがれたビールを

ぐびぐびと飲みほしました。



紫織「ちょっと,いきなり飛ばしすぎよ。」

姫色「いいんだよ!

くぅが来れなかったのは

残念だったけどな。」



何気ない会話で弾んでいるうちに

おつまみなどの料理が運ばれてきました。



紫織さんは羽目を外すことなく,

静かにお酒をたしなんでいました。



「(たまには交流を深めておかないとな。

潜入捜査だとばれないようにそれなりに

大学生活を楽しんでいるふりをしないと。)」



途中で姫色さんの気分が

悪くなってきたようです。



姫色「ヴヴヴヴ・・・。

気持ち悪い・・・。」

紫織「ひとりで行ける?」



そう声をかけると,



姫色「大丈夫・・・。」



と言って,お手洗いへ

向かっていきました。



「やれやれ。」

紫織「・・・。」



ムードメーカーの彼女が

いなくなったので,

場の空気が変わりました。



紫織さんは下を向き,

何か気まずそうにしていました。



紫織「私ってこの大学に

編入で入ったでしょ。」

「ああ,そういえば

そうなんだってね。

姫色から聞いたよ。」



やっとその場の空気が

和み始めました。



「前はどこの大学に?」

紫織「国際大学かな。」



周りは相変わらず

酔っ払いたちが

元気に騒いでます。



紫織「それよりも私たちが

出会った日のことを覚えてる?」

「え?今なんて?」



彼が聞きなおすと,



紫織「ううん,なんでもないの。」



彼女は少し恥ずかしそうな顔で

照れていました。



紫織「星がきれいだね。」



ビアガーデンは天井が吹き抜けに

なっていたので,

二人は夜空を見上げました。



「そうだね。」



彼はとりあえずうなずきました。



紫織「大学生活って楽しいよね。

今はレオン君がすぐそこにいるだけでいいの。」



彼女はグッとグラスに

残っていたお酒を飲み干しました。



紫織「レオン君はサークルに入らないの?」

「ちょっと難しいかなぁ・・・。」



さすがに任務に支障が出るようです。



紫織「だよね。」



彼女はグラスのお代わりを

ウェイターにお願いしました。



「そんなに飲んで大丈夫?」

紫織「平気よ。私こう見えて強いんだから。

姫は強そうに見えてすぐに潰れちゃうけどね。」



出されたつまみを一通り食べ終え,



「姫色,遅いな・・・。」

紫織「あと一歩踏み出せたらなぁ・・・。

私の気持ちをもう少し伝えられるのに。」



彼女も少し酔っているのでしょうか。



紫織「全然平気だからね。

まだまだ飲もう。」



その後も紫織さんはたまに

詩的な表現を使い,

会話を続けてきます。



紫織「爽やかな風が気持ちいいね。」

「・・・。」



そうこうするうちに,

姫色さんが戻ってきました。



姫色「もうだめみたい・・・。

帰るね・・・。」

「じゃあ送っていこうか。」



彼が立ち上がろうとした時,

紫織さんが腕をつかんできました。



紫織「もう少し一緒にいられないかな?」

「いや,でも・・・。」



結局,紫織さんが

姫色さんを介抱する形で,

タクシーを呼んで

帰宅していきました。



レオンさんはお店の前で立ち尽くし,



「なんだろう・・・。

この既視感は・・・。」



考えても仕方ないので,

そのままあのアパートへ

帰宅することにしました。



レオンさんは潜入捜査を続けながら,

大学生活も送る日々を過ごしているのです。



第486話  小競り合い 前編
これはまだリク君たちが

夏休みに入るよりも前のお話です。



中野木学区には三大悪童という

とてつもなく巨大な悪が存在しています。



彼らが牛耳るこの地区にはそれぞれ縄張りがあり,

その境界線では常に小競り合いが起きていました。



とても小学6年生とは思えないカリスマ性で,

小学生から18歳までの不良を支配下に置いていました。



ファーザーは三大悪童の一人で,

轟名は“頭目”と呼ばれています。





三人の中では最大勢力を誇り,

下部組織を含めると

その数は1000人を超えています。



彼の右腕になる男が,

手塚という人物で自らも

“庭球暴走隊”という

不良組織を持っていました。



他にも彼を慕うチームには,

白虎隊,朱雀隊,玄武隊,青龍隊という

四天王組織や“三猿”などがありました。



これらの組織の下にさらに

下位チームが存在するという形でした。



三大悪童で唯一の女子である“マザー”は

“聖女”という轟名がつけられていました。





その名前とは裏腹に,

敵に対しては口から胃酸を

吐き出して翻弄させます。



彼女にも多くのチームがついているのですが,

“紫式部連合”と“清涼飲料連合”の二つが

影響力をもっていました。



紫式部連合の“日和”が実質のナンバー2と言われていますが,

清涼飲料連合の“涼香”は認めず,

ナンバー2争いは常に起こっているようです。



三人目の三大悪童は

“シーザー”と呼ばれ,

轟名は“皇帝”です。



組織の人数は一番少ないのですが,

勢いがあり,さらに勢力拡大の

野望が強い人物でした。



配下には“楠十傑”と呼ばれる精鋭や,

“ブラック三勇士”,“暴爆珍走連合”などがいました。



ナンバー2は“武留歌(ぶるうた)”と呼ばれる腹心で,

作戦遂行能力や調略に長けているようで,

目的のためには手段は辞さない人物でした。



事の発端は,中野木学区に存在する

巨大ショッピングモール“WAZO(ワゾ)”で

マザーの配下とファザーの配下が

接触したことでした。



ワゾは三大悪童の中立地帯ということで,

誰も領有権を主張しないことで

事前合意された場所でした。



マザー配下の女流大蛇隊のリーダーである“ジャミ”が,

ファザーの配下“ぬすっと団”が

集団万引きをしている姿を見つけました。



ジャミ「おい,てめぇら!」



ぬすっと団のリーダーである

“石川”が振り向くと,

彼らが囲むようにして大蛇隊が

立っていました。



万引きと言っても,

こっそりと商品をカバンに入れるわけではなく,

堂々と店の衣服を根こそぎ持って行きました。



店員は店長から悪童の悪行は

災害に等しいから見過ごすように

指示されていたので

何も言いませんでした。



それほどまでに

彼らのもつ権力が大きいのです。



正確には彼らのバックにつく存在が,

三大悪童をここまで

のさばらせているのです・・・。



ジャミ「てめぇ!今,万引きしていただろ!」

石川「それがどうした?まさか正義感に

ほだされて止めに来たのか?」



お互いに一発触発状態です。



ジャミ「寝ぼけてんのか!?

アタイらの方がよほど上手に

盗めるって言いに来たんだよ!」

石川「ほう!?上等じゃねぇか。

なら勝負してみるか?」



この挑発にぬすっと団は乗ってしまいました。



石川「どっちがたくさん盗めるか勝負だ!」



こうして両チーム合わせて総勢100人以上の

不良たちが“WAZO(ワゾ)”の店内にあるテナントへ押し寄せ,

ありとあらゆるものを強奪していきました。

後に判明したことですが,この時の被害総額は

ウン百万円では済まなかったようです。



しかし,三大悪童の小競り合いに首を突っ込めば,

最悪の場合は死も免れないためか,

店側はただ怯えてやり過ごすしかありませんでした。



石川「俺たちのバックにはファザーがいる!」

ジャミ「マザーこそ,全て!全権力はあの人の物!」



各チームリーダーが叫びながら,

悦に浸っていました。



結局,勝負がつかなかったことに対して,

お互いが不満を述べたため,

実力でどちらが上かを決めることになりました。



店内で大乱闘が始まる頃に,

“三大悪童対策組織警察官”が到着しました。



中野木署には,

三大悪童からの被害を防ぐための部署があり,

彼らの悪行は全てこの部署が対応していました。



しかし,実際には上から

“三大悪童の補導はするな,

部下の悪行には穏便に済ませて帰ってもらえ”と

いう指示がでていたので,

期待はできませんでした。



マザー達の配下も警察官の顔を立てて,

その場から去ることにしました。



これとほぼ同時刻に,別の場所では・・・。



第487話  小競り合い 後編
中野木商店街の一角にあるカフェ"霜月"で

二人の男女が談笑をしていました。



一人は三大悪童“ファザー”配下の

時尾という男で,

さわやかな好青年でした。



相手は三大悪童“マザー”配下の

時雨と名乗る女子でした。



二人とも16歳の高校生でしたが

ほとんど通学せずに,

街中をぶらぶらしたり,喧嘩をしたりと,

素行の悪さを見せていました。



しかし,本来敵対する勢力の二人が

仲良くカフェで談笑しているのはなぜでしょう。





時尾「久しぶりに君に会えてうれしいよ。」

時雨「あたしもよ。」



周りから見たらまるで恋仲のようでした。

そしてその予想は当たっていました。



時尾「必ず頭目を説得して争わなくても

よい道を目指してみるよ。」

時雨「ありがとう。」



その様子を少し遠くの席から

じっと見ている集団がありました。



それはシーザー直属の部下でした。



中心人物は武留歌(ぶるうた)と呼ばれる人物で,

年齢は17歳とシーザーよりもずっと年上ですが,

周囲からも忠実な部下として知られていました。



取り巻きには“楠十傑”と呼ばれる10人の英傑のうち,

ナンバー1~4を除く,残りの6人のメンバーがそろっていました。



ナンバー10の林が,



林「あの二人,かなり前から

ああいう関係みたいですよ。」



と言うと,



武留歌「なるほどなぁ。

これは面白いネタを教えてくれねぇ。」



彼はニヤリと笑って,

じっとその先を見つめていました。



ナンバー9の飯田が,



飯田「見ていると腹が立つから,

この場で二人ともぼこってやりますか?」



と言うと,武留歌が彼の頬をぶん殴りました。



その衝撃で飯田は椅子から

転がり落ちてしまいました。



飯田「いってぇ・・・。」

武留歌「おめぇはそれでも十傑か!?

ちょっとは考えてしゃべれよ!」



他のメンバーは何も言わずに,

下を向いていました。



武留歌「ただ,このネタは使えるぜぇ。

すぐに皇帝に連絡だ。」

彼らはすぐにその店から出ていきました。



そんなやり取りがあったこともわからないくらい,

時尾と時雨は二人の世界に入り込んでいるように見えました。



1時間ほどそのカフェで談笑していました。



時尾「さてと,そろそろ全体会合があるから行かないと。」



彼はレシートを手に取り,

店を出る準備をしました。



時雨「わかった。次はいつ会えるかな?」



彼女は少し寂しそうな目線で

彼を見つめました。



時尾「俺たちの関係を他のメンバーには

まだ知られるわけにはいかないから・・・。」



彼はまた会える時が来たら

必ず連絡をすると伝え,

彼女も了承しました。



彼のイヤコムにWAZO(ワゾ)でのいざこざが

あったことの連絡が来たのはその直後でした。



時尾「(なぜ争う・・・。

争うことなく共存していく

道も必ずあるはずなんだ・・・。)」



彼は紛争地へとバイクで向かうことにしました。



このように三大悪童の争いは一般人の見えるところ,

見えないところで毎日のように行われているのでした。



この流れが変わる出来事が

間もなく起きようとしているのでした・・・。



第488話 灰庭さんのバイトな一日
中野木町には町で一番有名な

カブクワ専門店"キング"がありました。



この店のバイトには闇組織JFに

スパイとして潜り込んでいる人物がいました。



それがレオンさんと

旧知の中でもある灰庭氏です。





彼は闇組織JFからは“平成のファーヴル”たちの動向を探るために,

このお店でバイトをしていると伝えていました。



しかし,本当はレオンさんに

組織の情報を流していたのです。



組織はまだこの事実を知りません。



また,彼も探られないように

慎重に行動しています。



二人はそれぞれの事情で,

共に中野木大学に籍を置いていましたが,

お互いに面識がないことにしていました。



この日は,組織からの指令もなく,

少年昆虫団からの昆虫採集の誘いもなかったので,

ほぼ丸一日をバイトに費やすことになりました。



開店時間は朝の10時からですが

30分前にはシフトに入り,

開店の準備を手伝っていました。



灰庭「こんなもんかな。」



彼は奥にしまってあった物品を陳列させました。



まりん「今日も一日忙しくなりそうだね!」



声をかけてきたのは,

灰庭よりもずっと前から

ここでバイトをしていた女性でした。



どうやら彼女は灰庭氏に

好意を寄せているようです。



二人のやり取りを少し離れた場所から

にらんでいる男がいました。



彼がこの店の店長である伊藤氏でした。

伊藤店長は彼女のことが好きだったのです。



一方で灰庭氏は店長のことを

とても信頼していました。



このようにこの店では,

狭い人間関係の中で

三角関係ができていたのです。



あまりにもまりんちゃんの

アタックが露骨な時は,

急用を思い出したふりをして

その場を去るのですが,

今日はどうもそうはいかないようです。



灰庭「(リク君たちのお誘いが

こないかなぁと思ったけど,

彼は今それどころじゃないか・・・。)」



彼もあのバベルでの一件は耳に入っていたようです。



どうやら,リク君は現在,

昆虫採集ができるような

状態ではないようです・・・。



灰庭「(まりんちゃんのべったり攻撃に耐えて,

一日バイトをやりきるしかない・・・。)」



伊藤「灰庭ー!この昆虫ケースを

そっちに運んでー!

終わったら次はこっちー!」



ここぞとばかりに店長が

仕事を押し付けてきます。



灰庭「(ナイス店長!助かった!)」

まりん「(もうっ!店長のバカ・・・!)」



昼休憩は交代ですませ,

午後も来客の対応を続けます。



キングは業者との取引もあるので,

たまに大口の注文も入ります。



この日は,デパートで売り出す

カブトムシの成虫を卸す仕事がありました。



灰庭「8月も後半なのに

まだこんなに成虫がいるんですね。」

まりん「これは伊藤店長のおかげなのよ。」



彼女が灰庭氏の疑問に答えました。



まりん「店長が試行錯誤を重ねて,

羽化の時期をずらすことで

8月後半から9月前半くらいまで

元気なカブトムシを売り出せるんだよ。」



灰庭「へぇ・・・。さすが店長。」



伊藤店長はしっかりとした

知識と昆虫を育てる技術を

持っている人物でした。



見た目は更けていますが,

まだまだ年も若くとても有望のようです。



伊藤「そういえば,今日は少年昆虫団来ないなぁ!」

灰庭「そんなに毎日はこないのでは?」



彼が聞くと,



伊藤「うーん,でもなぁ。

確か,今日はあの裏のアパートに

住んでいる怪しい青年と一緒に

来るって言っていたんだけどなぁ・・・。」



店長はリク君たちが来ないことを

疑問に思っていましたが,

灰庭氏にはその理由がわかっていました。



そのうえであえて,



灰庭「そうなんですか。

どうしたんでしょうね?」



と,とぼけました。



時間は夕方になり,

バイトの時間が終わりました。



まりんちゃんは1時間前に

私用があるようで,

先にバイトを終えていました。



灰庭「久々に良く働いたなぁ・・・。」

伊藤「おい,灰庭!」



後ろから店長が声をかけてきました。



灰庭「はい?」

伊藤「ズバリ聞くが,お前はまりんの

ことをどう思っているんだ?」



その表情は真剣そのものでした。



灰庭「どう?と言われましても,

ただのバイトの先輩ですが・・・。」



彼は頭を軽く掻くしぐさを

して苦笑いをしました。



伊藤「本当にそうか!?」



彼が顔を近づけてきます。



灰庭「もちろんそうですよ!

あ,そういえば昼間にまりんさんが

店長のことを褒めていましたよ!

昆虫に対する熱意とスキルがすごいって!」



精一杯,彼を持ち上げる

ようなことを言ってみました。



伊藤「おっ?おおっ!

そうか,そうか!」



急に機嫌がよくなりました。



伊藤「お勤めご苦労さん!

明日もよろしく頼むよ!」



その言葉に,



灰庭「すみません。

明日からしばらく

お休みをいただけますか?」



と返しました。



灰庭「(おそらく色々なことがすでに

大きく動き始めているはずだ・・・。

店長には申し訳ないけど,

バイトをしている暇は

残念だけどなさそうなんだ・・・。)」



伊藤「まぁ,仕方ねぇな。

理由は聞かねぇが,

来れるようになったら来てくれよ。」



店長があまりにもあっさりと

了承してくれたので

ちょっとあっけにとられていました。



そして灰庭氏はバイトを終えると

夕暮れの町の中に消えていきました。



はたして彼が向かう先とは・・・。







第489話~第492話

2023/11/04

第489話 10周年特別企画①
とうとうリクの少年昆虫記は

今年で10周年を迎えました。



ひとえにこれも主な読者である

D氏の応援があってこそです。



これからのリクの少年昆虫記も

引き続き応援よろしくお願いします。



編集:今回は2年ぶりに読者D氏との

対談を行いたいと思います。



読者D(以下D):なんか久しぶりですが

よろしくお願いします。



おりぃけん(以下K):なんかもう恒例行事だね。



編集:とうとう昆虫記は10年目を迎えました。

読者D氏から何か感想はありますか?



D:そうですねー。

とりあえずアイタ君とマーボーを

もっとだしてください。

なんならこれをメインに

してもええですw あと,

話の風呂敷をそろそろ

畳む方向でいかないと。



K:感想ありがとう。

話の風呂敷はもちろん

たたみながら進めているよ。



D:あとどれくらいで終わりますか?



K:うーん・・・。

あと10年・・・?

D:全然,たたむ方向では無いのでは!?



編集:やはりマーボーは読者からも人気なんですね。

D:もう主人公にしてもいいくらいですよ。



K:マーボーねぇ・・・。

いや,今はまだ何も言うまい。



D:え?もしかして彼は実は

"御前の子供で真のラスボス"

とかっていう裏設定でもありました?



K:それ面白いね!

ご自身の動画配信チャンネルで

そのネタで紙芝居でも

やってもらってもいいよ!



D:いや,そんな時間ない・・・。



編集:それでは作者からも

10周年を迎えるにあたり,

何か一言お願いします。



K:まずはここまでこれたことにビックリ。

どこかで前も言った気がするんだけど,

本当はこんなに長く続けるつもりはなかった。

闇組織JFの設定も本来はもっと違うもので,

話もすぐに終わる予定だった。

でも,いろいろあってここまで

続けられたのは感謝しかないですね。



編集:確か主人公のリク君や

昆虫団にはモチーフがいるんですよね。



K:うん,いるね。

リク君は親戚の子供,

昆虫団のメンバーは私のリアル友人を元に。

ご存じの通り,

だぬちゃんはここにいるD氏だね。



編集:他にも実在の人物を参考に

したキャラはいるんですか?

K:いるね。

でも,これあんまり言うと,

昆虫記がメジャーデビュー

しちゃった時に色々と

まずいから言わない。



D:いや,そんな日は

来ないと思います・・・。

しかも,だいたいその人物たちが

誰なのかは想像がつきます・・・。



編集:それでは続きまして,

読者D氏には過去の昆虫記のメインストーリーで

気になった回や面白かった回に

ついて伺おうと思います。



D:いいですよ。



編集:しかしその前に,

リクの少年昆虫記10年史を

公開したいと思います。

K:そうだね。



編集:というわけで,

次回に続きます。



第490話 10周年特別企画②
編集:それでは引き続き,

10周年特別企画を進めていきます。



K:よろしくね。



編集:今回は今までの周年企画を振り返り,

当時語っていた伏線や物語がどのように

進んでいったのかを確認していくことにします。



D:そういえば何回も呼ばれて

色々としゃべりましたね。

K:自分も。

もう何を話したか

ほとんど覚えてないや。



編集:では3周年企画から。(3周年企画参照)

K:ふむ。



編集:当時はD氏が山本の

出番を気にしていましたね。

“そのうち出ますよ”という言葉の通り,

今はバランスよく登場している感じです。



D:確かに。

赤神さんの正体も当てましたね。

別の周年企画で答え合わせしたはずです。



K:あれは素晴らしかったね。

編集:御前の話題も出ていましたが,

ついにこの前のシリーズで登場しましたね。



D:ここまで長すぎですよ。

三大悪童の話も出てきましたよね。

確か3人プラスもう一人とか

言っていましたけど・・・。



K:あ~・・・。

そういえばプラス一人の

伏線はまだ回収していないね。



編集:4周年では登場人物の詳細な

紹介とここまでのシリーズの振り返りでした。

(4周年企画参照)



D:東条と山犬の通信会話の

内容などは最近のシリーズで

明かされましたが,

まだ謎になっている部分もありますよね。



K:あるね。

ノアの書の箇所だよね。

コピーガードの話とかね。



編集:この時点ではまだあの人物が

闇の騎士だということは

判明していませんでした。



K:5周年でもまだ,

闇の騎士の正体は判明していなかった。

(5周年企画参照)

どれだけ進行遅いんだよって,

今思い返すとそう感じるね。



D:途中で出てきた,"○○と××が△△ね"とか,

"○○が好きな△△は実は組織が

開発した××で・・・"って

結局どんな言葉が入るんですか?



K:あ~・・・。

これはまだ回収していない伏線だよー。



編集:そうでしたね。

K:最初の文章の△△に入る

言葉だけ言っておこう。

そこに入る言葉は"兄弟"だよ。



D:え?なんですかそれは。

そんなの作中に何か誰かと誰かが

兄弟だって匂わせるシーン

なんてありましたっけ?



K:それが実はあるんだよねー。

よーく読むとそれとなく

わかるようになっているはず。

編集:後半の内容については

ノーコメントでいきましょう。



K:6周年はFAQ形式だったね。

(6周年企画参照)

D:ここは何か重要な内容が

隠されていたりしますか?



K:アミの仕組みとかいまだに

明らかになってないよね(笑)



編集:リク君の技の系統は3つあると明言して,

本編で明らかになると言っていますが

これも未だに不明なままですね。



K:メンバーの苗字について

裏設定があるとか言っているけど,

これも本編未登場(笑)



編集:少年昆虫団結成についても

触れられていますが,

こちらも未登場です。



D:あれから4年もたつのに,

何一つ明らかになって

いないじゃないですか!



K:おかしいなぁ・・・。

そんなにゆっくり

進行しているのか・・・。



編集:闇組織JFで戦闘力の

高いメンバーの話題で,

山本と東條に匹敵する人物たちと

いうのも進展ないですよね。



K:まぁそれについては,

御前がとても強かったから

いいじゃないですか。



D:うーん,

そうですかね・・・。



K:それに少年昆虫団結成に

ついては間もなく書かれます。

D:おお,それは楽しみですね。



編集:長くなりましたので,

いったんここで休憩しましょう。



第491話 10周年特別企画③
編集:今回も周年企画の振り返りになります。

K:次は7周年企画だね。(7周年企画参照)



どんなのだったかな?



D:えーと,確かですね,

リモートでアンケートに

ついて話し合う回でしたね。



K:そうだった。

例の新型ウイルスが

感染拡大をしていた時期だったね。



編集:たしかイカレたキャラ

ランキングを出していましたね。



D:また出ますかね?



K:いやぁ,どうかな?

マーボーは確実にでます。

D:それは楽しみですね。



編集:他はストーリーについて

などの質問が上がっていました。

D:物語が進んでいないことに

対して苦言を呈しました。



K:うん,ちゃんと進んで

いるから大丈夫だね!



D:そうですかね・・・。



K:ここで出てきた物語の

転換点っていうのは,

前回のバベルシリーズです。

D:確かにそんな感じがしますね。



編集:8周年企画に話を

進めたいと思います。(8周年企画参照)





K:毎年の恒例企画でD氏に

来てもらって対談をしたんだよね。



編集:闇組織JFの山本がなぜ南雲に

やさしいのかと質問をしていますが,

今回も同様の質問を

いただいております。



D:あれ?前も質問をしましたっけ?

それだけ気になっているということです。



K:なるほど。



D:やはり山本も組織の

中間管理職ということですかね。



編集:どうなんでしょうね。

K:これはまぁ,

今はそう思ってもらっていいです。



D:話題に出ていた,

菊の青山氏の伏線ってもう出ました?



K:ああ,

それももう判明するよ。



編集:HPもこの後で

リニューアルされるんですよね。



K:そうそう。

がんばりました。



編集:それでは9周年企画についてです。(9周年企画参照)





K:ここではD氏は登場しませんでした。

D:ああ,風邪ひいたんで(適当)。



K:過去のメインストーリーに

ついて振り返ったんだよね。



編集:そうです。



K:詳細は9周年企画を読んでもらうとして,

どこまで話してよいか苦労した記憶がある。



編集:色々と興味深い説明もありました。

D:確かメッセージだけ送ったんでした。



編集:それでは企画の振り返りは

ここまでにしたいと思います。



K:まだ続くんだね。



編集:はい,次回はD氏との特別対談後編です。

D:10周年企画なげぇなぁ・・・。



第492話 10周年特別企画④
編集:それではD氏との

対談後編をお届けします。



K:過去のメインストーリーの感想や

気になった話を聞かせてもらうんだね。



D:もうそんなに話すネタないですよ。

K:そう言わずに。



D:そうですか・・・。

それでは・・・。



編集:D氏には事前にメインストーリーを

ランキングにしてもらいました。



D:しましたね。

K:そうなんだ。



編集:それでは発表します。

まずは3位です。



D:影(シャドー)の正体が

判明した回ですね。



K:ノアシリーズだね。

あれはかなりミスリードに

騙された人も多いんじゃないかな。



編集:それでは第2位です。



D:今村が菊のアイツに

エルボーを食らわせる回ですね。



K:各務原シリーズだね。

アイツとは紺野のことだよね。



D:東條もやっと出てきて

あの技は草(笑い)でした。



K:まぁ,半分ネタで出しちゃった!



編集:ブラックインパクトの各務原での

伏線がここで回収されたんですね。



K:ここまで長かった・・・。



編集:それでは第1位は!



D:バーで盗聴する回ですね。

K:それもノアシリーズですね。



編集:このシリーズが高評価を

いただいたということですね。



D:まぁそうなりますね。

編集:他には何かありますか?



D:本当はハイエースUターンの精鋭達の回を

入れたかったんですが…

精鋭達がクソ雑魚すぎて駄目でした(笑)。



K:菊の華シリーズだね。

編集:レオンさんたちの正体が

判明したシリーズですね。



K:とても重要なストーリーだね。

D:精鋭たちが弱すぎて残念!



編集:何か質問はありますか?



D:やはり山本は中間管理職ですか?

K:南雲の育成に熱心というやつかな?



D:そうです。

何か違う目的でも

あるんですかね?



K:それはいずれ本編で!



編集:そろそろお時間になりました。



D:やっとおしまいですね。

長かったー!



K:いやまだ続くよ?

D:はっ!?



編集:次回は10周年を迎えて

作者からのお話と様々な

伏線の回収についてです。



D:いやいやそろそろリク君を

出してあげなさいよ!

もう3か月でてないじゃん!



K:おっ!いいところをついてきたね。

それを含めて次回,色々と話すよ!



編集:もうちょっとだけ続きます。



第493話~496話

2023/12/2

第493話 10周年特別企画⑤
編集:とうとう特別企画も

最後となります。



D:やっと終わりですかー。

それで最後は何を話すんですか?



編集:作者より

これまでの振り返りと

今後の昆虫記について

語ってもらいます。



K:ここまでこの作品が

続けられたのも全て

読者D氏のおかげです。

ありがとうございました。



D:いえいえ,

そんなことないでしょう。



K:いや,実質この物語を最初から

継続して読んでいるのは

貴方しかいないので,

貴重な唯一絶対の読者なんです。



D:・・・。

K:言葉を変えれば,

読者がいなくなれば

この物語はすぐにでも

終わるということです。



D:そんな責任もてないですよ。



K:読者ある限り,

昆虫記はラストに向かって

物語が進んでいくことでしょう。



編集:貴重な唯一の読者なので

これからもよろしくお願いします。



D:ええ・・・。

まぁ・・・。



K:今回はここでまだ

回収していない伏線を

いくつか紹介して

終わりにしたいと思う。



D:そんなのしゃべってしまったら

後の楽しみがなくなるのでは?



K:そこは大丈夫。

全部を話すわけじゃないし,

ちゃんと取捨選択するから。



編集:まずはどのあたりに

ついてでしょうか?



K:一つ目は第6話です。

D:え?そんな初期に

なんか伏線ありました?



K:うん。トシが加入する話の最後に,

リク君が公園で謎の焼き跡を見つけるんだよね。



D:ああ,確かに。

あれって結局まだ

明らかになって

いないんでしたっけ?



編集:なっていませんね。



K:明らかになる時期については

今のところは未定としておく。



D:他にもあるんですか?

K:二つ目は第22話。



D:伏線なんかありましたっけ?

K:ここは研究者らしき人名・・・

とだけ言っておく。



D:ああ,あれですか。



編集:三つ目をお願いします。



K:101話の冒頭で影が御前に

会った理由と会談の内容。



D:確かに気になりますね。

ここ重要なんですか?

K:だから取り上げているんだよ。



編集:他にもまだまだ

あるようですが,

時間になりました。



K:そっかぁ,残念だなぁ。

誰も気づいてくれないから

あれもこれももっと

暴露したいんだけどな。



D:むちゃくちゃですね・・。



編集:最後に一言お願いします。



K:リクの少年昆虫記はまだまだ中盤。

ここからさらに盛り上がり,

一気に駆け抜けていこうと思っています。

よろしくお願いします。



編集:D氏も本日は

ありがとうございました。

D:やっと終わりましたね。

来週からリク君は出るんですよね?



K:多分・・・。



編集:それでは今後の

昆虫記にご期待ください。



第494話 イツキの借り
夜の繁華街を歩く少年がいました。



彼の名前はイツキ。



以前,城島という人物に

喧嘩を鍛えられ,

急激に強くなった少年でした。



その城島という男はある日突然,

彼の目から消えました。



再び彼の目の前に現れた時には,

イツキ君を利用して,

テロを起こそうとしました。



しかし,リク君やレオンさんの活躍もあり,

未然に防がれたのでしたのは,

これよりももう少し先のお話です。

(113話~参照)



このお話は城島がイツキ君の前から

消えてからしばらくたった

6月某日の物語です。



イツキ君はこの当時,

ただひたすら強さを

追い求めていました。



そうすれば城島が戻ってきたときに,

自分の事を認めてもらえると思っていたからです。



夜の繁華街を歩いていると,

当然のように三大悪童の

配下や幹部に出くわします。



当初は負けることもありましたが,

最近では幹部を相手にしなければ

ほぼ負けなくなりました。



彼の強さは三大悪童の

耳にも入っており,

部下として取り入れようと

いう動きもあったようです。



しかし,彼はかたくなに

その要求を断り続けました。



今日もいつものように

ただ目的もなく,

地元の繁華街を歩いていました。



「つまんねぇなぁ・・・。」



なにげなく道の端を見渡すと,

わき道から何やらうめき声が聞こえました。



彼は一瞬そのまま

通り過ぎようとしましたが,

振り返ってその隙間に

顔をのぞかせました。



するとそこには中年の男が

ぼこぼこに殴られた

状態で倒れていました。



「おいおい,

やっかいごとはごめんだぞ。」



そう言いながらも,

近寄って介抱しようとしたところ,

後ろから懐中電灯で照らされました。



そこには巡回中の

警察官が2名立っていました。



警官1「おい,こんな

ところで何をやっている。」



警官2「小学生か?

後ろで倒れている人は

どうしたんだい?」



二人の警察官はイツキ君が

小学生だったので

これ以上追及しようとはしませんでした。



しかし,

彼の顔を覗き込んだ一人が,



警官1「おい,君はもしかして

最近このあたりで話題になっている・・・。」



「面倒くさいことになりそうだ。」



イツキ君は城嶋氏とこの辺りで

顔を売っていたので

警察官にも不良少年として

マークされていたのでした。



警官2「君がやったんだね。」



「違う!

早く救急車を呼べ!」



彼に指示されるまでもなく,

警官は救急車の手配をしました。



警官1「ちょっと来てもらうか。」



イツキ君がどうやって

その場を切り抜けようか考えていたところ,



???「そいつは犯人じゃねぇぞ。」



後ろから突然,声をかけられました。



振り向くとそこには

一人の少年が立っていました。



警官2「誰だ君は?」

マサル「俺はマサル。

そのおっさんを

やったのはそいつじゃねぇ。」



マサルと名乗る少年は

金髪に耳に大きな二つのピアス,

首からはごっついどくろの

ネックレスをかけていました。



そして身長は180センチを

超えていましたが,

年齢はイツキ君と

そう変わらないように見えました。





マサル「証拠がある。」



そういうと小型撮影機能付端末である

"映ったホイ(通称:ウツホ)"を取り出しました。



そこにはこの現場で少し前に,

数人の不良グループが,

おやじ狩りをしている

シーンが映っていました。



警官1「これは・・・。

三大悪童の傘下の・・・。」



警官2「なぜ,すぐに

通報しなかった?」



すると彼は悪びれることもなく,



マサル「俺にそんなことをする義務はねぇ。」



と言い放ちました。



警官達が応援を呼んでいる隙を見て,

二人はその現場から足早に消えていきました。



マサル「ここまでくればもう大丈夫だろう。」

「礼は言わねぇぞ。

俺は別に一人でも

あれくらい切り抜けられた。」



少しの間を置き,



マサル「だろうな。」



と,わかっているような

口ぶりで返しました。



「俺は借りを作らない主義なんだ。

すぐに返してやるからな。」



マサル「お前,イツキって奴だろ?

この辺りじゃあ有名だ。」



やはりマサルはイツキ君の悪名を

どこかから聞いていたようです。



マサル「別に貸しを作ったつもりなんてねぇよ。

あれは俺のただの気まぐれだ。」



彼の言葉が本当なのか

どうかはわかりませんでした。



「マサルと言ったな。

お前はもしかして三大悪童の幹部か?」



マサル「おいおい,俺をあんな連中と

一緒にしてくれるなよ?」



どうやらイツキ君の

予想は外れたようです。



マサル「俺はな,三大悪童の

"アイツ"の"ある事"を

探っているんだ。」



「アイツ?ある事?

なんだそれは?」



イツキ君とマサルは薄暗い

路地の街灯の下で話をしていました。



時々,ガやカなどの昆虫が

街灯の照明部分にあたり,

鈍い音を立てていました。



マサル「それはさすがに言えねぇな。」



「そうか。」



彼は特にこれ以上興味を

示すことなく,

マサルと別れました。



そしてこのマサルとの出会いが,

イツキ君の人生を大きく, 変えていくことになるのです。



第495話  真夏のサンタクロース9
真夏のサンタクロースとは

子供たちの間でささやかれる都市伝説・・・。



それはサンタクロースの格好をした

殺人鬼が子供を袋に入れて殺し,

家族のもとへプレゼントとして

送り付けるサイコパスのことです。



ただの都市伝説だと思われたのですが,

現実世界でサンタの格好をした

殺人鬼が本当に現れてしまいました。



少年昆虫団は真夏のサンタクロースを

追い詰めたのですが,

あと一歩のところで自殺されてしまいました。



その現場には,

連絡を受けて駆け付けた

レオンさんもいました。



事件の翌日に,

リク君とレオンさんは

連絡を取り合いました。



まだ早朝だったので,

もう一度ベッドに入り,

頭の中を整理しました。



しかし考えても

なかなかうまくいかないようで,



「みんなを呼ぶか。」



と,言って昆虫団の

メンバーに連絡をとりました。



先ほどイヤコムでやり取りを

していたレオンさんも

集合してくれることになりました,



そしてもう一度,

現場に行くことにしました。



ちなみにこのお話は,

リク君がバベルで御前と

戦うよりも前のことになります。



西緑地公園にて・・・。



「あまり朝早くから

起こさないでくれるかなー。」

「そんなに早くないだろ。

もう8時だぞ。」



イツキ君が呆れていました。



「悪いね。

ちょっと気になった

ことがあったんだ。」



リク君は現場検証の終わった場所を

見つめながら,

そう言いました。



「あの男が自殺をした理由が

気になってみんなを呼んだのかい?」



レオンさんが集まった理由を聞きました。



「うん,そうなんだ。

先ほどの話をみんなにもう一度してもらえる?」



少年昆虫団は先ほどのやり取りを

レオンさんから聞きました。



主な内容は,自決した男の名前は

“ナーグゥー・モーリィ”で

大陸国の人間であること。



過激テロ組織“日堕つる国”の幹部で

国際指名手配されていたこと。



兄弟がいて彼らも同じように

テロ組織に身を置いていること。



みんなは驚きの表情を隠せませんでした。



「いやいや,

なんで国際テロ組織の幹部が

こんな辺ぴな所にいるんですか!」



だぬちゃんがもっともな

突っ込みを入れました。



しかし,その答えは誰にも

答えられませんでした。



「しかも大陸国人だって・・・!?」

「そうなんだ・・・。

みんなは社会の勉強で

世界の国についてはもう習った?」



その質問に,まさらちゃんが,



「ううん。

まだ私たちは生活科しか

ないから習ってないよ!」



と答えました。



「でもイツキ君の口から大陸国って・・・。」

「それくらいは常識だろ。」



イツキ君が不愛想に返事をしました。



「あまり世界地図は詳しくない―!」



トシ君が正直に答えました。



「じゃあ,みんなに

わかりやすく説明をしておくね。」



レオンさんは3D空間表示端末(通称"サンデー")を取り出して,

世界地図を目の前の空間に立体表示させました。



「ここがオイラ達の住む日本。」

「さすがにそれはトシ君でもわかるでしょう。」



ちらっとそちらを見ると,

"当たり前だ!"という

顔をしていましたが・・・。



「そしてそこから海を隔てて西にある国が

“大連陸道(たいれんりくどう)人民共和国”だ。」

「略して“大陸国”や“大陸の国”

または“大陸”って

みんな呼んでいるよね。」



そこには日本の面積の30倍を超える

巨大な国の国境が描かれていました。





日本海からすぐ北にある

“半島”もこの国の領土でした。



よって“半島”という呼び名も

この大陸国を指すことがあります。



どうやらこの世界では,

日本の隣にある国は,

現実世界の“あの国”ではなく,

別の国が存在していたのです。



今までのお話で出てきた“大陸”,

“大陸の国”という名称は,

特定の国をぼかして表記していたわけではなく,

それ自体が“大連陸道人民共和国”という

特定の国を指していたのです。



「人口は約20億人。

様々な民族の首長が各地域を治めているが,

テロや犯罪も多く,

政治基盤は決して

安定しているとは言えないね。」

「たしか,かつて何十年も前に,

日本が大陸国の政治に

“内政干渉”したって噂もあったよな。」



彼の知識量は小学生のそれを

完全に上回っていました。



「うーん,

全くついていけない・・・。」



まさらちゃんは頭が

痛くなってきたようです。

どうやら社会はあまり得意ではないようです。



「その話は噂の域を出ないし,一旦おいておこう。」

「今はあの男の正体をもっと知りたい。」



リク君が話を戻しました。



「オイラももっと色々と調べてみるよ。

この事件の捜査権があるわけじゃないけどね。」



その時,レオンさんの

イヤコムに連絡が入りました。



その相手とは・・・。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「え?もしかしてこんなところで終わるんですか?

続きはまた一年後ですか?」

「だろうな・・・。」



「いい加減もう話し切り上げないとまずいですよ。

本編に関係ないこといつまで

だらだらやるつもりなんですか,作者は!

しかも年に一度って・・・。」



作者「ふふふ・・・。

次回の“真夏のサンタシリーズ”でついに・・・。」

第496話 プロローグ

エピソード0シリーズ 序章
 

―8月15日夜 中野木総合病院にて―



闇組織JFが所有するセントラルツインタワーの

一つである“バベル”の屋上にて,

菊水華のレオンさんと少年昆虫団は

組織のボスである“御前”と戦いました。



結果は一方的な惨敗となり,

屋上より飛び降りて,

すぐ真下を飛んでいた

警察の飛行船に乗り移り,

なんとか逃げ切ることができました。





その結果,メンバーの多くが負傷しました。



特にリク君はかなり状態が心配されました。



そのすぐ後に,少年昆虫団は

警察病院にて診察を受けたのですが,

リク君は念の為に緊急治療ができる

中野木総合病院に運ばれて行きました。



幸い,ケガは大したことなく,

明日には退院できるとのことでした。



リク君は,自分の状況を

お見舞いに来たワク君や

カイリちゃん,両親に説明しました。



レオンさんの計らいで個室を

タダで使わせてもらえることになりました。



その病室にて,リク君のお父さんが,



父「今までの君の活動は色々と聞いていた。

しかし,ここまで事態が大きくなるとはな。」



リク君のお父さんは長身のやせ形で,

偉い人が好むような立派な口ヒゲがありました。



髪の毛はふさふさで白髪もほとんどなく,

とても若く見えますが,45歳だそうです。



母「これ以上は無茶をしないでね。」



隣で呼びかけてきたのはリク君の母親でした。



リク君のお母さんは,

カイリちゃんと目元が

そっくりの美人でした。



彼女もまた,同じ年齢の女性と

比べるとかなり若く見えました。



「うん・・・。

わかっているよ・・・。」


「リク兄・・・あのな・・・。」



ワク君が何かを伝えようとしたのですが,



父「あまり話しかけても

疲れるだけだろうから,

今日はここまでにしよう。」



と言われて,

話ができませんでした。



家族が寝泊まりする場所はなかったので,

リク君一人を病院に残し,

一度帰宅することにしました。



本当は母親が“付き添う”と言ったのですが,

リク君が頑として断りました。



「オレは・・・。

無力だった・・・。」




月明かりが部屋のカーテンから差し込み,

リク君が寝ているベッドを照らしていました。



彼の眼にはうっすらと涙が

浮かんでいるように見えました。



彼はこの涙を母親に

見られたくなかったのでしょうか。



彼は失意のうちに意識をなくし,

深い眠りについていきました。



また今回の事態に対し,

愛知県県警は

緊急の会議を開いていました。



この時間にはすでに会議は終わっており,

当面の方針として“菊”のメンバーは

少年昆虫団の警護を行うことが決定しました。



リク君の病室のすぐ外には,

レオンさんが護衛として待機していました。



家族が出てきたとき,

レオンさんは深く頭を下げました。



父と母は,彼に顔を上げるように促し,

“息子をよろしくお願いします”と声をかけていました。



そして翌朝・・・。



物語はここから大きく

動き出すことになる・・・。







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