リクの少年昆虫記-過去のお話-

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目次


第81話~第84話

2015/6/3

第81話 リクの作戦 <詳細>

ノアシリーズ ~第2章~
レオンの車に乗って,帰宅途中での会話です。



「作戦がうまくいったってことでいいのかな?」

「う~ん,影は逃がしちゃったけど・・・。」

レオン「僕の家に来る前にどんな打ち合わせをしてきたんだい?」

「それはね―」





レオンの家に入る前まで遡ります。

(第72話参照)



レオンの家の近くにて―



「みんな,今からボクの推理とこれからの作戦を話したい。聞いてほしいんだ。」

「推理と作戦・・・?」

「ああ,影の正体と影をおびき出して白日の下にさらす作戦だ。」

「わかりました。」

「うん!」

「まず影の正体は,あの大学院生じゃない。」

「え!?」

「影の正体は栗林先生に違いない。」

「ええ!?」

「どういうこと!?」

「ちょっと何を言っているかわからないな~??」



リク君は栗林先生が影である根拠を説明しました。



「確かに出校日の時の対応は変だったかも~!」

「それで,どうやって本人に自白させるんだ?」

「それが今から話す作戦なんだ。」

「ふむ。」



リク君はみんなに向かって話し始めました。



「まず,僕が今からあの大学院生に確認したいことを聞いてくる。」

「一人で大丈夫なんですか?」

「たぶんね。うまくいけば一緒にあの組織と 戦ってくれるかもしれない。」

「ええ!?あのカメレオンみたいな人が,ですか~?」

「あの人が本当に安全な人なら部屋に入ってから

10分は出てこないことにするね。もし,僕の推理が外れて,

あの人が危険な人物だったらすぐに部屋からでてくるから。」


「リクの推理なら大丈夫だろう。筋も通っている。」



みんなはリク君の推理を信頼しているようです。



「だから10分たっても僕が部屋からでてこなかったら,

学校へ連絡して栗林先生に来てもらえるように言ってほしいんだ。」


「まず警察に言わなくていいんですか?」

「おそらく信じてもらえないからね。

それよりも自分たちで影の正体を暴いたほうが確実だと思う。」


「なるほど。」

「そして,栗林先生が到着したのを確認したら,

部屋の外に出て僕はレオンさんに車で連れ去られるふりをするから,

栗林先生の車で追いかけてきてほしいんだ。」




全てはリク君の演技だったようです。



「あの大学院生はそんなにうまく協力してくれるのか?」

「おそらく・・・。なんとか説得してみせるよ。」

「どこに誘い込むつもりなの?」

「各務原山さ。」

「ひょっとして弾痕のことが気になっているか?」

「うん。おそらく影は何かを知っていると思うんだ。」

「なるほど。」

「とにかく山についてから,その後のことは任せてほしい。」

「わかりました。」

「影の正体を暴くためにもみんなの協力が必要なんだ。」

「うん,任せておいて!」

「ああ。」

「だぬにお任せを!」

「おお!」



そしていよいよ作戦実行のようです。



「じゃあ,僕が今からカゲレオンの部屋を訪ねてみるね。

怪しまれるといけないから一応イヤコムははずして電源はオフにしておく。」


「うん,わかった。気を付けてね!」

「もし10分たっても部屋から出てこなかったら 学校に連絡をして助けを求めてほしいんだ。」



ピンポーン



ガチャ



レオン「あれ?君は確か・・・。何か用かい?」



「ちょっとお話したいことがあるんだけど,あがってもいいかな?」

レオン「え,え?今?何で??」



リク君はその人を見つめたままほくそ笑んで答えました。



「影の正体は―あなたも探りを入れていた栗林先生―だよね?」



レオン「ほう。」



「あなたが昨日,長山ランドにいたのは僕たちをつけてきたんじゃないよね。

僕たちを尾行していた栗林先生の後を追っていたんでしょ?」




レオン「君はなかなか鋭いね。」



「中でゆっくりお話ししたいんだけど,いい?」



レオン「ふっ。冷たいジュースでも出そうか。」



これがリク君の考えた作戦の詳細でした。



そんなことを話しているうちにレオンの自宅に到着しました。



第82話 レオンの部屋にて

ノアシリーズ ~第2章~
少年昆虫団はレオンに案内され,部屋に上がりました。



「あの,ついてきちゃいましたけど,この人,本当に大丈夫な人なんですか?」



だぬちゃんは一抹の不安があるようです。



「大丈夫だよ。レオンさんは味方さ。」



*今回からレオンの台詞はこの色になります。

「ウキキキキ・・・。」





レオンはみんなに冷たいジュースを出しました。



狭い1室でしたがなんとか全員が座ることができるようです。



「ねぇ,リク君。どうしてこの人が味方だって言えるの?」

「それはこの人が小早川教授の息子だからさ。」

「その通り~!ウキキ。」

みんな「えええ!?」



なんとレオン氏はあの小早川教授の息子だったのです。



「というか小早川教授って誰でしたっけ?」

「研究所からノアの書を持ち出した人物だよ。

それで組織の山本って奴に殺された。」


「そうでした。」

「昨日,リクが奴らの会話を盗聴してそう言ってただろ。」

「ちょっとド忘れしていただけですよ!」

「つまりこの人も組織に恨みを持っている,だから仲間ってわけか。」

「オイラはあの組織を絶対に許さない。必ず父の無念を晴らしてやる。」



このときばかりは真剣な表情でした。



「うん。」

「でもなんでその教授の息子ってわかったの?」



まさらちゃんのもっともな疑問にリク君が答えます。



「ああ,それはね。最初にあったとき,レオンさんに名前を聞いたでしょ。

でもレオンさんはあだ名で答えた。だから,本名を知られたくないのか

よっぽど自分のあだ名が気に入っているのかどちらかなのかなって思ったんだ。」


「そのあと,俺が『そのあだ名は気に入っているのか』って聞いたな。」



リク君は説明を続けます。



「それでレオンさんは『いいえ』と答えた。

普通気に入らないあだ名を名乗ったりしないでしょ。

だからちょっと怪しいなと思ってさ,本人に聞いてみたんだ。」


「全部,お見通しでさすがだったよ。」

「本当は“影レオン”なんて名前で呼ばれたりしてないんでしょ?」

「ウキキキ,まぁね。普通にレオンって呼ばれているよ。」



どうやら少年昆虫団のみんなは彼のことを“レオンさん”と呼ぶそうです。



「それと最初にあった時に,『接触成功!』みたいなことをつぶやいていたよね。」

(第31話参照)



「聞かれていたか。」

「それってどういう意味なの?なんか影(シャドー)が私たちに接触してきたのかと思っちゃうよね。」

「あれはレオンさんも図書館の防犯カメラをハッキングしていて,

僕たちがノアの書を持ち出したことを知って,接触しようとしてたからでしょ。

そして僕たちと思いがけず接触できたからそうつぶやいたんだよね。」


「まぁ,そういうこと。」

「じゃあカメラをハッキングしている人物は二人いて,

影ともう一人はレオンさんだったんですね。」


「うん,まあそうなるね。」



トシ君は出されたジュースとお菓子を食べるだけの存在になってしまっていました。



「オイラ,このお菓子好きだな~。」



レオンさんと少年昆虫団はお互いに知っている情報を交換しました。



そうすることで漆黒の追跡者が巣食う組織のことがだんだんとわかってきました。



第83話 エピローグ

ノアシリーズ ~第2章~
漆黒の闇に包まれた謎の組織JF(ジャファ)…



その全貌が少しずつ見えてきました。



「組織の通称は“ジャファ”と呼ばれている。

これは君たちも知っていたね。

奴らの正式な組織名は“ジャパノフォビア”。

これは知らなかっただろう。」


「え?何??」



リク君は少し驚いた表情をしましたが,

すぐに冷静になり,こんな言葉を口にしました。



「イスパノフォヴィア・・・か。」



「え?何??小学生が知っている語句ですか?それ。」



中世時代,栄華を極めたスペイン帝国が暴落の一途を辿った理由をご存じでしょうか。



フリッツ率いる無敵艦隊が敗れたから?いいえ,違います。



イングランドやオランダといった周辺国が



スペイン帝国の植民地政策を徹底的に非難したからなのです。





その非難によってスペイン国民は自虐史観に捉われていきます。



国民はあること無いことを教え込まれ,その残虐性を恥じ,自信を失い,

自国に誇りを持つこともできない国民になっていきました。



それが周辺国の狙いだったのです。



それによってスペインは勢力を失っていきました。



ついには“自虐の国(イスパノフォヴィア)”と呼ばれるようになりました。



「つまり“ジャファ”とは・・・。」

「ふざけているだろう?堂々とそんな名前で成り立っている組織なんだ。

ほとんどの日本人が意味なんて知らないんだろうけどね。」


「日本を貶めるための組織・・・ってことなのか?」

「自分の友人で組織に潜入している奴がいてね。情報は確かだよ。」



どうやらレオンには強力な協力者がいるようです。



「えっとそれってつまり何のために???」

「日本国を解体するためさ。そして組織にとって

都合の良い日本国を作り上げるんだろうね。」


「そんなことできるんですか???」

「例えば・・・。」



イツキ君はいくつか思いつくことを話しましたが,それはまた別の機会に。



「少なくとも組織は本気だ。しかし表向きは

あの巨大コンツェルン・ジャファグループなんだよ。」


「聞いたことあるな。投資関連会社や薬品研究所,IT,綜合警備保障…

他にも色々な産業に手を出している巨大グループじゃないか。

日本の経済界の中心となる大企業だ。」


「そんな大きな組織が日本を壊そうとしているってこと・・・?」

「このままじゃ,日本の未来が危ないってことだよね。」

「そういうこと。君たちの言う“漆黒の追跡者”が“漆黒の金剛石”を

探索しているのもその計画の一つにすぎないんだろうね。」




あまりに巨大な陰謀が渦巻いている事実を知り,みんなは困惑しています。





「なんか話が大きくなりすぎて何が何やら・・・。」

「私たちは漆黒の追跡者たちにカブクワを

むやみに殺したことを謝って欲しかっただけだったのにね。」


「知ってしまったからにはやるしかないかな!」

「そういうと思っていましたよ。」

「この国の未来のために,この日本がいつまでも日本であるために。

そして日本が日本人のための国であるために。」


「自分は親父の仇を必ず討つ。

そのためにここまで・・・。」




父親のことを話すときは真剣な表情になります。



「俺はノアの書を読み解いて計画の全貌を明らかにしてやる。」

「私はやっぱりあの人たちにしっかりと謝ってほしいな。」

「だぬはよくわかっていないですけど,みんなについていきますよ。」

「えっと,オイラは・・・。」



リク君はトシ君の言葉をさえぎるように続けました。



「今年の夏休みの少年昆虫団のはっきりとした目標が決まったね!」

「ウキキキ。」

「漆黒の追跡者の組織,ジャファを壊滅させる!」

「いや,ちょっとそれは厳しいのでは・・・。」

「まだ夏休みは1カ月以上あるからな。

作戦を立てる時間は十分あるさ。」




少年昆虫団のみんなには,それぞれの目標が見えてきたようです。



これからの彼らがどんな活躍をするのか楽しみです。



「でも,ジャファという組織に対抗する術はあるんですか?」

「まぁ,それはおいおい考えよう~。」

「大丈夫だよ,こちらの協力者だって強力だからね。また,今度紹介するよ。」

「ありがとう!」

「何かあったらいつでもここにおいでね。」

「うん,ありがとう。レオンさんこそ気をつけてね。

この場所,影に知られているわけだから。」


「それも君の計画のうちだろう。」

「はは。」



どうやら二人の間で他にも何か作戦があるようですが・・・。



「レオンさんって見かけによらず頭がいいんですね。」

「うきき。」



この後もこの部屋でしばらく話し合っていました。



しかし,後日,あの極めて重大な失踪事件

起こることを彼らはまだ知らないのでした・・・。



ノアシリーズ ~第2章~ 完結



第84話 ヒラタを採集したい!
少年昆虫団は,初めていく場所で採集をしていました。

ここは,愛知県と岐阜県の県境の山です。



「初めての場所ってちょっとわくわくするね。」

「そうだね。」

「というかなんか昆虫採集するの半年ぶりくらいな気がしますよ。」

「何を言ってるの。昨日もしたじゃないの。」



今日はレオンさんも一緒に来たようです。



「なかなか本格的にやるんだね。」

「まぁね!」

「あんたはなんでついてきたんだ?」

「いや~,ちょっと君たちが昆虫採集をする様子を見てみたくてね。

それに僕も一応昆虫学の専攻だしさ。」




レオンさんは少年昆虫団の行動に興味があるようです。



「いや~,危ないな~,周りが暗いよ!」

「夜なんだから当たり前だろう・・・。」

「いや~,ここはやばいよ!ヤバイどころじゃないよ!」



トシ君の怖がりはなかなか治らないようです。



「今日の目的はヒラタクワガタを採集することだよ!」

「はぁ~,どうせ捕れませんよ~。」

「ヒラタは木のウロという穴にいることが多いんだ。

そこを中心に探せばきっといるさ!」






そしてしばらく探し続けるのですが・・・。



「やっぱり捕れませんね~。」

「コクワちゃんとかノコちゃんはけっこういたのにね。」

「絶対ヒラタを見つけるんだ!」



しかし,さらに探し続けてもなかなかみつかりません。



「いないな・・・。」

「・・・。」



レオンは何かに気付いたようです。



「リク君,ここの木のウロをみてみたらどうだい?」

「そこはさっき見たけど何もいなかったよ・・・。」

「そっか。」

「仕方ない,今日は帰ろう・・・。 今度来るときは絶対リベンジするぞ!」

「早く帰ろう!」



レオンさんが最後にその場を去ろうとすると・・・。



「!?」



なんとヒラタクワガタが出てきました。





「お。」



レオンさんは捕まえようとしましたが,その手をひっこめました。



「今度来るときはリク君にリベンジされるかもよ。」



ヒラタクワガタに話しかけるようして,その場を去って行きました。



リク君はそのうちまたヒラタ採集のリベンジをするようです。



2015/6/24



第85話~第88話

2015/6/3

第85話 料理対決!
今日はイツキ君の家に集まっています。



夏休みの宿題である,「おうちの人と一緒に料理をしよう」で

作った料理を食べ比べるようです。



「なんで俺んちでやるんだよ・・・。」



イツキ君のお母さんが部屋に入ってきました。



イツキ母「みんな,ゆっくりしていってね。」



「ありがとう,イツキ君のお母さん!」



イツキ母「いえいえ。この子がちゃんと宿題をやるなんて,うれしいわ。

この前,先生が家庭訪問に来て下さったおかげかしら。」



リク君は小声ではなしかけました。



「え?そんなことあったの?」

「らしいな。俺はいなかったんだけどさ。」

「それってまさか・・・。」

「ああ,おそらく影だろうな。」



さて,みんなは料理をもってきていました。いよいよ試食です。



「まずは,オイラから!力作だよ!」





それは超大盛りのカレーライスでした。



「いやいや,量が多すぎだろう。これお米どれだけ炊いたんだ。」

「20合だよ!」

「あほか・・・。」



味はまぁまぁだったようです。



「次はだぬの番ですね。だぬの料理が一番ですよ。

味付けはシンプルに塩と胡椒とバターです。」


「炒めものか・・・。」

「典型的な男料理って感じね。」

「文句が多いですね。さらにこれがだぬの味噌汁です。」





なんと紫色の味噌汁がでてきました。



「なんでこれこんな色なの・・・。」

「ちょっと煮込みすぎました。味は大丈夫ですよ。」



飲んでみると・・・。



「ぶへっ!?なんだこれ!?」

「紫いもみそ汁ですよ!」

「ごちそうさま。」

「リク君飲んでないじゃないですか。」

「よくこれで宿題になったな。」

「じゃあイツキ君の料理を見せて下さいよ。」

「いいだろう。驚くなよ。」



イツキ君が出したのは・・・。





「なんですか,これ!?」

「焼肉のたれおにぎりだ!これがうまいんだ。うめぇ,うめぇ!」

「おにぎりに焼肉のたれをかけただけじゃないですか!

そんなの料理じゃないですよ!イカレてますよ!」


「なんだと!」

「まぁまぁ。私のも食べてね。」



まさらちゃんの料理は家庭的な日本料理でしたが

強烈なインパクトがないので割愛します。



最後はリク君です。



「ボクはこれだよ!」



取り出したのはカップラーメンでした。



「いや,それ料理じゃないですし・・・。」

「どう,つっこんでいいかわからん・・・。」

「え,だめ・・・?」



トシ君はみんなの出した料理をバクバク食べていました。

こんな宿題で大丈夫なのでしょうか・・・。



第86話 バスケットマン?トシ
1学期,学年対抗バスケットボールを行った時のお話です。



クラスの中で何チームかに分かれ,

他のクラスのチームと対戦し,その結果を総合して

優勝を決める行事のようです。



トシ君は前日にクラスのみんなで練習をすることになっていました。



チーム「トシ君,ちゃんとみんなと一緒に練習しようよ!」



「練習?そんなもんはへたくそな奴がやるもんや。」



トシ君は芝生で寝転がって練習をしようとしませんでした。



そして迎えた当日―



C組はバスケのクラブチーム所属で優勝常連の王者・山王チーム



合言葉は ―常勝―



キャプテンは桜川君。エースは流山君です。



対するA組はトシ君を含むクラスの弱小の集まりです。



そして試合が始まりました。



「負ける気がしねぇ!」



ものすごいやる気です。



しかし,現実は残酷でした。



8-0



・・・

22-0



・・・

43-0



・・・

74-0



どんどん点数が広がっていきます。



追い詰められたトシチーム・・・。

しかしこの試合,最高のパスがトシ君に通りました。



チーム「頼む,トシ。」



桜川「む。」



「お前もファール4つだ。怖かろう!」



桜川「いや,まだノーファールだけど。」



最高のパスで受け取ったボールは一瞬で奪い取られました。



チーム「何してんだよ!?」



88-0



A組トシ君チームは勝つことから,

なんとか1ゴール決めることに目標が変わっていました。



1分1秒でも時間がほしい場面です。



そして再びトシ君にボールが渡ります。



トシ君は首を振ってこたえます。



「まだ,あわてるような時間じゃない。」





チーム「いやいや,慌てろよ!時間がねぇんだよ!」



103-0



このC組の王者は



あっという間に100点以上の得点を積み上げました。



チーム「実力が・・・違いすぎる・・・。」



153-0



そして試合終了。



A組チームのみんなは敗北感に打ちひしがれています。



「負けた気がしねぇ!」

チーム「頭おかしんじゃねぇか!?負けすぎなんだよ!

なんで小学校のバスケで150点も入れられるんだよ!」



みんなはブチ切れていました。



「それでもバスケがしたいです・・・?」



チーム「もう二度とやりたくねぇよ!」



ちなみに山王チームは見事,総合優勝を果たしました。



<おまけ>



「なんか今回出番なし・・・。主人公なのに・・・。」

「色々突っ込みどころ満載だろ・・・。」

「ていうか,昆虫採集してないじゃないですか。」



第87話 七夕の願い
これはまだ少年昆虫団が結成される前のお話です。



今日は7月7日,七夕の日です。



みんなはクラスの学活で短冊にお願いを書いていました。



栗林「さあさあ,みんな,お願いは書けましたか~?

書けたら校庭に設置した笹に短冊をつけに行きますよ~。」



みんな「はぁい!」



「ところで栗林先生はどんなお願い事を書いたんですか?」



栗林「え?先生ですか?」



「ひょっとして稲姫先生ともっと仲良くなりたいとかですか~?」



栗林「いやいや,そういう誤解を生むようなことは言わないように!」



「でも,安井先生が言っていましたよ。二人はとっても仲がいいって。」



安井先生は一緒に食事いく予定が自分だけ置いて行かれ,

仲間外れにされたのを根に持っていたようです。



「確かに,この前の春祭りの夜に稲姫先生と栗林先生が

二人でラーメン食べに行っているのを見たしね!」




どうやら子供にとってはそんなことでも冷やかす対象になるようです。



栗林「いやいや・・・。それはたまたま・・・。」





栗林先生はだんだん,弁解するのが面倒臭くなってきたようです。



「まぁ,男同士でデートしていると言われても仕方ないですね。」

「・・・。」

栗林「とにかく,あまりそういう誤解を生むような発言をしないでくださいね。」



しかし,この後,影がこういった会話の一部だけを盗聴し,

あの大誤解をするハメになるのでした。



―校庭―



「リク君はどんなお願いをしたんですか?」

「ん?ボクは神にお願いしたりしないんだ。神に祈ったこともないしね。」

「そうなんですか。」



だぬちゃんは短冊をこっそり見てみると,ちゃんとお願い事が書いてありました。



―家の中を昆虫だらけにできますように― リク



「そういうだぬちゃんは?」

「だぬはこれですよ。」



―賢くなりたい― だぬ



「・・・。」



まさらちゃんはどんなお願いをしたのでしょうか。



―世界が平和でありますように― まさら



「神様は世界を平和になんかしてくれないよ。

だってその神が原因で世界中,戦争しているんだから。」


「そんなこと言ったら色々な方面からヤバイですよ!」

「いいの!勝手に見ないでよ~!」



一方,イツキ君のお願いは・・・。



―力が欲しい― イツキ



「なんか,あのイツキ君,変わってますよね。」

「う~ん,あんまりしゃべったことないね。」

「そうだね。」



まだ,イツキ君とはそんなに親しくはないようです。



「ふん・・・。」



トシ君の願いは・・・。



―賢くなりたい― トシ



「なんかかぶっているし・・・。」



スナ「俺の願いを見ろ~!」





「あれは,C組のスナ・・・。うるさいのが来た・・・。」



スナ「俺の願いは―」



―賢くなりたい― スナ



「ん?どこかで・・。」

「さらにかぶった!?あんなのとかぶるなんて最悪なんですけど!」





「みんな,どんだけ賢くなりたいのよ・・・。」



みんなそれぞれの思いを胸に七夕を過ごしたようです。



―みんなが健やかに成長しますように― 栗林



第88話 オオカマキリと後松君
少年昆虫団は夏の暑い昼間から六町公園で昆虫採集をしていました。



「暑いですよ~。」

「いいじゃない,たまにはセミ捕りも!」



どうやら今日はセミを捕まえているようです。



「そんなにとってどうするの~。」

「もちろん最後は全部逃がしてあげるよ!」



そんな会話をしているとそこにオオカマキリが現れました。



「これは,ヤバイ。ヤバイ昆虫だよ!」

「カマキリみたいですね。」



するとタモを持った少年がすかさず手でカマキリを捕まえました。





彼の名前は後松君。



後松「おお,オオカマキリだ。」



「あれ,後松君じゃないですか。」

「知っている子?」

「ええ,去年同じクラスだったので,2年C組の後松君です。」



後松「よろしく~。ぼくカマキリ大好きなんだ~。」



彼の虫かごを見てみるとカマキリやら蝶やらガなどが

たくさん詰め込まれていました。



後松「ぐへへへへ。」



「ちょっとそれ,いれすぎなんじゃ・・・。」



後松「いいの,こいつらは餌だから。」



「でも,なんか食べかけのガとかが

底にたまって気持ち悪い・・・。」




虫かごの中は詳しく説明できないほどの惨状でした。



後松「そうだ,いいもの見せてあげるよ。」



「ん?」



そういうと彼は,オオカマキリの腹を破りました。



「きゃぁぁ!!!」



後松「ほら,ハリガネムシだよ。

カマキリには結構寄生しているんだ~。ぐへへへ。」



素手でハリガネムシを取り出してみんなに見せようとしています。

さらに悪態をつきますが,あまりにお見苦しいので詳細は割愛します。



「なんだ,こいつ。頭おかしいぞ!?」



後松「ぐへへへへ。ぼくは虫が大好きなんだ。」



「なんだ,こいつ・・・。」



「彼はその・・・ちょっと残念な子なんです・・・。」



そして嵐のように彼はどこかへ過ぎ去っていきました。



「世の中にはいろんな子がいるんだな・・・。」



リク君はカブクワ以外の昆虫は殺されても意外と冷静のようです。



「いや~,もう二度と関わりたくないなぁ。」

「今回についてはトシに同意・・・。」



彼はどこにでもいる昆虫好きな小学生・・・だったのでしょうか。



昆虫が好きすぎるからといって,

昆虫をぞんざい扱ったりしないように気を付けましょう。



第89話~第92話

2015/7/22

第89話 カブトムシもほどほどに!
夏はカブトムシがたくさん採集できる季節です。



少年昆虫団は少し遠出していました。

車を運転するのはレオンさんです。



「この車なかなか乗り心地がいいですね~。」

「そりゃ,どうも。」



愛知県と岐阜県の境にある黒髭神社にやってきました。



「さぁ,今日も捕るぞ~!」

「いやマジでやばいよ・・・。」



トシ君は今日も意味不明なことを言っています。



「今日は何を捕るの?」

「もちろんクワもだけど,ここは原点に戻ってカブトムシかな。」

「よく飽きないな・・・。」



さっそく下見の時に見つけた蜜の出ているクヌギの木に向かいました。



クヌギの木は表面がデコボコしています。



そして葉っぱは先が尖っていて,ふちがギザギザしています。



さらに近くにどんぐりが落ちていれば,

おそらくその木はブナ科(クヌギなど)の木です。

ぜひ,昼間のうちに確認しておきましょう。



「なんか珍しく昆虫採集の役に立つ内容になっていますね。」

「何言っているんだよ,いつもそうでしょう!」

「・・・。」



クヌギの木にはたくさんのカブトムシがいました。



「これ,全部捕まえるの?」

「ううん。全部捕ったらほかの人が昆虫採集を

楽しめなくなっちゃうし,生態系にもよくないからね。

大きいのとか丈夫そうなのだけ採集したら後は逃がしてあげるよ。」


「いつもそうでしたっけ?なんかもう200匹以上捕ってません?」

「そんなことないよ。まだ,採集して持って帰ったのは

全部で5~6匹しかいないよ!」


「そうなのか・・・。意外だ・・・。」



みなさんも数を考えて採集をしましょう。



「みんな楽しそうだね。やっぱり昆虫採集はいいな~。ウキキキ。」

「うん。」

「こうしてみんなと昆虫採集についていけば,

そのうち“神の遺伝子”を持ったカブトムシ,

つまり“漆黒の金剛石”も見つかるかもね。」




レオンはイツキ君に話しかけました。



「漆黒の金剛石のことも知っていたんだな。」

「だって僕の父親はその研究に携わっていたんだからね。」

「なるほど。」

「今度,君の持っているノアの書を見せてもらえるかい?

もともと父が持ち出したものだしね。」




「あんたが信頼できる人物だと確信が持てたらな。」

「あらあら。僕って信頼ないのね。」



そんな会話を二人でこっそりしている間も

リク君はカブト採集を続けていました。



「お~し,このカブトはでかいぞ~!」



本日はたくさんのカブトムシに出会えたようです。



昆虫採集をするときは安全に,そしてみんなのために,

遊んでくれた昆虫に感謝をしましょう。



第90話 トシの新ヴィート 前編
少年昆虫団は六町公園でサッカーをして遊んでいました。



昆虫採集は一休みのようです。



「サッカーは昆虫採集並みに楽しいな~!」



リク君はボールをイツキ君にパスしました。



「そうか・・・。」



イツキ君はそれをトラップしてゴールへシュートします。



そんなことをして遊んでいると突然,

他のクラスの子供たちが10人ほどやってきました。



その中で中心は上級生の3年A組 猿轡(さるくつわ)鵜樹(うき)君でした。





猿「おい,ここは今から俺たちがサッカーをすることにした。

だからお前たちは邪魔だ!」



「ええ,ひどい。

私たちの方が先に遊んでいたのに。」


「そーだ,そーだ。」



トシ君は昆虫には弱いですが同じくらいの年齢の人間相手だと

強気にでる性格のようです。



猿「なんだと,文句があるのか!?」



「なんなの,あいつ・・・。」

「たしか,一つ上の学年の人ですよ。

下級生を集めてグループを作って

ボス気取りの子で,たしか名前は猿轡です。」




だぬちゃんは年上の甥っ子がいるので他学年の生徒のことを知っていたのです。



猿「どうしてもどかねぇっていうなら仕方ねぇな・・・。」



猿轡君は鳴らない手をボキボキと鳴らす真似をしています。



「俺が相手をしようか。」



イツキ君はストリートの喧嘩なら負けたことがない強者です。

こういう時は頼りになります。



「いや・・・わざわざイツキ君が

出なくても・・・。う~ん・・・。」




猿「この公園をかけてヴィート対決だ~!」

(*ヴィート対決については第37話~参照)



「は?」

「ええ!?まじですか!?」

「ほほう。」



猿「こちらは10人以上いるからな。喧嘩になったらこっちの勝ちだ。

だからそれぞれの代表者が1対1でヴィート対決をして

勝った方がこの公園を使うってのはどうだ。」



「中二的な発想ですね・・・。」



猿「こっちの代表は当然俺だ!そっちはどうする!?」



「なんか勝手にヴィート対決をすることになっているし・・・。」

「じゃあ,こっちはトシで。」

「マジで!?」

「よ~し,オイラやってやるよ~!この前猫山で覚醒して

新ヴィートも使えるようになったぞ!」


「ああ,そんなこと言ってましたね~。誰も覚えてないでしょうけど。」

第46話参照)



<おまけ>

「こんなくだらない話で2話も使うのかよ!?」



第91話 トシの新ヴィート 後編
少年昆虫団は六町公園の使用権を巡って

上級生の猿轡(さるくつわ)君率いる

グループと対決することになりました。



対決方法は代表者同士のヴィート対決です。

少年昆虫団の代表はトシ君のようです。



果たしてトシ君で勝つことはできるのでしょうか。



「いいんですか。トシ君なんかで。」

「いや,まぁいいんじゃない。

負けたら面倒くさいから別のところ行けばいいし・・・。」


「すげー適当だな。」



イツキ君の言葉が全てを物語っていました。



―ヴィート対決―



トシ対猿轡(さつくつわ)



猿「いくぞ!俺の超必殺ヴィート!!!」



ものすごいやる気です。



猿「猿の中の猿(キングコング)!」



うほうほうほうほ~!!



まさに攻めのヴィートです。同時にトシ君もヴィートを放ちます。



「オイラの新ヴィートを見せる!」

「おお!」

「これがオイラの新ヴィートだぁ!!」



トシ君が大きく息を吸い込みました。



そして口の中から・・・。



「虚言癖(ビックマウス)!!!!」



口の中からありとあらゆる虚言が出てきました!



これは攻めの型のようです。同じタイプのヴィートがぶつかる場合,

気力や威力が大きい方が有利のようです。



猿「ぎやややぁぁぁぁぁ~~!?」



虚言に飲み込まれ,猿轡君は破れました。



猿「ぐふ・・・。」



「どうだ,オイラの実力。」

「なんか勝っちまったぞ・・・。」

「まぁ・・・いいんじゃない・・・。」

「みんな,どうだ~!」

「トシ君すご~い!」



まさらちゃんは喜んでいるようです。



「イツキ君にトシ君まで二つ目のヴィートが

覚醒しているなんて。だぬも負けてられないですね!」


「うん,そうだね・・・。」



リク君はすでにどうでもよさそうでした。



何はともあれヴィート対決に勝ったので

この公園をもうしばらく使ってサッカーをして遊んだそうです。



<おまけ>

「よ~し,夜はまたまたカブクワ採集だ!」

「うげ!」



第92話 トラップの仕掛け方
今日は緑地公園でトラップ採集をするようです。



「なんか,前もやってませんでしたっけ?」

「いいんだよ。たまには違う方法で採集してみたいからね。」

「でも,イツキ君もまさらちゃんもいませんよ・・・。」



今日はだぬちゃんとトシ君と三人だけのようです。



「イツキ君はちょっと図書館に用事があるんだって。

まさらちゃんも今日は都合がつかないらしい。」


「いや~,なんかもう嫌な予感しかしない。」



トラップ採集といっても色々な方法があります。



「まずは,木に蜜を塗る方法だね。」



一番簡単な方法です。効果もそれなりにあります。



「いますね~。カブトムシが止まっています。」



「次に落とし穴トラップ。」



地面に穴を掘って缶などを沈め,その中に餌をおいておくのです。



「なんか変な虫ばかりですよ・・・。」

「オサムシとかマイマイカブリなんかがこの方法で採集できるね。」



この方法ではカブクワは採集しづらいようです。



「さらにこの方法をためしてみよう。それは・・・。」

「灯火採集ですね。」



灯火採集とは白布に蛍光灯の光を当て昆虫を集める方法です。





「なんか,ガばっかり集まってくるんですけど・・・。」

「ほとんどはそうだけど,たまにカブクワが飛んでくるんだ。」



この時はコクワを見つけることができたようです。



「そして最後は,コレだ!!」



なんとリク君が取り出したものは,床置き式粘着トラップでした。



「なんですか,これは!?」

「いわゆるゴキブリホイホイの大きいバージョンだね。」

「つまり・・・。」



そこに集まってきたのは地上をはう虫たちでした。



「ぎゃ~!?ゴキブリなんかの変な虫がいっぱいですよ!?」

「うごおおお!?」



なんとトシ君がトラップに引っかかってしまいました・・・。



「げっ!?」



すでに変な虫がたくさんあつまっていました。





「助けてくれぇぇぇ!!」



まさにトシ君と地上をはう昆虫たち(ゴキブリなど)が

トラップに引っかかり絡み合っているという地獄絵図でした。



「いや~,トラップ採集は予想以上のことが起きるね!」



トシ君はもうこりごりでした。



「ヤバイどころじゃねぇよ!!」



第93話~第96話

2015/8/13

第93話 いじめられっこパクト ①
この日,少年昆虫団は昆虫採集ではなく

サッカーをして遊んでいました。



場所は六町公園のすぐ隣にある三町公園です。



「サッカーもいいね。」

「でも暑いですよ・・・。そろそろお昼ですし,終わりにしませんか?」

「まぁ,そうだね。そうしようか。」

「ああ,夏休みだし,いつでもできるしな。」



リク君たちが帰ろうとするとぼろ雑巾の塊のようなものがグラウンドに転がっていました。



それはよく見ると人間でした。



「ちょっと,大丈夫!?」



するとむくっと起き上がってこちらを見ました。





「なんだ,子供じゃないか。」



どうやらリク君たちと同学年の男の子のようでした。



「あ,この子,確か,C組の・・・えっと,

あだ名がパクトって子じゃないですかね。」


「パクト君,そんなにぼろぼろになってどうしたの?」



彼は一言もしゃべらずにその場を去っていきました。



「なんだあいつ・・・?」



そして次の日―



みんなは同じように三町公園で遊んでいました。



気づくと公園の隅,ブランコの近くにあの少年が倒れていました。



やはり体中傷だらけでボロボロです。



「大丈夫!?」



たまらずまさらちゃんは声をかけました。



パクト「・・・。」



「いったいどうしたんですか?」



少年昆虫団は彼を気遣うようにして声をかけました。



「結構やられちゃった感じだね。」

「ああ,殴られた傷だな。」



パクト「・・・。」



どうやら彼はここで誰かに殴られていたようです。



彼は昨日と同じように無言のままその場を立ち去って行きました。



さらに次の日―



少年昆虫団のみんなはいつもより早めに集まり,

茂みの中に隠れていました。



「ちょっ・・・オイラ隠れきれてないんですけど。」

「腹が出すぎなんですよ・・・!」



そんなことを話しているとパクト少年がやってきました。



「誰かを待っているみたいだね。」



しばらくすると小学生から中学生の集団が公園に集まってきました。

数は20人ほどいるようです。





「何,あの子たち!?」



彼らの目的は一体・・・?



第94話 いじめられっこパクト ②
小学生や中学生で構成される集団が公園に集まってきました。

パクト少年はその集団のボスらしき少年に何かを渡しました。



「・・・。」



その直後,彼は集団リンチを受けました。



パクト「う・・・。」



彼は無抵抗でした。



「あいつら何をやっているんですか!?」

「いじめだよ・・・。」





どうやらパクト少年は集団いじめを受けているようです。



「・・・。」

「ねぇ,彼を助けないと!?」

「そっそうですね・・・。でも相手は20人以上いますけど・・・。」

「オイラはやってやるよ~!」



しかし,そのいじめっ子集団はパクト少年を

痛めつけた後すぐにその場から姿を消してしまいました。



「ああ・・・。大丈夫!?」



みんなはパクト少年のところへかけつけました。



パクト「・・・。」



「何か言ったらどうなんだ?

まさらはお前のことを心配してくれているんだぞ。」




パクト「・・・。ほっておいてよ。僕のことは・・・。」



「でも,いま,みんなに殴られていましたよね。

あれっていじめですよね。というか犯罪ですよ!」




パクト「いいんだ。慣れているから。」



「さっき何かを渡していたけど,

あれってお金・・・だよね?」




パクト「そうだよ。親のお金を毎日持って来いって言われているんだ。」



事態は深刻でした。



パクト「僕にかかわると君たちも大変なことになるよ・・・。」



そう言うと彼はそのまま去っていきました。



「じゃあ,サッカーでもするか。」

「そうだね!」



二人は何事もなかったかのように遊び始めました。



「ちょっと,二人とも!

あの子をなんとかしてあげなくていいの!?」


「そうですよ!あの集団をボコボコに

やっつけちゃってくださいよ!」


「オイラ,いつでも戦闘準備OKだよ~!」



まさらちゃんとだぬちゃんは

パクト少年のことをかなり気にしているようです。



「いや~,でもあの子から助けを求めてきたわけじゃないしさ・・・。」

「いやいや,普通助けてあげるのが人情じゃないですか!」

「でもよ,俺たちがあいつらをボコボコにしたってさ,

またその仕返しがあのパクトってやつにいくだけじゃないか?」


「それは・・・。」

「ボクたちがあの集団を“ただ”やっつけるだけじゃ,

いじめの根本的な解決にはならないね。」


「じゃあ,どうすれば・・・。」



「いじめの解決」,これは本当に難しい問題なのです。



果たしてパクト少年はどうなってしまうのでしょうか。



第95話 いじめられっこパクト ③
その日の夕方,パクト少年は再び

あのいじめっこ集団に呼ばれていました。



この集団のリーダーは中学1年生の少年でした。

その弟がパクト少年と同じ小学2年生のようです。



この兄弟は蜷局(とぐろ)兄弟と呼ばれていました。





蜷局兄と弟



蜷局兄「さっき,もらった金なんだけどな,

持って来いって言った金額より少なかったぞ!」



パクト「すみません。家にそれだけしかありませんでした。」



蜷局弟「てめぇ,ふざけんじゃねぇえよ!」



弟はパクト少年に乗りかかり殴り始めました。



取り巻きの連中は蜷局兄弟の同級生であったり,

素行の悪い中野木小学校の5・6年生だったりでした。



するとそこへ少年昆虫団がやってきました。



「近くで見るとまたヤバイですね・・・。

中学生もいますよ・・・。」




蜷局弟「なんだ,てめぇら!?」



パクト「・・・。」



リク君は蜷局弟を無視してパクト少年に近づきました。



「君は本当にこのままずっと

いじめられっこでいいの?」




パクト「だって・・・。」



リク君は真面目な顔をして続けます。



「いじめっていうのは,いじめる方が100%悪いんだ。

君は何も悪くない。だから何も悩む必要はない。

自分の力でどうしようも無いときは誰かに頼る勇気も必要だよ。」




蜷局弟「おい,てめぇ,何,無視決め込んでんだよ!?」



「うるさいな,今取り込み中だ。」





蜷局弟「なっ・・・。」





パクト少年は泣き出しました。



パクト「うう・・・。」



「君はこのままいじめ続けられていいのかい?

苦しくないのかい?」




パクト「苦しいよ・・・!誰かボクを助けて・・・!

助けて・・・!ボクをいじめないで!!」



パクト君は大声で叫びました。



蜷局兄「あはははは,こいついきなり大声で叫び始めたぞ。

頭おかしいんじゃねぇか。」



「笑うなよ・・・。」



蜷局兄「あん・・・!?」



「精一杯苦しんで,やっと出た

心の叫びを・・・笑うなよ・・・!」






パクト「(ありがとう・・・。)」



蜷局弟「なんだ,てめぇ俺たちとやろうってのか!?」



「なんかやる気だなぁ!」



弟は頭の悪そうな発言を繰り出しました。



「なんでも暴力で解決しようとするのはだめだよ!」

「そそ,そのすぐにけんかしようとする姿勢がよくない。」

「自分たちのやっていることを恥じろ。」



みんなは臆することなく彼らに説教をしました。



蜷局兄「なめてやがるな・・・。」



いじめっ子集団はリク君たちに襲いかかろうとしていました。



第96話 いじめられっこパクト ④
いじめっ子集団はリク君たちに襲いかかろうとしていました。



「暴力では何も解決しないぞ・・・。」

「そうですよね,イツキ君にしては正論ですね。」

「でも,あの人たちすでに殺気づいているんだけど・・・!?」



蜷局弟「おい,パクト!俺たちに逆らうやつはどうなるか見てろ!」



パクト「うう・・・。」



「仕方ないな・・・。パクトだっけ,

君は危ないから下がってだぬちゃん達のところへ。」




パクト「うん・・・。」



リク君は背中にある捕虫網に手をかけました。



「俺がやろう。十分だ。」





イツキ君はリク君を制止しました。



「わかった。」



蜷局兄がイツキ君に殴りかかりました。



「なんか来ましたよ~!」



蜷局兄「何,余裕かましてんだよ!」



「おおおおぉぉぉぉ!!!」





ボッコ~ン!!



蜷局兄「ぐへぇ・・・・!?」



イツキ君のパンチが見事に決まりました。



「いやいや,暴力で解決じゃないですか!?

まぁこの場合,仕方ないですけど。」




蜷局弟「アニキ~!」



「全員,ぶっ潰す!覚悟するんだな。」



蜷局弟「オラァァァ!」







次に蜷局弟が秒殺されました。



蜷局弟「グハァァ!?」







これにびびった取り巻きの連中は少し躊躇(ちゅうちょ)します。



すかさずイツキ君は攻撃を仕掛けます。

さらにリク君が援護攻撃を加えます。



「―大空2刀流―」



―追撃の星(シューティング・スター)―





トシ君も残党狩りを始めます。



そして10分と経たないうちにいじめっ子集団は壊滅しました。



蜷局兄「ぐ・・・。くそ・・・。」



「文句があるならこれからは

パクトじゃなく俺を狙ってこい。その覚悟があるならな。」




イツキ君は倒れている蜷局兄の腹にけりを1発加えます。



蜷局兄「ぐはっ!?」



大量に口から血が出てきました。

どうやら内臓が破裂したようです。



しばらくして彼らは救急車で運ばれていきました。



もちろんその前に少年昆虫団とパクト少年はその場を去りました。



「なるほど。あえてあの連中をボコボコにすることで

ターゲットをパクト君からイツキ君に向けさせたのね。」


「ふ・・・。」

「やりますね。でも大丈夫ですか?

今度はイツキ君がいじめられる・・・わけないですか。」




すべてはイツキ君の思惑通りのようです。



「俺はストリートでは100戦無敗の男だぞ。心配無用だ。」

「そうだったね。イツキ君,ケンカ強いからね。」

「まぁ,これも“あの人”のおかげだけどな。」

「あの人って確か・・・。」

「ああ,俺にケンカを教えてくれた人だよ。

今,どこで何をしてるのやら・・・。またどこかで会いたいな。」




どうやら彼のケンカの強さには秘密があるようです。



それはともかくパクト少年をいじめから救い出せたことは何よりの救いでした。







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