リクの少年昆虫記-過去のお話-

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目次


第289話~第292話

2019/9/29

第289話 君だったんだね・・・

 菊の華シリーズ 最終章
愛知県警本部にて・・・。



小会議室に二人の人物が向かいあっていました。

彼女はその日の朝に目の前に告白をしたばかりでした。



しかし,雰囲気からはそんな甘い感じの様子は無く,

男が目の前の女性を問い詰めていました。



黄金原「悪いが君のデスクを探らせてもらったよ。」



羽音々「・・・。」



彼女はうつむいたまま返事をしませんでした。



黄金原「そしたら,これが見つかったよ。これって,

“菊”の機密情報データが入った媒体だよね。」



彼はポケットからUSBのような小型の記録媒体を

取り出し,彼女の前でちらつかせました。



黄金原「君だったんだね・・・。がっかりだ・・・。

朝の告白は何のつもりだったんだ・・・。」

羽音々「あっあれは・・・。」



二人は何やらやりとりをした直後,

彼女は机の上にあったコップを

こぼして彼に中身をぶちまけました。



黄金原「なっ!?」



そのすきに彼女は部屋を飛び出していきました。

すぐに黄金原氏も追いかけました。



この後,すぐに赤神氏が防犯カメラを確認し,二人が

別々の車で署内を出ていったことを確認しました。



彼は他の菊の幹部に連絡をとり,二人を探し出すように命じました。

Nシステムの追尾により名古屋からさらに北に

向かっていることまでをレオンさんに伝えました。



レオンさんと少年昆虫団は連絡を

受け,北に向かって捜索を開始しました。



レオンさんが運転し,助手席にはリク君が座りました。



後ろにはイツキ君とまさらちゃん,最後部の列に

トシ君とだぬちゃんが座っています。



緊急事態なのでサイレンを鳴らし

ながら,二人の車のナンバーを探します。



「でも,なんで二人は署内から出てしまったの?」

「どうやら,黄金原さんは羽音々さんが

JFのスパイだという証拠を見つけたらしい。

それを問い詰められて逃げ出したん

じゃないかって赤神さんは推測している。」




レオンさんは運転をしながら

それらしい車がないか探しています。



「そうか。朝にスパイの件を赤神さんを通じて伝えて

もらったから黄金原サンも思い当たる節があって探りをいれたのか。

そしたらその証拠が出てきてしまった・・・。」


「うそ!そんなの信じられないよ!だって羽音々さんは

勇気を出して自分の想いを伝えたんだよ。

悪いやつらのスパイがそんなことをするわけないじゃん!?」




まさらちゃんは半分泣きそうにながら訴えました。



となりに座っていたイツキ君が

まさらちゃんを慰めていました。



「でもスパイだってばれないために告白とかをして

自分から疑いを逸らそうとした可能性もあるよね。」


「それを言ったら,黄金原さんが

襲われたのだって自作自演かもしれないじゃん!?」




まさらちゃんは後ろを振り返り,

ものすごい形相でトシ君を睨みつけました。



「う・・・。例えばの話だよー・・・。」

「そう言えば,桃瀬さんがさっきまで黄金原さんと羽音々さんが

拉致された現場を訪れているって聞いたな。ちょっと連絡してみるか。」




最新の携帯電話は番号を直接打たなくても

声だけで発信できる仕組みになっていました。



レオンさん達の車は江南線と呼ばれる

道路を北に向かってどんどん走っていきます。



第290話 誰が闇の騎士(ダークナイト)か

 菊の華シリーズ 最終章
レオンさんは桃瀬氏に連絡を取ってみましたが不在のようでした。



「向こうも忙しいようだ。着信履歴は

残るからそのうち連絡が入るかな。」




レオンさんが彼女に連絡を入れる少し前のことです。



菊の紅一点である桃瀬氏は部下と一緒に,黄金原氏と羽音々氏が

一昨日の夜に病院から本部へ戻る途中で誘拐された現場の前に来ていました。



桃瀬の部下は20代後半の男性で片岡といいました。



<桃瀬の部下 片岡>



彼はどうやら頭髪の主張が少なく,

年齢よりも上に見られることが多いようです。



片岡「桃瀬さん,こんなところに来てどうするんですか?

もう現場検証は終わっていますよ。」

桃瀬「・・・。」



桃瀬はずっと,周囲の建物を見渡していました。



桃瀬「狙撃現場は確認できたんだっけ?」

片岡「あ,はい。ここから500mほど

離れたビルの屋上からです。」



桃瀬氏は別の件で手が離せなかったようで

自分自身でこの現場の検証は行っていなかったようです。



そこで,自らの足で気になることがないかを確認しに来たのです。



桃瀬「500m・・・。よくあの暗闇の中,

翠川君たちの車を狙撃できたわね。」

片岡「敵にすごいスナイパーがいると

いう推理は間違っていなかったですね。」



桃瀬氏は,今度は地面に視線をやりました。



しばらく歩きまわって何か

見落としがないか,探し回りました。



その時,桃瀬氏の携帯に赤神氏から連絡が入りました。



内容はレオンさんが聞いたものと同じで黄金原氏と

羽音々氏が署内からいなくなり,捜索せよとのことでした。



桃瀬「まったく~。一体何をやってるのよ。」



少し面倒臭そうにして現場を離れようとしました。



桃瀬「あれ,これって何・・・?」

片岡「どうかしましたか?」



桃瀬氏は何かを見つけたようで顔が硬直していました。



この表情は闇の騎士を手掛かりを見つけたかも

しれない驚きなのか,自らが闇の騎士で

その証拠を残してしまった焦りなのか・・・。



場面は再びレオンさんが運転する車に変わります。



「じゃあ,みんなは誰が闇の騎士だと思っているの!?」



羽音々さんを疑われたままで怒りがおさまらない様子です。



「やっぱり他に怪しいといえば,桃瀬さんじゃないですかね。」



だぬちゃんが持論を展開します。



「だって彼女は一流のスナイパーなわけですよね。

JFに腕利きの狙撃手がいるって言っていましたが,

それが彼女自身のことなんじゃないですかね。

あの目つきは絶対に何人か殺している気がしますよ。」


「おいおい。女性を見た目で判断するのは危険だぞ。」



イツキ君が大人な意見を述べました。



「俺はあの青山っていうバンドの

リーダーが怪しいんじゃないかと思う。」


「いやいやいや,それはないでしょう。」



だぬちゃんは青山氏に憧れていたのでその意見を否定します。



「でもさ,この前一緒に青山さんのコンサートを

聴いてそのあとに楽屋に行った時,携帯電話で

"グレイ"っていっているのを聞いたよね。」


(第267話参照)

「え?なんだって。それじゃあ

青山サンが組織側の人間ってことか。」




イツキ君も初耳だったようで

驚きを隠せないようです。



「だから,あれは何かの間違いですって!」



みんなはそれぞれが自分の尊敬する人

以外の誰かが闇の騎士だと思っているようです。



そんな会話を最前列のリク君とレオンさんは黙って聞いていました。



誰が怪しいかで持ちきりの中,

レオンさんの携帯電話が鳴りました。



その相手とは・・・。



第291話 そして,あの山へ・・・

 菊の華シリーズ 最終章
レオンさんたちは二人の車を発見できないまま,

北に車を進め,岐阜県との境まで来ていました。



時間はすでに午後6時を過ぎていました。

その時,レオンさんの携帯電話が鳴りました。



レオンさんは声でスピーカーモードに

設定して通話ができるようにしました。



電話の相手は赤神さんでした。



赤神「部下にNシステムで二人の車を追跡させたところ,

どうやら岐阜県の各務原山方面に向かったようなんだ。」



「ちょうど,県境に来ていますのでこのまま向かいますね。

岐阜県警にはそっちの方で許可をとっておいてください。」




少年昆虫団はそのやりとりをじっと聞いていました。



赤神「それについてはすでに話を通してある。

俺や青山,桃瀬もそっちに向かっている。

何か嫌な予感がする。慎重に行動しろよ。」



「大丈夫だよ!僕たちにまかせて!」



リク君が横から会話に入ってきました。



赤神「そうか。君たちも一緒だったな。

くれぐれも無理をしないでくれよ。」



そう言って電話を切りました。



しばらくして一行は各務原山に到着しました。





駐車場には何台か車が止まっていましたが,

その中の2台が黄金原氏と羽音々氏のものでした。



「ここで降りて山の中に入っていったんだな。」

「じゃあ本当に羽音々さんが闇の騎士でそれに

気づいた黄金原さんが追いかけていったってことですか。」




そのまま登山道入り口までいき,

夕暮れの山道を登ることにしました。



「足場が悪い所も多いから気を付けてね。」



レオンさんを先頭にどんどん登っていきます。



その途中で,まさらちゃんが



「やっぱり,私は羽音々さんが悪い人だなんて思えない!

これにはきっと何かわけがあるんだよ!」


「うーむ・・・。リク君はどう思う?」



レオンさんはリク君に意見を求めました。



「一つ引っかかっていることが

あるんだよなー・・・。なんだっけなぁ・・・。」




帽子の上から髪の毛をくしゃくしゃとかく

仕草をしながら思い出そうとしています。



「頑張って思い出すんだ!」



なぜか上から目線のトシ君。



「そうだ,あの時・・・。」



リク君は歩きながら自分が気になって

いることをみんなに話しました。



その時,レオンさんの携帯に

桃瀬さんから連絡が入りました。



桃瀬「さっきは電話に出れなくてごめんね。

でも用件はだいたいわかっている。

貴方たちが狙撃に巻き込まれた現場についてだよね。」



桃瀬さんは先ほどの現場で気になったことを説明しました。



「なるほど,そういうことか。実はリク君がたった今,

君が思っている事と同じことを言っていたんだよ。」




桃瀬「え,本当に?あの子って貴方が

言うようにすごい子なのかもね。」



桃瀬さんはリク君の事をとても

感心した様子で話していました。



桃瀬「私たちも今,各務原山に着いたから追いかけるわ。」



そう言って,通話が切れました。



「実はオイラも気になっていたことを思い出したんだ。」



レオンさんがみんなに何かを話しました。



「じゃあ,やっぱりアイツが闇の騎士なんだな・・・。」

「・・・。」



まさらちゃんの顔は暗いままでした。



「でも,二人を探すのを急いだほうが

いいんじゃないですかね。」


「その通りだ。でもこの山道を

バラバラになって探すことは危険だ。」




そうこうしているうちに山の中腹までやってきました。

そしてそこにあの二人の影を見つけました。



第292話 闇の騎士の正体①

 菊の華シリーズ 最終章
すでに午後7時を過ぎ,日がかなり暮れていました。

各務原山の中腹にあるちょっとした広場の

ような場所に二人の影がありました。



それは署内から飛び出した

羽音々氏とそれを追いかけた黄金原氏でした。



二人は何かを言い合っているようでしたが,

レオンさんは構わず出て行って二人の前に姿を現しました。



その後ろに少年昆虫団も一緒にいました。



「こんなところにいたのか。探したよ。」



羽音々氏は彼の視線をまともに

受けることができませんでした。



黄金原「君たちもやはり来てしまったか・・・。

本当は二人だけで話したかったんだけどな。」



「署内で何があったかのか話してくれるね。」





レオンさんは二人に向かってそう言いました。



リク君は黙って二人の様子を観察していました。



トシ君はレオンさんの顔が最初に合った時とは

別人じゃないか,と突っ込みたかったのですが,

シリアスなシーンだったため自重しました。



黄金原「午前中に君から“JFのスパイが菊の中に

いる”って報告を赤神さんを通じて受けただろ。

部下を疑いたくはなかったんだけどね,

彼女の机を探らせてもらったら出てきたんだ。」



「何が・・・?」



まさらちゃんがレオンさんの後ろに

少し隠れながら恐る恐る聞きました。



黄金原「我々の行動記録や調査記録の入った小型記憶媒体だよ。

こんなものを個人的に所持する許可なんて出ていない。

だとすれば何のために持ち出そうとしたのか。」



「それで彼女がJFのスパイである

闇の騎士だといいたいわけですか・・・。」




今度はだぬちゃんがレオンさんの後ろ

から顔をのぞかせ,そう言いました。



そのやり取りを羽音々氏は

うつむいたまま,じっと聞いていました。



後ろの草陰がゴソゴソと動き,現れたのは赤神氏,

青山氏とその部下らしき男性,桃瀬氏と部下の片岡でした。



赤神「やっと追いついたか。間に合って

よかった。翠川,すまなかったな。」



「いえ,大丈夫です。」



リク君は黄金原氏と羽音々氏に近づきました。



「役者もそろったことだし,今から僕が

全てを明らかにしようと思う。いいかな?」






一瞬レオンさんの方を振り向き,

レオンさんが頷くのを確認しました。



桃瀬「本当に大丈夫なのかしら。いくら頭が

いいっていってもまだ子供じゃ・・・。」



赤神「まぁ,そう判断するのは,

彼の話を聞いてからでも遅くないさ。」



リク君が口を開きました。



「実は,今日の午前中にレオンさんから赤神さんに

この菊の中に闇組織JFのスパイがいるってことを

伝えるようにお願いしたのは僕なんだ。」




そこにいるメンバーは驚いた様子でリク君を見ました。



「赤神さんから他のメンバーに伝えて

もらうことで何か動きが出てくると思ったんです。」


「案の定,こうやって大きな動きがありました。」



その話を羽音々氏は下を向いた

ままじっと聞いていました。



その様子をまさらちゃんが

心配そうに見つめています。



黄金原「確かに,君たちがその事を伝えてくれた

おかげでこうやって敵のスパイが見つかった。

悲しいけれどこれが真実なんだね・・・。」



彼のその発言に対し,リク君がニヤっと

不敵な笑みを浮かべました。



その笑みの意味とは・・・。





第293話~第296話

2019/11/4

第293話 闇の騎士の正体②

 菊の華シリーズ 最終章
各務原山の中腹にある広場に少年昆虫団と

菊水華のメンバーが集まっていました。



広場の奥手には黄金原氏と羽音々氏が,向かい合うようにリク君,

その後ろにレオンさんと少年昆虫団,残りの菊のメンバーが並んでいました。



黄金原氏は羽音々氏が闇組織JFのスパイである旨の

発言をしたところ,リク君は不敵な笑みを浮かべました。



「闇の騎士の正体・・・。それはアンタだよ!!」



リク君は大声で目の前にいる人物を

指さしました。それは羽音々氏ではなく・・・。



黄金原「なっ!!」



黄金原氏をまっすぐに指さしていました。



黄金原「何を言い出すんだい!?」





「黄金原,いや闇の騎士,観念するんだな。

アンタがスパイだって事はもうわかっているんだ。」




レオンさんもリク君の発言をフォロー

するようにそう言いました。



赤神氏は黄金原氏をずっと睨み続けていました。



黄金原「俺が敵のスパイ?何を根拠にそんなことを言うんだ!」



「根拠ならあるよ。アンタが闇の騎士だという証拠を教えてやる。」



イツキ君やだぬちゃんもリク君

の話を真剣に聞いていました。



「あのピエロが闇の騎士だったとはな・・・。」

「一昨日からずっと引っかかっていることがあったんだ。

それはね,アンタと羽音々さんがJFの精鋭部隊に拉致されたときのことだ。」




みんなは固唾をのんで話を聞いていました。



「あの時,二人の乗っている車の前の車が

急停車して仕方なくブレーキをして,

停車したところを無理矢理,車から引きずり

出され拉致されたと思っていた。」




リク君は話を続けます。



「そして,邪魔が入らないように

拉致部隊とは別の人間がレオンさんと

僕たちが乗っている車を狙撃して妨害した。」




黄金原「そう。まさにその通りだ。何がおかしいんだ?」



彼は額にうっすらと汗をかいていました。



「実はそうじゃなかった。最初から僕たちの車を狙撃できるように

アンタが運転する車は停車位置が決められていたんだ。

前の車が止まればレオンさんの車も止まるしかないからね。」




リク君は自分の推理を続けます。



「その証拠をそこにいる桃瀬さんが見つけてくれたよ。」



桃瀬氏は先ほど現場で見つけた証拠について説明しました。



桃瀬「この写真をみて。」



そう言って,部下の片岡が持っていた黒の鞄の

中から一枚の現場写真を取り出しました。



そこには,道路標識が写っており,

ポールの下の方に黒色の印がついていました。



おそらくラッカーでつけられたものでした。



桃瀬「最初はただのいたずらかなと思ったんだけど,

この黒色の塗料,暗闇で光る蛍光塗料だったんです。」





青山「なるほど,その辺のガキの悪戯じゃあないわな・・・。

ただの落書きならそんな手の込んだ事をやる必要はないからな。」



青山氏はたばこを口にくわえながら,

桃瀬氏の写真をまじまじと見ていました。



「つまり,これは“この場所で止まれ”

という組織からの合図だったんだ。

おそらく羽音々さんには“猫が横切った”とか

言って急ブレーキをかけてごまかしたんだろうね。」




黄金原氏の顔色がだんだんと悪く

なっているように見えました。



だぬちゃんは持っていた懐中電灯を写真に

照らして自分も証拠写真を見てみることにしました。



「確かに,これは決定的ですね・・・。」



黄金原氏はどう弁解するつもりなのでしょうか。



第294話 闇の騎士の正体③

 菊の華シリーズ 最終章
黄金原氏が闇の騎士であるという

証拠を突きつけられました。



「オイラからも彼が闇の騎士だと確信した

"あるやりとり"について説明させてほしい。」




黄金原氏はレオンさんから視線をそらしました。



「JFに拉致された黄金原を助け出したとき,オイラは何気なく

“闇の組織JFが狙っているのは黄金原さんなんだ”と言ってしまったんだ。」


「え,それの何がおかしいの?」



まさらちゃんがレオンさんに聞きました。



「あの時は,オイラもちょっと油断して

いたからだと思うんだけど,あの時点では,

JFが菊の幹部を暗殺しようとしている

なんて事は誰も知らないはずなんだよ。」


「あ,そっか。」



トシ君もようやく理解できたようです。



「そう。それなのに,君はオイラのその

言葉に対して"ああ,そうだな"と言ったんだよ。

まるで最初から闇組織JFが菊の幹部を暗殺

する計画だと知っているかのようにな。」




黄金原「それが,どうした。たまたまお前に話を合わせただけだ!

そんなことよりも,ここに罪を認めている女がいるんだぞ!

これこそが何よりの証拠じゃないか!!違うか!?」



黄金原氏は声を荒げて反論しました。



「羽音々さん,もう全てわかっているんです。

本当のことを話してください。」




リク君は彼女に対しては優しく話しかけました。



「貴方はこの男の事を本当に愛していた。だからこそ,

彼のやっていたことを知ったとき,ショックだったはずです。」




羽音々さんは顔をあげました。



「そして彼のことを庇うべきか悩んだ。

でも,それは正しいことじゃないと思います。好きだからこそ,

彼の罪を白日の下にさらすべきだと思います。」




菊の幹部たちはとても小学二年生が

口にする内容とは思えないと感心していました。



しばらくの沈黙の後,彼女は口を開きました。



羽音々「朝,私は長年の想いを彼に伝えました。

振られたようなものでしたが,悲しくはありませんでした。

もっと彼の力になりたい。役に立ちたいと

思う気持ちが強くなりました。」



告白されたその男は横で静かに聞いていました。



羽音々「数日前に彼のPCに小型の情報記憶媒体が

刺したままになっていました。その時は,

ただ抜き忘れただけだと思い,翌日に

お返ししようとしたんですが・・・。」



しかし,仕事の忙しさや本人たちがJFに襲われるという事件も重なり,

返すタイミングを逃してしまったそうです。



羽音々「そして,赤神さんからの報告があり,万が一と思って,

その記憶媒体の中身を見てしまいました。中は我々,

警察内部の機密情報で絶対にそんな媒体に

入れて保管してはいけない内容ばかりでした。

私は気が動転して自分のデスクの引き出しにしまい込みました。」



「そうか。奴はそれがないことに気づき,慌てて探したんだな。

そうしたら羽音々サンの引き出しから見つかった。」




とイツキ君。





羽音々「はい,そうです・・・。」



そして,彼はそのことを問い詰めるため,

彼女を別室に呼び出したのです。



第295話 闇の騎士の正体④

 菊の華シリーズ 最終章
羽音々氏は偶然,黄金原氏が機密情報を

持ち出そうとしていることに気づいてしまいました。



彼女は気が動転して,それを自分のデスクに隠しました。



彼はそのことに気づき,彼女を問い詰める

ため,別室に呼び出したのです。(第289話参照)

黄金原「実は見つかったらまずいブツが

なくなっていてね。自分の机にはなかった。」



羽音々氏は少し涙ぐんでいました。



黄金原「悪いが君のデスクを探らせてもらったよ。」

羽音々「・・・。」



彼女はうつむいたまま返事をしませんでした。



黄金原「そしたら,これが見つかった。これって,

"菊"の機密情報データが入った媒体だよね。」



彼はポケットからUSBのような小型の

記録媒体を取り出し,彼女の前でちらつかせました。



羽音々「そうです。どうしてこんな

ものを貴方が持っているんですか!?

私は貴方のことが好きでした・・・。

なのにどうして・・・。今でも

信じられません・・・!?」



黄金原「そうか,君だったんだね,

これを勝手に俺の机から持ち出したのは・・・。

がっかりだ・・・。君はもっと優秀な

部下だと思っていたのにな。

まさか,最初から俺の正体に気づいていたのか。

今朝の告白は何のつもりだったんだ・・・。

俺を油断させるためか!?」



黄金原は彼女に言い寄りました。



羽音々「あっあれは・・・。本当の自分の気持ちです。」



そして,彼女は部屋を飛び出したのでした。



羽音々「なんとなくこの山まで逃げてきましたが,

結局この場所で追いつかれてしまいました。」



まさらちゃんは彼女が弱々しく

話す姿を見ていられませんでした。



「そして,あんたは彼女にこう言ったんじゃないのか?

俺のことが好きならすべての罪をかぶってくれって。」


「最低なヤローだな。」



すでに全員が,黄金原氏が闇の騎士

であると確信を持っていました。



桃瀬「残念よ・・・。あなたは優秀な仲間だと思っていた。」

青山「しかし,まさに道化のように裏では

闇組織に俺たちの情報を流していたわけか。」



二人の幹部も裏切られてしまった気持ちを

今にもぶつけたい衝動に駆られていました。



黄金原「くははははっ!?」



急に彼が笑い出しました。



黄金原「後ちょっとだったのになー・・・。」



全員が身構えました。



黄金原「そうだよ。闇の騎士(ダークナイト)は僕です。」





リク君は背中の捕虫網に手をかけました。



黄金原「しかし,まさかこんな子供に見破られることになるとは。

組織の幹部の人たちが"油断するな"といっていた理由がわかったよ。」



彼が一歩前に出ました。



黄金原「そして,君には本当にがっかり

させられた。残念な部下だったよ。」



次の瞬間,彼は隠し持っていた大きなナイフ,

ダガーで音羽々氏の背中を一突きしました。



音羽々「がはっ・・・!?」



ナイフを引き抜くと背中から大量の

血が飛び散り,彼女はそのまま倒れこみました。



「きゃぁぁぁぁ!?」

まさらちゃんはショックで意識を失いそうになりました。

倒れそうになる彼女をレオンさんが支えました。



「なっ・・・。なんてことを・・・。」

黄金原「朝は笑いをこらえるのに必死だったよ。

急に俺のことが好きだって言ってくるんだからさ。

何を考えているんだかねぇ・・・。でも,それを

利用できないかずっと考えていた。うまくいくと思ったんだが,

土壇場ですべてを台無しにしてくれた。死んで償うんだね。」



赤神「貴様!?なんてことをしてくれたんだ!?」



彼の残虐な振る舞いにリク君が・・・。



第296話 激高のファーヴル

 菊の華シリーズ 最終章
黄金原氏は隠し持っていたナイフで

羽音々氏の背中を一突きしました。



青山「今,救急車を呼んだ。山のふもとまで運ぶ。」



青山氏と百瀬氏はそれぞれ自分の部下に

指示を出して慎重に羽音々氏を運ばせました。



黄金原「無駄だよ!どうせすぐに死ぬ!」



「死ぬのはお前だ。」



気づくとリク君が黄金原氏の間合いに入っていました。



―大地一刀流 奥義 愛・地球博―





強烈な居合の一撃が黄金原氏を襲います。



ズバァァァァン!!!!!



黄金原「ゴボァァァァ!!!???」



打ちのめされた彼の体が上空に舞った時,



―大地一刀流 墜なる一撃(ファイナルショット)―





大きく振りかぶった捕虫網を上から思いっきり叩き込みます。



黄金原「ゲボァァァァ!!!???」



その一撃は脳天を直撃し,そのまま

地面にたたきつけられました。



彼は胃の内容物を全て吐きだし,転げ回り,

苦しみ,のたうちまわっています。



それは時間にしてわずか5秒足らずのことでした。



そこにいたレオンさん以外の菊の幹部は

今起きたことが一瞬わかっていませんでした。



赤神「何が起きた・・・?」



赤神さんもリク君の実力を

その目で見るのは初めてでした。



黄金原「あ・・・うっ・・・。」



よろめいて立ち上がる黄金原・・・。



―大地一刀流 神速の打突―





超速で伸びる捕虫網の先が黄金原を襲います。



彼の眉間にまるで一流スナイパーが放つ銃弾が

命中したかのような衝撃が走りました。



黄金原「グハッ・・・。」



再び彼はその場に倒れこみます。



黄金原はやっとの思いで立ち上がり,

持っていたダガーナイフを振りかざします。



「そのナイフでお前は・・・。」



リク君が力強く捕虫網を握りしめます。



「自分のことを大切に想って

くれている人を刺したのかっ!!」




黄金原のナイフがリク君の胸に届く

より先に,捕虫網が突き刺さります。



彼は強烈な勢いで背後の木まで

吹き飛んでいきました。



黄金原「あ・・・ううっ・・・。」



すでに黄金原は虫の息でした。



赤神「圧倒的だ・・・。」



と感想を漏らすと,



青山「俺は夢でも見ているのか・・・。」

桃瀬「黄金原は弱くない。それは私たちが

一番よく知っている・・・。

でも今起きていることは何・・・?」



仁王立ちで立ちつくす少年とすでに半死の状態の男が

必死にその場から逃げ出そうとしていました。



黄金原「無理だ・・・。こんな話は・・・聞いて・・・

いないぞ・・・。なんだ・・・あのガキは・・・。」



「平成のファーヴルだよ。時に俺は修羅にさえ・・・なる。」



地面にはいつく張りながら,逃げようとする

彼の背後から強烈な一撃をお見舞いしました。



―大地一刀流 闇の夜月(ムーンライトナイト)―



ボキボキボキ・・・・!!



どうやら背中のあらゆる骨が折れたようです。



リク君の戦闘能力は菊のスパイをも

圧倒するレベルだったのです。



第297話~第300話

2019/11/18

第297話 踏みにじられた想い

 菊の華シリーズ 最終章
黄金原は背骨を折られても,

まだしぶとく立ち上がりました。



黄金原「はぁはぁ・・・。何なんだ貴様は・・・。

貴様がそんなに激高する理由は・・・なんだ・・・。」



「・・・。」



リク君は捕虫網の切っ先を彼の目の前に差し出しました。



黄金原「まさか,あの女を殺したことで

怒りが頂点に達したのか!?くはははっ!?」



「まだ死んでないよ!

今,病院に向かっているんだから!」




まさらちゃんが叫びました。



黄金原「あの女はもうダメだろ。急所を刺したはずだからな。

しかし,ホントに最初から最後まで

やっかいな女だったな・・・。はぁはぁ・・・。」



苦しそうにそう息まきます。



「何が言いたい。」



黄金原「あいつが俺に好意を抱いていたことは知っていたんだよ。

だからそれをいつか利用してやろうとじっと待っていた。

一度はうまくいったと思ったんだがな・・・。」



黄金原はもうひん死でした。



「その傷ではもう戦うのは無理だろう。

おとなしく捕まり,闇組織JFの内情についてしゃべってもらうぞ。」




黄金原「お断りだな。俺が菊の幹部として就任してから1年・・・。

はぁはぁ・・・。その間に相当の情報を組織に送っているんだ。

まもなく"菊幹部暗殺計画"は実行に移される。覚悟して・・・おくんだな。」



彼は渾身の力を込め,隠し持っていたもう1本の

ナイフをレオンさんに向かって投げつけました。



「!?」



しかし,そのナイフはリク君の

捕虫網によって弾かれました。



「しゃべりすぎだ!」



-大空一刀流 青の衝撃(ディープインパクト)-



捕虫網を巧みに使いこなし,一瞬で上空10mほどの

高さへ舞い上がり,そこから強烈な連撃を加えました。



黄金原「ぐほっ!?」



立っているのがやっとだった彼に避けられる

はずもなく,まともに全撃をくらって倒れこみました。





リク君がさらにとどめを刺そうと捕虫網を振り上げました。



「このクズ野郎・・・!!」



振り下ろした手が止まりました。



正確にはレオンさんがリク君の

腕をつかみ,制止していたのです。



「もうそこまでにしておこう。

これ以上やったら本当に死んでしまう。」


「ああ・・・。すまない・・・。」



リク君はその一言で正気を取り戻しました。



「うう・・・。」



まさらちゃんはずっと泣いていました。



「こいつはどうするんだ?」

「もちろん闇組織の幹部クラスだからね。

逮捕して色々と聞き出すつもりさ。」




赤神氏もうなずき,



赤神「そうだな。羽音々の容体も気になる。

ただちに下山しよう。」



その時,桃瀬氏が何かに気づいたようです。



桃瀬「気を付けて!私たち以外に誰かいる!」



次の瞬間,



パシュッ!パッシュ!



という音が聞こえました。



黄金原「ぐはっ・・・!?」



「なんですか,今のは!?

周りが暗くてよくわかりません!」




すでに日は落ちて,辺りは暗く,

視界がよくありませんでした。



「今のって狙撃の音だよね!?」



青山「なっ・・・。おい,黄金原が・・・。」



全員が先ほどまで意識を失って横たわっていた

黄金原を見ると,頭から血を流して死んでいました。



赤神「ばかな!?一体,何がどうなっている!?」

桃瀬「狙撃よ,彼は狙撃されて死んだ・・・。」



全員があたりを警戒し,次の狙撃に備えました。



しかし,狙撃は明らかに

黄金原氏を狙ったものでした。



赤神「緊急事態だ。すぐに県警の応援を呼ぶぞ。俺はここに残る。

お前たちは子供を連れてすぐに下山するんだ。

羽音々の容態についても後で知らせてくれ。」



「わかりました。」



各務原山にはただちに現地の警察が到着し,

赤神氏がその場に残り,現場検証に参加しました。



少年昆虫団と残りの菊の幹部たちは簡単な事情聴取をすませ,

羽音々さんが運ばれた各務原山病院へ向かいました。



手術室の前に少年昆虫団とレオンさん,桃瀬さん,青山さんが

手術中の赤いランプが消えるのをじっと待っていました。



彼女を運んだ部下の二人は,現場に駆り出されたようです。



そして,手術が終わったようです。



第298話 エピローグ

 菊の華シリーズ 最終章
手術室から一人の外科医が出てきました。



彼はこの病院の外科部長の北坂という,30代後半の長身の男性でした。





<各務原記念病院 外科部長 北坂(37)>



北坂「手術は終わりました。とりあえず一命はとりとめましたが,

予断を許さない状況なのでICUで様子を見ることになります。」



その言葉を聞いて全員が安堵しました。



「よかった,よかったよぉぉ・・・。」



抑えきれない感情が涙となって出てきました。



北坂氏は患者の移動させるためその場を離れました。



のちに判明することですが,彼の技術は相当な腕で

他県からも執刀依頼が来るほどの神の手を持つ名医でした。



外科医でありながら全身をくまなく診ることの

できる全身科医(ジェネラリスト)でもありました。



リク君はレオンさんに話しかけました。



「ねぇ,黄金原を殺したのって闇組織JFの暗殺者だよね?」

「ああ,おそらくそうだろう。桃瀬さんがこの前教えてくれた,

優秀なスナイパーがかかわっている可能性が高い。」




二人は桃瀬さんのほうを見ました。



桃瀬「この後,私も現場検証に参加するつもり

だけど,間違いなくキラーの仕業だと思うわ。」



青山「リク君といったね,君はすごいな。大人顔負けの

推理力と,戦闘能力。もはや普通の子供ではあるまい。」



青山さんはリク君をべた褒めしました。



「リク君は青山さんに褒められていいですねぇ・・・。

だぬは一瞬でも青山さんが闇の騎士じゃないか疑ってしまって

申し訳ない気持ちでいっぱいですよ。」




青山「俺が?何か怪しい行動でもとったか?」



青山さんが聞きました。



「この前楽屋にお邪魔したときに,

電話で“グレイがどう・・・”とか言っていたじゃないですか。

グレイってJFの幹部ですよね。」


「確かにその発言は気になるな。

トシも聞いていたんだろ。」




トシ君は,



「う~ん,そんなようなことを

言っていた気もするけどよく聞き取れなかった。」




青山「ああ,あれは,マネから電話がかかってきて何か

買ってきて欲しいものがあるか聞かれたから,

アールグレイが飲みたいと頼んでいただけだぞ。」



全員が一瞬固まりました。



「アールグレイって紅茶の?」

「だははははっ!?こりゃ面白い!

グレイはグレイでもアールグレイかよ!

まったく,人の会話はよく聞けよな!」




イツキ君に馬鹿にされ,



「仕方ないじゃないですか!

誰にでも聞き間違いはありますよ!」




リク君は少し浮かない顔をしています。



「どうしたんだい?」

「いや,黄金原が死んでしまったから

菊の幹部暗殺計画はどうなったんだろう。そもそも黄金原を

除いた4人の誰を狙うつもりだったんだろう。」




リク君の推理に桃瀬氏が,



桃瀬「確かに気になる・・・。もしかしたら作戦は

継続中なのかも。私たちも警戒を続けたほうがいいわね。」



こうして,黄金原が闇の騎士だと判明し,一つの疑問は

解決しましたが,まだ残されている謎も多くあります。



少年昆虫団は病院で一夜を明かし,長い夜が終わりました。



―少し遡り,キラーによる黄金原暗殺が終わった時間―



場所は,闇組織JFの本部であるツインタワー"バベル"。



その一室に,組織の幹部であるアヤと源田,

山本がテーブルをはさんで座ってしました。



アヤ「アタシの可愛い可愛い闇の騎士(ダークナイト)。

死んでしまうなんて可哀そうに。」



山本「よく言うぜ。そいつに仕込んでおいた盗聴器の内容を聞いて,

組織の全貌がバレる前にキラーに射殺命令を出したのはお前じゃねぇか。」







何やらきな臭い会話が漂ってきます。



源田「仕方あるまい。今回は平成のファーヴルと

菊の幹部どもが上手(うわて)だったということだ。」



山本「何も困ることはない。作戦は継続中だ。

多少変更した後,奴を刈り取る。」



彼は持っていた写真をテーブルに置きました。

その写真に写っていたのは・・・。



今は亡き小早川教授と一緒に

写っていたレオンさんでした。



彼らの作戦が今後どのように

実行されることになるのでしょうか。



  菊の華シリーズ 完



第299話 連載6周年&300回突破直前記念
編集:いよいよリクの少年昆虫記が掲載されてから6年がたちます。

今回は、作者のおりぃ氏に昆虫記にまつわる様々な質問に

Q&A方式で答えてもらうことにしました。



おりぃ:色々と物語を深く読む上で重要なことについても答えましたよ!

編集:質問は全部で15問!それではさっそく質問にうつりましょう!



Q1 リク君の生年月日は?

A 5月26日



Q2 リク君の好きな食べ物は?

  A ソバとラーメン



Q3 リク君の捕虫網はどんな仕組みになっているの?

A いずれ本編で明らかになります



Q4 リク君の技はどれくらいあるの?

Q5 リク君の技には系統みたいな区別があるんですか?

A 技についての質問が二つ来たのでまとめて答えます

 技の数はまだ登場していないものも結構あります。

技の系統は大地の一刀と二刀,

大空の一刀と二刀を使っていますが

実はもう一つ系統がありますがいずれ本編にて



Q6 リク君の通っている小学校について教えてください

A 彼らの通う小学校は地域一の悪といわれるほど荒れている学校で

君臨する三大悪童が中野木一帯を牛耳っています。

児童数は各学年約100人ほどでカリスマ児童会長と

執行部たちが校内の自治を担っています



Q7 トシ君の身長はどれくらいあるんですか?かなりでかく見えます

あと,ほかのメンバーの身長も知りたい

A 今までどこにも書いていませんでしたね。

 リク:150㎝ イツキ:165㎝ だぬ:155㎝ まさら:145㎝

 トシ:170㎝ レオン:185㎝ ワク:135㎝ カイリ:125㎝



こんな感じですかね。昆虫記の世界は栄養状態がよく,

この年齢でもみんなかなり大きいよ。



ちなみにこっちの世界のこの年齢の平均身長は130㎝・・・。

昆虫記の世界の子供はでかすぎか・・・。

ただし上限はこっちの世界とさほど変わりません



Q8 少年昆虫団の名字を教えてください

A 今はまだ内緒です。でも実はちょっとした

裏設定があるのですが,それはまた本編にて



Q9 まさらちゃんには好きな人がいますか

A たぶんいません



Q10 だぬちゃんはどうしていつも敬語ではなすの?

A きっと親が丁寧な言葉遣いなんでしょう(適当)



Q11 少年昆虫団はどうやって結成されたのですか?

A これはいずれ本編で必ず出ます



Q12 闇の組織JFはいつごろ結成したのですか?

A これも本編で必ず出ます



Q13 闇の組織で一番強いキャラは誰ですか?

A 単純な戦闘能力ではやはり山本と東條でしょうね。

ただ,彼らに匹敵する強さを持つ

人物達もまだまだでてきます。

また,御前の実力は現段階では

未知数としておきます



Q14 あと何年くらい続きますか?

A わかりません。何もなければ来年も続いていると思う



Q15 新キャラはまだまだでますか?

A まだまだ出ます。

イカレキャラもまた出ます 



編集:それでは次週はいよいよ連載6周年

&300回突破記念をお届けします。



第300話 連載6周年&300回突破記念
編集:ついに記念すべき300回ということで,作者のO氏と唯一のファンであるD氏に

今までを振り返りながら今後の展望について語り合っていただきましょう。



O氏(以下O):またまたよろしく。

D氏(以下D):ちょっと聞きたいんですけど,

この対談って需要あるんですか?



O:あ~,たぶんないね。だって作者の自己満足だもんw



編集:いえいえ,そんなことはありませんよ。



D:そもそもこの企画はいつから始めたんですか?

O:確か100話突破記念で,わくのワクワク冒険を

やってワクとカイリが初登場。その後はスピンオフとして大活躍のワク君。



D:ああ・・・。正直,自分はあのシリーズ

つまらないと思います。早く終わったほうがいいですよ。

O:でも賢い人たちには頭脳系のデスゲームモノ

は人気があるからなぁ。賢い人には!

D:なるほど!っていやいや・・・。



編集:今までの対談や質問コーナーを通して当時は

まだ明らかになっていなかった伏線などについて振り返ってみましょうか。



D:いいですね~。



編集:157話で掲載3周年特別企画として

初めてD氏に登場してもらっています。



O:そうだったね。当時は影(シャドー)が出てくる話

ばかりだったから山本の登場が見たいといっていたよね。

D:そうでした。最近はまた出てきましたね。

逆に影(シャドー)を見なくなりました。



O:どちらも重要キャラなのでこれからも

ドンドン出るから大丈夫。



編集:D氏はかなり伏線を読むのが得意だと言っていましたね。

赤神さんのことも重要キャラだと見抜いていました。



D:やはり予想的中でしたよね。

だって彼は菊のリーダーだったわけですから。



O:桃瀬さんのことも暗殺者だと予想していましたね。

結局は菊の腕利きスナイパーだった

わけだから半分当たっているよ。



編集:203話では4周年特別企画を行いました。

ここではそれぞれのキャラを深く考察し,

物語の振り返りを行いました。

そして昨年は250話で5周年特別企画として

D氏からの質問にお答えする企画を行いました。



D:ありましたね。自分はそんな質問を

した記憶があまりないんですが・・・。



O:ゴホゴホッ・・・!細かいことは気にしない!



編集:D氏はズバリ,闇の騎士は黄金原氏が怪しいと

ここで断言していましたね。ものすごい推理力です。



D:いやぁそれほどでも!



編集:最後にお聞きします。D氏の予想では今後,

どのような展開になると予想されますか?



D:やはり,山本とリク君の対決があるんじゃないですかね?

後は,イカレキャラが出てくるか心配しています。

O:安心してください。でますよ。



編集:それではまた次の機会に!本日はありがとうございました。



O:まだまだ物語は続きます。とりあえず,

年明けにあの冒険記が始まります。

D氏には不評ですが,一部ファンのためが

楽しめるような内容にしていきたいと思います。お楽しみに!



D:いやぁ,あれはつまらないですよ,マジで・・・ブツブツ・・・。

早く終わらせた方がいいですよ・・・ブツブツ・・・。



第301話~第304話

2019/12/24

第301話 真夏のサンタクロース5
前回のお話はこちらから



湖から這い上がってきた青年はあの三田クリスでした。



しかし,彼の顔にはすでに生気はなく

この世の者ではありませんでした。



彼は大きく叫びました。



クリス「ぐおおおおおっ!!」



湖の近くにはキャンプファイヤーを行った跡がありました。



そこには薪を作るために使った鉈(なた)が

置きっぱなしになっていました。





彼はそれを拾うと一歩ずつゆっくりと彼らが

眠っているキャンプ場へ向かっていきました。



そして恐れていたことが現実となります。



まずは一番手前に立っていたコテージの入り口を

鉈で壊し,中で寝ていた男女4人を殺害しました。



一人の男性は異変に気付いて逃げようとしましたが,

あえなく首をちょん切られてしまいました。



次に,奥のコテージで寝ていた男女

6人を同じように殺害していきます。



抵抗を試みた男性も手首を切り落とされ,

わめいていたところを刺され死亡。



必死に命乞いをする女性を切り刻んで惨殺。



こうしてクリスと同じサークルだった

連中は全て皆殺しにされてしまいました。



翌日,近くを散歩している人が異変に気付き,

キャンプ場を覗くとあまりの凄惨な

状況に倒れこんでしまいました。



すぐに警察が駆け付け行方不明になった

三田クリスに緊急配備を敷き,捜索を

続けましたがついに見つけることはできませんでした。



この愛知県東部キャンプ場連続殺人事件から30年・・・。



この恐怖の連続殺人が再び幕開けとなる・・・。



舞台は,中野木町。



先ほどの事件を調べてきたのはだぬちゃんでした。



「やはり,ランニング中に殺された男性は

その三田クリスっていうやつが犯人ですよ!」


「しかしなぁ,もう30年も前のことなんだろ。

当時20歳だとしてももう50歳。

そんな猟奇殺人をやるだけの気力があるのかね。」




昨日,殺害された現場近くの公園で

イツキ君とだぬちゃんが会話をしていました。



先ほど,彼らは真夏のサンタと思われる人物に襲われたばかりでした。(第216話参照)

そこで,その正体をあれこれと推理することにしていました。



残りの3人は近くのコンビニで飲み物を買いに行っていました。



「いやいや,彼はもうとっくの昔に死んでいるんですよ。

肉体だけがこの世に残り,いじめられた恨みを

晴らすために無差別殺人を繰り返しているんですよ!」


「だぬ~,お前はなんかB級ホラー映画の見すぎだよ。

そんなことは現実にはあり得ない話だ。」




飲み物を買いに行っていた3人が戻ってきました。



時刻はすでに夕方の6時過ぎ。



まだまだ明るい季節ですが,現場周辺は

木々が多く,夕日を遮り暗く感じました。



「まだ昨日殺された人の話をしてたの?

確かまだ犯人は捕まっていないらしいね。」


「怖い・・・。」



まさらちゃんは少し震えていました。



「たしかだぬちゃんの推理ではすでに死んだ

はずの人が事件を起こしているんだっけ。」


「その通りですよ。犯人はその三田クリス。

巷では真夏のサンタクロースと呼ばれています。

なぜそう呼ばれているかは不明ですが・・・。」




だぬちゃんがドヤ顔でトシ君をみました。



「そんな奴が本当にいるなら一度,お目に

かかりたいもんだぜ。来たらぶっ飛ばしてやるけどな。」




イツキ君がシャドーボクシングをして見せました。



「イツキ君,それ死亡フラグが

起つセリフですよ!やばいですって!」




彼らの近くにある公園の茂みがガサッと動きました。

忍び寄る影・・・。その正体は・・・。



第302話 バトルヤバイヤロ3限目 9

ワクのわくわく冒険記シリーズ

*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。
牢屋につかまってしまった真木さんを

助けるためにワク君とトシ君,

新しくグループに合流した中学生の雄太の

3人が牢屋に向かって走り出しました。



それに気づいた牢屋を守る2体の鬼が

ものすごい速さで突っ込んできました。



トシ君は腰を下ろし重心を下げました。

そして,相撲取りのような構えを取りました。



「どっからでもこぉい!!」



1体の鬼がトシ君にぶつかりました。

しかし,トシ君はひるむことなく鬼を押し返します。



「うぉぉぉぉぉ!!!」



雄太「俺も手伝います!!」



雄太もトシ君の体を支え,鬼の力に対抗します。

残ったもう1匹の鬼がワク君に近づいてきました。



「悪いが,時間がないんだ。消えてくれ!」



ワク君はサッカーボールを地面に

置くと黄金の左足でシュートしました。



その軌道は弧を描きながら鬼の顔面に直撃しました。



ボッコォオン!!!



鬼はその場に倒れこみました。



鬼「グゥギギ・・・・・。」



「よし,あとは牢屋の前の1体だけだ。」



ワク君はサッカーボールを回収すると

牢屋めがけて走り出しました。



そして,ボールを空中に

高く放ち,自らも飛び上がりました。



「これでもくらえ!!」



見事なオーバーヘッドシュートが鬼にさく裂しました。



先ほどの鬼と同じくその場に倒れこみました。



真木「ワク君・・・。なんでこんな

危険なことをするんだ・・・!?」



「真木さんを助けるために決まっているでしょ。

今カギをあけるから・・・。」




ガチャン・・・。



先ほど拾ったカギを牢屋の鍵穴に

入れると,檻は簡単に開きました。



中から真木さんと雄太君のグループの仲間が出てきました。

出てきたのは雄太君と同じ中学生の女の子でした。



雄太「アンリ!!」



「ぐぬぬぬ!!ワク君,早く

こっちの鬼もなんとかして~!!」




ワク君はさらにもう1発,サッカーボールを蹴り放ちました。



ドッコ~ン!!



ワク君のシュート精度は優秀で

確実に鬼の急所に当ててきました。



アンリ「雄太!!」





<アンリ>



アンリと名乗る雄太と同年齢の

少女は雄太に抱きつきました。



サエ「アンリおねえちゃん!

よかった,無事だった!!」



サエとメエも嬉しそうにしています。



「あの,雄太っていう人,すごいな・・・。

何か別次元の力を感じたぞ・・・。」




黒山「よかった,君が捕まった時は

どうなるかと思ったが,無事で何より。」



その時,放送が入りました。



放送「みなさん~,お知らせがあります~。

なんと,牢屋から脱獄に成功した生徒が2名います!

おめでとうございます!ご褒美として鬼の数を

脱獄した人数分だけ増やしてあげま~す!!」



全員の表情が固まりました。



「なんだそれ!?そんなルール聞いてないぞ!!」



放送「とにかく,今から1分後に鬼が2体増えます!

さらに通常ルールとして時間経過でも鬼が増えるので注意してね!」



せっかく真木さんを助けることが

できてもさらなる試練が待っているようでした。



第303話 バトルヤバイヤロ3限目 10

ワクのわくわく冒険記シリーズ

*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。
ワク君が先ほど倒した鬼は意識を

取り戻したらしく起き上がってきました。



その様子を確認した瞬間,

みんなは急いで牢屋から離れました。



「なんで,あいつら死んでないの!?」

「多分,鬼の中でもかなり強い部類なんだろう。

牢屋を守る鬼だから当然といえば当然か。」




走りながら会話を続けました。



雄太「ひょっとして鬼の頭に生えている

角の数に関係しているのかも・・・。」

サエ「ゆう兄,どういうこと?」



サエちゃんは足が遅いため,

雄太君におんぶされて逃走しています。



ちなみにメイちゃんは黒山氏が背負っていました。



メイ「はぁ・・・。あたしもあっちがよかったなぁ・・・。」

黒山「人に背負わせておいて

そりゃないでしょ・・・。メイちゃん・・・。」



黒山氏はちょっとへこんでいました。



雄太「真木さんやアンリを襲った鬼には2本の角が生えていた。

そしてワク君のボールでやっつけることができた。

でも牢屋の前にいた鬼には角が3本生えていた。

こちらは倒してもすぐに起き上がってきたんだ。」



「なるほど,同じ強さで蹴ったボールを食らっても

角の数が多い鬼は生き残っているわけか・・・。」




話をつづけながら逃亡をしているうちに,

牢屋からかなり離れた巨大な

アスレチックワールド付近までやってきていました。



宮川「はぁはぁ・・・。ここまでくればさすがに

牢屋の鬼も襲ってこないと思いますが・・・。」



普段は知りなれていないのか息が上がっていました。



すると,向こうから人影が近づいてきました。

運動場の砂が風によって巻き上げられ,よく見えませんでした。



「だれか来る・・・。それも複数いるみたい・・・。」



全員が警戒していると,砂煙の中から

現れたのは見覚えのある人物でした。



「あんたは,確か・・・梶田・・・。」



梶田「これは,これはワク君じゃないか。それに親友のトシ君も。

あとは,最初の教室で僕と同じだった人も

いれば知らない人も一緒にいるみたいだね。」





<梶田>



梶田のグループは全部で4人いました。

途中で何人か捕まってしまったようです。



「この人って確か・・・。」

「ああ,同級生を見殺しにしたサイテー野郎なんだ。」



梶田の後ろに立っていた人物が

ワク君に手を出そうとしました。



梶田「まぁ,待ちたまえ。」



梶田氏はワク君に近づいてきました。



梶田「ところで,君たちはこれからどこへ向かうんだい?」



「そんなこと,俺たちの勝手だろう。」



ワク君は梶田氏を睨みつけました。



梶田「おやおや,どうやら相当恨まれているらしい。

それはともかく,君も興味がないかな?」



「あ?何をだよ。」



後ろで優香さんがそのやりとりを

心配そうに見つめていました。



梶田「この世界の謎について,だよ。

僕はそれを解き明かそうと思っている。」



「この世界の・・・謎・・・だと・・・?」



ワク君はその言葉に反応しました。

果たして梶田氏の言っている意味の真意とは・・・。



第304話 バトルヤバイヤロ3限目 11

ワクのわくわく冒険記シリーズ

*本作は登場人物が多岐にわたるためイラストは基本的に白黒ラフにします。
さかのぼることゲーム開始直後の出来事・・・。



場面はOLで元レディースの風花は

ワク君たちと合流できず一人でいました。



行く当てもなかったので,とりあえず

ビオトープがある場所へ向かってみることにしました。



するとすぐ目の前にあの郷田が歩いていました。



郷田は後ろに風花が歩いてついてきていることに

気づきましたが特に声をかけることはしませんでした。



風花「あんたもビオトープへ向かうつもりか。」



風花がそう切り出すと,



郷田「ああ。」





<郷田>

と,そっけない返事をしました。



風花「はっきり言ってアタシは

あんたのことが気に入らない。」



郷田は聞く耳を持たず,そのまま歩き続けました。



風花「できたら,ちがう場所へ逃げてくれないか?

行く先が同じなんて反吐がでるよ。」



郷田「俺は俺の行きたいところへ行く。

貴様はあのワクってガキと一緒に逃げればいいだろう。」



ようやく郷田が立ち止まり,振り返ってそういいました。



風花「そうしたいところだったんだけど,はぐれちまったんだよ。」



郷田は再び歩き始めました。



すると突然,風花は何者かに後ろから

口と手を押さえつけられました。



風花「なっ!?」



後ろには二人の若者がいました。



若者1「おい,そこのお前。」



若者の一人が郷田に向かって声をかけました。

郷田が振り向くと,



若者2「この女はあんたの彼女か?

悪いが借りていくぜ。」

風花「何をふざけたことを言ってやがる!」



と,声に出そうとしましたが,

口を押さえられてうまくしゃべれません。



そこで風花は,



風花「おりゃあ!!」



相手の手を取ると見事な一本背負いを決めました。



若者1「ぐわっ・・・!?」



油断した若者はその場に倒れこみました。



若者2「女にやられているんじゃねぇよ!?

これからこいつを使って鬼の身代わりに使うつもりだったのによ。」



それを聞いて風花はさらに激怒しました。



風花「元レディース総長のアタシをなめるなよ!」



風花が回し蹴りを放つと

若者はかろうじてそれをかわしました。



若者2「ふざけやがって!もう勘弁ならねぇ!」



その若者がポケットから折り畳み式の

ナイフを取り出してちらつかせました。



風花「卑怯な男,このクソ野郎!」



その言葉に若者が抑えきれない感情を

ぶつけ,ナイフを彼女に突き立てようとしました。



それを横で見ていた郷田が

若者の腕をつかんで押さえました。



若者2「イテテテ・・・!?」



郷田はつかんだ腕にさらに力をこめます。



若者が反対側の手で郷田に殴りかかろうと

しましたが,返り討ちにあいました。



若者2「ぐふ・・・。」

風花「・・・。助けてくれたのか・・・。ありがとう。」



さすがの風花も自分が刺されそうになり,

少しだけ動揺していました。



郷田「俺はこのままビオトープへいく。

この空間を徹底的に調べ,このふざけた世界の謎を解く。」



風花はやっとの思いで立ち上がりました。



風花「待ってよ。アタシも行くよ。

アンタに借りを作ったままじゃかっこ悪いからね。」

郷田「・・・。」



こうして二人は開始まで残りわずかな

時間でビオトープへ向かいました。







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