リクの少年昆虫記-過去のお話-

過去の掲載順へ

TOPページへ

目次


第369話~第372話

2021/6/13

第369話 灰色の行方

冥界の悪魔シリーズ 最終章
とりあえずこの場所に長居することは避けたかったので

多くの学生が戯れることができる多目的ホールへ移動しました。







ちなみにこの後,灰庭さんから大学に事情をうまく

誤魔化しながら話し,教室を復元してもらったようです。



落ち着いて話せる教室に移動し,先ほどの

話を続けることができました。



リク君は多少けがをしていたので,救護室で借りてきた

傷治しセットでまさらちゃんに手当をしてもらいました。



「話を聞いて,戦いのときに感じていた違和感がわかったよ。

灰庭さんには殺気が全然感じられなかったんだ。

昨日,組織の南雲と戦った時とは大違いだった。」



灰庭「なるほど。それも気づかれるきっかけになっていたわけだね。

まさかレオンの仲間を傷つける訳にはいかなかったからね。」



まさらちゃんは灰庭さんに

抱きついて離れませんでした。



「良かったよぉ・・・。灰庭さんが悪い人

じゃなくてホントに良かったぁぁぁ・・・。」



また泣きだしてしまいました。



灰庭「ごめんよ,まさらちゃん。でも敵を騙す

には味方からっていうからね。」



「確かに,昨日の襲撃の前にあんたの

正体を知っていたら,組織にばれていたかもしれないな。」



イツキ君の言葉には重みがありました。



「だから昨日の襲撃の際,途中でいなくなったんですね。」



灰庭「両方から疑われないためには

そうするしかなかったからさ。」



だぬちゃんは自分の予想が当たった

ので少し嬉しかったようです。



「待てよ,それなら暗殺計画を事前にしっかりと

伝えてくれればあんな目に会うことはなかっただろ。」



イツキ君の意見は最もでした。



しかし,彼にはそれができなかったのです。

万が一,自分がスパイだとばれてしまっては

今までの苦労が水泡に帰すのです。



それはレオンさんも重々承知だった

のであえて,詳細は伝えていなかったのです。



「でも,僕たちが必ず助かるように

色々と手回ししてくれていたんだよね。」



リク君はすでに気づいていたようです。



灰庭さんが事前に暗殺計画の場所となるキャンプ場へ出向き,

レオンさんが金網に穴をあける道具を近くに置いてくれていました。



また,襲撃の直前に声をかけすぐに逃げられるようにしたり,

レンタカーを用意して山から下りられるようにしてくれていたのです。(前章参照)



灰庭「さすがだよ。最初に出会ってから結構

たつけど,君にはいつも驚かされているよ。」



「灰庭さんがレオンさんと顔見知り

だって知って,気付いたことがもう一つあるよ。」



みんなはリク君に注目しました。



「気になるね。どんなこと?」

「最初にレオンさんをキングに連れてきた時のことだよ。

レオンさんは新人バイトが入ったことを指摘していたよね。」



みんなは何となくその時のことを思い出しました。



「沢山お客さんがいる中で,それを指摘できる理由は

最初から知っていたってことだよね。」(104話参照)



リク君の指摘を聞き,皆は

「あっ」となりました。



「そんな6年も前のこと良く覚えていますね~!」

「いやいや,つい数週間前のことだろ!」



だぬちゃんは少し時間感覚が

おかしくなっているようです。



「あの時は少し違和感があるなって程度だったんだけど

レオンさんは灰庭さんがキングに潜り込むことを知っていたんだ。」



「うん。様子を見に行きたかったんだけど,一人よりは

みんなと一緒がいいかなと思って連れて行ってもらったんだ。」



レオンさんと灰庭さんが知り合いだと言うことで

色々なことが明らかになってきました。



「そう言えば,灰庭さんって確か30歳だよね。レオンさんも

それくらいだった気がした。もしかして同級生?」(156話参照)



そんなことにもヒントが隠されていたのでした。



リク君たちは灰庭さんから“冥界の悪魔(キラー)”

のことについて聞き出すことにしました。



第370話 冥界への答え

冥界の悪魔シリーズ 最終章
リク君たちは灰庭さんから"冥界の悪魔(キラー)"の

ことについて聞き出すことにしました。



「灰庭さんはキラーのことについて何か知って

いるんでしょ。レオンさんの後を付け回していることも。」



灰庭「レオンにも伝えてあるんだが,

その人物についてはよくわからないんだ。」



リク君たちの期待は空振りに終わってしまいました。



「そうなんだ。でも同じ

組織にいる人物なんでしょ!?」



灰庭「ああ,それはそうなんだが,謎の多い人物で僕も直接会ったことはない。

昨日だって,君たちと別れた後は,組織の計画に乗るふりをしながら,

君たちが逃げられるように手まわしをしていてキラーには会っていないんだよ。」



灰庭さんが嘘をついている

ようには見えませんでした。



灰庭「ただ,仏の今村が言うには組織でも暗殺,

特に狙撃の腕はナンバーワンだと言っていた。」



「レオンさんって最近誰かにつけ狙われて

いるみたいなの。やっぱり冥界の悪魔なんだよね?」



まさらちゃんが少し必死になって聞くと,



灰庭「冥界の悪魔が探りを入れているとは

聞いている。それ以上は本当にわからないんだ。」



灰庭さんは少し申し訳なさそうに語りました。



「オイラも十分警戒すること

にする。小東は引き続き,組織を頼む。」



灰庭氏は静かに頷きました。



「せっかく,灰庭さんの本当の正体が

わかったことですし,この後はみんなで食べに行きますか!」



灰庭「いや,それは止めておこう。組織に疑われたらまずい。

組織内では僕は君たちのことを探っているという立場なんだ。」



灰庭さんは慎重な姿勢を崩しませんでした。



「なぁ,アイツについては何か知っているか?」



アイツとは影(シャドー)のことを指していました。



グレイと影(シャドー)は共に仏の

今村の部下に所属しています。



灰庭「アイツと僕は元々,ユニット“沼蛭”の山口という人物の部下だった。レオンから

聞いているみたいだが,彼が自殺したことで,沼蛭はリーダー不在の状態が続いた。」



それは先日レオンさんから語られた内容と同じでした。



灰庭「それを見かねた今村が我々をユニット海猫に

組み込んだ。もちろん御前の許可は取ったらしい。」



みんなは話に夢中になっていました。



灰庭「奴もキラーと同じくらい謎の多い人物で,

いつも仮面をかぶっていて素顔は僕も見たことがない。」



さらに話を続けます。



灰庭「ただ,僕は御前にあったことはないんだが,あいつはあるみたいだ。

一応組織内では同期ってことになっているので向こうは何かと僕をライバル視している。」



灰庭さんは知っていることを包み

隠さず全て話してあげました。



「御前・・・。御前ってどんな奴なの!?」



みんなが一番聞きたがっていたことを

リク君が聞いてくれました。



灰庭「さっきも言った通り,自分も一度も謁見したことがない。詳細は一切不明

だけど,組織内では御前こそが全てとなっている。まるで宗教の教祖のようにね。」



「なんてこった・・・。」



イツキ君も驚きを隠せないようです。



その後も少し,今後のことについて話をしました。



こうして灰庭氏とは別れ,大学を後にしました。



何か組織で動きがあった場合は,レオンさんを通して

少年昆虫団にも知らせてもらえることになりました。



「昨日と今日で色々なことがありすぎたな。

しかし,だいぶ闇組織JFに近づいたんじゃないか?」



「どうかな?まだまだ全貌が見えてこない・・・。

それくらいデカイ組織ってことなんだろう。」



皆は大通りを歩きながら帰宅していました。

時刻はすっかり夕方になっていました。



するとレオンさんが立ち止まりました。



「どうしたの?おしっこ?我慢

できないなら電柱でしちゃえば?」


「トシ君じゃあるまいし,大人が

そんなことしたら捕まるんですよ!そんなことも

わからないんですか。バカじゃないですか?」







レオンさんは辺りを見渡します。

どうやら再び,彼をつけ狙う気配を感じたようです。



「みんな,先に歩いて。すぐ先に交差点を左に曲がるんだ。」

「でも・・・。」



まさらちゃんが何か言いかけましたが,



「いいから早く!」



レオンさんに強く言われ,少年昆虫団は

レオンさんを追い越し,先を歩いて行きました。



レオンさんは大きな交差点の

一つ手前の小さな小道に入って行きました。



すると少し離れたところに

黒い影が少しずつ近づいてきました。



その正体とは・・・。



第371話 エピローグ

冥界の悪魔シリーズ 最終章
レオンさんをつけ狙う謎の影が忍び寄ります。



その影がビルとビルの隙間の裏道に入ったところで

レオンさんがグッと腕を伸ばし奥へと引きずり込みました。







「やっと捕まえたぞ!」



レオンさんの腕はその人物の肩を

がっちりとつかんで離しませんでした。



その人物は中年の男性で黒の野球帽を

深くかぶり,サングラスとマスクをしていました。



いかにも怪しいその男は必死に

レオンさんの腕を振り払おうとします。



その時,帽子とサングラスが

外れ,顔がはっきりと見えました。



しかし,レオンさんはその顔に

見覚えはありませんでした。



「とにかく,このまま県警本部まで連れて行く。」

「レオンさーん,大丈夫―?」



道の出口からまさらちゃんの声が聞こえました。



レオンさんが一瞬そちらに気を取られた隙を

利用して怪しい男は一気に逃げ去って行きました。



「キャッ!!」



まさらちゃんはその人物に弾き飛ばされ

転びそうになったところをリク君に助けられました。



「今のが冥界の悪魔・・・か?」



イツキ君はすでに消え去った

先ほどの男について自分の見解を述べました。



「わからない・・・。ただ今まで

オイラの後をつけていた人物はアイツだ。」




結局,あの男の正体は分からないままでした。



この後,彼らは冥界の悪魔の暗殺に万全の警戒を

取りつつ,いつものように昆虫採集へと出かけて行きました。



眠らない町,栄の一角にある組織御用達のバー,“リ・セッ・シュ”。



バーのカウンターに今村,山本,源田の三人が並んで飲んでいました。



すぐ後ろの四人用のテーブル席には,治療を終えた

南雲と,古賀,冥界の悪魔(キラー)が同席していました。



南雲「アヤの姉御は来ていないんですね。」



小声で古賀に話しかけました。



古賀「栄までわざわざ来るのが煩わしいみたいですよ。」



カウンターでは源田がジンを飲みながら,



源田「次の暗殺計画はすでに決まりつつある。」

山本「・・・。」



山本は黙ったまま静かにバーボンを飲んでいました。



南雲「俺に,俺にやらせてください!今度こそ成功させて見せます!」



後ろのテーブルから南雲が会話に割って入ってきました。



山本「貴様は黙っていろっ!!」



山本が睨みつけました。



南雲「すみません・・・。」



彼はそのままうな垂れました。



キラー「まぁ,そう気を落とさずに。」



冥界の悪魔(キラー)が落ち込む南雲を慰めていました。



今村「そう言えば,いよいよ御前会議が始まりますねぇ。

どんな勅命が下るか,楽しみですよ。フォッフォッ。」



御前会議ではどんなことが話し合われるのでしょうか。



源田「おそらく軍医から神の遺伝子の研究についての報告があるだろう。」

今村「でしょうねぇ。再発見された漆黒の金剛石から抽出した

“神の遺伝子”を使った最終実験に成功したみたいですからね。」



今村の言葉に,



山本「本来なら,俺たちの仕事だったはずだ。それをあの野郎が横取りしやがった。」



あの野郎とは川蝉の東條を指していました。



そして,彼らが行っている謎の研究は

すでに最終段階を終えていたようです。



組織の目的とは・・・。



御前の正体とは・・・。



それが明らかになる日が

少しずつ近づいていました。



冥界の悪魔シリーズ ~最終章 完~



第372話 琵琶森の昆虫採集 
まだまだ暑い夏が続く夏休み。



少年昆虫団はレオンさんの車で

少し遠出をして滋賀県に来ていました。



目的の森に到着した時刻はすでに21時を過ぎていました。



その森は滋賀県の琵琶湖から少し離れた場所に位置していて,

良型のカブトムシやスジクワガタやネブトクワガタが採集できるようです。



一行は車を降り「琵琶森」と

呼ばれる深い森へ入って行きました。



先頭はリク君とだぬちゃん,すぐ後ろに

まさらちゃんとトシ君が並んで歩いていました。



最後方にレオンさんとイツキ君という隊列です。



それぞれが懐中電灯を持ち,木々と足元を

照らしながら慎重に歩いて行きます。



20分ほど歩いたところで,道が三方向へ別れていました。



ガイドマップは持っていましたが,初めて来た場所で下見も

していなかったので,一度その場所で休憩がてら足を止めました。



「さて,どちらへ行こう。」



リク君がそれぞれの道を懐中電灯で照らしました。



今のところ,戦果は0でした。



「まっすぐでいいんじゃないですか?山ってわけでも

ないのでこのまままっすぐ進めば出口に出られますよ。」


「いやいや,まだ戦果上げてないのに出たら意味ないでしょ・・・。」



リク君はやすやすと撤退するつもりはないようです。



イツキ君は水筒に入ったミネラルウォーターを飲みながら,



「右がいいんじゃないか?パンフレットに

よると,こっちへ行けばシイタケの原木置場があるらしい。」


「なるほど。カブクワが採集できそうだね。」



シイタケの原木積み置場の下には

カブトムシの幼虫がいることがあります。



「じゃあ,右に行ってみようよ。左とか

中央の道はまた今度来た時に行こっ!」


「え,こんなところ,またいくつもり・・・!?」



トシ君はまさらちゃんの発言に恐怖を

覚え,あやうく失禁するところでした。



「トシ,おしっこしたいなら隠れてしろよ。」

「いやいや,大丈夫だよ!」



彼は虚勢を張りました。



右の道を進んで行くと,シイタケの

原木置場が見えてきました。



そのすぐ後ろ側には沢山のクヌギや

コナラが立ち並んでいました。



懐中電灯をあてると見事に

樹液のレストランが見つかりました。



急にスポットライトを当てられた夜の森のお客さん

達は動じることなく御馳走を堪能していました。



「おお,すごい数だね。こっちの

樹木にもいるよ!ざっと・・・20匹!」



レオンさんも興奮気味になっていました。



「あ,このクワガタムシ何だろう?見たことないよ!」

「おお,これはネブトだ!地元にはいないからね!」



(*wikiより引用)



リク君はネブトのオスと近くにいたメスを採集しました。



「良かったですね。遠くまで来た甲斐があったもんですよ。」



だぬちゃんも目の前にいたカブトムシとノコギリ

クワガタのオスを手で捕まえ,リク君に渡しました。



「これでまた大学のレポートが書けるな・・・。」

「よかったじゃない。久遠さんに褒められるよ!」



トシ君は気を利かせたつもりでしたが,



「いや・・・。あんまり嬉しくないな・・・。」



レオンさんは嬉しそうではありませんでした。



みんなは珍しいクワガタや樹液に止まる

沢山のカブクワを観察することができました。



リク君は特に大満足だったようです。



「よし,これから毎日ここに通いましょう!」

「いやいやいや・・・。」



みんなの大反対でその意見は却下されましたとさ。







第373話~第376話

2021/7/18

第373話 イツキ君,図書館にて本を読む
イツキ君は中野木図書館に一人で来ていました。



一番奥の窓際の席に座って,難しそうな

歴史書や古代遺跡の本を読んでいるようです。







イツキ君の伯父である,乃木館長が声をかけてきました。



館長「やぁ,今日は一人かい?」



「ああ。たまには一人で趣味に没頭したくてな。

あいつらといると24時間虫取りだからよ・・・。」



イツキ君は古代遺跡や歴史に関する本が大好きでした。



館長「でも,それってデータブックじゃないよね?」



この世界ではすでに本はデータ上で読むもので

現物の書籍は過去のものとなっていました。



図書館は膨大なデータを管理する場所となっていたのですが,

一部の方のために現物の書籍もある程度保管しているのです。



「ああ,この前さ,ノアの書を解読していただろ。実際に手に

とって紙をめくって読むって案外面白もんなんだなと思ったんだ。」



データ至上主義であったイツキ君に心境の変化があったようです。



館長「確かに。紙の本には紙の本の良さがあるもんだよね。

でも,そのノアの書で思い出したけど・・・。」



館長は少し怪訝な顔をしながら,



館長「イツキ君・・・。この前は事情も聞かないまま手伝った

けど,もしかして危ないことに首を突っ込んだりしていない?」



伯父としては心配するのが当たり前です。

しかし,イツキ君は意に関することなく,



「ああ,大丈夫だ。何も心配はない。」



それでも乃木館長は心配な様子です。



「わかったよ。簡単に説明だけしておく。一応,

ノアの書の偽物を作るのを手伝ってもらったからな。」



闇組織JFが手にしたノアの書と呼ばれる

研究書はイツキ君たちが作った偽物でした。



「あの本は,悪い組織が悪いことに

使おうとしているものなんだ。」



乃木館長は黙って話を聞いていました。



「だからそれを知り合いの警察関係者に本物を

預かってもらっている。偽物は悪いやつらに渡っている

から,俺たちにこれ以上何かしてくることはない。」



イツキ君は半分嘘をつきました。

館長をこれ以上心配させないためです。



館長「そうなんだ・・・。何か困ったことが

あったら何でも相談していいんだからね。」



乃木館長はイツキ君の肩をポンッと叩きました。



「じゃあさ・・・。この本の続きが読みたいんだけど,

この図書館には置いてないみたいなんだ。」



それは,「逆説しまくりの日本史だらけ」シリーズでした。



最新刊がないようです。



「俺は歴史が好きなんだ。歴史を知ることは

過去を知ること。そこにロマンを感じる。」



館長「わかった。他の図書館から取り寄せられるか調べてみよう。」



館長は持っていた端末で検索をしました。



「今度,リク達と史跡なんかや城めぐりに行く予定なんだ。

その時に使いたいからこっちの本も借りていくぞ。」



手に取った本は「日本の史跡シリーズ中部版」でした。



館長「貸出だね。受付まで来てくれるかい?

それとさっきの本だけど明日には届きそうだよ。」



イツキ君は受付で貸出をしてもらいました。



そしてまた明日,最新刊を借りる

ために図書館に行くことにしました。



夏休み・・・読書感想文も書くことが多いでしょう。



図書館に訪れて自分の好きな本を

探してみるのも良いかもしれません。



くれぐれもネットで感想を

拾ってきて写してはだめですよ。



第374話 オジョウとまさら
まさらちゃんが琴の習い事を終え,帰宅

しようと近くの神社を通り抜けていきました。



この道が自宅までの近道になっていたのでいつも

のように神社を抜けようと歩いていきました。



すると,草むらからガサゴゾと音がしました。



「な,なんだろ・・・。」



警戒しながら近づいてくと,



オジョウ「どこーっ!!」



突然,すなぴょん団の紅一点で

あるオジョウちゃんが現れました。



「びっくりした!!あなたスナぴょん団の・・・。」



オジョウ「あんたこそ,昆虫団のまさらじゃない。」



そう言いながら草むらをかき分けて出てきました。



「こんなところで何をやっているの??」



まさらちゃんが聞くと,



オジョウ「ふんっ・・・。あんたには関係のないことよ!!」



彼女はあたりを見渡しながら何やら探し物をしているようです。



「何か探し物??手伝おうか?」



オジョウ「昆虫団の助けなんかいらないわ!」



相変わらずツンツンとした態度で

近くの樹木を見てまわっています。



「何,あれ!?感じ悪いっ・・・!」



それでもまさらちゃんは彼女の様子が気に

なったので後をついていくことにしました。



「だからー,何を探しているのって聞いて

いるんだよ。ペンダント?それともネイルとか?」



オジョウ「そんなものをこのあたしが落とすわけないでしょ。」



オジョウちゃんが言い返します。



「じゃあ,何よ?」



まさらちゃんが再度聞くと,



オジョウ「ノコギリクワガタよ!!」



「はっ??どういうこと??」



彼女はスナ君の家で遊んでいた時に,

彼のノコギリクワガタのオスを

手違いで逃がしてしまったようです。



彼の自宅の裏がこの神社だったので,

ここへ探しにやってきたというわけです。



「スナ君は,このことを知っているの?」



オジョウ「知らないわ。だからすぐに

探してケースに戻しておこうと思って・・・。」



まさらちゃんは事情を聞くと,

あたりの木を探し始めました。



オジョウ「あんた,何のつもり!?」



「何って,一緒に探したほうが早く見つかるでしょ。

あたしは少年昆虫団の一員だからね。

カブクワなんてすぐに見つけられるんだから!」



オジョウちゃんはなぜか気持ちがほっこりとしました。



オジョウ「ふんっ!勝手にしなさい!」



そうこうして,30分ほど探し続け,

だいぶ日が落ちてきました。



まもなく夕暮れを迎えます。その時でした。



「あった,あったよ!」



まさらちゃんは慎重にノコギリのオスを

木から離し,オジョウちゃんに渡しました。



オジョウ「ありがと・・・。よく見つけられたね。

でもこれってスナのなのかな?」



「この時間にまだノコは活動しないから逃げ出したノコだと思うよ。

樹液の出ているクヌギの木を中心に探していたらたまたま見つけた!」



オジョウちゃんはノコギリのオスをもっていたケースに入れました。



「よかったね,オジョウ。」



エリカ「オジョウじゃない。あたしの名前はエリカよ。榎本エリカ。」



<榎本エリカ(愛称はオジョウ)>



オジョウちゃんの本当の名前は,エリカちゃんというようです。



「よかったね,エリカ。」



少しだけ二人の仲が深まったお話でした。



第375話 トシとハッチー先輩
少年昆虫団は昼間から近くの神社に来ていました。

スナ君の自宅のすぐ裏にある“六町神社”です。



どうやら夜の採集に向けて下見をしているようです。



「盲点だったな。こんな近くにも採集場所があるなんてね。」

「この前ね,わたしがスナ君の

ノコギリクワガタを見つけてあげたんだよ。」



今日の暑さもかなりのもので,

気温は35度を超えていました。



みんなは帽子をかぶり,水分補給をこまめに

取りながら,樹液の出る木を探していました。



すると突然,トシ君が後ろのほうで騒ぎ始めました。



「ぎゃあぁぁぁぁ!!ハチ,ハチ,

ハチ!!ハッチー先輩がきたぁー!!!」





どうやら蜂にビビっているようです。



「おい,騒ぐな。刺激すると余計に危ない。」



そんなイツキ君の忠告もむなしく,

彼は必死になってハチを追い払おうとします。



「あれは,キイロスズメバチだね。

刺されたらただじゃすまない。」





スズメバチなどのハチたちも

樹液に集まってくる昆虫です。



夜にいることもありますが,日中でもよく見かけます。

その場合はすみやかにその場を立ち去りましょう。



トシ君のように彼らを刺激すると

襲ってくる可能性があり,かえって危険です。



昆虫採集は命をかけておこなうものではありません。



「やべぇ,やべぇよ!!」



トシ君があまりにさわぐので樹液に止まっていたキイロスズメ

バチの1匹が空中に飛び立ち,カチカチと音を鳴らします。



これはキバを噛んで鳴らす警告音です。



彼は今日に限って色の濃いシャツを着ていました。



一般的にハチは黒か黒に近い色に

対して攻撃的になると言われています。



「ちょっと,やばいんじゃない!

トシ君が騒ぐから怒っているよ!」



みんなはそっとその場を離れました。



「いや,もうここから出ようよ!ハッチー先輩がいたぞ!

いいか,ハッチー先輩には逆らってはだめなんだ!人類最強なんだぞ!」



トシくんはパニックになっています。



「人類最強はだぬですよ。」

「いや,ハチは人類じゃないだろ・・・。」



その時です。



ブーン・・・。



大きな羽音がしました。



すぐ上にセグロアシナガバチがいました。

先ほど遭遇した個体とは別の個体でした。



「トシの言うとおり,今日は撤退しよう。

もしかしてどこかに彼らの巣があるのかも。」



7月からは巣が大きくなり,働きバチも増えてくる時期です。

攻撃性も高くなり,9月に最盛期を迎えます。



そして新女王蜂が誕生するのです。



トシ君がおびえるハッチー先輩こと“蜂”。



彼らに万が一刺されてしまった場合は,口で毒を吸い出すことは

危険なので,刺された個所を水で洗ったら速やかに病院へ行きましょう。



帰りにミカンの木があり,そこにアゲハ蝶の幼虫がいました。



リク君がそっと掴んでみんなに見せました。



「ぎゃぁぁぁ!!何やっているんですか!」

「どうしたんだ?ただのアゲハの終齢幼虫だろ。」



だぬちゃんの顔が引きつっていました。



「キモッ!よくそんな生き物を触れますね。

あ,黄色いツノが出た。オエッ・・・。クサッ・・・。」



どうやらだぬちゃんはイモムシが苦手みたいです。

人によって嫌いな昆虫は様々なんですね。



「リク君はきらいな昆虫っているの?」

「いないよ。」



ちゃんちゃん・・・。



第376話 昆虫採集対決 ~蝉採りの巻~ <前編>
中野木緑地公園に集う昆虫好きの少年たち。



この暑い中,昆虫採集対決が

行われようとしていました。



時間はまだ比較的涼しいとされる朝8時でした。



スナ「よーし,みんな気合を入れていくぞー!」



スナぴょん団の団長のスナ君は

今日も元気いっぱいでした。



対戦する相手はもちろん少年昆虫団のみんなです。



「くそっ・・・。こんな朝早くからなんで虫取らないといけないんだ。

この前借りてきた遺跡の本を読みたかったのに・・・。」

「あー,暑い。朝から暑いですねー。そろそろ終わりますかね。」



すでにモチベーションで負けていました。



「それで,今日は何を採るんだ?カブクワはこの時間は無理だぞ。」



スナ「まぁそうだろうな。だから今日はセミ採り対決だ!!」





スナ君は自慢の捕虫網を振り回しながらお題を発表しました。



スナ「あー,ちなみにあのインチキ網はなしだから。高いところに届くやつ。」



どうやら天照や月読のことを言っているようです。



「わかっているよ・・・。」



今日はカブクワキングで買ったふつうの

アミしか持ってきていませんでした。



「ねぇねぇ,エリカ。あれからどうなったの?」



まさらちゃんがオジョウちゃんにそっと声を掛けました。

エリカとはオジョウの本名でした。



しかし,セリフ表示は都合上,「オジョウ」で統一します。



オジョウ「なんかね,逃げていたのを知っていたみたい。でも怒らずに許してくれた。

あのノコを見せたら,一人で森に入るのは危険だからって心配されちゃった。」



スナ君の意外な一面を聞くことができたまさらちゃんでした。



オジョウ「それはそうと,これは昆虫対決なんだから

手加減はしないわよ!スナのためにもあたしが勝つ!」



「望むところよ!あたしだって

昆虫団の一員として負けられない!」



女の子対決も見ものです。



かくしてスタートが切られました。



制限時間は1時間。



それまでによりたくさんのセミを

捕まえたほうが勝ちです。



ちなみに細かいルールは・・・。



クマゼミ,その他のセミ 3点

アブラゼミ 2点

ニイニイゼミ 1点





チーム全体の合計点で勝敗を来ます。



セミを保護する観点(羽を傷めないため)から1つのケースには

10匹までとして,一人1ケースをもって採集することになります。



チームは各5人なので最大で50匹まで採集可能です。



制限時間内に多く得点できたチームの勝ちですが,先に

50匹を採集すればその時点で勝敗は決まるようです。



中野木緑地公園は入り口には桜の木が植えられており,しばらく

進むと噴水があり,その周辺には杉や楠,松といった木があります。



中央付近にある池の周りにはクヌギやコナラも

あり,多くの昆虫が生息している公園なのです。



少年昆虫団の作戦は・・・。



「とにかく,セミが鳴いている木を

見つけて片っ端から捕まえよう!」


「セミ怖いから触れないんですけど・・・。」



論外な人物が混ざっていました。



「それじゃ,戦力にならないじゃないですか・・・。」



果たして勝負の行方はどうなるのでしょうか。



第377話~第380話

2021/8/8

第377話 昆虫採集対決 ~蝉採りの巻~ <後編>
中野木緑地公園でセミ採り対決を行う

ことになった少年昆虫団とスナぴょん団。



スナぴょん団の作戦は・・・。



スナ「まず,チームを2,2,1に分ける。

ジャイとタコ,オジョウとサラ,俺様は一人。」



さらに話を続けます。



スナ「ジャイはなるべく高いところにいる

セミを狙ってくれ。タコはそれをサポート。」

タコ「OK!」



ジャイ君は背が高いのである程度

高い木まで守備範囲に入ります。



ジャイ「高いところは任せろ!ジャジャイ!!」



スナ「オジョウとサラは広く探し回るんじゃなくて,

狭い範囲にいるセミを重点的に狙ってくれ。」



オジョウとタコも作戦を理解したようです。



スナ「俺様は昆虫団の動きを見ながら臨機応変に

動く。先に50匹捕まえるつもりでやるぞ!」



この作戦は大成功で,序盤から彼らの

チームはセミをどんどんと採集していきます。



気づけばすでに20匹以上いました。



サラ「さすがスナ君ですね。彼はちょっとおっちょこちょい

なところもありますが,昆虫にかける情熱は人一倍です。」



サラ君がスナ君のことをほめると,



オジョウ「そうなんだよね。意外に

やさしいとこもあるし・・・。」







サラ「あ,そこにニイニイのペアがいますよ。」



さっと網をかぶせます。



セミを採集するときは,少し上から

かぶせるとうまくいきます。



タコ君とジャイ君も奮闘していました。



タコ君は目がいいので高いところにいるクマゼミを

見つけ,ジャイ君がそれを採集していました。



もちろん低い場所に止まっている

セミはタコ君も採集していました。



タコ「うひょ~うひょ~。順調だね~。」







残り30分になったところで,いったん

集合して,セミの数を数えてみました。



スナ「35匹か・・・。しかもクマ

ゼミが多めだ。これはもらったな。」



サラ「どうしますか?作戦は継続ですか?」



サラ君が汗だくになりながら聞きました。



やはり朝とはいえ,夏の気温を甘く見てはいけません。



必ず帽子や冷却材,多めの水分を用意し,

熱中症対策をして昆虫採集を行いましょう。



スナ「ここからは全員で固まって動く。そして

種類を問わず,残り15匹を採集して勝負をつける!」



こうして,スナぴょん団は残りの15匹を

わずか15分でやり遂げました。



少年昆虫団が集合場所に戻ってきました。



スナ「どうやら勝負は俺たちの勝ちのようだな!!」



よく見るとメンバーが足りません。



リク君とまさらちゃんしか

その場にいなかったのです。



スナ「おい,ほかのやつらがまだ戻ってきていないぞ!?」



「いや,イツキ君は本を読みたいからって帰ったよ・・・。トシもセミが

怖いらしく役に立たないから日陰でアイス食べている。だぬちゃんも一緒だ。」




どうやらすでに勝負になっていなかったようです。



「残念だけど40匹しか捕まえられなかった。」



スナ「何っ!?ほぼ一人でそんなに捕まえたのか。」



リク君の健闘及ばず,合計点でもスナ

ぴょん団にはかないませんでした。



スナ君はなんだか,試合に勝って勝負に

負けたような複雑な気持ちになりました。



第378話 稲川淳姫の怪談8
今回の怪談噺も稲川先生がオンライン上で中野木

小学校の児童に向けて公開している内容から・・・。



オムニバス形式で二つ紹介します。



少し前からドローンと呼ばれる手軽に

空撮ができるロボットが活躍しています。



これは,ある住宅街で実際に起きたお話です。



住宅街の一角にあるマンションでドローンが

飛んでいる姿がよく目撃されていました。



その最上階に住んでいる主婦が洗濯物を

干しているとドローンが目の前に現れました。



しばらくすると隣へ進んで行き,数秒間ホバリングしたり,

同じ階のベランダを行ったり来たりしていました。



その住人はもしかして新手の覗き

ではないかと思ったそうです。







事件が起きたのは1週間後・・・。



その住人の隣の部屋で強盗殺人事件が起きたのです。



犯人はまだ見つかっていません。



もしかしたらあの時のドローンは

強盗に入りやすい部屋を物色していたのか。



あるいは恨みのある人間の

住みかを探していたのか・・・。



この事件の後,ドローンがその住宅街を

飛ぶことはなくなったそうです・・・。



この動画を見ていたまさらちゃんが,



「えーん・・・。怖いよぉ・・・。こういうリアルに怖い話

ぶっこんで来るの止めてよ・・・!怪談関係ないじゃん!!!」




もっともな突っ込みを画面に

向かって入れていました。



そしてもう一つのお話は・・・。



あるアパートの1階角部屋に

住んでいる男の大学生がいました。



この部屋の一室の窓にはカーテンのサイズがあっておらず,

隙間があいて外の駐輪場が見える状態になっていました。



つまり外からも中の様子が少しわかってしまうのですが,

つい面倒臭がって交換していませんでした。



実は以前からこの出窓がとても不気味に感じる時がありました。



眠りつこうと目を閉じると,窓の方から誰かから見られているような

気配を感じたり,深夜外から不気味な音が聞こえることがありました。



ある日,いつものように電気を消して眠りに

つこうとすると,出窓から異音が聞こえてきました。



ガリ,ガリ,ガリ・・・と爪で

壁を削るような嫌な音です。



気になって窓の方を見ると,カーテンの隙間から

不気味な目がこちらを覗いているのです。



その瞬間,彼は大声をあげて電気をつけました。



出窓に近づいて確かめようとすると

すでにその「目」はありませんでした。



慌てて外の駐輪場に出て辺りを

見渡してもそこには誰もいません。



彼は勘違いだったのかと思い,ホッとしました。



そして何気なく,出窓のカーテンの隙間から自分の部屋の中を

のぞくとそこにはこちらをみつめる二つの目が見えたのです。



大学の友達に話しても誰も信じてくれませんでした。



今でも時々,不気味な気配を感じることがあります。



その時は,近くの寮に住む友達の

家に泊めてもらうことも・・・。



稲川「今回の噺はここまで・・・。宿題もやってくださいね。」



第379話 レオンとかまきりゼミ
レオンさんは潜入捜査のため,中野木大学の

院生として大学に通っていました。



昆虫学を専攻する蟷螂(カマキリ)ゼミに在籍しています。



ここには同期の久遠さんや姫色(ひいろ)さんが

いますが,他にも何人かの学生が在籍しています。



この日は朝から夏の集中講義などもあり,構内は学生でにぎわっていました。



レオンさんは校舎1階の自販機でお茶と

適当に買ったジュースを持ってゼミに向かいました。



今日は夏季休業中に取り組んだ

研究の途中報告がある日だったのです。





「はぁ・・・。気が重いな・・・。」



カマキリ教授はレオンさんが潜入捜査で在籍していることを大学から聞いて

いましたが,特別扱いすることなく,他の学生と同じように扱っていました。



「なんでレポートの発表なんてしなくちゃいけないんだ・・・。

闇組織JFとの戦いもまだまだこれからって時に・・・。」



ぶつぶと文句を言いながら階段を上っていきました。



扉を開けて部屋に入ると,そこにはゼミ仲間の

ほかに少年昆虫団のみんながいました。



「えっ!?あれ?なんで!?

どうしてみんながこんなところにいるのさ。」



レオンさんは驚きを隠せませんでした。



「ちょっと近くまで寄ったんでついでに来ちゃった!」

「ごめんね,きっと忙しいのにおしかけちゃって。」



口ではそう言いながらもレオンさんに

会えてうれしそうなまさらちゃん。



「レオンさんが戻ってくるまで暇だったんでトランプしていました。」



だぬちゃんはイツキ君のカードを1枚取りました。





どうやらババ抜きをしているようです。



姫色(ひいろ)さんも一緒に参加していましたがすでに勝ち上がった様子でした。



姫色「まぁ,いいんじゃん。大勢いたほうが報告会も盛り上がるってー!」



レオンさんは突っ込む気にもなれませんでした。



「まぁいいや。ちょっとは気がまぎれるかもしれない・・・。」



レオンさんが小声でつぶやきました。



蟷螂「それでは,研究の中間報告をしてもらおう。

名前を呼ばれた学生は前に来るように。」



蟷螂(カマキリ)教授が自分の研究室から皆が

いる部屋に入ってくるなりそう伝えました。



報告を行う学生は順番に姫色さん,レオンさん,久遠さん,そして同じゼミに

在籍するもうひとりの女性と,見た目はすごく老けた男の学生でした。



姫色さんは前に出るとスライドを映し,そこに研究テーマと課題などを説明していきました。

昆虫が農業に与える影響について話しているようでしたが,内容は難しいものでした。



少年昆虫団の中ではリク君とイツキ君だけが

頷きながら理解して聞いていました。



残りのメンバーは途中からウトウトしていました。



次にレオンさんが発表することになりました。



「レオンさん,頑張ってー!」



先ほどまでウトウトしていたまさらちゃんが声を上げると,トシ君が



「ちょっと,静かにしてよ!眠れないじゃない!」



と意味不明な文句を言ってきました。



レオンさんの研究は愛知県・岐阜県に生息する

カブクワの種類や生態についてまとめたものでした。



昆虫団のみんなと採集に行った時の記録も

研究の役に立っていたみたいです。



続いては久遠(くおん)さんの報告です。



久遠「あたしはねー!昆虫がだーいすきなのっ!!

だからー,えーっと,研究はっ!!!」



すでにメチャクチャなテンションでみんなの前に立っていました。



「やばいっすね・・・。あの人のテンションが気になって,

何を伝えようとしているのかまったく入ってこない・・・。」



しかし,次の瞬間,久遠さんの目つきが変わると何かに

とりつかれたようにきりっとした態度で報告を始めました。



久遠「現在の地球の人口増加と食料自給率における・・・・,であるから・・・,昆虫が

人類に与える影響というのは決して少なくなく・・・また・・・・であると考えます。」



「えっ!?ちょっ,はっ!?何がどうなっているんですか!?」



だぬちゃんは驚きを隠せませんでした。



「なんだ,あの人・・・。」

「彼女は普段はあんなんだが,自分の好きなことになると異常な

集中力と意欲を発揮して,人が変わったようになるみたいなんだ・・・。」



それは今まで見たことない久遠さんの姿でした。



彼女の昆虫食が人類を救うというテーマは中間報告ながら

素晴らしい出来で教授からもお褒めの言葉をもらったほどでした。



「でもさ,この前レポートができてなくて

レオンさんに泣きついていなかったっけ??」


「だから,ふだんはあんな感じなんだよ・・・。バイト疲れで

寝てばかりいたら提出期限に間に合わなかったらしい・・・。」



久遠さんの意外な一面を知りました。

ちなみに残りの二人の報告も無難に終えました。



彼らの紹介はまたいずれどこかで・・・。



第380話 それぞれの夏休み最後の日
今日は8月31日です。



とうとう長かった夏休みも終わり,

2学期が始まろうとしていました。



少年昆虫団はそれぞれどんな

一日を過ごしているのでしょうか。



まさらちゃんの場合・・・。



「今年の夏はなかなかショッピングに行けなかった

から商店街でたくさんお買いものするんだ!」



まさらちゃんはリク君の妹のカイリちゃんと

一緒にお買い物を楽しんでいました。



だぬちゃんとトシ君の場合・・・。



二人はトシ君の家で遊んでいました。

時間はお昼すぎでとても暑い日です。



「こんだけ暑いともう外に出たくないですよねぇ・・・。」

「でもこの後,また昆虫採集でしょ・・・。」



トシ君は自分の部屋のベッドでくつろぎながらそう言いました。



「リク君,夏休み最終日まで

昆虫採集するとはさすがですよねぇ・・・。」

「オイラはもう充分だよ・・・。」



彼らは長かった夏休みをほぼ毎日,

昆虫採集に費やしていました。



「毎日昆虫採集ばかりだったから,夏休みの

宿題がまーったく終わっていないんだよね!」


「ああ,それなら心配いらないですよ,

だぬも終わってないですから。」



二人は傷をなめ合っているだけで,「じゃあ,これ

から宿題を終わらせよっか。」とはなりませんでした。



リク君とイツキ君の場合・・・。



「宿題終わってない・・・!!やべぇやべぇよっ!!」



どうやらだぬちゃんたちと同じくまったく

宿題が終わっていなくてあせっているようです。



「ああ,どうしようっ!やべぇよっ!!」

「やばい,やばい言いながらお前は何をしている・・・。」



イツキ君が呆れていました。



「え?」



リク君が振り向くと,



「だから,その手に持っている物はなんだ・・・。」



二人のいる場所は,六町公園の噴水広場・・・。

リク君が手に持っている物は捕虫網・・・。



「いや~・・・。夜みんなで昆虫採集するまで

時間があるじゃない!暇だからこうして昆虫採集を・・・。」


「昆虫採集しながら宿題が終わっていない

心配してもどうしようもないだろ・・・。」



イツキ君は計画的に取り組んでいたので

すでに夏休みの宿題は終わっていたようです。



「まぁ,学校に行くまであと20時間

くらいあるし,なんとかなるでしょ!」


「いや,無理だろ・・・。栗林センセーに叱られるな。」



その後,昆虫採集を終えてから必死で宿題に

取り組みましたが,全く終わる気配はありません。



「どうしよ,どうしよ,どうしよー!!!わーっ!!!!」







・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・



がばっ!!



「はぁはぁはぁはぁ・・・。」



リク君が目を覚まし,体を起こしました。



「夢・・・か・・・。」



カレンダーを見ると7月25日とありました。

まだ夏休みは始まったばかりでした。



「だよな・・・。あせった・・・。夢で良かった・・・。」



こんな夢を見ないためにも夏休みの

宿題は早めに終わらせるに限りますね。





第381話~第384話

2021/9/11

第381話 今度こそキャンプに行こう!前編
少年昆虫団はレオンさん,灰庭さんと一緒に

岐阜県中部のオートキャンプ場に来ていました。



前回あんなことがあったので改めて仕切り

直しのキャンプを行うことになったのです。



今からバンガローやコテージを予約することは難しかった

ので,予約が空いていたオートキャンプ場になりました。



キャンプ場に到着したのは午前10時でした。

レオンさんが車を止めるとみんなは荷物を運び出しました。



「おなかすいたよぉ・・・。」



すでにトシ君のお腹がグーグーと鳴っていました。



「すぐに昼食の準備をしよう!お昼はカレーだよ。」



まさらちゃんは灰庭さんやレオンさんと

協力してカレーを作り始めました。



「えっと。カレーの作り方がわかんなくて・・・。」



まさちゃんは灰庭さんに甘え

ながら作り方を聞いていました。



灰庭「まずは野菜を切って・・・。」



「カレーの作り方なんて

わかるだろ・・・。相変わらずだな・・・。」




リク君とイツキ君は火おこしの準備を始めました。



だぬちゃんも手伝うことになりました。



炭を取り出し,空気の通り道を作るように重ね,

一番下に置いた固形着火剤に火をつけます。



その後,送風機やうちわを使って

空気を送ればすぐに火はつきます。



また,炭は長時間燃え,じっくりと肉や魚が焼き上がる備長炭や着火し

やすくすぐに高温が得られる切炭,火力が弱いオガ炭などがあります。



目的に合わせて使い分けると良いでしょう。



ただ,だぬちゃんには退屈な作業だったようで,

途中で意味不明な太極拳のポーズや踊りを始めました。



「この火おこしの舞で一気に火が付きますよぉ!!」



イツキ君は汗まみれになって

うちわを仰いでいました。



だぬちゃんにかまっている余裕はないようです。

レオンさんはトシ君に声をかけました。



「タープを立てるから手伝ってくれるかい?」

「タープって??」



タープとは日よけのための大きなシートみたいなものです。







レオンさんが用意したタープは世界的に

有名なトールマンというメーカーのものでした。



彼が持ってきたタープは4本の足で支えるタイプで

初心者にも簡単に立てることができました。



「よし,オイラも役に立ったぞ!」



だぬちゃんは机を広げ,食器類を置く係になりました。



みんなは紙皿と紙コップでしたが,レオンさんだけは

トールマン製の6時間は氷が解けないタンブラーを使っていました。



灰庭「まさらちゃんのおかげでスムーズに

カレーができたよ。ありがとう。」



灰庭さんがお礼を言うとまさらちゃんは

見たこともないような満面の笑みを浮かべていました。



まさらちゃんとレオンさんがみんなの

カレーをよそって,おいしくいただきました。



「やっぱり大自然の中で食べるカレーは

格別ですね。これは夜も楽しみです。」



夜はみんなでキャンプ飯を

食べることになっていました。



もちろんバーベキューもやるみたいです。



「うまいなぁ・・・。おかわりしようかな。

カレーはやっぱり"ホームアーモンドカレー"だよなぁ。」




みんなはおいしいカレーをしっかりと

食べ,午後の活動に備えました。



「ブルブルブルブル・・・。」



突然,トシ君が震えだしました。



「どうした?とうとう気でも触れたか。」



イツキ君の容赦ない一言に,



「違うよ!前回のことをちょっと思い出しただけ!」



みんなは一瞬静まり返りました。



「大丈夫だよ。今回のキャンプは急に予定を入れたわけだし,

きっとあいつらも把握できていないって。」




灰庭「ああ,その通り。だからトシ君。大丈夫だよ。」



灰庭さんはトシ君の肩をポンっとたたきました。

いよいよ午後はアクティビティを楽しむようです。



第382話 今度こそキャンプに行こう!中編
午後は近くにある板取川で川下りをやるそうです。



その前に,夜寝るためのドーム型の

テントを張ることになりました。



"キャプテンスタート"製の6人用のテントを一つと

同じメーカーの三角型テント3人用を張るようです。



テントは大きいタイプは張りにくい

ため,多少のコツが必要でした。



ドーム型は大人二人と体の大きいトシ君と

イツキ君が手伝うことになりました。



小さいテントはリク君を中心に

残りの3人で張りました。







「ちゃんと,ペグも打っておかないとね。」

「なんか,難しそうだね。」



まさらちゃんが作業をしている様子を覗きに来ました。



「これは,コツがあるんだよ。地面に対して

斜め60度くらいで打ち込むと安定するんだ。」



レオンさんはかなりのアウトドア通だった

ので的確に作業を進めることができました。



灰庭「じゃあ,川下りに行こうか!ゴム

ボートはさっき膨らませておいたよ!」



しっかりとライフジャケットを身に

着け,万全の状態になっていました。



泳ぎが得意な人でも川はいつ人の命を奪うかわから

ないので安全面は特に気を付けて楽しみましょう。



リク君,レオンさん,イツキ君,だぬちゃんとまさらちゃん,灰庭

さん,トシ君の二つのゴムボートに分かれて川を下っていきました。



途中で振り落とされそうになりながらもどんどん進んで行きます。



大人二人がそれぞれ的確にボートを操作することによって

誰一人落ちることなくゴールまでたどり着くことができました。



川岸にゴムボートを置いて,しばらく休憩することになりました。



「いやぁ,疲れましたね。ちょっとそこの木陰で休みますんで。」



だぬちゃんは川岸に生えていた大きな

木の下で横になって目を閉じました。



それをみていたリク君はちょっと

したいたずらを思いつきました。



持っていた1.5リットル用

ペットボトルを取り出しました。



中に入っていた水をだぬちゃんの口と鼻に注ぎ始めました。



「ごほっつ・・・ほごほぼぼ・・・

ぼごあわ・・・がばばあば・・・・」



だぬちゃんは呼吸ができずに死にかけました。



「ちょっ,マジでイカレてる!!

何やってんですか!死にますけど!!」



珍しくだぬちゃんがブチ切れていました。



「いや,ごめん,ごめん。

ちょっとやってみたくって・・・。」



その後,周辺の川で泳いだり,水中鬼ごっこや

水中ちゃんばらをしながら夢中で遊びました。



もちろん水中チャンバラはリク君が

圧倒的な強さを見せていました。



水中チャンバラとはビニルでできた棒をお互いに

持って,たたき合うという少年たちが喜ぶ遊びです。



イツキ君は川には中央付近に人が5,6人は乗れる

岩があり,その岩から飛び込んで遊んでいました。



リク君は浮き輪が手放せないトシ君を

引っ張ってその岩までやってきました。



そして上陸すると浮き輪を奪い,川の中へ投げ入れました。



「ちょっと,何やってんの?これじゃ帰れないでしょ!!」



リク君はトシ君を思いっきり

押して川へ突き落しました。



「うしししし!」



もはやイタズラ心マックスの

リク君をだれも止められません。



「あばばば・・・。死ぬ・・・。」



リク君は予めその岩場に用意していた

折れた竹を取り出してトシ君に差し伸べました。



「これにつかまるんだー!!」



トシ君が必死になってつかもうとしましたが,リク君が

その竹を上下に振ってしまうのでなかなかつかめません。



そして,上下に振りながらトシ君の頭を

小突くので余計にトシ君の体が沈みます。



なんとか,岸にたどり着いた

トシ君はクタクタになっていました。



「危ないなぁ,溺れるところだったね。だからこうやって

今みたいに溺れた時の訓練をするって大事だね!」


「ふざけんなぁぁぁぁ!!!」



楽しい楽しいキャンプ生活はいよいよ夜に続きます。



第383話 今度こそキャンプに行こう!後編
キャンプのだいご味といえばやはり夜の

バーベキューとキャンプファイヤーです。



昼と同じ要領で火をおこし,

お肉や野菜を焼いて行きます。



炭火で食べるお肉はどれも絶品でした。



豚トロも適度に油が落ち,くどすぎず食べられます。



もちろん,高級なお肉は口に入れると

その肉汁と甘みで頬が落ちそうになります。



「このお肉おいしい!灰庭さんが

持ってきてくれたんだよね!」



まさらちゃんは隣に座っていた

灰庭さんに話しかけました。



灰庭「色々と迷惑をかけちゃったからね。お詫びの

意味も込めて!A5ランクの飛騨牛を用意したよ。」



「A5ですか!最高級じゃないですか。ニクミさんもびっくり!」



だぬちゃんもご飯と一緒に

美味しくお肉をいただいています。



しかし,野菜にはあまり箸が伸びないようです。



「野菜も食べないと。焼きピーマンに

焼きニンジンがめちゃくちゃうまいよ!」



トシ君はバクバク食べています。



バーベキューのすぐ横ではたき火をたいていました。



真っ暗な闇の中,静寂の夜を感じながらたき火の日を

見つめていると感傷的な気持ちになってきます。



みんなは食後,その火をじっと見つめていました。



「さぁ,いよいよメインイベントがはじまるよ!!」



リク君はカブクワ採集の用意をして張り切っていました。



「オイラは汗かいちゃったから温泉に入ってくるよ。」

「俺も行く。2時間は入っているからな。」



イツキ君は大の温泉好きでした。



「え,いや,ちょっと・・・!」



灰庭「じゃあ,僕が一緒に昆虫採集に行くよ。」



灰庭さんが名乗り出ると,



「あたしも行くっ!」



まさらちゃんもついてくることになりました。



だぬちゃんもまだ温泉に入る気分ではなかった

ので昆虫採集に付き合うことにしました。



「なら,オイラは保護者として

温泉組につきあうとしよう。」



温泉組はキャンプ場から歩いて5分の場所にある

“湯の華アイルランド”という所へいきました。



昆虫採集組はキャンプ場のすぐ

裏にある里山へ入って行きました。



空には上限の月が輝いていました。



「きれいなお月さまー!街で

見るよりずっときれいだね!」






「うん,そうだね。この辺りは

特に空気がきれいなんだよ!」



リク君も空を見上げて月を見ました。



灰庭「もうそんな時期か。」



灰庭さんがぽつりとつぶやきました。



灰庭「お,ここにヒラタがいるよ!」



「どれどれ!」



そこには70ミリを超える大型のホンドヒラタがいました。



「大きいねぇ!」



リク君は手際よく樹木から取り外し,

持っていたケースに入れました。



その後,1時間ほど森の中を探しましたが,

他の個体は特に珍しいものはいませんでした。



最初に採ったヒラタ以外はリリースすることにしました。



昆虫採集を終えると,温泉組が戻ってきました。



「いやーさっぱりしたよ!

みんなも入ってきたら!」



トシ君はゆっくりと温泉でくつろげたようです。







昆虫採集組も温泉に向かいました。



そうこうしているうちに

就寝時間がやってきました。



温泉から出てきたまさらちゃんは,髪が

ぬれていていつもと髪型が違いました。



そして,縞模様のかわいいピンクのパジャマ姿に

身を包み,今日の楽しい出来事を思い出していました。







「いい思い出ができたね。

またこのメンバーで行きたいな。」


「奴らを倒したら,また行こう。」



テントの中でそんな会話をしながら

みんなは深い眠りについていきました。



半月の光が優しくテントをつつみこんでいました。



第384話 台風の日の禁止事項
本日は朝から台風8号が接近して

きて,風と雨が強くなっています。



こんな日にトシ君の家では・・・。



リク君とだぬちゃんが遊びに来ていました。



「いやいや,なんでこんな台風の日に来るんだよ!」



トシ君は玄関で呆れていました。



「いや,だぬも嫌だって言ったんですけど,リク君が強引に・・・。」



リク君の横顔を見ると,まったく悪びれる様子はありませんでした。



「だって,せっかく夏休みが始まったんだし,遊ばないと!」

「だから,なんで今日なんだよ!外は大雨と暴風だぞ!」



トシ君が拳を上げて怒り狂っています。



「まぁさすがに昆虫採集は無理だよ。それくらいわかっているって!」

「いやいや,そんなの当たり前でしょ!それ以前の問題でしょ!」



だぬちゃんはここまで来る間に

すでにずぶ濡れになっていました。



「大丈夫だって!いいかい,良く聞きな。

こういう日にしてはいけないことを言うよ。」




二人はもう止めても無駄と悟り,口をつぐみました。



「まず,外に出歩かないこと!田んぼや用水路の様子を

確認しに行かないこと!川に近づかないこと!」


「いきなり一つ目破っているじゃないっすか!!!」



リク君は二人を無理やり外に連れ出しました。



ビュウウウウ!!



すでに暴風域に入り,風速は

20m/sを超えていました。







「まじで辛い・・・。寝てたい・・・。」

「あ,そうだ!ついてきて!」



リク君は二人の襟を引っ張り,傘もささずに

暴風雨の中,どこかへ向かっていきました。



町中から離れ,脇道へ入ると

田んぼ地帯がありました。



「カエルいるかなー!」



リク君が用水路を飛び越えて田んぼに近づくと・・・。



ドボン!



バランスを崩して増水した用水路に

はまり流されてしまいました。



「ゴボゴボ・・・。」

「ほら,いわんこっちゃないー!!」



二人はなんとかリク君を引き上げました。



「いやぁ,危ない,危ない。助かったー!」



リク君の服はさらに水分を含んで重くなり,歩くのも大変そうです。



「実はさ,昨日遊んだ時に忘れ物を

しちゃってさ。それを取りに行きたかったんだ。」




リク君が向かった先は庄外川でした。



しかし,すでに川は増水し,ふだん

降りられた場所は沈んでいました。



「一応,まだ残っていないか見てこよう。」



どうやら昨日魚釣りに来た時に,ウキを忘れて

しまい,それを取りに行きたかったようです。



「うぉぉぉ~!!」



リク君は強風に煽られ,足を

滑らせて川に落ち流されました。



「うぁぁぁ!リク君が川に落ちたぁぁぁ!死ぬぞぉ!」

「どうして,やってはいけないことを全部やるんですかー!!」



二人がリク君の生存を諦めた,その時・・・。



川下がひかり,大きな轟音が響きました。



音が鳴る方向を見ると,そこにロケットが

打ちあがっているような煙が見えました。



その煙の先をみると,リク君がいました。



どうやら捕虫網のロケット機能を

使って,難を逃れたようです。



そのまま,バランスを崩しながら,なんとか

二人がいたところまで戻ってきました。



「ぜぇぜぇ・・・。ウキは・・・諦めよう・・・。」



二人は声をそろえて叫びました。



「当たり前だー!!!」・・・と・・・。



台風が近づいている日は外に出ない,田んぼや用水路を

見に行かない,川へ行かない,ちゃんと守りましょう。







過去の掲載順へ

TOPページへ