目次
カイリのかいかい怪奇譚シーズン1~2
カイリのかいかい怪奇譚 前編
リク君の妹であるカイリちゃんはショッピングが大好きなのですが,
怖いお話も好きというちょっとかわった趣味を持っていました。
今日はまさらちゃんと一緒に中野木図書館に来ていました。
「夏休みも後半だけど,何か楽しいことないかなぁ。」
まさらちゃんが話しかけると,
カイリ「それなら怪談話でも聞くのはどうかな?
きっと楽しいよ!」
「そういえば,怖い系の話が好きだったね・・・。」
まさらちゃんは怖い話が苦手だったので,
カイリちゃんのことをすごいと思っていました。
「図書館では静かにな。」
本棚の近くで二人が会話をしていると,
イツキ君が声をかけてきました。
「あ,来ていたんだ。」
「昆虫採集がない時はだいたいここにいるか,
レオンさんと修行しているんだよ。」
イツキ君の後ろから,
灰庭さんが顔を出しました。
灰庭「今日はボクも一緒なんだ。」
灰庭さんは地元の図書館に興味があったようで,
イツキ君についてきたようです。
「カイリちゃん,おすすめはあまりしないけど・・・。
怖い話が好きなら稲姫先生の怪談噺を聞いてみたら?」
カイリ「面白そう!」
カイリちゃんはすぐに興味を示しました。
「それなら稲姫先生のHPに,
今までの怪談話が全部アップされているぞ。」
灰庭「へぇ,面白い先生もいるんだね。」
彼も一緒に聞くことにしました。
灰庭さんが持っていたタブレットを使って,
稲姫先生のHPを開きました。
そのHPはトップページに真っ黒な画面で,
中央に稲姫先生がろうそくを1本持ち,
意味深な顔をしてこちらを見つめているようなものでした。
その様子からとてつもなくおどろおどろしい,
雰囲気が伝わってきました。
「あいかわらず趣味が悪いぜ・・・。」
イツキ君はあきれ返っていました。
みんなはワイヤレスヘッドホンを借りてきて装着しました。
「とりあえず,一学期の最初の学年集会で,
聞いた話を再生してみよっか。」
そのお話は"稲川淳姫の怪談3"の内容でした。
詳細はこちらから読むことができますが,
概要は心霊スポットである山神トンネルで,
訪れた車に真っ赤な手形がつくが,
あわてて逃げて後から確認すると,
その手形はどこにもなかったというお話です。
このお話を聞いた後,
カイリちゃんはある事を提案します。
そのある事とは・・・。
カイリのかいかい怪奇譚 中編
カイリちゃんは怪談が起きた現場に,
実際に行ってみたいと言い出しました。
まさらちゃんは反対しましたが,
どうしても行きたいと言うので,
しぶしぶついていくことにしました。
車は灰庭さんが出してくれることになりました。
怪談噺に出てきたトンネルは愛知県内の,
某所にある旧国道沿いのトンネルでした。

そのトンネルは心霊スポットとして有名なだけあり,
なんとも言えぬ気味の悪さを放っていました。
古いトンネルなので証明も少なく,
薄暗いオレンジの光でかろうじて奥が見えるようでした。
灰庭さんはトンネルの外のわき道に車を停止させました。
「もう帰ろうよぉ!怖いよぉ!」
時刻はまだ夕方でしたが,
まさらちゃんは怖がって車から出ようとしません。
近くで流れる川の音がざぁざぁと聞こえました。
「さて,来たはいいけどこれからどうするもりだ?」
イツキ君はカイリちゃんに聞きました。
カイリ「とりあえず降りてトンネルの中を見てみたい!」
カイリちゃんはドキドキしながらも楽しそうにしていました。
まさらちゃんとは対照的な様子です。
灰庭「こんなところがあったんだねぇ・・・。」
彼はトンネルを外から眺めていました。
まさらちゃんが車のボンネットに手をついて,
落ち込んでいました。
どうやらついてきたことを,
深く後悔しているようでした。
灰庭「じゃあ,あのお話と同じように,
車でトンネルの途中までいってみようか。」
全員が再び車に乗り込み,
トンネルの中央付近まで向かいました。
その時,何か不気味な音が聞こえてきました。
そこで中央付近まで来たところで車を停止させました。
本来であればトンネル内は駐停車禁止ですが,
万が一音の原因が車から出ていては危険なので,
灰庭さんは必要な手順を踏んで止む得ず,
緊急停車させた,という事にしました。
ただ,不気味な音は車内からではないようでした。
そして,車のボンネットを見てみると,
そこには二つの手あとがついていました。
トンネルが暗くてよく見えませんが,
血でつけたような色にも見えました。
「きゃあぁぁ!」
まさらちゃんが大声をあげて車に乗り込みました。
カイリ「灰庭さん,すぐに車を出してください!」
カイリちゃんに言われ,
全員が車に乗り込み,
その場を離れました。
そして,近くのコンビニに車を止め,
もう一度ボンネットを確認してみると・・・。
「うそ!手あとがない!
確かにトンネルの中では見えたのに!」
「おいおい,まさか本当に心霊現象に,
遭遇したってか!?そんなバカなことあるか。」
イツキ君は半信半疑でした。
本当にこれは心霊現象なのでしょうか。
カイリのかいかい怪奇譚 後編
カイリちゃんは,
車のボンネットをじっと見つめ,
何かを考えていました。
灰庭さんはその様子を少し遠くで見守っていました。
「ねぇ!もう帰ろうよ!
あのトンネルはホントの心霊スポットだよ!
真っ暗な中にトンネルの黄色い光がぶきみだよぉ・・・!」
カイリ「え!?」
さらに集中して何かを考えているようでした。
カイリ「そっか!」
急に大声を出しました。
「どうした?」
カイリ「この謎の真実,いただきました!」
元気に決め台詞を叫びました。
灰庭「何かひらめいたみたいだね。
じゃあもう一度,現場に行ってみようか。」
まさらちゃんだけは,嫌がりましたが,
このコンビニに置いていかれるのも嫌だったので,
しぶしぶついて行きました。
トンネルに入ると不気味な唸り声のようなものが響き渡っています。
先ほどと同じ場所に車を止めて,
全員が外に出ました。
「いやぁぁ!この声は死者の叫び声よぉ!!」
カイリ「違うよ。これは川の流れる音!」
カイリちゃんがトンネルの出口を指さしました。
「なるほど。たしかにすぐ近くを川が通っていた。」
灰庭「その音がトンネル内で反響して,
この不気味な音をだしているんだね。」
灰庭さんは少しもこわがる様子もなく,
そう言いました。
「じゃ,じゃああれは何・・・!?」
まさらちゃんが指さす方向には先ほどと同じように,
ボンネットに手形が張り付いているように見えました。
カイリちゃんはまさらちゃんの手を取ると,
手のひらをその手形に重ねようとしました。
「ちょっ!何をしようとしてるのよぉ!」
嫌がるまさらちゃんを半ば強引に引っ張り,
手形に重ねました。
カイリ「これが真実よ。」
その手形はまさらちゃんの手の形と完全に一致していました。

「どっどういうこと!?」
カイリ「これは,少し前にまさらちゃんがつけた手の跡なの。
それがこの低圧ナトリウムランプに照らされて,浮き出て見えただけ。」
低圧ナトリウムランプとはトンネル内で使われる,
黄色い光を放つランプのことです。
トンネル内では走行中の安全のため,
色よりも距離感を大事にします。
そのため,排ガスが多くても,
距離感がつかみやすい,
黄色のランプが多く使われていました。
新しく作られた現在のトンネルでは,
排ガス規制や照明技術の発達とともに,
白色のランプが使われるようになっています。
「たしかに,よく見れば,
これは血の色でもなんでもないな。
ランプのせいで周囲が暗い黄色に見えるから,
まるで手跡がういてみえたのか。」
イツキ君はボンネットに浮き出て見える手形をまじまじと見ました。
「そう言えば,稲姫先生の怪談噺でも,
親戚の子が車のボンネットを,
触っていたっていう描写があった・・・!」
灰庭「おそらくその子の手跡だろう。」
こうして稲姫先生の怪談噺の裏に隠された真相が,
解き明かされたのでした。
しかし,カイリちゃんたちは,
他の怪談噺にも同じような謎を見つけることになるのです。
そして,この謎を追っていくうちに,
彼女たちは衝撃の真実を知ることになるのでした。
カイリのかいかい怪奇譚 前編 シーズン2
カイリちゃんはまさらちゃん,
イツキ君と共に怪傑怪奇団を結成し,
様々な怪奇現象を検証することにしました。
もちろんイツキ君は乗り気ではなかったのですが,
灰庭さんから話を聞いたレオンさんに勧められ,
しぶしぶメンバーに入ることにしたのです。
団員の活動場所はカブクワキングの控室でした。
キングの伊藤店長が快く貸してくれたようです。
どうやら灰庭さんに貸しを作り,
まりんちゃんに良いところを見せたかったのでしょう。
怪奇現象といえば,
稲姫先生の怪談噺を取り上げるのが,
手っ取り早いという意見に全員が賛成しました。
今回も稲姫先生のHPを開いて検討することにしました。
*今回からカイリちゃんのセリフはこの色になります。
「どのお噺を調べてみる?」
「うーん,どうせやるなら終業式の前日の百物語は?」(第45話参照)
怖い話を1つするたびにろうそくを消し,
全部消えると例海への道が開くと言う有名なアレです。

しかし,HPには一つ一つの詳しい話は乗っておらず,
タイトルも「百物語」とだけありました。
「これじゃあ調べようがないな。
別の日に話した内容にするか?」
「でもこの日ってなんかリク君が変なことを言ってなかった?」
後ろで聞いていた灰庭さんが,
灰庭「へぇ,気になるね。
どんなことを言っていたの?」
と,聞いてきました。
「たしか,"正しい情報を見極める能力"とか・・・。」
「リク兄に真意をきいてみよっか。」
カイリちゃんがイヤコムを手に取ると,
「いや,それじゃ面白くないだろう。
俺達の力でこの噺に隠された真実を導こう。」
と言い,
イツキ君が少しやる気を出してきたようです。
灰庭「リク君は他に何か言っていた?」
「たしか,"稲姫はみんなが誤った情報に惑わされることなく,
適切な行動ができるようになって欲しいからあの話をした"って。」
怪傑団のみんなは考え込みました。
小部屋の真ん中に置かれた,
木製机の上にノートPCがあり,
その机を囲むようにして,
4人が座っていました。
灰庭さんもバイトを終えて,
話し合いに参加するようです。
「何度思い出しても,
あの百物語のどれかに,
重要な話があったとは思えない。
というかほぼ寝てたからわからん。」
「うーん,じゃあこの百物語に,
隠された真実はないのかなぁ。」
カイリちゃんが頭をひねりました。
果たしてリク君がした発言の真意とは―・・・。
カイリのかいかい怪奇譚 後編 シーズン2
カブクワキングの一室で,
カイリちゃん,イツキ君,
まさらちゃん,灰庭さんの四人が,
頭を悩ませていました。
「やっぱりリク君の言葉が気になるよねぇ・・・。」
みんなはとりあえず,
百物語の詳細について,
ネットで調べてみることにしました。
灰庭「百物語の起源は古く室町時代からあるみたい。
江戸時代にブームが起き,
1話かたり終えたらろうそくの灯を消す。」
他にも色々な形式があるらしいが,
おおむね共通するのは,
百話を語り終えると本物の物の怪が,
現れると言われていることでしょう。
よって百物語を行う時は,
99話でやめて夜明けを待つのが,
良いとされているのです。
「へぇ・・・。
百物語って結構,
奥が深いんだ・・・。」
灰庭さんがイツキ君を見ました。
灰庭「何か気付くことはあるかい?」
「うーん・・・。」
イツキ君も返答に困っていました。
「たしかあの時リクは,
百物語が全部終わった後に,
含みのある言葉を発したんだよな・・・。」
そこまでイツキ君が言った時に,
「もしかしたら・・・。」
カイリちゃんはもう一度,
稲姫先生のHPと百物語について,
まとめてあったサイトを見直しました。
「わかった!」
カイリちゃんが何かひらめいたようです。
「この謎の真実,いただきました!」
「え!?カイリちゃんすごい!」
灰庭さんも珍しく驚いた顔をしていました。
「お前が見つけた真実を聞かせてくれ。」
イツキ君が冷静に言いました。
「うん,いいよ。」
カイリちゃんが一呼吸おいて続けます。
「そもそも百物語っていうのは,
99話で止めなくちゃいけないの。
さらに,本来は大人数で分担して噺を進める仕組み。」
さらに彼女が説明を続けます。
「なのに,稲姫先生は自分一人で進め,
さらに百話まで到達した。」

<HPに載っている稲姫先生のプロフィール画像>
「ああ,俺もおかしいと思っていた。」
イツキ君も同意見でした。
「つまり,稲姫先生はみんなをためしていたの。
そのことに気づくかどうか。
唯一リク兄だけが気づいて指摘したってことじゃないかな。」
「そっか,だからあんなことを言ったんだ!」
またしてもカイリちゃんが,
稲姫先生の怪談噺に隠された謎を,
解き明かしたようです。
しかし,なぜか灰庭さんだけは,
納得がいっていないような顔をしていました。
こうしてこの時の集まりはお開きとなりました。
しかしこの後も,
カイリちゃんの謎解きは,
まだまだ続く夏休みになりそうです。
カイリのかいかい怪奇譚シーズン3~
カイリのかいかい怪奇譚 探索編 シーズン3
怖いお話が大好きなカイリちゃん。
稲姫先生の怪談話に興味津々な
年中さんの女の子です。
今回はどんな噺の謎を解き明かすのでしょうか。
カブクワキングの奥にある従業員用の休憩室に
カイリちゃん,まさらちゃん,イツキ君と
灰庭さんが集まっていました。
「今日はどんなお噺を
しらべてみようかな!?」
「飽きないねぇ・・・。」
イツキ君はしかたなく,
お付き合いでここにいました。
「稲姫先生のHPにデータベースが
あるから便利だよね。」
色々と怪談噺の一覧を眺めていると・・・。
「これなんか,面白そう!」
選んだのは,【呪いの木】という怪談噺でした。(195話参照)

「二人は実際にこのお話を
聞いていたんだよね?
どんな感じだったの?」
「どんなといわれても・・・。」
まさらちゃんは怖い話が苦手だった
ので返答に戸惑いました。
「オチがとにかくわけがわからなかった。
手首がどうとか・・・。」
灰庭「なかなか興味深いね。」
後ろで様子を見ていた灰庭さんが,
口を開きました。
「確か霊能力者が出てきて,
最後は殺されるんだよ。」
「うん!いいね!
この噺に隠された
真実を見つけちゃおう!」
カイリちゃんが元気に
手を挙げて宣言しました。
「やっぱり,そうなるのね。」
まさらちゃんはあまり乗り気では
ありませんが,ついていくようです。
とりあえず全員でこの物語を
再生して聞くことにしました。
イツキ君とまさらちゃんは二回目です。
「何度聞いても変な話だな・・・。」
灰庭「確かにね・・・。」
男性陣が悩んでいると・・・。
「それを今から確かめに行くんでしょ!」
カイリちゃんに火が付いたようです。
「で?感の良いカイリちゃんは
何か気づいたことでもあるのか?」
「うん!このお噺,誰かが
嘘をついていると思う!」
そうきっぱりといいました。
「え?なんでそう思うの?」
「うーん,なんとなくそうかなって!」
確信があるわけではないようです。
「まぁ,そういうカンって大事かもしれんな。」
灰庭「では,どうやって調査を進めていこうか?」
みんなが,カイリちゃんを見ました。
「二手に分かれて調査しよう!」
カイリちゃんたちはこのお噺のもとになった,
清州新衛門という人物と,
殺された霊能力者について調査することにしました。
グループはカイリちゃんと灰庭さん,
イツキ君とまさらちゃんになりました。
「清州新衛門はネットで調べたら,
元々この辺りの藩主だったらしい。」
イツキ君が検索用端末を,
起動して検索を始めました。
「ここなら自転車でいけるところだね。」
「じゃあ,灰庭さん行こっか!」
いよいよ調査スタートのようです。
カイリのかいかい怪奇譚 聞込編 シーズン3
かいりちゃんと灰庭さん,
イツキ君とまさらちゃんに分かれて,
稲姫先生の怪談噺を調べることにしました。
イツキ君たちは,地元にある資料館へ
自転車で向かうことにしました。
かいりちゃんは,灰庭さんの車で殺された
霊能力者の家族の元へ行くようです。
灰庭「結構有名な人だったんだね。
調べたらすぐに出てきたよ。」
「住所までよくわかったね?」
灰庭さんは色々なツテを
使って住所を調べ上げたようです。
車で30分ほど走り,
目的の家に到着しました。
灰庭さんが家のチャイムを鳴らすと,
家主と思われる年齢よりも老けて
見える男性が出てきました。
突然訪ねた非礼を詫び,趣旨を説明しました。
どうやら家主は霊能力者の息子だったようです。
その霊能力者の名前は
野田 有道(のだ ありみち)といいました。

<生前の野田有道>
あまり多くを語りたがらなかった家主ですが,
何とか話を聞き出しわかったことがありました。
話が終わるタイミングで
イツキ君から連絡が入りました。
イヤコムのスピーカーをオンにします。
「そっちはどうだ?」
「うん,いくつかわかったことがあるよ!」
カイリちゃんが返事をします。
「こっちもだ。」
それぞれのグループは集めた情報を共有するために,
例の呪いの木がある場所で合流することにしました。
先に到着していたのは,
イツキ君とまさらちゃんでした。
灰庭さんは近くのコインパーキングに
車を停めてからやってきました。
「これが呪いの木・・・かぁ・・・。」
大きく育った大木を見上げながら,つぶやきました。
「いや,ちがうぞ。」
突然の否定にカイリちゃんは驚きます。
「え?どういうこと?」
「あのね,この木は清州新衛門の屋敷に
植えてあった木じゃないみたいなの。」
これは一体どういうことなのでしょうか。
「町の歴史資料館で調べたんだが,
清州新衛門は確かに江戸時代後期に実在した。」
彼は木にもたれかかるようにして話を続けます
「だが,中野木藩藩主であった
清州新衛門の屋敷はここではないんだ。」
ますます謎が深まっていきます。
「こっちもわかったことを報告するね。」
カイリちゃんは先ほど聞いた話を語り始めました。
「どんなことを聞いてきたの?」
「さっき,野田さんっていう
霊能力者の遺族に会ってきたんだけどね。」
灰庭さんは彼女の説明を黙って聞いています。
「妙なことを言っていたの。」
少し間を置いてから,
「あの人はそもそも霊能力なんてないし,
霊能力者を名乗ったこともないんだって。」
と伝えました。
さらにもう一言。
「ただの平凡な建設会社で働くサラリーマンだったみたい。
でも,かなりブラック企業だったみたいで,
毎日仕事が終わるのが午前0時を過ぎていたみたい。」
これは本当にどういうことなのでしょうか?
カイリのかいかい怪奇譚 真実編 シーズン3
呪いの木の前で亡くなった霊能力の野田有道氏は
元々霊能力ではなかったということが判明しました。
「あれ?でもおかしくない?
その世界で有名だからネットで検索
したら出てきたんじゃないのかな?」
灰庭「ここに来る間に調べていたんだが,
どうも彼の死後にそうやってネットで
取り上げられて有名になったらしい。」
灰庭さんがうまく調べてくれていたようです。
カイリちゃんは思わずうれしくなりました。
「つまり何者かにでっちあげられたってことか?」
灰庭「そうなんだ。だからどれだけ調べても彼が生前に霊能力で
何か活動していたという記録は一切出てこなかった。」
さらに謎が深まっていきます。
「ますます,きな臭いな。」
「あと,清州新衛門は確かに記録に残っているんだけど,
おさよっていう名前の女中は記録になかったから,
実在するかどうかもわからないみたい。」

かいりちゃんが呪いの木をくまなく調べ始めました。
さらに周辺の様子も気になるようで,
あちこち調べ始めました。
道路は呪いの木を避けるように走っており,
その中心でどっしりと立っていました。
また,道路の両側は多くの建物が立っている場所でした。
しかし,夜は人通りが少ないことでも有名でした。
「これは・・・!」
かいりちゃんは昔から建っていそうな古いビルと
ビルの狭い隙間で何かをみつけたようです。
「そういうことだったんだ。」
かいりちゃんはこの物語の
真相が見えてきたようです。
「お前が見つけた真実を聞かせてくれ。」
と,イツキ君がお決まりの
セリフを先に言います。
「この謎の真実・・・,
いただきました!」
カイリちゃんも少し溜めながら
決め台詞を放ちました。
「それは夜になってからのお楽しみー!
あ,リク兄との昆虫採集はキャンセルしておいてね!」
まさらちゃんは特に何が何だか
わからないという感じでしたが,
もう一度夜遅くに集合することになりました。
時間は夜の12時を回っていました。
それぞれの家族には真夏の
深夜徘徊をすると言って出ていくと,
間違いなく叱られるので,
カブクワキングに泊まって夜間の
昆虫野外活動を行うと伝えたようです。
4人は懐中電灯で呪いの木を照らします。
「やっぱり怖いよぉ・・・。」
しばらく待っていると,
急に変な音が聞こえてきます。
何かの機械音にも聞こえます。
「なにこの音!
もしかしてホントに幽霊が出るの!?」
次の瞬間,木に白い女性の姿が現れました。
まるで気に吊るされているようです。
黒い影の手首も下の方に見えます。
「ぎゃぁぁ怖いよぉ!!」
まさらちゃんが一人で騒ぎまくっていますが,
残りの三人は腕を組んで木に
映された女性の姿を眺めています。
「カイリちゃんの予想通り,
これはプロジェクションマッピングだな。」
灰庭「うん,そしてそれを映し出しているのは
あのビルとビルの隙間からだ。」
彼が指さす方向が輝いています。
「昼間,あそこに映像を映す機械を
置いた後が残っていたんだよね。」
「おい!近くにいるんだろう!出てこい!」
イツキ君が深夜の誰もいない
寝静まった道路の前で叫びます。
すると,ビルの影から
何人もの男が姿を現しました。
果たしてどうなってしまうのでしょうか。
カイリのかいかい怪奇譚 解決編 シーズン3
「思ったよりもたくさん出てきたな。」
男たちは手に物騒な
ナイフを持っていました。

さらにロープを持った男もいます。
おそらく首吊りにみせて殺す気なのでしょう。
まさらちゃんとカイリちゃんは
木の後ろに隠れます。
「おとなしく逃げ帰ればよかったものを。」
リーダー格の初老の男がそう言います。
「逃げたらお前たちが隠してきた
ことが明るみに出ないだろ?」
イツキ君は当然とばかりに反論します。
その言葉を合図に10人を超える男たちが
イツキ君たちを拘束しようとごった返して近づいてきます。
しかし・・・。
5分もしないうちに,
全員がその場に倒れこむこととなりました。
「なんだ・・・。げほっ・・・。
なんなんだ,お前たちは・・・。」
「俺たちは少年昆虫団,
いや今はかいかい怪奇団だ。」
イツキ君もそうですが,
リク君と互角に戦う
灰庭さんも相当な実力者でした。
灰庭「お前たちが,野田さんを殺害し,
自分たちの秘密を守るために霊能力者と
いうことにして,例の噂を流したんだな。」
「もっと言えば,江戸時代に起きた
"おさよの呪いの木の怪談噺"もあなた達が
この木に人が近づかないようにするために,
でっちあげたものなんでしょ。」
どうやら図星だったようで,
誰も反論しませんでした。
「だから,おさよなんて人が記録に残っていないんだ。
じゃあ,戦後に起きた謎の怪死も?」
灰庭「そうだと思うよ。当時の記録を
読んでも出てこなかったからね。」
男たちは逃げ出すすきを窺いますが,
まったくすきがないようであきらめ始めました。
「真相はこうよ!」
カイリちゃんが得意げに
自分の推理を述べ始めました。
「この木の下には元々,何かが埋めてあった。
貴方達のような反社が隠したいものって
いえばだいたい想像がつくけどね。」
彼女は話を続けます。
「木を掘り起こされたら大変だから,
人が近づかないように江戸時代や戦後の呪いの話を
実際にある話からヒントを
得て作り上げて,ネットなどで拡散した。」
さらに続けます
「しかし,野田さんという人物は建設会社で働く人物で,
会社から"この木を切り倒し,
別の施設を建てて利用できないか"を
検討するように任されていたという。」
どうやらカイリちゃんの推理は見事的中していたようで,
反社の連中は誰一人として反論しませんでした。
そうこうしているうちに,
灰庭さんがレオンさんに頼んで
お願いした警察が到着しました。
彼らは全員が連行されていきました。
後に判明したことですが,
あの木の下には遺体がうまっていたようです。
しかし,それはおさよのものではなく,
反社同士のトラブルで殺害された人物でした。
それを隠すために,現場近くのビルを借り上げ,
ばれないように交代で監視を続けていたようです。
―場所は再びカブクワキングの控室にて―
「今回もなかなか興味深い話だったね!」
「たしかに,カイリちゃんが調べなかったら,
ずっと殺人事件が見逃されていたままだったんだよね。」
反社の連中は野田さん殺害についても
認める供述をしているとのことです。
「さて,これでゆっくり読書ができそうだ。」
「何を言ってるの?
次の調査はもう決まってるんだよ!」
あきれ顔のイツキ君を気にすることなく,
カイリちゃんは次の怪談噺について話し始めました。
その内容についてはまた別の機会に・・・。